クルマ

エンジンがオーバーヒートする原因とは?知っておきたい症状や対処法

更新

2025/07/28

公開

2019/12/11

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車は手軽な移動手段である反面、繊細で複雑な機械でもあり、さまざまなトラブルはつきものです。その中の1つが「オーバーヒート」です。オーバーヒートとは、エンジンが異常に高温になること。特に気温の高い夏に起こりやすくなります。

一時的な走行不能に陥るケースから大掛かりな修理が必要になる場合まで、ひとくちにオーバーヒートといっても原因や症状、対処法はさまざまです。今回は、そのオーバーヒートについて詳しく解説します。

目次

    1. エンジンのオーバーヒートとは?

    「オーバーヒート (overheat)」とは、直訳すると「熱し過ぎること」や「過熱」を意味しますが、車においては一般的にエンジンが異常加熱し、動作に問題が生じている状態を指す言葉として使われます。

    自動車の排出ガス規制に伴い、現在の車は、ほぼすべてが「水冷エンジン」となりました。「空冷エンジン」が搭載された車に比べて、「水冷エンジン」は冷却効率が高いなどの理由から、オーバーヒートが起こりにくくなったと言われています。とはいえ、メンテナンスが不十分であったりエンジンを酷使し続けたりすれば、オーバーヒートに見舞われる可能性は十分にあります。

    オーバーヒートが発生すると、エンジンの動作に異常をきたすだけでなく、最悪の場合エンジンが壊れて載せ替えが必要になるなどのリスクもあります。

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    2. オーバーヒートの原因

    オーバーヒートは自然発生的に起きるわけではありません。何らかの原因があって初めてその症状が現れます。以下では、オーバーヒートの原因となりうる要素をピックアップします。

    冷却水の不足や漏れ

    車を走らせるとエンジン内部の部品が高速で動作し、エンジンが熱せられます。しかし「冷却水(LLC)」が常に冷却を行っているため、通常であればエンジンは適温に保たれています。この冷却水の不足や漏れなどがあると、エンジンの冷却力が落ちてオーバーヒートの原因に繋がることがあります。

    冷却システムの異常

    「ラジエーター」「冷却用ファン」「ウォーターポンプ」「サーモスタット」といった冷却システムの各部に劣化や故障がある場合も、正しく冷却が行われずオーバーヒートの原因に繋がることがあります。

    ラジエーター

    ラジエーターとは、エンジンを冷やすための部品で、中に冷却水が入っています。車を走行している時に受ける風を利用して、冷却水を冷やし、その冷やされた冷却水をエンジンに送ることで、エンジンの熱を下げています。このラジエーターが故障すると、エンジンを冷やせなくなるため、オーバーヒートを引き起こします。

    冷却用ファン

    冷却用ファンは、ラジエーターを冷やすファンのこと。冷却水が一定の温度を超えると作動し、ラジエーターに風を送ります。冷却用ファンが故障すると、エンジンを冷やせなくなってしまいます。

    ウォーターポンプ

    ウォーターポンプとは、冷却水をラジエーター内部とエンジンに循環させるポンプのこと。ウォーターポンプが劣化したり、摩耗すると、冷却水漏れに繋がることがあります。

    サーモスタット

    サーモスタットとは、冷却水の温度を調整する部品のこと。冷却水の温度を検知し、その温度によって冷却水を流したり止めたりすることで、エンジンのオーバーヒートを防ぎます。サーモスタットが故障すると、冷却水の温度が適正に保てなくなり、オーバーヒートに繋がります。

    エンジンオイルの不足、オイル潤滑システムの異常

    エンジンオイルにもエンジンを冷却する力があるので、オイルが不足している、劣化や漏れなどがあると冷却力の低下につながります。ですので、オイルに問題があると各部の金属部品が滑らかに動作しなくなり、その摩擦熱によりオーバーヒートが引き起こされる場合もあります。

    また、「オイルポンプ」「オイルホース」など、オイル潤滑システムの各部に劣化や故障がある場合も正しくオイルが潤滑せず、オーバーヒートの原因に繋がることがあります。

    車の走らせ方もオーバーヒートに関与する

    次のような走らせ方をするとオーバーヒートが起こる可能性があります。

    • 下り坂などで低速ギアのまま走り続ける
    • ラジエーターの前をふさいで走る
    • サーキットのようなところでエンジン高回転を維持して走る など

    3. オーバーヒートの前兆は?初期・中期・末期症状を解説

    オーバーヒートが起こると、目でわかる症状がいくつか出てきます。以下のような症状が見られた場合はオーバーヒートの疑いがあります。車へのダメージを最小限に抑えるためにも、初期の段階で早めに気づくことが重要です。

    初期症状

    • 水温計が「H」付近にある
    • アクセルの反応が悪い
    • アクセルを踏んだ時に、異音がする
    • エンジン回転数が不安定
    • ボンネットから甘い匂いがする(冷却水が漏れ蒸発した臭い)

    オーバーヒートの最もわかりやすい前兆は、メーターパネル内に設置されている水温計が「H」付近を示すこと。水温計には「C(cool)」と「H(hot)」の表記があり、CとHのちょうど真ん中付近に針があれば、冷却水が適正な温度であることを表しています。しかし、オーバーヒートが起こると針がHに近付いていきます。

    なお、車種によっては数値で示されるタイプの水温計もあります。メーカーや車種にもよりますが水温計を確認し、115℃以上を示している場合は、オーバーヒートの疑いがあります。また、水温計自体が付いていない車種の場合は、メーターパネル内の「水温警告灯」が点灯しているかどうかで判断します。

    出典
    一般社団法人 日本自動車連盟 (JAF) 冷却用電動ファンが回らないとどうなる?

    そのほか、いつもよりスピードが出にくい、エンジンの回転が安定しないなど、走行中に違和感を覚えることがあります。

    中期症状

    • 水温計が「H」を超える
    • アイドリングができなくなる
    • ボンネットから水蒸気が出始める

    症状が進むと、水温計が「H」を超え、運転操作にも明らかな異変がみられます。このような症状が現れたら、速やかに走行をストップし、適切な対処をとりましょう。

    末期症状

    • ボンネットからオイルが焦げた匂いがする
    • ボンネットから煙が出始める
    • エンジンから「カンカン」「キンキン」「カタカタ」といった打音のような大きな音が聞こえる
    • エンジンが止まる、掛からなくなる

    末期になると、ボンネットから焦げた匂いがしたり、煙が出始めたり、エンジンが掛からなくなったりします。エンジンは大きなダメージを受けている可能性が高く、最悪の場合、エンジンの載せ替えが必要になります。

    4. オーバーヒートが発生した直後の現場での対処方法

    実際にオーバーヒートが起きてしまったらどうすればよいのでしょう。ここでは、オーバーヒートが発生した際の対処法について解説します。

    1. 安全な場所に一次避難
    2. ボンネットを開け、エンジンルームを冷やす
    3. ロードサービスを呼ぶため、JAFや保険会社へ連絡

    オーバーヒート状態で走行を続けるのは極めて危険です。症状がより悪化するだけでなく、急にエンジンがストップして事故につながる危険性もあります。

    まずは、路肩・道路脇・付近の駐車場など、一時停車して問題ない安全な場所で車を停めましょう。この時、まだエンジンを止めないようにしてください。急にエンジンを止めると、冷却水やエンジンオイルが循環せず、温度の上昇や油膜切れを起こし、エンジンが焼き付いてしまう恐れがあるからです。

    次に、ボンネットを開けて、エンジンルームの風通りを良くし、エンジンを冷やします。ただし、冷却水が漏れていたり、冷却用ファンが回っていない場合は、この方法をとると症状が悪化することがあるので、エンジンを止め、自然に温度が下がるのを待ちましょう。
    なお、エンジンは非常に高温になっているので、ボンネットを開ける時などは十分に注意して行うようにしてください。

    その後は、ロードサービスを呼ぶためにJAFや保険会社へ連絡し、救援を要請しましょう。

    一度オーバーヒートを起こした車は再度同じ症状を起こす可能性が高いので、安易に走行するのはおすすめしません。

    出典
    一般社団法人 日本自動車連盟 (JAF) オーバーヒートの対処法
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    5. オーバーヒートが発生した事後の対処方法

    オーバーヒートの応急対応をしたあとは、車を修理に出し、安全な状態で走行できるようにしましょう。具体的な対処法を紹介します。

    後遺症があるか確認し車を修理に出す

    一度オーバーヒートしてしまうと、さまざまな箇所の修理が必要となることがあります。オーバーヒートの際に想定される修理内容の例は次のとおりです。専門機関でオーバーヒートの原因、壊れている部品を調べてもらいましょう。

    • 冷却水の交換や補充
    • エンジンオイルの交換
    • サーモスタット(温度調節器)の交換
    • ラジエーター(冷却機器)の修理・交換
    • ウォーターポンプ(冷却水の循環装置)の修理・交換
    • 冷却ファンの修理・交換
    • エンジンの修理・載せ替え

    軽度のオーバーヒートであれば、冷却水の交換・補充やエンジンオイルの交換程度で済む場合もあります。
    もしエンジン全体にダメージがあれば、最悪の場合エンジンの載せ替えが必要になります。

    6. オーバーヒートを防ぐには

    オーバーヒートを予防するには、普段の点検やメンテナンスを怠らないようにすることが大切です。定期的に点検を受けるほか、日常的に車に異常がないか確認しておきましょう。

    まず確認すべきなのは、水温計です。水温が少し高くなった時点で対処できれば、エンジンへのダメージを軽く抑えられます。

    また、冷却水の水量チェックをして漏れがないか、エンジンオイルの量が減っていたり異物が入って汚れていたりしないかも確認しましょう。

    なお、オーバーヒートが起こりやすいのは、気温の高い夏場と言われています。冷却水の温度が上がりやすいので、渋滞でアイドリングを続けるとエンジンに負担がかかるためです。夏場は普段以上に水温計のチェックを行い、長時間の渋滞に巻き込まれたらサービスエリアでエンジンを一時停止して、休ませるようにしましょう。

    7. 監修コメント

    20年ほど前までは、真夏に高速道路で渋滞にはまると、オーバーヒートで停止している車をしばしば見かけました。某イタリア車でよく起こるともいわれており、実際に私の知人も、世界的に有名なスーパーカーを運転していて炎上したことがあるそうです。
    そういった特殊な車に起こるイメージのあるオーバーヒートですが、実はどんな車も無縁ではないトラブルです。遠出する際は特に、冷却水やエンジンオイルの状態をチェックすることを心がけましょう。そしてもし起こってしまった場合は、二次的被害を防ぐためにも、本記事にある対処法などを参考にして、落ち着いて対処しましょう。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター®︎。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。20年以上にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。許認可申請、入管申請取次、遺言書作成サポートなど法務のほか、記事監修や執筆業も多数手掛ける。自動車業務に熟達した行政書士だけが登録を認められる、ナンバープレートの出張封印が可能な「丁種会員」でもある。

    HP https://inokuchi.pro/

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