運転免許証に設定できる「暗証番号」は、実際に使う機会こそ少ないものの、個人情報を守るうえで重要な役割を果たします。当記事では、そんな免許証の暗証番号の用途や設定・変更の方法、番号を忘れてしまった際の対処法を解説します。
- 目次
-
1. 運転免許証の暗証番号とは
2007年(平成19年)1月より運用されている「ICカード運転免許証」には、偽造防止や個人情報保護のため券面に本籍の記載がなく、本籍を含む個人情報が内蔵のICチップに記録されています。そのICチップに設定できるのが、それぞれ4ケタからなる2組の暗証番号です。
設定された暗証番号は、ICチップに記録された情報を読み取る際に使用します。なかでも、1組目の番号は氏名や生年月日といった券面にも記載されている個人情報の閲覧に、2組目の番号は顔写真と本籍の閲覧に必要となります。
暗証番号を設定する重要性
運転免許証の暗証番号の設定は、実は義務ではなく、設定せずとも免許証を保有することは可能です。ICチップの情報の閲覧も、暗証番号を設定していない場合でも問題なく行うことができます。
とはいえ、運転免許証のICチップは非接触型であり、暗証番号を設定しなければ所有者本人でなくともデータの閲覧ができてしまいます。個人情報の流出を防ぐためにも、暗証番号はなるべく設定することが望ましいでしょう。
2. 運転免許証の暗証番号を使用する場面
運転免許証の暗証番号は、日常生活の中で使用する機会はそれほど多くありませんが、以下のような場面では入力が必要となる場合があります。
- ICチップの記録内容の確認
- 運転免許証を使用した本人確認(金融機関など)
そのほか、まれなケースではありますが、米軍基地に立ち入る際も暗証番号の入力が求められます。
また、現行の免許証では本籍以外の個人情報は券面にも記載されていますが、2025年3月24日から運用が開始した、マイナンバーカードと運転免許証が一体化した「マイナ免許証」には券面に個人情報の記載がありません。
そのため、マイナ免許証に記録された個人情報の閲覧には、今後リリースされる予定のアプリが使用される予定です。同アプリから個人情報を閲覧する際も、暗証番号の入力が求められる可能性は高いため、暗証番号を使用する機会はこの先増えていくことでしょう。
3. 運転免許証の暗証番号を設定・変更する方法
暗証番号の設定および変更は、免許の取得時と更新時、再交付時にのみ可能です。いつでも行えるわけではないため、限られた機会を逃さないようにしましょう。
設定手続きの流れとしては、まずは希望する暗証番号をバーコード印刷装置に入力します。すると暗証番号とバーコードが印刷された「登録カード」が発行されるため、その登録カードを免許証作成装置に読み込ませれば設定は完了となります。
変更の場合も手順は設定時と同様であり、新たに設定したい暗証番号を登録するだけで手軽に変更できます。変更にあたり、以前の暗証番号を入力する必要はありません。
4. 運転免許証の暗証番号を忘れた時・ロックがかかった時の対処法
ここからは、設定した暗証番号を忘れてしまった場合や、入力ミスなどによりロックがかかってしまった場合の対処法を解説します。
暗証番号を忘れた場合
設定した暗証番号は、免許試験場や運転免許センター、警察署免許窓口などで照会できます。番号を忘れてしまった場合は、これらの場所で照会を申請しましょう。
ただし、申請にあたっては所有者本人が免許証を持参する必要があり、電話での照会はできません。また、照会先によって受付時間も異なるため注意が必要です。
そのほか、暗証番号の変更には以前の番号の入力は必要なく、番号を忘れている状態でも手続きが可能です。すぐには暗証番号が必要でない場合には、免許更新のタイミングを待ち、新たな番号に変更するのもひとつの選択肢です。
ロックがかかった場合
運転免許証の暗証番号は不正な読み取りを防止するため、3回入力を間違えるとロックがかかる仕組みになっています。ロックがかかってしまうと、それ以上の読み取りはできません。
ロックの解除は照会と同様に、警察署や運転免許センターなどに所有者本人が直接免許証を持参して申請しなくてはなりません。暗証番号を覚えていない場合や、すでに2回連続で間違えている場合には、無理せずに番号を照会するか更新時に再設定することをおすすめします。
5. 監修コメント
免許証の暗証番号を忘れやすい原因のひとつとして、あまり深く考えずに登録してしまうことが挙げられます。免許証の交付や更新は流れ作業のように進められるので、それも仕方のないことといえます。暗証番号を忘れにくくするためには、事前に考えておくことが有効です。
その一方で、個人情報を読み取れる暗証番号は、本人以外の人には分からないようにしておく必要があります。暗証番号が記載された「登録カード」も、免許証と一緒に持ち歩かないようにしましょう。