「車両通行帯」の通行方法は車の運転に欠かせない知識ですが、なかには境界線の色や形状に応じて異なる意味や、センターラインとの違いに迷ってしまう方もいることでしょう。そこで当記事では、車両通行帯の種類・意味、追い越しの際の正しい方法やタイミングなどを解説します。
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1. 車両通行帯とは?
車両通行帯とは、道路上に白や黄色の線(道路標示)で区切られている「車両が通行すべきエリア」のことです。「車線」と混同されやすい概念ですが、「車線」は道路上の「車両が通行できるエリア」全般を指す一般的な呼び名であり、法令上は道路標示などで通行区分が指定されたものを「車両通行帯」といいます。
車両通行帯が設置されている目的は、複数の車線がある道路をすべての車が安全に通行できるように整理することにあります。そのため、片側一車線や一方通行の道路には車両通行帯にあたるエリアは設けられていません。
車両通行帯違反のリスクと罰則
車両通行帯がある道路では、自動車は車両通行帯の上を通行する義務があります。道路標示の線にまたがったり、はみ出したまま通行したりしてはなりません。また、車両通行帯の線の色や形状にはそれぞれに意味があり、決められた方法に従って通行する必要があります。
こうした車両通行帯のルールに反する危険な通行は、交通事故のリスクがあるのはもちろんのこと、道路交通法により「通行区分違反」として罰則の対象となる場合もあります。通行区分違反の反則金と違反点数は以下のとおりです。
通行区分違反の罰則と違反点数
| 車両区分 | 反則金 | 違反点数 |
|---|---|---|
| 大型車(大型自動車・中型自動車・大型特殊自動車) | 12,000円 | 2点 ※酒気帯びの場合、呼気1L中のアルコール量に応じて変動 ・0.25mg未満:14点 ・0.25mg以上:25点 |
| 普通車(普通自動車・軽自動車・ミニカー) | 9,000円 | |
| 二輪車(大型自動二輪車、普通自動二輪車) | 7,000円 | |
| 原付自転車・小型特殊自動車 | 6,000円 |
車両通行帯とセンターラインの違い
車両通行帯について理解する上では、「センターライン」との違いを知ることも重要となります。センターラインは「対向車線と進行方向を分ける」ために道路上に引かれている線のことであり、道路標示ではなく中央分離帯がその役割を担っている場合もあります。
また、道路によっては対向車線に面した車両通行帯の一部がセンターラインの役割を兼ねているケースもあります。とはいえ、基本的に車両通行帯とセンターラインは別のものであり、線の色や形状が同じでも一部意味が異なるため注意が必要です。
2. 境界線の種類と意味
ここからは、車両通行帯とセンターラインの種類と、それぞれの意味を図を交えて解説します。
白色の破線
白色の破線で描かれた境界線は、車両通行帯とセンターラインいずれの場合でも線をはみ出しての追い越しが可能です。車両通行帯の場合には、隣の車両通行帯への車線変更も許されています。
白色の実線
白色の実線は、車両通行帯とセンターラインで大きく意味が異なります。車両通行帯であれば、破線の場合と同様に線をはみ出して追い越しや車線変更ができます。
一方でセンターラインの場合には、線を越えて隣の車線にはみ出すことはできません。とはいえ、センターラインをはみ出さなければ前方車両の追い越し自体は可能です。
黄色の実線
黄色の実線は、車両通行帯の場合は車線変更の禁止を意味しています。また、センターラインの場合は追い越しのためのはみ出しができません。ただし、工事や駐車車両などの障害物を避ける目的であれば、ウィンカーを出した上でのはみ出しが許されています。
そのほか、場所によっては黄色の実線と白色の破線の二つのセンターラインが引かれていることがあります。
こうした二重のセンターラインがある道路では、白色の破線側からであれば対向車線にはみ出しての追い越しが可能ですが、黄色の実線側からは追い越しのためにはみ出すことはできません。
3. 車両通行帯のある道路の正しい通行方法
日本の道路を車で通行する際には、車両通行帯がない場合は、原則として道路の左側に寄って通行するのがルールとされています。このルールは「キープレフト」と呼ばれ、対向車との接触リスクの回避や運転しやすさの向上といった目的で導入されています。
ただし、以下のような特殊な条件の道路では一部通行方法が異なるため注意が必要です。
車両通行帯が2車線ある場合
同一方向に通行する2つの車両通行帯がある道路では、右側の車両通行帯は追い越しや右折の際にのみ使用します(追い越し車線)。そのため、特に理由がない限りは左側の車両通行帯を通行します。
また、同一方向に複数の車両通行帯がある場合でも、境界線を無視して通行したり、複数の車両通行帯にまたがって通行したりしてはいけません。必ず1つの車両通行帯の上を通行しましょう。
車両通行帯が3車線以上ある場合
同一方向に通行する3つ以上の車両通行帯がある場合には、最も右側にある車両通行帯が追い越し車線となります。そのため、追い越しの際以外はその他の車両通行帯を通行します。
なかでも、普段は最も左側の車両通行帯を優先して通行し、その他の車両通行帯は道路の状況や車の速度に応じて使用します。
通行車両が指定されている車両通行帯の場合
一部の車両通行帯には、「バス専用」や「自転車専用」といった標識や道路標示があります。こうした車両通行帯は、指定された種別の車両しか通行することができません。
また、車両通行帯によっては時間帯に応じて通行できる車両が制限されている場合もあります。これらの道路は指定外の車両で通行した場合、道路交通法の罰則の対象になるため注意が必要です。
4. 正しい追い越しの方法とタイミング
車両通行帯では状況に応じて前方車両の追い越しが可能ですが、追い越しに関しても一定のルールが存在します。追い越しをする際は、以下のやり方に沿って行いましょう。
正しい追い越し方法
道路上で追い越しを行う際は、前方車両の「右側」を通過して前に出るのが正しい追い越し方です。このルールは、車線をはみ出さない同一車線内での追い越しに関しても同様です。
ただし、以下のようなケースでは例外的に左側から追い越すのが正しい方法とされています。
- 右折のため、道路右側にいる車両を追い越す時
- 路面電車を追い越す際
また、追い越し車線を使用して追い越しを行う際は、ほかの車両の妨げにならないよう、追い越しが完了した後はすみやかに左側の車両通行帯に戻りましょう。
正しい追い越しのタイミング
追い越しにはその場の状況に応じた判断が求められるため、確実に安全といえる決まったタイミングは存在しません。そのつど周囲の道路状況や車間距離をよく確認し、「衝突の危険がなく、ほかの車両の走行を妨げない」と判断したタイミングで行うことが大切です。
ただし、以下のようなタイミングでは絶対に追い越しをしてはいけません。
- 前方車両が自動車(※軽車両・原付は除く)を追い越そうとしている時
- 前方車両が進路を変えようとしている時(右折など)
- 後方車両が自分の車を追い越そうとしている時
- 曲がり角・坂の頂上に近づいている時
- 急勾配の坂を下っている時
- 交差点とその手前30m以内にいる時(優先道路の通行中は除く)
- 踏切・横断歩道・自転車横断帯とその手前30m以内にいる時
トンネル内では追い越しはできる?
トンネル内は視界が悪く、交通事故につながる可能性が高いことから追い越しが禁止されています。ただし、車両通行帯があるトンネルでは追い越しや車線変更が可能です。
とはいえ、多くのトンネルでは標識や黄色の実線などにより、車両通行帯があっても追い越しが制限されています。追い越しを行う際には、標識の有無などを必ず確認するようにしましょう。
5. 車両通行帯に関するよくある疑問(Q&A)
ここからは、車両通行帯に関するよくある疑問にお答えします。
渋滞の際はどの車両通行帯を通行するのが正解?
複数の車両通行帯がある道路では、キープレフトの原則により右側の車線ほど空いているように見えるため、渋滞に遭遇するとつい車線を変更したくなってしまうものです。
しかし、渋滞の際はそうした車が右側車線に集中しやすく、それがさらなる渋滞の悪化につながるとされています。渋滞時も基本的にはキープレフトを維持することが望ましいでしょう。
右折レーンがない交差点ではどう曲がる?
右折レーンがない交差点であっても、車での右折方法は交差点中心の内側で直接曲がる「小回り右折」で問題ありません。バイクや排気量50cc以上の原付も同様です。
一方で排気量50cc以下の原付は、片側3車線以上の交差点では一度直進して交差点の向こう側で向きを変える「二段階右折」で曲がらなければなりません。
車両通行帯の通行方法はバイク・原付も同じ?
車両通行帯の通行方法は、バイク・原付も基本的に車と変わりません。追い越し・はみ出しに関しても車の場合と同様のルールが適用されます。
ただし、原付は片側3車線以上の車両通行帯がある道路や二段階右折を指示する標識がある交差点で右折する場合は、二段階右折が義務付けられています。また、複数の車両通行帯がある道路では原則として最も左側の車線(第一通行帯)しか通行できないと定められています。ほかの車両通行帯が空いている場合でも、誤って通行しないように注意が必要です。
6. 監修コメント
高速道路や自動車専用道路では、最も右側の車両通行帯は追い越しのためにのみ使用する通行帯とされています。追い越しが終わった後も走行を続けていると、違反になるおそれがあります。しかも右側の車両通行帯は走行速度が高くなりやすく、周囲の流れに合わせているうちに、気づかないまま速度超過の違反が重なるケースも少なくありません。
取り締まりの対象にもなりやすいので、追い越しが終わったら速やかに左側の通行帯に戻りましょう。
