火災保険ガイド
火災保険に家財の補償は必要?対象や保険金額の目安は?気になる疑問を解説
最終更新日:2026/7/22
火災保険の加入や見直しを検討する際、「高価な家具はないから家財補償は不要」「少しでも保険料を節約したい」と考える方は少なくありません。しかし、被災時に家族全員分の衣類や日用品、家電をすべて一から買い直す総額コストは想像以上に高く、家財補償を軽視するといざというときの生活再建で行き詰まるリスクがあります。
家財補償は高級な家具や贅沢品だけを対象とするものではなく、自分や家族の生活を丸ごと立て直すための費用として正しく理解することが大切です。本記事では、火災保険における家財の定義や、世帯人数別の適切な保険金額の目安、日常トラブルでの活用事例まで詳しく解説します。
火災保険の『家財補償』とは?建物の補償との違い
火災保険における家財補償とは、建物内にある家具・家電・衣類などの生活用動産(自身で動かせるもの)に生じた損害を補償するものです。ここでは、家財補償の基本的な役割と、持ち家・賃貸それぞれの加入の考え方を解説します。
火災保険の全体像と家財補償の役割
火災保険は、火災だけでなくさまざまな災害・事故による損害を補償します。補償対象は「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財の両方」のいずれかから契約時に選択できます。「じぶんでえらべる火災保険」では、以下のような場合に家財への補償が受けられます。
| 補償項目 | 補償内容 |
|---|---|
| 火災、落雷、破裂・爆発 | 火災、落雷、ガス爆発などにより家財が損害を受けたとき |
| 風災、雹(ひょう)災、雪災 | 台風・暴風・雹(ひょう)・豪雪などにより家財が損害を受けたとき |
| 水災 | 台風・豪雨・洪水・土砂崩れなどにより家財が損害を受けたとき(床上浸水以上) |
| 水濡れ・物体の落下・飛来・騒擾など | 給排水設備の事故や建物外部からの衝突などにより家財が損害を受けたとき |
| 盗難 | 強盗・窃盗(未遂含む)により家財が損害を受けたとき |
なお、上記はえらべる補償の一例です。補償項目は必要なものを組み合わせて選択でき、選んだ補償に応じて保険料が決まります。
また、家財補償の対象となるのは、建物内にある家具・家電・衣類など、日常生活で使っている生活用の動産です。「引越しで運び出せるもの」と考えるとわかりやすいでしょう。
持ち家と賃貸住宅、どちらも家財の補償は必要?
結論、持ち家か賃貸住宅かという居住形態にかかわらず家財の補償は必要です。火災や自然災害で家財を失った場合、家具や家電、衣類などを一から買い直す費用はどちらの住まいであっても共通して発生するからです。損害総額は、場合によって数百万円規模になるリスクがあります。
なお、火災保険の契約形態は建物の所有権の有無によって異なります。火災保険は「所有者」が加入するものであるため、持ち家では建物と家財の双方に加入する一方、賃貸住宅では建物の保険には大家が加入し、入居者はご自身の家財の保険(借家人賠償責任補償を含む)にのみ加入するのが一般的です。
賃貸契約で家財保険が必須とされる理由と「借家人賠償」
多くの賃貸住宅では、火災保険への加入が入居条件となっています。その理由は、一般的に火災保険の契約に含まれる「借家人賠償責任補償(特約)」を必須としているためです。
火災を起こしても、通常は失火責任法という法律によって、失火者は重大な過失がなければ損害賠償責任を負いません。しかし、賃貸住宅の入居者が失火により建物になんらかの損害を与えると、賃貸借契約に基づいて大家さんに対して損害賠償責任を負います。
このリスクを回避するため、入居者に火災保険とセットで「借家人賠償責任保険(特約)」に加入してもらい、万一のときは保険金で賠償金を支払えるようにしておくのです。
家財補償の対象となるもの・ならないもの
家財補償の対象となるかどうかは、「生活用の動産かどうか」が判断の基準となります。補償対象の代表例と補償対象外のものをそれぞれ確認しておきましょう。
「家財」に含まれる身近なものの例(家電、衣類、自転車など)
火災保険の家財とは、一般的に建物の中に収容している家財のうち「ご自身で動かせる生活用品」が該当します。保険会社により異なる場合もありますが、主に以下のような生活用品が家財補償の対象とされています。
家電製品(洗濯機、冷蔵庫、テレビ、パソコンなど)
家具(ダイニングテーブル、ソファ、ベッドなど)
衣類や靴
台所用品(調理器具、食器など)
本や雑誌、楽器など
自転車や原動機付自転車
そのほかの生活用品
高額な貴金属、宝石、美術品、骨董品など(補償額には上限があり、保険会社によって特約のセットや契約時の申告が必要)
現金、預貯金証書(一部の商品で「盗難」のみ補償される。補償額には上限あり)
30万円を超える高額な貴金属や宝石、美術品、骨董品などは、契約時に明記物件として保険会社に申告すると補償対象になるケースが一般的です。補償額には、通常、家財保険の保険金額とは別に上限が設けられています。
SOMPOダイレクトの「じぶんでえらべる火災保険」は、「高額な貴金属、美術品などの補償」を家財保険でセットすると、明記物件として申告しなくても1個1組あたり30万円、1事故あたり100万円を限度に補償します(保険開始日が2013年6月1日以降の契約の場合)。
また、現金や預貯金証書などは、「盗難」の補償をつけている場合に一定額を上限に補償する商品もあります。「じぶんでえらべる火災保険」では、1事故1敷地内につき現金は20万円を上限、預貯金証書は200万円または家財の保険金額のいずれか低い額を上限に、盗難により生じた損害を補償します。
補償対象外となるもの(自動車、貴金属の制限など)の注意点
建物に付属せず、動かせる生活用品であっても、家財として補償されないものがあります。例えば、以下のものが補償対象外となります。
自動車、船舶または航空機およびこれらの付属品
稿本、設計書、図案、ひな型、鋳型、木型、紙型、模型、証書、帳簿その他これらに類するもの
動物および植物などの生物・データ、ソフトウェアまたはプログラムなどの無体物・法令により被保険者の所有または所持が禁止されているもの
自動車は自動車保険の対象であり、車庫の中に入れていても火災保険(家財保険)では補償されません。また、住宅を対象とした火災保険では、業務用の什器や商品も「生活用」の動産ではないため補償対象外です。
さらに、家の中にあれば家財の補償で対象となるものでも、ひったくりや置き引きなど家から持ち出している間に受けた損害は補償対象外となります。補償範囲の詳細は、ご加入の保険の契約内容をあらかじめ確認しておくことが大切です。
家財補償に設定する保険金額の目安はいくら?
家財保険の保険金額は、実際に家財を一から買い直すことを前提に設定することが重要です。保険金額を決める基準の考え方と、具体的な目安を確認していきましょう。
世帯人数や年齢別の平均的な評価額
家財の平均的な評価額は、簡易評価シミュレーションを用いることで世帯人数や年齢層に応じた目安を簡単に把握できます。
本来、保険金額を設定する基準となるのは、損害を受けた家財と同等のものを新たに購入するために必要な「再調達価額」です。しかし、家中の家財を個別に算出するのは現実的ではありません。そこで、各保険会社が提供しているシミュレーションを活用するのが一般的です。
例えば、「じぶんでえらべる火災保険」のシミュレーションによると、世帯主が30歳の親子4人暮らし世帯における平均的な評価額の目安は900万円であり、その構成内訳は以下のとおりです。
| 家財の種類 | 簡易評価額 | 内訳 |
|---|---|---|
| 家具 | 180万円 | ソファ・テーブル、じゅうたん、カーテンなど:80万円 ベッド・寝具類、タンスなど:70万円 照明・暖房器具:30万円 |
| 家電用品 | 200万円 | テレビ、PC、カメラなど:70万円 冷蔵庫、オーブンなど:40万円 キッチン棚、食器類、調理器具:40万円 洗濯機・掃除用具・洗面用具:50万円 |
| 衣類 | 260万円 | 普段着、下着・小物類:90万円 コート、スーツ、制服など:100万円 婦人和服、ドレス、礼服など:70万円 |
| 身の回り品 | 130万円 | 靴・バッグなど:70万円 アクセサリー・腕時計:60万円 |
| 趣味・娯楽 | 90万円 | 書籍、ゲーム機、DVDなど:30万円 アウトドア・スポーツ用品など:30万円 楽器、ステレオなど:30万円 |
| 学用品・玩具 | 40万円 | 文房具・教材、学習机、本棚、玩具など:40万円 |
同じ親子4人暮らし世帯であっても、世帯主の年齢が上がる(ライフステージが進む)ほど所有する家財は増える傾向にあり、同シミュレーションで世帯主を50歳に設定した場合、平均的な評価額の目安は1,760万円へと上昇します。
また、世帯人数によっても家財の評価額は大きく変わります。例えば一人暮らし(単身世帯)の評価額目安は、約540万円です。
ただし、家財の評価額はライフスタイルによって大きく左右されます。上表はあくまでも目安であり、ご自身の生活実態にあわせて保険金額を調整されることが大切です。
【重要】一から買い直すといくらかかる?生活再建コストのリアル
「特別高価なものはない」という世帯でも、家族全員分の衣類・日用品・家具・家電をゼロから買い揃えると、数百万円単位の出費が生じるケースも少なくありません。火災が起きたケースで想定すると、火で燃えて使えなくなる損害にとどまらず、消火活動の水で家電が壊れる、炎や煙で衣類がすべて着られなくなる場合もあります。
さらに、建物が損傷した場合は仮住まいへの引越し費用なども加わるため、家財の買替えコストだけで家計が圧迫される事態は避けたいところです。万一の際に「保険金では生活を立て直せなかった」という事態を防ぐためにも、実際の生活コストに見合った保険金額を設定しておくことが重要といえます。
保険金額の目安を確認するには、「家財の簡易評価額・保険料シミュレーション」をご活用ください。世帯人数や世帯主の年齢を入力するだけで、家財評価額の目安と保険料を確認できます。
火災だけじゃない!家財補償が役に立つ「支払い事例」
家財補償は火災以外のさまざまな損害でも活用できます。「じぶんでえらべる火災保険」の具体的な支払い事例をもとに、どのような場面で補償が役立つかを確認しましょう。
落雷による家電の故障(テレビ、パソコンなど)
落雷による損害は「火災、落雷、破裂・爆発」の補償項目が対象となります。以下の事例のとおり、ゲーム機1台(修理代18,500円)という比較的小さな損害でも補償を受けられます。
| 補償項目・特約 | 損害額 | 支払われた保険金 |
|---|---|---|
| 火災、落雷、破裂・爆発 | 家財:18,500円 (ゲーム機の修理代) |
合計:24,050円
|
- ※1
-
「臨時費用」は、「諸費用補償特約」をお選びいただいた場合にお支払いします。
- ※2
-
保険始期日が2020年6月30日以前のご契約の場合の算出金額です。保険始期日が2020年7月1日以降のご契約は損害保険金×10%(100万円限度)の金額になります。
落雷は家電機器に深刻なダメージを与えることがあります。テレビやパソコンなど高額な家電が複数故障した場合は、さらに大きな損害を被る可能性があります。引越し直後や買い換えたばかりの家電があるご家庭では、特に補償の備えが重要となるでしょう。
土砂崩れ・水災による家財被害
自然災害による水災は、家財に甚大な損害をもたらすことがあります。以下の事例のとおり、土砂崩れで1階の家財がほぼ全滅した際、家財225万円の損害に対して保険金が支払われています。
| 補償項目・特約 | 損害額 | 支払われた保険金 |
|---|---|---|
| 水災補償特約 | 家財:2,250,000円 (冷蔵庫や洗濯機、テレビなどの家電、家具、衣類など) 建物:15,700,000円 |
合計:20,745,000円
|
- ※1
-
「臨時費用」は、「諸費用補償特約」をお選びいただいた場合にお支払いします。
- ※2
-
保険始期日が2020年6月30日以前のご契約の場合の算出金額です。保険始期日が2020年7月1日以降のご契約は損害保険金×10%(100万円限度)の金額になります。
- ※3
-
「残存物取片づけ費用」は、「水災補償」に含まれます。(保険始期日が2013年6月1日以降のご契約の場合)
河川の氾濫や土砂崩れなどの水災リスクは、居住エリアによって大きく異なります。ハザードマップで自宅周辺の水災リスクを確認したうえで、水災補償の必要性を判断されることが大切です。
空き巣による盗難被害
貴金属や現金などが空き巣の被害にあった場合は、盗難補償特約の対象となります。以下の事例のとおり、宝石やアクセサリーなどの盗難では補償が実際に活用されています。
| 補償項目・特約 | 損害額 | 支払われた保険金 |
|---|---|---|
| 盗難補償特約 | 家財:150,000円 (宝石付きのネクタイピン2個、ダイヤの指輪、ペンダントトップ) |
合計:150,000円
|
高額な貴金属やアクセサリー類をお持ちの方は、補償額の上限を確認したうえで必要に応じて「高額な貴金属・美術品などの補償」の追加も検討する価値があります。
家財補償に加入・見直しをするときの注意点
家財補償を検討・見直しする際に、あらかじめ知っておきたい注意点が3つあります。それぞれを確認しておきましょう。
「時価額」と「再調達価額」の違い(※買い直せる金額で設定する重要性)
火災保険の保険金額には、「時価」と「再調達価額」の2つの基準があります。
「時価額」とは、同等のものを新たに購入する金額から、経過年数による価値の消耗分(経年劣化分)を差し引いた現在の価値のことです。例えば、購入から数年が経過したテレビが被災した場合、時価額基準では消耗分が差し引かれた金額しか補償されないため、同等のテレビを新たに購入するのに保険金が不足する可能性があります。
一方「再調達価額」とは、損害を受けた家財と同等のものを新たに買い直すために必要な金額です。経年劣化による減額がなく、設定した保険金額を上限に実際の損害額が全額補償されるため、昨今の火災保険ではこの基準での契約が一般的となっています。
なお、保険金額は家財の評価額に見合った適切な額を設定することが重要です。評価額を超えて高く設定しても、支払われる保険金は実際の損害額が上限となります。逆に、保険料を抑えるために低く設定しすぎると十分な補償を受けられません。古い契約のまま見直していない場合は時価基準になっている可能性もあるため、シミュレーションなどを活用して適切な補償額を設定・確認することをおすすめします。
地震による家財の損害は「地震保険」が必要
地震や噴火、またこれらを原因とする津波で生じた損害は、別途「地震保険(火災保険の一部の費用保険金を除く)」への加入が必要です。地震の揺れによる家具・家電の転倒や破損、津波による流失といったリスクに備えるためには、家財を対象とした地震保険の確保が不可欠となります。
なお、地震保険は単独での加入ができず、必ず火災保険とセットで契約する仕組みになっています。火災保険と同様に、補償対象を「建物」と「家財」から任意に選択、または双方に設定することが可能です。
また、一部の火災保険には、地震を原因とする特定の損害(火災など)に対して、諸費用をサポートするための「費用保険金」が用意されているケースがあります。
例えば、「じぶんでえらべる火災保険」で「諸費用補償特約」を付帯している場合、地震を原因とする火災によって建物が半焼(建物の損害額または焼失面積が再調達価額・延べ床面積の20%以上に達した状態)以上、または家財が全焼となった際に、生活再建の初期費用などに充てられる「地震火災費用保険金(家財の保険金額の5%)」を受け取ることができます。
重複加入(かけすぎ)に注意
複数の火災保険に加入している場合でも、実際の損害額を超えて二重に保険金を受け取ることはできません。そのため、必要以上の保険に加入すると、支払った保険料が無駄になってしまうリスクがあります。
また、火災保険の本体だけでなく、自動車保険やクレジットカードの付帯保険などで契約できる「各種特約」の重複にも注意が必要です。特に他の保険と重複しやすい代表的な特約には、以下のようなものがあります。
個人賠償責任補償特約
弁護士費用特約
携行品損害特約
など
新規加入や契約の見直しを行う際は、火災保険単体で判断するのではなく、現在契約している既存の保険証券や他の損害保険の内容もあわせて確認し、過不足のないプランを設定することが大切です。
まとめ:家財補償は「いざというときの生活」を守るために不可欠
火災保険の家財の補償は、火災や自然災害などの被害から、いち早く日常生活を取り戻すのに役立ちます。建物内にある生活動産の多くが補償対象となり、火災のほか、落雷や水濡れ、盗難などによる損害まで幅広くカバーします。
ただし、高額な貴金属や美術品など申告や特約が必要なもの、あるいは自動車のように補償対象外となるものもあるため、事前に補償範囲を確認しておくことが重要です。また、家財の保険金額は「再調達価額」を基準に、ご自身の生活実態にあわせて過不足なく設定しましょう。
まずは「じぶんでえらべる火災保険」の「家財の簡易評価額・保険料シミュレーション」を活用して目安を把握し、万一の際にも安心できる適切なプランをご検討ください。
監修コメント
家財補償を検討する際に「高価な家具やブランド品がないので家財補償は不要ではないか」という声を耳にすることがあります。しかし実際には、冷蔵庫や洗濯機、テレビ、衣類、寝具など、日常生活に必要なものを一から買い直すと想像以上の費用がかかることもあります。
家財補償は財産を守るためだけでなく、被災後の生活を再建するための備えという側面があります。特に家族が多い世帯ほど必要な家財も増えるため、保険料だけで判断するのではなく、万一の際にどれだけの費用が必要になるかという視点で補償額を確認することが大切です。家財の評価額や補償内容を定期的に見直し、ご自身の生活実態にあった備えを心掛けましょう。
監修者プロフィール
辻本 剛士(つじもと つよし)
神戸で活動中の独立系ファイナンシャルプランナー。大学を卒業後、医薬品及び医療機器の販売会社に就職し、営業として16年間勤務。在職中に独学で1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者に合格し、2023年1月から独立型FPとして開業。個人向けFP相談と金融に関するWEBライター業務をメインに活動中。また、地域でサッカー指導者としての活動にも携わるほか、中学生向けの金融教育にも取り組んでいる。主な所有資格はCFP認定者、FP1級技能士、宅地建物取引士。
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