交通事故に遭った時の過失割合って?保険金は自動車保険からしかもらえない?
突然の交通事故で大ケガを負い、日常生活や家計に影響が及ぶと思えば心配なもの。そのとき、どのように補償を受けられるのか整理してみましょう。
過失割合について
信号待ち中(停車中)に追突された場合など、相手方の落ち度(過失)によって損害を受けたときは、被害者は相手方に法律上の損害賠償を求めることができます。しかし、双方が動いている交通事故では、相手だけでなく自分にも落ち度があることが多いもの。このとき、どちらにどの程度落ち度があるかを示すのが「過失割合」です。全体を100として、双方の落ち度を「10:90」「40:60」などと表します。
この割合は、道路や法令順守の状況、あるいは相手が歩行者またはクルマか、事故を防止すべく注意して行動したかなどを踏まえ、過去の事例なども参考にして、公正妥当に判断されます。
たとえば、共に青信号で同方向に進もうとする歩行者とクルマのケース。横断歩道を渡る歩行者に、左折するクルマが接触した場合、歩行者の過失0に対しクルマ100というのが基本の過失割合になります。この場合歩行者は、損害額の100%について、加害者から賠償を受けられます。
あるいは交差点で西から東に直進しようとするクルマと、南から北に直進するクルマが共に減速をせず接触したケース。交差点では、自動車は左方優先となるため、東に向かったクルマ40に対し、北に進んだクルマ60が基本。ですが、北に進んだクルマが減速していたときは過失割合が逆転します。他の条件も加味されるため、個々のケースで過失割合は変わってきます。
このように双方に過失がある事故では、相手方から損害額の100%の賠償を受けられません。損害額から自身の過失割合に応じた金額が差し引かれるため(「過失相殺」)、相手からの賠償金だけでは医療費の全額をカバーできないことになります。
このとき人身傷害保険の契約があれば、医療費の実費や、休業損害などが過失を問わずカバーできます。契約内容によっては、歩行中などクルマに乗っていない場合も補償を受けられます。搭乗者傷害保険の契約があれば、あわせて搭乗者傷害保険金もプラスされます。
自動車保険以外からの保険金について
さらに、生命保険や医療保険には多くの人が加入していますが、これらは相手方からの賠償金や自分の自動車保険と関係なく保険金を受け取れます。交通事故をカバーする傷害保険や共済なども同様です。
つまり、交通事故で大ケガをし、そのとき自分に過失がある場合であっても、人身傷害保険があれば損害を穴埋めでき、他の保険から+αの補償を受けられることも多いということです。
だからこそ注意しなくてはならない点も。自分が実際に事故に遭ったときは、該当する契約について漏れなく請求を。保険はいざというときにきちんと請求してこそ役立ちます。
どのような時に保険金を受け取れ、受け取れないのかを確認するとともに、どのような保険に入っているかも、家族と共有しておきましょう。たとえば、マイホームの決まった場所に保険証券をまとめてファイリングしておく、離れて暮らす家族には保険証券や加入している保険の一覧表をコピーして送っておくなどです。困った時こそ慌てないように、平時から情報を整理しておきましょう。
事故の場面と使える保険例
事故場面 | 保険種類 | 使える保険 |
---|---|---|
クルマ搭乗中 | 自動車保険から | 人身傷害保険または無保険車傷害保険、搭乗者傷害保険 |
自転車搭乗中 | 他の保険等から | 傷害保険・医療保険・生命保険の特約・各種共済など |
歩行中 | 自転車保険から | 人身傷害保険または無保険車傷害保険 |
他の保険から | 傷害保険・医療保険・生命保険の特約・共済など |
きちんと補償を受けるためのポイント
交通事故では、相手方からの賠償のほか、自分の自動車保険や生命保険、医療保険などから補償を受けられ、思いのほか手厚いカバーが得られることも。保険金請求は自分で行うのが基本ですから、どのような時に保険金が受け取れるのか、きちんと確認し、整理しておきましょう。
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プロフィール
清水 香(しみず かおり)
1968年東京生まれ。CFP®認定者。1級FP技能士。

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