運転免許証は、3年もしくは5年ごとに更新をしなければいけません。免許更新の手続きでは、法定講習や適性検査、写真撮影などいくつかの手続きがありますが、講習区分によって所用時間が異なります。当記事では、免許更新時の法定講習時間や受付時間、手続き全体にかかる所要時間についても解説します。
- 目次
-
1. 免許更新の法定講習の時間
免許更新にかかる時間は、受ける法定講習によって変わります。法定講習の種類は、「優良運転者講習」「一般運転者講習」「初回更新者講習」「違反運転者講習」の4つです。優良運転者であれば講習時間は30分ですが、初回更新者・違反運転者講習は2時間ほど要します。自身がどの講習の対象かは、免許更新期間前に届く「運転免許証更新のお知らせ」ハガキに記載があるので、それを確認しておきましょう。
区分による講習時間や手数料は以下の通りです。
講習区分 | 対象者 | 講習時間 | 手数料 |
---|---|---|---|
優良運転者講習 | 運転免許の所有期間が5年以上。かつ過去5年間無事故・無違反。 | 30分 | 3,000円(講習手数料500円+更新手数料2,500円) |
一般運転者講習 |
運転免許の所有期間が5年以上。かつ過去5年間で違反点数3点以下の軽微な違反が1回のみ。 |
1時間 | 3,300円(講習手数料800円+更新手数料2,500円) |
初回更新者講習 | 運転免許の所有期間が5年未満。かつ無事故・無違反、もしくは違反点数3点以下の軽微な違反が1回のみ。 | 2時間 | 3,850円(講習手数料1,350円+更新手数料2,500円) |
違反運転者講習 | 過去5年間で違反点数3点以下の軽微な違反が2回以上、もしくは違反点数4点以上の違反をしたことがある人。 | 2時間 | 3,850円(講習手数料1,350円+更新手数料2,500円) |
「優良」「一般」は一部地域ではオンライン受講も可能
現在、北海道・京都府・千葉県・山口県においては、「優良運転者講習」「一般運転者講習」対象者のみオンラインで講習を受けることができます。今は4道府県で試験的に運用されていますが、免許証とマイナンバーカードの一体化がされると、全国でオンライン受講ができるようになる可能性もあります。
これまで、法定講習は運転免許センターや警察署などに行かなければ受講できませんでしたが、オンライン講習が導入されたことで、好きな時間・好きな場所で受講をできるようになりました。
また、「一般運転者講習」においては、対面講習の所要時間が1時間なのに対し、オンライン講習の動画時間は40分なので、受講にかかる時間を短縮できるのもメリットの一つです。
オンライン講習を受ける際には、専用サイトにアクセスし、マイナンバーカードをスマホなどで読み取り、署名用電子証明書の暗証番号を入力します。続いて運転免許証番号を入力し、ログインしたら、講習動画を視聴できます。なお、講習動画を視聴しただけでは免許更新はできません。視聴後は運転免許センターや警察署に出向き、更新手続きを行う必要があります。
2.免許更新手続き全体にかかる所要時間
免許更新には、法定講習だけではなく書類の記入や適性検査、写真撮影などもあります。免許更新手続き全体にかかる所要時間を紹介します。
免許更新の流れ
- 受付
- 申請書記入
- 暗証番号設定
- 適性検査
- 更新審査
- 写真撮影
- 法定講習
- 免許証交付
免許更新は、上記の流れで手続きが行われます。前項で紹介した法定講習を除くと、手続きにかかる時間は一般的に30分から1時間程度です。これに、法定講習(優良運転者講習...30分、一般運転者講習...1時間、違反運転者講習・初回運転者講習...2時間)を加えると、免許更新手続き全体にかかる所要時間は1時間から3時間です。
受付時間
免許更新手続きの受付時間は、運転免許センターや警察署など手続きをする場所や講習区分などによって異なります。「運転免許証更新のお知らせ」ハガキに記載されている受付場所と日時をあらかじめ確認しておきましょう。また、受付時間内であればいつ行っても手続きできますが、書類の記入があったり、混雑したりしている可能性もあるので、時間には余裕を持って行くことをおすすめします。
新しい免許証が交付されるまでの時間
講習区分や手続きをする場所によって、新たな免許証が当日に交付されるのか、後日に交付されるのかが異なります。警察署で手続きを行う場合は、後日交付になることもあります。当日に新たな免許証を受け取りたいという方は、事前に警察署のホームページなどで、即日交付可能な場所を調べておくといいでしょう。
3.免許更新手続きの完全予約制で待ち時間の短縮が期待できる
2024年2月1日より、東京都を皮切りに免許更新手続きの完全予約制がスタートしています。これまでの免許更新手続きでは、混雑により長時間待たなければならなかったり、受付自体を断られたりするケースもありました。
事前予約制が導入されることで、来場者の混雑解消や待ち時間が短縮され、免許更新手続き全体にかかる時間が短くなることが期待できます。現在は東京都のほか、愛知県や大阪府でも導入が開始されていますが、今後は全国的に導入される見込みとなっています。
予約方法は、オンライン予約か自動音声予約ダイヤルの2通りです。予約の際には、「運転免許証更新のお知らせ」ハガキに記載されている予約用IDが必要なので、紛失しないように注意しましょう。なお、東京都の場合、次にあてはまる方は予約する必要はありません。
- 70歳以上の方(高齢者講習等該当者)
- 海外旅行、出産等の理由による更新期間前の更新手続きをされる方
- 住所地以外の都道府県公安委員会を経由した更新手続きをされる方
- 警視庁が発行した更新通知ハガキがない方
- 島部警察署で更新をされる方
4.満70歳以上は高齢者講習の受講が必須。高齢者講習の所要時間について
満70歳以上の方は、免許更新手続きを行う前に、「高齢者講習」を受講する必要があります。高齢者講習では、座学や運転適性検査、運転講習などが行われます。高齢者講習の対象者や所要時間などは以下の通りです。
対象 | 運転免許の有効期間満了日時点で、満70歳以上の方 |
---|---|
受講期間 | 更新期間満了日(誕生日の1ヶ月後の日)の6ヶ月前から更新期間満了日まで |
所要時間 | 2時間 |
手数料 | 6,450円 |
※普通自動車免許証の場合
高齢者講習は予約制です。運転免許更新期間満了日の約190日前になると「高齢者講習通知書」ハガキが届くので、ハガキに記載されている指定の会場に電話もしくはインターネットで予約を取りましょう。高齢者講習を終了すると、「高齢者講習終了証明書」が交付されます。後日、免許更新手続きをする際は、これらの終了証明書を持参しましょう。
なお、高齢者講習と同等の効果がある「運転免許取得者等教育」、もしくは、免許証に記載されている住所地以外でも受講できる「特定任意高齢者講習」という講習を受けた場合でも、免許更新が可能です。その場合は、受講後に交付される「運転免許取得者等教育(高齢者講習同等)終了証明書」か「特定任意高齢者講習終了証明書」を持参します。
5.満75歳以上は認知機能検査の受検も必須。認知機能検査の所要時間について
満75歳以上の方は高齢者講習受講の前に、判断力や記憶力を検査する「認知機能検査」の受検もしなければなりません。認知機能検査では、16種類の絵を記憶し、どのような絵が描かれていたかを回答する「手がかり再生」と、検査時の年月日・曜日・時間を回答する「時間の見当識」の2つの簡易的な検査を行います。認知機能検査の対象者や所要時間などは以下の通りです。
対象 | 運転免許の有効期間満了時点で満75歳以上の方 |
---|---|
受検期間 | 更新期間満了日(誕生日の1ヶ月後の日)の6ヶ月前から更新期間満了日まで |
所要時間 | 30分 |
手数料 | 1,050円 |
認知機能検査も予約制です。運転免許更新期間満了日の約190日前に「認知機能検査・高齢者講習通知書」ハガキが届きますので、ハガキに書かれている会場に電話かインターネットで予約をします。検査を受検し、「認知症のおそれなし」と判定されれば、「認知機能検査結果通知書」が交付されます。一方、「認知症のおそれあり」と判定された場合は、臨時適性検査の受検、もしくは診断書の提出をしなければなりません。そこで「認知症である」と診断された場合、免許停止もしくは取り消しになります。
また、一定の交通違反歴がある75歳以上の方は、認知機能検査後に「運転技能検査」の受検も必要になります。運転技能検査では、一時停止や右左折など検査員の指示に従って、10分以上・1200m以上の走行をします。所要時間は1時間ほどで、手数用は3,550円です。不合格となっても更新期間満了日までは繰り返し受検できますが、検査に合格しなければ免許更新はできません。
6.監修コメント
コロナ禍の感染拡大防止策をきっかけに、さまざまなところで密集状態を防ぐ予約制が導入さされています。運転免許の更新手続きも例外ではありません。先日、江東運転免許試験場で写真を持参する更新手続きをしてきましたが、以前よりも人が少ない印象を受けました。
持参写真による運転免許の更新は、通常よりも1時間ほど余計にかかります。通常は講習を受けた後にすぐ新しい免許証を受け取れますが、写真を持参する場合は1時間近く待つ必要があることを心得ておきましょう。