ひき逃げされたら、私はどうなるの?
自動車事故の被害者は、通常は加害者の自動車保険から賠償金を受け取ることになります。ところがひき逃げとか、自賠責保険に入っていないクルマから被害を受けると、補償を受けられる保険がありません。バイクに乗った犯人によるひったくり被害でケガを負わされたといったケースもそうですね。
こうした場合、被害者は「政府保障事業」による救済を受けられます。自賠責保険と同額までの補償が受けられますが、政策的に設けられた最低限の補償なので、受け取れるのは健康保険や労災保険の給付、被害者の過失、さらに加害者からの支払いなどがすべて差し引かれたものとなります。このような控除や事実確認の手続きも多いので、請求書を提出後、被害者に実際にお金が支払われるまでに、ひき逃げ事故で平均4カ月程度、無保険事故で7カ月前後の期間がかかります。
まずは警察への届けが必要ですが、請求の窓口は全国の損保会社、JA共済などです。保険金の請求は事故の翌日から原則3年以内(後遺障害は症状固定の翌日、死亡は死亡日の翌日から3年以内となっています)。
ただし、こうした事故はマイカーの自動車保険にセットした人身傷害保険でもカバーできます(車外事故でも、補償される契約条件となっていればOK)。自賠責保険を超える補償となること、過失相殺されないこと、保険金支払いまでの時間が相対的に短いことを考えると、政府保障事業よりも手厚くなります。ただし、人身傷害保険から保険金を受け取った場合、政府保障事業からは重複して受け取れません。
ポイント!
ひき逃げなどで自賠責保険の補償すら受け取れない場合、最低限の補償が得られる政府保障事業から救済を受けられます。また、マイカーの自動車保険の人身傷害保険も使え、どちらに請求することもできますが、重複しては支払われません。
ほかの記事を見る
プロフィール
清水 香(しみず かおり)
1968年東京生まれ。CFP®認定者。1級FP技能士。
新規加入をご検討中の方