火災保険ガイド
火災保険だけで大丈夫?地震保険の必要性
最終更新日:2026/9/29
地震・噴火・津波を原因とする火災や建物の倒壊、津波被害は、通常の火災保険では補償の対象になりません。必要性は感じているものの、地震保険の保険料負担が気になり、加入を先送りにする方も少なくないでしょう。
そこで本記事では、火災保険と地震保険の補償範囲の違いから、地震保険が必要とされる理由、保険金額の決まり方、保険料を抑える具体的な方法まで詳しく解説します。
火災保険と地震保険の決定的な違い
火災保険と地震保険は、補償する損害の原因が根本的に異なります。両者の違いを理解しないまま契約すると、地震で被災した際に保険金を受け取れない事態にもなりかねません。火災保険と地震保険のおおまかな違いは以下のとおりです。
| 項目 | 火災保険 | 地震保険 |
|---|---|---|
| 補償の対象となる原因 | 火災、風災、水災、盗難など | 地震、噴火、これらによる津波 |
| 単独契約 | 可能 | 不可(火災保険とのセットが必須) |
| 保険金額の設定 | 保険の対象となる建物や家財の価額に応じて設定 | 火災保険の保険金額の30%〜50%の範囲で設定 |
地震保険は補償の対象となる原因も、契約の仕組みも火災保険と大きく異なります。それぞれの補償範囲を詳しく確認していきましょう。
火災保険で補償される範囲とは?
火災保険の補償対象は「建物」と「家財」です。詳しい補償内容は以下のとおりです。
| 補償の種類 | 損害の例 |
|---|---|
| 火災・落雷・破裂爆発 | 自宅が火災になり建物と家財が焼損した |
| 風災・雪災・雹(ひょう)災 | 台風による飛来物が衝突し、屋根が破損した |
| 水災 | 豪雨により床上浸水した |
| 盗難・水濡れ |
|
| 破損・汚損 | 子どもが誤ってテレビを落として破損させた |
※SOMPOダイレクトの「じぶんでえらべる火災保険」は、破損・汚損は補償の対象外です。
なお、火災保険の詳しい補償内容や補償対象外となる例は、以下の記事もあわせてご覧ください。
地震保険でしか補償されない「地震・噴火・津波」による損害
地震・噴火・津波を原因とする損害は、火災保険では補償されません。地震保険でしか補償されない、代表的な損害は以下のとおりです。
地震の揺れによる建物の倒壊や土砂崩れによる埋没
地震・噴火に伴う津波による流失
地震を原因として発生した火災による焼失
通常の火災保険は、地震が原因の火災であれば、損害保険金の支払い対象外としているため、地震保険は被災後の生活再建に欠かせない備えといえるでしょう。
地震保険は単独で加入できない。火災保険とのセット契約が原則
地震保険は単独で契約できず、必ず火災保険とセットで加入します。すでに火災保険のみに加入している場合でも、契約途中からの追加(中途付帯)が可能です。
なお、地震保険は政府が再保険を引き受け、保険会社と共同で運営する公共性の高い制度であるため、各社が独自に保険料を設定することはありません。条件が同じであればどの保険会社で契約しても補償内容や保険料は同一です。
地震保険が必要な3つの理由
地震保険は、持ち家・賃貸を問わず備えておきたい保険です。必要とされる理由は、主に以下の3つです。
- 1.
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日本は地震大国で、いつどこで被災してもおかしくないから
- 2.
-
被災後の生活再建は公的支援だけでは不十分だから
- 3.
-
持ち家の場合、住宅ローンが残っていても返済義務は続くから
それぞれの理由を詳しく解説します。
理由1:日本は地震大国。いつどこで被災してもおかしくない
日本は世界有数の地震多発国であり、世界のマグニチュード6.0以上の地震の約20%が日本付近で発生しています。(内閣府「防災白書」より)
今後30年以内に南海トラフ地震は80%程度、首都直下地震は70%程度の確率で発生すると予想される一方、2016年の熊本地震のように発生確率が低いとされていた地域で大規模な地震が起きた例もあります。
参考:地震に備える地震保険の役割(PDF:2.0MB)
発生確率にかかわらず、日本国内であればどこでも被災する可能性があるのが実情です。日ごろの備えとして、防災の基礎知識も確認しておけると安心でしょう。防災サービスSA・PO・POでは、備蓄リストや被災時の行動などがまとまっており、誰でも無料で利用できます。ぜひあわせてご確認ください。
もしもの備えは防災サービスSA・PO・POへ
理由2:被災後の生活再建には公的支援だけでは不十分
被災後の生活再建は、公的支援だけでは不十分な場合が多く、地震保険による備えが重要です。「被災者生活再建支援制度」では住宅が全壊するなど著しい被害を受けた世帯に支援金が支給されますが、上限は300万円にとどまり、住宅の再築や当面の生活費をまかなうには不足する可能性があります。
地震保険の保険金は使い道が限定されていないため、契約者は生活費や引越し費用、家財の買替えなど幅広い用途に活用することが可能です。
参考:公益財団法人 都道府県センター「自然災害による被災者のための被災者生活再建支援制度」
理由3:住宅ローンが残っていても返済義務は続く
持ち家の場合、地震で住宅が全壊・倒壊しても、被災前の住宅ローンの返済義務はそのまま残ります。新たな住まいの家賃や建て直しのローンが加われば、二重の負担が重くのしかかることになるでしょう。
住宅ローンの返済期間が長く残っているほど、地震保険による備えの重要性は高いといえます。なお、賃貸住宅であればローンの心配はありませんが、家財を買い直す費用は持ち家・賃貸を問わず共通のリスクです。
【いくらもらえる?】地震保険の補償内容と支払われる保険金
地震保険でいくら補償を受けられるかは、契約時に設定する保険金額と実際の損害の程度によって決まります。
補償の対象は「建物」と「家財」
保険金額は火災保険の30%〜50%の範囲で設定
支払われる保険金は損害の程度に応じた4区分で決まる
それぞれ詳しく解説します。
保険の対象は「建物」と「家財」
地震保険の対象は、居住用の「建物」と「家財」です。建物は本体だけでなく、門や塀、物置・車庫なども含み、マンションの場合は専有部分(室内)のみを設定します。
- ※
-
門や塀のみが壊れた場合は、保険金の支払対象にはなりません。
家財は家具・家電・衣類など「動かせるもの」を指し、自動車や1個30万円を超える貴金属、通貨、有価証券などは対象外です。
家財の補償範囲や保険金額の目安は、以下の記事もあわせてご覧ください。
保険金額の決まり方:火災保険金額の30%~50%の範囲で設定
地震保険の保険金額は、火災保険で設定した保険金額の30%〜50%の範囲内で決めます。建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限です。
たとえば火災保険で建物2,000万円、家財1,000万円を設定している場合、地震保険では建物600万〜1,000万円、家財300万〜500万円の範囲で選択できます。
保険金額の考え方や決め方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
保険金の支払われ方:損害の程度に応じた4つの認定区分
損害の程度に応じた4段階の区分ごとに、時価額を限度として保険金額の一定割合が支払われます。損害の程度と支払われる保険金の割合は以下のとおりです。
| 損害の程度 | 支払われる保険金の割合 |
|---|---|
| 全損 | 保険金額の全額 |
| 大半損 | 保険金額の60% |
| 小半損 | 保険金額の30% |
| 一部損 | 保険金額の5% |
認定は、建物の主要構造部の損害額や焼失面積などの割合、家財の損害額が時価に占める割合をもとに判定されます。損害が一部損に満たない場合や、門・塀など主要構造部以外のみの損害は、補償の対象外となる点に注意しましょう。
【いくら払う?】地震保険の保険料と賢く抑える方法
地震保険の保険料は、所在地や建物の構造、保険金額といった要素で決まります。割引制度や控除を活用すれば、負担を軽減することも可能です。保険料を決める仕組みや負担を抑える方法は、主に以下のようなものがあります。
保険料は「所在地」「建物の構造」「保険金額」で決まる
耐震性能に応じた割引制度がある
年末調整の地震保険料控除が使える
火災保険の補償見直しでもコストを抑えられる
それぞれ詳しく解説します。
保険料を決める3つの要素(所在地・建物の構造・保険金額)
地震保険の保険料は、「所在地」「建物の構造」「保険金額」の3要素で決まります。以下は、それぞれの要素がどのように保険料へ影響するかをまとめたものです。
| 要素 | 保険料への影響 |
|---|---|
| 所在地 |
|
| 建物の構造 |
|
| 保険金額 |
|
なお、所在地・建物の構造・保険金額の条件が同じであれば、どの保険会社で契約しても地震保険の保険料は同一です。
保険料が安くなる割引制度を活用しよう
地震保険には、建物の耐震性能に応じた4種類の割引制度があります。該当する条件を満たせば、保険料の負担を軽減できます。割引の種類と割引率は以下のとおりです。
| 割引の種類 | 割引率 | 適用条件 |
|---|---|---|
| 免震建築物割引 | 50% | 品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づく免震建築物であること |
| 耐震等級割引 | 10%〜50% | 耐震等級1〜3を保有していること(等級が高いほど割引率も高い) |
| 耐震診断割引 | 10% | 耐震診断・耐震改修により現行の耐震基準を満たすこと |
| 建築年割引 | 10% | 1981年6月1日以降に新築されていること |
割引適用のために所定の確認資料が必要となります。また、割引の重複適用はできないため、ご自身の建物がどの条件に該当するか契約時にあわせて確認しましょう。
必要書類については、「地震保険への加入をご検討の場合」をご参照ください。
年末調整で税金が戻る「地震保険料控除」
地震保険は、支払った保険料が「地震保険料控除」として所得税・住民税の課税所得から差し引かれます。対象となるのは、納税者本人や生計を共にする家族が所有し、常時居住している建物・家財を対象とした契約です。控除される金額は、年間の支払保険料に応じて以下のとおり決まります。
| 区分 | 1年間の支払保険料(注2)の合計 | 控除額(所得税) | 控除額(住民税) |
|---|---|---|---|
| 地震保険料(A) | 50,000円以下 | 支払保険料の全額 | 支払保険料の2分の1 |
| 50,000円超 | 一律50,000円 | 一律25,000円 | |
| 旧長期損害保険料(B) | 10,000円以下 (住民税は5,000円以下) |
支払金額の全額 | 支払金額の全額 |
| 10,000円超~20,000円以下 (住民税は5,000円超~15,000円以下) |
支払保険料の2分の1+5,000円 | 支払保険料の2分の1+2,500円 | |
| 20,000円超 (住民税は15,000円超) |
15,000円 | 10,000円 | |
| (A)と(B)の両方がある場合(注1) | ― | (A)(B)それぞれの方法で計算した金額の合計額 (最高50,000円) |
(A)(B)それぞれの方法で計算した金額の合計額 (最高25,000円) |
(注1) (B)に(A)が付帯(セット)された(または中途付帯された)契約においては、(A)か(B)のいずれか一方を選択して適用を受けることができます。
(注2) 1年間の支払保険料とは、その年の「1月1日から12月31日まで」に保険会社に支払った保険料から、保険会社から受領した返れい金等を控除したものをいいます。
会社員や公務員の場合、保険会社から届く「地震保険料控除証明書」を、勤務先に提出する年末調整の申告書に添付することで手続きが完了します。年末調整を行わない自営業者などの事業所得者は、ご自身で確定申告書を作成して申告・納税を行う必要がありますが、控除される金額の考え方は給与所得者と同様です。
なお、保険料控除の対象となるのは地震保険で払い込む保険料のみで、火災保険は対象外です。(平成18年12月31日までに契約した一定の長期契約など、一部例外を除く)
参考:日本損害保険協会「③保険料と税金の関係」
地震保険料控除の詳細は、以下の記事もあわせてご覧ください。
火災保険の「不要な補償」を外してトータルコストを抑える
保険料を抑える方法には、地震保険とセットで契約している火災保険の補償内容を見直す方法もあります。
たとえば高層階のマンションで水災リスクが低いにもかかわらず水災補償を付帯している場合や、個人賠償責任特約・弁護士費用特約などが他の保険と重複している場合は、必要性を再確認する余地があります。
加入したときの補償内容から見直しをしていない場合や、加入時から家族構成が変わっている場合は、次の「地震保険の加入・見直しの手順とタイミング」で解説するポイントを見て、見直しを検討しましょう。
地震保険の加入・見直しの手順とタイミング
地震保険への加入や見直しは、火災保険の契約内容を確認したうえで、必要な補償と保険金額を検討する流れで進めます。
STEP1:火災保険の契約内容を確認する
STEP2:必要な補償と保険金額を検討する
それぞれのステップを解説します。
STEP1:現在の火災保険の契約内容を確認
まずは、現在加入している火災保険の補償内容を確認しましょう。建物の立地や構造に見合った補償になっているか、ハザードマップなどとあわせて確認すると判断しやすくなります。また、加入中の補償範囲が、現在の環境に合っているか確認しましょう。
たとえば、以前は小さな子どもがいたりペットを飼っていたりして、破損・汚損などのリスクが高かったが、年数が経過してリスクが減っている場合は見直す余地があります。
なお、見直しのタイミングは、火災保険の更新時期や住宅購入時が適しています。見直しタイミングについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
STEP2:必要な補償(建物・家財)と保険金額を検討
地震保険の保険金額は、前述のとおり火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内で設定します。火災保険の保険金額の決め方は、建物と家財の評価額をもとにするため、下記のシミュレーションを使ってご自身にあった評価額を確認しましょう。
住宅ローンの残債や貯蓄状況を踏まえながら、保険料とのバランスをみて決めることが重要です。
なお、建物の耐久性が高くても家財に損害が及ぶ可能性はあるため、家財のみの加入も選択肢の一つです。家族構成の変化で家財の総額が増減した場合も、見直しのよいタイミングといえるでしょう。
地震保険に関するよくある質問
地震保険に関して、読者から寄せられることの多い質問をまとめました。
Q. マンションの場合、地震保険はどのように考えればいいですか?
マンションの場合、一般的に個人で地震保険に加入するのは専有部分(室内)のみです。エントランスなど共用部分は、管理組合が加入する火災保険・地震保険で対応します。
鉄筋コンクリート造のマンション(イ構造)は建物自体の倒壊リスクが低い一方、高層階では長周期地震動の影響で家具の転倒や家財の破損が起こりやすい傾向があります。建物の耐震性が高くても、地震保険に加入していなければ家財の損害は補償されない点に注意しましょう。
Q. 賃貸でも地震保険は必要(加入可能)ですか?
賃貸住宅でも、家財を対象とした地震保険への加入は可能であり、必要性も高いといえます。建物は大家の所有物のため、入居者が建物に地震保険をかけることはできません。
一方、家具・家電・衣類などの家財は入居者本人の所有物です。地震で家財が損壊した場合、ご自身で加入していなければ補償を受けられないため注意しましょう。
賃貸住宅における火災保険の必要性は、以下の記事もあわせてご覧ください。
Q. 実際に被災した場合、保険金はどうやって請求しますか?
被災して損害が発生した場合は、まず加入している保険会社(または代理店)に連絡します。その後、調査員による訪問調査を経て、支払金額が通知される流れです。
大規模な地震では調査に時間がかかることがあり、写真の提出などの自己申告による書面調査で保険金の支払いが確定するケースもあります。安全に十分配慮したうえで、片付け前や修理を行う前に、建物の外観や室内の被害状況(壊れた家財など)をスマートフォン等で多めに写真記録しておきましょう。その後の手続きや調査がスムーズに進みます。
なお、地震発生の翌日から10日を経過した後に生じた損害や、混乱に乗じた紛失・盗難は補償の対象外となりますのでご注意ください。
まとめ:地震への備えは火災保険と地震保険のセットで万全に
火災保険だけでは、地震・噴火・津波による損害はカバーされません。日本は地震大国であり、公的支援だけでは生活再建が難しいケースも多いことを踏まえると、火災保険と地震保険をセットで備えておく重要性は高いといえます。保険金額は火災保険の30%〜50%の範囲で設定でき、割引制度や税制優遇を活用すれば、負担を抑えながら備えることも可能です。
まずは現在の火災保険の契約内容を確認し、地震リスクに見合った補償になっているかを見直すところから始めましょう。
監修コメント
地震保険は、被災前の生活を完全に元へ戻すことを目的とした保険ではなく、被災後の生活再建を経済的に支えるための保険です。保険金は住宅の修繕だけでなく、仮住まいの費用や生活費、家財の買い替えなどにも活用できるため、生活を立て直すための資金として役立ちます。
また、地震保険はどの保険会社で加入しても補償内容や保険料の仕組みは基本的に同じであるため、「どの会社を選ぶか」よりも、「自分に必要な補償額を確保できているか」が重要になります。住宅ローン残高や貯蓄額、家族構成などを踏まえ、万一の際に自己資金でどこまで対応できるかを考えながら検討しましょう。
監修者プロフィール
辻本 剛士(つじもと つよし)
神戸で活動中の独立系ファイナンシャルプランナー。大学を卒業後、医薬品及び医療機器の販売会社に就職し、営業として16年間勤務。在職中に独学で1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者に合格し、2023年1月から独立型FPとして開業。個人向けFP相談と金融に関するWEBライター業務をメインに活動中。また、地域でサッカー指導者としての活動にも携わるほか、中学生向けの金融教育にも取り組んでいる。主な所有資格はCFP認定者、FP1級技能士、宅地建物取引士。
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