冷却水の温度変化を示す「水温警告灯」は、車の故障やオーバーヒートのリスクを教えてくれる重要な計器ですが、実際には異常がなくても点灯することがあるため注意が必要です。当記事では、そんな水温警告灯の色に応じた点灯の意味や原因、詳しい対処法を解説します。
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1. 水温警告灯とは?
水温警告灯とは、車のエンジンを適切な温度に保つための冷却水(クーラント液)の水温が下がっている、または上がっていることを知らせるランプです。多くの場合メーターパネルに搭載されており、波線と温度計を組み合わせたマークをしています。
走行中のエンジンの冷却水は一般に70~90℃が適正温度とされており、極端に水温が高い場合にはエンジンが十分に冷やされず、オーバーヒートして故障してしまう恐れがあります。また、エンジンがかかっているにも関わらず、水温が低い状態が続く場合も何らかの不具合が疑われます。
ただし、水温警告灯はあくまで水温の変化のみを検知する設備のため、故障以外の要因でも点灯することがあります。そのため点灯時に落ち着いて適切な対応が取れるよう、ドライバーは水温警告灯が点灯する原因や対処法を正しく理解しておくことが大切です。
2. 水温警告灯の点灯の種類・意味
冷却水の状態に応じて、水温警告灯は青色(または緑色)と赤色の二色で点灯します。それぞれの点灯色の意味は以下のとおりです。
青色(緑色)での点灯
青色(緑色)での点灯は、冷却水の水温が適正温度よりも低いことを示しています。この色で点灯するケースの大半は、エンジンをかけたばかりで冷却水がまだ温まっていないことが原因であり、その場合は一定時間経てば消灯するため特に気にする必要はありません。
ただし、一度消灯したにも関わらず走行中に再び点灯する、またはエンジンをかけてから時間が経っても消灯しないといった場合には何らかの部品が故障している可能性があります。
赤色での点灯
赤色での点灯は、冷却水の水温が適正温度よりも高いことを示しています。普段車を使用する中で、水温警告灯が赤色に点灯することはまずありません。
そのため、たとえ一時的であっても赤色の点灯が見られた場合には、その車はオーバーヒートのリスクが高い危険な状態にあると考えられます。
3. 水温警告灯が青色(緑色)で点灯する場合の要因・対処法
先述のとおり、青色(緑色)での点灯はエンジンをかけた直後の一時的なものであれば問題はありませんが、以下のようなケースでは適切な対処が必要です。
繰り返し点滅する場合
車には冷却水を一定の温度に保つ「サーモスタット」という部品が搭載されているため、一度温まった冷却水が走行中に再び適正温度より下がることは基本的にありません。
水温低下を示す色で走行中に何度も点滅する場合は、サーモスタットをはじめとした冷却系統に何らかの異常が発生していると考えられます。こうした冷却水の温度が上がらない状態は「オーバークール」と呼ばれ、車の暖房が効きにくいといった不具合を伴うことが多いです。
冷却系統の修理には専門知識が必要であり、自力での整備は困難です。故障が疑われる場合には、整備工場やディーラーで点検および部品の交換を行なうことをおすすめします。
点灯したまま消えない場合
青色(緑色)の警告灯が付いたまま消えない原因としては、サーモスタットの弁の動作不良が多い傾向にあります。弁が開いたまま閉じなくなることで、冷却水を冷やす「ラジエーター」という装置に際限なく冷却水が送られてしまっているのです。
ほかには、実際の冷却水の温度に問題はないものの、センサーや計器そのものが故障しており、水温を正しく検知できていないケースもまれにあります。いずれの場合でもドライバー自身で判断することはせず、専門スタッフによる診断・修理を受けることが望ましいでしょう。
4.水温警告灯が赤色で点灯する場合の要因・対処法
赤色での点灯が見られる場合には、オーバーヒートの恐れがあるため早急な対処が必要となります。
繰り返し点滅する場合
車種によっては、冷却水の水温が適正温度を超える寸前に水温警告灯が赤色で点滅する場合があります。点滅が繰り返される状態のまま走行を続けると、危険域まで水温が上昇するリスクが高まります。まずは気付いた段階で車を安全な場所に停めて、冷却水の温度を下げるための対応をとる必要があります。
冷却水の温度を下げるには、エンジンを止めてしばらく待つか、カーエアコン(A/C)を停止した上で暖房を最大にするといった方法が有効です。暖房を最大にしてから2~5分程度経っても水温警告灯が消えない場合はエンジンを停止しましょう。
また、停車中にエンジンルームの熱を逃がす方法としては、ボンネットを開けておくことも効果的です。ただし、停車直後はエンジンが高温になっており危険なため、ボンネットは必ずエンジンを止めてある程度待ってから開けることが大切です。
点灯したまま消えない場合
水温警告灯が赤色に点灯している状態で走行を続けると、エンジンがオーバーヒートして走れなくなるだけでなく、深刻な故障や事故に発展する恐れがあります。まずは直ちに安全な場所で停車したのち、点滅時と同様に冷却水の温度を下げる方法を試してみましょう。
もし一定時間エンジンの熱を逃がしても水温警告灯が消灯しないようであれば、その車の冷却機能はすでに故障しており、それ以上走行を続けるのは危険です。その場で運転を中断し、修理工場への搬入はレッカー業者などに依頼することをおすすめします。
冷却水の温度が下がらない原因は「冷却水の液漏れ」が多くを占めているものの、それ以外では冷却水を送るポンプやクーリングファンなどの故障の可能性も考えられます。また、夏場は冷却水の温度が上昇しやすく、オーバーヒートのリスクもより高まるため注意が必要です。
5.監修コメント
近年はメーター周りをすっきりさせるために、水温計を装備せず、警告灯のみで水温の異常を知らせる車種も増えています。それだけでは不安を感じるという方は、数値で水温を確認できる追加メーターの取付を検討するとよいでしょう。
また、チューニングが施された車両はノーマル車に比べてエンジンへの負荷が高まりやすいため、より慎重な水温管理が求められます。特に吸排気系やエンジン関連がチューニングされた中古車を購入する場合は、追加メーターで水温を正確に常時確認できる環境を整えておくと安心です。
