住宅街や通学路などの狭い道で対向車とすれ違う際に「こすりそうで怖い」「どう動けばいいか分からない」と不安を感じるドライバーは少なくありません。
特に初心者は「どちらが譲るべきか」の優先判断や止まる位置が分からず、焦りが事故につながることも。
本記事では、安全にすれ違うコツやトラブルを避ける判断基準を、初心者にも分かりやすく解説します。
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1.狭い道のすれ違いはなぜ難しい?
狭い道で対向車とすれ違うときに心理的な不安を感じるのには、さまざまな理由があります。
- 車幅感覚の不足が「ぶつかるかも」という恐怖を生む
- 「対向車ばかり見てしまう」視線のわな
- バックへの苦手意識がプレッシャーになる
- 相手が待ってくれているときの「早く行かなきゃ」という焦り
- 後続車の存在がプレッシャーになって判断が狂う
これらの不安の多くは「どう動けば正解か分からない」という迷いから生じます。まずは迷いをなくすために、どちらが譲るべきかの判断基準を知っておきましょう。
2.狭い道ですれ違うときの"優先の考え方"

狭い道ですれ違うときには、安全かつ円滑に通るための「優先の考え方」があります。
基本原則①車線側に障害物のある方が待機する
一般的に自分の車線側に電柱などの障害物がある場合は、対向車が優先されます。待機して対向車を先に通過させましょう。
基本原則②坂道では「登り」が優先される
坂道では、一般的に「登り」の車を優先させるのがマナーとされています。下り側が譲る理由は、登り坂でいったん停車すると再発進が難しく、車が後退してしまう恐れがあるからです。
ただし、崖のある道では、登り・下りに関係なく、崖側に転落の危険があるため、崖側の車は停止して、山側の車に道を譲りましょう。
また、待避所がある場合は、登り・下りにかかわらず、待避所に近い方が車を移動させて待避所に入り、道を譲るのが基本です。
重要なのはルールよりも「譲り合い」の精神です。止まりやすい方が止まるのが正解と覚えておきましょう。
3.安全にすれ違うための基本動作とコツ

手順①全体状況を把握する
狭い道路では恐怖の対象がたくさんあります。そのため、目先の状況に意識が捉われてしまい、目線を落としがちになってしまいます。
近くばかりを見ていると対向車の発見が遅れてしまうので、遠くまで見る意識で全体の状況把握に努めましょう。
遠くを見て対向車に早く気づくことができれば、余裕を持って減速し、広い場所を探す準備ができます。
また、後方の状況確認も大切です。左に寄せる行動に移る前、ゆとりがあるときに、後続車や自転車、歩行者が来ていないかなど、特に左後方の状況を事前に把握しておくと、その後の行動が楽になります。
手順②「すれ違いポイント」(広い場所)を探す

下記の3つが重ならない「すれ違いポイント」を見極めることが重要です。
- 障害物(歩行者・自転車・電信柱など)
- 対向車
- 自分の車
障害物の「手前」か「奥」をポイントに設定しましょう。
手順③寄せるだけではダメ

早めに左に寄せて車体を真っすぐにすることが重要です。
焦ってやりがちなのは、上の図の「ダメな寄せ方」のように「寄せる」だけで車体が斜めになっている状態です。これでは対向車が通行できず困ってしまいます。
車体と道路が平行な「正しい寄せ方」にするには、一定のスペースが必要となるので、それも計算に入れておきましょう。
手順④即断即決する
すれ違う際の意思決定は絶妙な判断が求められます。
例えば、障害物の奥ですれ違う場合は「加速」して調整する場合もあります。一方で安全策を選ぶなら、事前に左に寄せて待機します。
こうした判断は状況に応じて正解が変わりますが、「行く判断は確信を持って行く。迷うくらいなら止まる」と覚えておきましょう。
手順⑤両サイドを意識する
初心者の方に多く発生する事故原因のひとつが「意識の偏り」です。
人は「動くもの」「大きいもの」「より怖いもの」に意識がいってしまい、集中力を試される場面であればあるほど、一点に集中してしまう傾向があります。
その結果、対向車ばかりに意識が集中してしまい、左への意識がおろそかになってしまうのです。
無意識のうちに対向車を避けようとして、じわじわ左にハンドルを切ってしまうと、左側の電信柱や障害物に当たってしまいます。これは典型的な初心者の事故パターンです。
対策としては、手順①〜④を終えたら自分自身に言い聞かせて、意識が偏らないようにしてください。
具体的なコツとして、対向車を見るのではなく「左側の路側帯(白線)」を見るようにすると、自然と左への意識が保てるようになります。
集中力が高まる場面であればあるほど、「右も当てない。左も当てない」と意識的に言葉にして確認するように、両サイドへの注意を保つことが大切です。
手順⑥すれ違う

事前準備が済んでいれば、あとは実践するのみです。自分が進む場合も、待って相手を通す場合も、すれ違いが終わるまでは気が抜けません。コツは以下の3つです。
- 動くときは「歩く速さ」まで落とす
接触事故の多くは速度の出し過ぎが原因です。最徐行(歩くような速さ)であれば、万が一接触してもミラーがコツンと当たる程度で済みますし、すぐに止まれます。
- サイドミラーと壁の隙間を見て、できるだけ左に寄せる
対向車とぶつからないためには、自分が左側に寄ってスペースを作ることが最優先です。左のサイドミラーと壁の隙間を確認し、接触しない範囲でしっかり左に寄せておくことで、対向車との間に安全な距離が生まれます。
- ブレーキに足を置いておく(待つときは踏み込む)
AT車の場合、すれ違い中はアクセルを踏まず、クリープ現象(アクセルを踏まなくてもゆっくり進む現象)を使います。いつでも止まれるよう、足は常にブレーキペダルの上に乗せておきましょう。相手を待つ場合は、動かないようにブレーキをしっかり踏み込んでおきます。
物理的にギリギリで怖い場合は、窓を開けて手動(またはボタン)でサイドミラーを畳みましょう。数センチの余裕が生まれます。
ただし、後方が見えなくなるため、すれ違い終わったらすぐに戻してください。あくまで「最後の手段」です。
参考|[Q]狭い道路を走るときの注意点と、対向車とのすれ違い方は?|JAF
4.すれ違いの効果的な練習方法

①停車
停車した際に左側の車体感覚を養っておきましょう。
プレッシャーのない環境で正確に車体を左に寄せられることが、すれ違い攻略の前提条件です。練習でできないことは、対向車が迫る本番でも実践できません。
②段差

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低い段差を利用して寄せる練習を行っておくことも有効です。
練習では乗り上げても構いませんが、安全な場所で、タイヤやホイールを傷つけないよう注意しながら行ってください。
慎重に行うことで、どこまで寄れるかの限界値をつかめるようになります。
③観察
安全な場所で停車して、行けるか行けないか「即断即決」の練習をしましょう。
普段歩いているときでも、「あの空間は車両が通れるのか」と疑問を持ったら、立ち止まってイメージしてみることが運転時にも役に立ちます。
また、実際に車で通ってみて、両サイドのスペースがどの程度空いているのかをインプットし、それを積み重ねていくことで「すれ違いの判断の質」が向上していきます。
5.対向車が動かない・譲らないときの対処
対向車が優先にもかかわらず動かない場合や、逆にこちらが優先のはずだけど譲ってくれないなどのケースはどうしたらよいのでしょうか。
まず「動かない」場合は、ドライバーが初心者だったり、何か事情があって「動けない」のかもしれません。まずはパッシング等で合図がないかなど確認しましょう。
そのうえで対向車が「動かない」や「譲らない」と判断した場合は、無理に進まず、ハザードを出してこちらが停止しましょう。
どちらかがバックしなければならないときは、互いに狭い場所で止まってしまい、どちらも前にも後ろにも動けなくなる状態(デッドロック)を防ぐために、バックしやすい方が下がるのが円満な解決策です。
6.よくある「つまずき」と避けたい危険行動
次のような行動は、事故やトラブルの危険性が高いので避けましょう。
- 相手が寄せきれていないのに無理に進もうとする
相手も運転に不慣れかもしれません。「避けてくれるはず」という期待はせずに待ちましょう。
- すれ違いざまに急加速して抜ける
「早く怖い状況から抜け出したい」という焦りは禁物です。接触リスクが増えて、最後の最後でサイドミラーを擦ってしまうこともあります。
- イライラしてクラクションを鳴らす
相手をパニックにさせてしまうと、余計に状況が悪化して動けなくなってしまいます。トラブルの原因にもなりかねません。
7.もし接触・トラブルが起きたら(保険・安全対応)
すれ違いの際に接触やトラブルが起きた場合は、まず安全を確保してください。
そのうえで、たとえ軽微な傷でも警察や保険会社へ連絡をしてください。「お互いさまだから」とその場で示談にするのはやめましょう。
交通事故における運転者は、事故の規模にかかわらず、警察への報告が道路交通法で義務付けられています。また、届け出をしないと、保険金請求に必要な交通事故証明書が交付されません。
狭い道路でのすれ違い事故の過失割合は、ケースバイケースで一概には言えません。どちらの車が動いていて、どちらが停止していたか、道路の状況など、さまざまな要素によって判断が変わるため注意が必要です。
事故に遭遇した場合の手続きや保険対応、等級についてなどは下記の記事で解説していますので、参考にしてください。
参考|事故の種類と等級ダウン|おとなの自動車保険
参考|対物賠償保険|おとなの自動車保険
また、事故発生時の映像は証拠となるので、ドライブレコーダーを設置しておくことが重要です。
ドライブレコーダーを取り付けるメリットや取り付け方は下でまとめています。
8.監修者コメント
すれ違いは、緊張する瞬間のひとつですよね。車幅感覚に不安があると、つい委縮してしまうものです。
でも、最初は誰もがそんな状態からのスタートです。周りのドライバーが上手に見えるのは、長い時間をかけて経験を積み重ねてきた、ただそれだけのことなのです。
焦らず地道に練習を続けていけば、必ず上達します。まずは自分のペースで、少しずつ慣れていきましょう。
