火災保険ガイド
火災保険の補償額(保険金額)の適切な決め方とは?設定する際に注意すべきポイントを紹介
最終更新日:2022/11/10
人生では、さまざまな「予期せぬ出来事」が起こりますが、保険に加入することで、万が一の事態に備えることができます。例えば、生命保険に加入していれば病気やケガの際に、自動車保険に加入していれば自動車事故の際に、各保険会社が定める条件を満たしていれば給付金もしくは保険金を受け取れます。
なお、火災保険に加入しておけば、火災によって建物や家財に損害が出た際に補償を受けられますが、「補償額(保険金額)をどのくらいに設定すれば良いのだろうか」とお悩みの方がいるかもしれません。
そこで、本記事では火災保険への加入を検討している方に向けて、補償額(保険金額)の決め方について解説し、補償額(保険金額)を設定する際に注意すべきポイントも紹介します。
火災保険とは?
火災保険とは、一戸建て住宅やマンションの「建物」や、建物内にある「家財(動産)」が火災で損害を受けた際に補償を受けられる保険です。
火災保険は、「保険の対象」ごとに加入する仕組みになっています。「建物」だけを保険の対象とした場合、火事で家が燃えてしまった際に受け取ることができる保険金は「建物が受けた被害の分」だけになり、家財(家具)の損害についてはカバーされません。
そのため、建物とは別に家財の被害について補償を受けるためには、「家財」を保険の対象に設定しておく必要があります。
ところで、「火災保険」という名称から、「火災による損害以外は、補償を受けられない」とお考えの方がいるかもしれません。しかし、実際には火災以外で損害を被ったケースについても補償を受けられます。
どのようなケースで補償を受けられるのかは、保険会社やプランによって異なりますが、SOMPOダイレクトの「じぶんでえらべる火災保険」の補償内容は以下の通りです。
【基本補償】火災、落雷、破裂・爆発による損害
地震や噴火(または、これらを原因とする津波)による損害(地震保険に加入した場合)
風災、雹(ひょう)災、雪災といった自然災害による損害
水漏れ、物体の落下・飛来、車両の飛び込み、騒擾(そうじょう)による損害
盗難(窃盗・強盗)による損害
水災(台風・暴風雨が原因で起こる洪水・高潮・土砂崩れ)による損害
火災保険で補償を受けられる範囲・対象
ここからは、火災保険で補償を受けられる範囲・対象について詳しく説明します。
持ち家については、建物(マンションの場合は「専有部分」)と家財の両方を、火災保険の対象に設定することが可能です。
廊下やエレベーターなどのマンションの共用部分は、管理組合が火災保険の契約を行っているケースが多いです。また、火災保険では「居住のみを目的とした建物」を対象とし、「一部を店舗・事務所として使用している住宅」「空き家」については対象外とされる場合があります。
賃貸住宅の「建物」は「家主の所有物」であり、通常は家主が「建物を保険の対象とした火災保険」に加入しています。そのため、賃貸住宅に居住している方が火災保険の対象に設定できるのは「家財」のみです。ちなみに、主に家財の損害を補償する火災保険を「家財保険」と呼ぶ場合があります。
SOMPOダイレクトの「じぶんでえらべる火災保険」において「建物」および「家財」に分類されるモノの例は、以下のとおりです。
- 「建物」に含まれるモノの例
-
建物本体、建物の基礎部分、物置、車庫、門、塀、垣
畳、ふすま、エアコン、浴槽、流し台、ガス台、調理台、TVアンテナ、「建物に取り付けられている(固定されている)モノ」
- 「家財」に含まれるモノの例
-
家具、衣服、「日常生活で用いる動産(建物内に収容されているもの)」
「建物」には、建物本体だけではなく、付属物である「物置」や「車庫」も含まれますが、「土地」や「庭木」、「同じ敷地内にある別の建物」は含まれません。別の建物について補償を受けたい場合は、別途、その建物を「保険の対象」として、火災保険に加入する必要があります。
「家財」には、業務で用いる動産(商品、什器)や、建物の外に持ち出している家財、自動車、有価証券、電子マネー、帳簿、証書、生き物、データ、ソフトウェアは含まれません。
なお、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、宝玉・宝石、書画、骨董品、彫刻物、美術品、証書、帳簿、図案、設計書、稿本は明記物件となり、家財保険に加入する際、申告しないと、万が一の際に限度額を超える部分の補償を受けることができない場合や、まったく補償されない場合がありますので注意しましょう。「じぶんでえらべる火災保険」の場合、「1個1組が30万円を超える貴金属、宝石、美術品」の補償を受けるためには、「高額な貴金属、美術品等の補償」をセットする必要があります(1個1組あたり30万円、1事故あたり100万円が限度)。
また、「現金、預貯金証書、印紙、切手、乗車券」に関しては、「盗難」の補償をセットすれば、盗難被害にあった際に一定額の範囲で補償を受けられます。
火災保険の保険料はどうやって決まる?
火災保険の保険料は、主に以下の要素に基づいて決まります。
保険金額
建物構造
所在地
築年数
補償内容
各要素について詳しく説明します。
保険金額
上述したように、火災保険では「保険の対象」(「建物」および「家財」)ごとに加入する仕組みになっており、対象ごとに保険金額が設定されますが、保険金額が大きくなるほど、保険料が上がります。
建物の保険金額は、経過年数による価値の減少分を差し引いた「時価」ではなく、「同じものを建て直す、または、再購入できる価格(再調達価額=新価)」と同じ金額に設定する(約定付保割合を100%にする)のが一般的です。約定付保割合とは、対象物件の評価額(被保険利益を金銭に評価した額=保険価額)のうち、火災保険で補償する割合のことです。
家財の保険金額に関しては、再調達価額(新品で同等の家財を入手するのに必要な価格)の範囲内で、契約者の希望に基づいて自由に設定されるケースが多いです。「保険金額の決め方」(および「約定付保割合」)については、この後で詳述します。
建物構造
構造によって火災で損害を受けるリスクが異なるため、鉄筋コンクリート造や木造の建物の構造区分も、保険料を左右する要素の1つとなります。
住宅物件(専用住宅)の「建物の構造」と、火災保険の「保険料」の関係は以下の表のとおりです。
構造級別 | 建物の種類 | 保険料 |
---|---|---|
M構造 | コンクリート造のマンション | 安い |
T構造 | 鉄骨造の一戸建て | ↑ ↓ |
H構造 | M構造やT構造に該当しない木造の一戸建て | 高い |
所在地
所在地によって自然災害の発生リスクは異なります。火災保険がカバーする災害の発生率が高いエリアでは保険料が高く、発生率が低いエリアでは保険料が安い傾向があります。
築年数
古い建物は新しい建物よりも災害による損害を受けやすいため、築年数も保険料に影響を及ぼします。
補償内容
保険会社によっては、基本補償以外の補償を自由に選んで組み合わせることが可能な仕組みを採用しているケースがありますが、補償内容を充実させると保険料が上がります。
補償・特約が多ければ多いほど良いわけではなく、1つずつご自身に必要かどうか判断しないとご自身にとって不要なものまでセットしてしまう可能性があります。補償内容の重複についてもチェックし、ご自身にとって必要な補償が何なのかを見極めたうえで契約しましょう。
火災保険の補償額(保険金額)の決め方
以下、火災保険の「建物」と「家財」について、補償額(保険金額)の決め方を紹介します。
「建物」の補償額(保険金額)の決め方
「建物」の補償額(保険金額)は、「再調達価額(新価)」と同じ金額になるように、つまり約定付保割合が100%になるように設定しましょう。再調達価額(新価)とは、「同等のものを建て直すのに必要な金額」または「同等の建物を購入できるだけの金額」のことです。
例えば、「20年前に3,000万円で新築した家が全焼したケース」について考えましょう。同等の家を建てる場合、物価が上昇しているため、「3,500万円」を用意しなければならないとします。この3,500万円が、再調達価額(新価)です。
なお、再調達価額(新価)から、経過年数による価値の減少分や使用による消耗分を差し引いた金額が「時価」となります。上記の条件で保険金の受取額を時価(例えば「1,500万円」)で設定してしまうと、同等の家を建て直すためには、2,000万円を自己負担しなければなりません。
火災で損害を受けて建て直す際の自己負担額をゼロにするために、建物の補償額(保険金額)は時価ではなく、再調達価額(新価)と同額にしましょう。仮に保険金額を、再調達価額を超える金額に設定しても、支払われる金額は再調達価額が限度になるため注意が必要です。
ちなみに、再調達価額の主な算出方法には、1平方メートルあたりの標準的な建築費単価に基づいて算出する「新築費単価法」と、新築時の建築費に基づいて算出する「年次別指数法」の2種類が存在します。
建築費を元に算出する方が正確なので、一戸建ての場合は「年次別指数法」を選択すると良いでしょう。マンションの場合は、専有部分のみが保険の対象となるため、面積に基づく「新築費単価法」によって算出することが多いです。
「家財」の補償額(保険金額)の決め方
「家財」の補償額(保険金額)に関しては、「損害が100%補償される金額」=「完全に元の状態に復旧できる金額(約定付保割合が100%)」に設定する必要はありません。
再調達価額の範囲内で設定する保険金額は個々人の考え方によりますが、「最低限必要な家財を購入できるだけの補償額(保険金額)にして、保険料を抑える」という選択肢もあります。
火災保険の補償額(保険金額)を決める際に注意すべきポイント
先述したように、基本的に「建物」に関しては、補償額(保険金額)を「再調達価額(新価)」=「新築で、もう一度建て直すのに必要な金額」と同じ金額に設定しましょう。ただし、「家財」に関しては、「リスク」や「年齢」といった要素に基づいて補償額(保険金額)を決めることをおすすめします。以下で、詳しく説明します。
リスクに応じて補償内容を見直す
例えば、台風による被害が多い地域に居住している場合は、建物や家財に損害が生じる可能性が高いことが予想されます。各自治体で提供しているハザードマップを参考に、「水災」補償のセットを検討しましょう。
人通りの少ない閑静な住宅街に居住している場合は盗難のリスクを考慮して「家財」にも盗難の補償をつける、発生するリスクの高さに応じて補償内容を選びましょう。
年齢に見合う補償額(保険金額)に設定する
一般的に年齢が高くなるほど保有する家財が多くなり高価なものも増えるため、補償額(保険金額)を大きくする方が良いでしょう。
なお、SOMPOダイレクトの「じぶんでえらべる火災保険」では、さまざまな年齢や家族構成の家財の保険金額の目安がわかる「家財の簡易評価額・保険料シミュレーション」を用意しているので参考にしてください。
火災保険の補償額(保険金額)は定期的に見直す必要がある?
建物に対する補償額(保険金額)については、増改築、一部取り壊しで評価額が変わらない限り、補償額(保険金額)を再調達価額(新価)と同額に設定していれば見直しの必要はありません。
一方で、家財に関しては、必要に応じて見直しを行うことで保険料を抑えられる場合もあります。例えば、子どもが生まれる、子どもが独立して家を出ていくなどのライフステージの移り変わりに伴い、家具や家電製品を新たに購入する場合、あるいは、不要になったモノを処分する場合があるかもしれません。家族構成が変化した際には、家財に対する補償額(保険金額)を見直すほうが良いでしょう。
まとめ
火災保険の補償額(保険金額)の決め方は、建物と家財で異なります。建物については「再調達価額=補償額(保険金額)」(約定付保割合が100%)となるように設定しましょう。
家財については、補償額(保険金額)を大きくするほど安心感を得られますが、保険料も高くなります。家電製品に関しては、高性能な製品を現在よりも割安な価格で入手できる時代が到来するかもしれません。「リスク」や「年齢」といった要素や、「保険料の負担と補償額(保険金額)の大きさのバランス」を考慮して補償額を決めると良いでしょう。
また、子どもが結婚して独立する、家族構成が変化し、ライフステージが新たな段階に移行した際には、家財の量に変化が生じるため、家財に対する補償額(保険金額)の見直しを行うことをおすすめします。
監修者プロフィール
新井 智美
コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)をおこなうと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆及び監修をこなしており、これまでの執筆及び監修実績は2,000本を超える。 資格情報:CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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