車両保険に入ると、保険料が高くなるのでちょっと迷ってしまいます。入ったほうがいいでしょうか?
マイカーの損害をカバーする車両保険は、事故時の家計の損失を最小限に抑える役割があります。クルマの修理や再取得にはまとまったお金が必要ですし、オートローン返済中にクルマを失えば、ダメージはさらに大。生活必需品のクルマを失うと、そもそも暮らしが成り立ちません。クルマが必需品で、かつ突発的な事故でのまとまったお金の支出が難しい家計ほど、車両保険の必要性は高くなるといえます。
車両保険がより必要になる家計は?
ファイナンシャルプランナー清水さんが解説
車両保険のメリットはもうひとつ。双方に落ち度のある事故でマイカーに損害を受けた場合、相手方の過失分までしか賠償を受けられません。こんなとき車両保険があると、示談交渉の結果を待たずに、自身の保険を一旦使って、速やかにマイカーを修理できます(相手方の過失分は損保会社が後から求償します)。
一方で注意が必要な点も。自動車保険には事故実績に応じて保険料の割増引が適用される「等級別料率制度」があります。事故がなければ翌年の等級は1つ上がって保険料が割り引かれますが、事故があれば等級は最大3つ下がるため、保険金を受け取れば、翌年負担する保険料がアップしてしまうのです。
車両保険は、マイカーの小さな修理をたびたび行うためのものではなく、大きな修理やクルマの再取得などで、家計負担が厳しくなるケースをカバーするのが趣旨であると理解しておきましょう。
一般的な車両保険の補償の例
ファイナンシャルプランナー清水さんが解説
また一口に車両保険といっても、下の表のような3つのタイプがあります(保険会社や商品により詳細は異なります)。車同士の事故はもちろん、台風や水害、単独事故等までカバーする「一般車両」、単独事故等は含まない「エコノミ-※」、車同士の事故のみをカバーする「車対車」です。
クルマとクルマの 事故 |
火災や自然災害に よる損害、 盗難・いたずらなど |
単独事故や 当て逃げなど |
|
---|---|---|---|
一般車両 | |||
エコノミー※ | |||
車対車 |
保険料は補償が手厚いほど高くなり、「一般車両」>「エコノミ-※」>「車対車」となります。保険料を抑えたいなら、補償の範囲を限定したタイプを選ぶほかに、免責金額(=自己負担額)を設定する方法があります。事故のときには設定した金額が差し引かれた車両保険金が支払われることになりますが、免責金額が高いほど支払う保険料は抑えられますので、免責金額を上手に利用してしまうのも手です。
ただし、車両保険の支払を受ける場合は、免責金額を自己負担することに加えて、翌年は等級が3つ下がり保険料がアップすることになりますので、その両方の出費を家計でカバーできるかを踏まえて検討するとよいでしょう。
- 清水 香
- ㈱生活設計塾クルー取締役、FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表。1968年東京生まれ。家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組む。一般生活者向けの相談業務のほか、執筆、企業・自治体・生活協同組合等での講演活動なども幅広く展開、TV出演も多数。近著に「あなたにとって「本当に必要な保険」(講談社)」、「どんな災害でもお金とくらしを守る(小学館クリエイティブ)」がある。
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