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パーキングブレーキ(サイドブレーキ)の役割とは?種類やメンテナンス方法、Pレンジとの違いについても解説!

更新

2023/01/11

公開

2023/01/11

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駐車時に車の停止状態を保つために使う「パーキングブレーキ」。フットブレーキやエンジンブレーキと同じく、車の制動装置の一つです。

以前までパーキングブレーキはレバー式のタイプが主流でしたが、レンタカーや社用車を運転した時などに、ボタンで作動させる電動式のタイプなどを見かけたことはないでしょうか。パーキングブレーキにはいくつか種類があり、それぞれ操作方法が異なります。

そこで今回は、パーキングブレーキの種類や安全な使用法、メンテナンス方法をご紹介。また、パーキングブレーキがなぜ「サイドブレーキ」とも呼ばれるようになったのかについても解説します。

目次

    1.パーキングブレーキとは?

    パーキングブレーキの役割とは?

    パーキングブレーキは駐停車時に使われるブレーキのことで、車が静止している状態を保つ役割を持ちます。

    傾斜があることに気づかずにギアをニュートラルに入れて駐車していると、車重により車が動いてしまう可能性があります。こうした際にパーキングブレーキをかけておくことで車輪を固定させ、車を動かなくさせることができるのです。

    仕組みは?

    以前までのパーキングブレーキは、ワイヤーの張力を用いてブレーキをかける仕組みのものが主流でした。パーキングブレーキを引くと、後輪とつながっているワイヤーが引っ張られます。その張力によりブレーキパッドが締め付けられ、後輪にブレーキがかかるのです。

    この時、ブレーキがかかるのは4輪全てではなく後輪の2輪のみ。パーキングブレーキは、停まっている車を動かなくさせるだけなので、強い制動力を必要としないからです。

    一方でフットブレーキは、動いている車を減速・停止させる必要があるため、ブレーキは4輪全てにかかります。また、小さな力で大きなブレーキ力を発揮する「油圧式」を採用しています。

    なお、パーキングブレーキを引くと、メーターパネルにある「!(ビックリマーク)」のブレーキ警告灯が赤く点灯し、解除すると消灯します。

    サイドブレーキとの違いは?

    パーキングブレーキのほかに、サイドブレーキという名称もよく使われるため、「パーキングブレーキと、サイドブレーキは何が違うの?」と疑問に思ったことはないでしょうか。

    サイドブレーキとは、レバー式のパーキングブレーキのこと。つまり、パーキングブレーキのうちの一つです。

    レバー式サイドブレーキは、運転席の横(サイド)にレバーが設置されていることから、サイドブレーキと呼ばれるようになりました。なお、正式名称は「パーキングブレーキ」ですが、サイドブレーキという名称も一般化しているので、サイドブレーキと言っても通じます。

    2.パーキングブレーキの種類と操作方法とは?

    レバー式サイドブレーキ

    レバー式サイドブレーキは、以前まで主流だったパーキングブレーキ(サイドブレーキ)です。運転席の横にレバーが設置されており、このレバーを引き上げるとブレーキがかかります。そして、レバーの先端にあるノッチ(ボタン)を押しながら戻すことで、ブレーキが解除されます。

    電動式パーキングブレーキ

    近年増加している電動式のパーキングブレーキは、モーターを活用したパーキングブレーキです。ボタンを押すことで、ブレーキを作動させられるので、操作が簡単なのが特徴。また、レバー式サイドブレーキなどと違い、誰が操作しても同じ強さでブレーキをかけられます。解除方法は車種によって異なりますが、もう一度ボタンを押すことで解除させられるタイプや、アクセルを踏むと自動解除されるタイプなどがあります。

    足踏み式パーキングブレーキ

    足踏み式パーキングブレーキは、AT車のみに採用されているパーキングブレーキです。運転席足元のブレーキペダルの左に設置されており、このペダルを踏み込むことで作動させることができます。基本的に解除方法はもう一度ペダルを踏み込むだけです。もしくは、センターコンソールに設置されているレバーを引くことで解除するタイプもあります。

    ステッキ式サイドブレーキ

    ステッキ式サイドブレーキは、ハンドルの下あたりに設置されているステッキ式のサイドブレーキ。T字のレバーを手前に引くことでブレーキが作動し、回しながら押し戻すと解除される仕組みです。車の前列がベンチシートであった時代に主流だったタイプで、現在ではハイエースなど一部の車種のみに採用されています。

    3.パーキングブレーキはどんな時に使う?

    停車、駐車する時

    駐停車する時に車の静止状態を保つための使用法が、最も基本的な使い方です。ブレーキペダルで車を減速させ、完全に止まったらブレーキペダルを踏んだままパーキングブレーキをかけます。すると後輪にブレーキがかかり、車の静止状態を保つことができます。

    坂道で停止し、発進する時

    パーキングブレーキは、上記で説明した駐車用ブレーキのほか、坂道発進での補助ブレーキとしても活用することができます。勾配のある上り坂で停止し、発進する際にあらかじめパーキングブレーキをかけておきます。そしてアクセルがかかる瞬間に解除することで、車が後退するのを防ぐことができます。

    フットブレーキが効かなくなった時

    パーキングブレーキは、フットブレーキが効かなくなった時の緊急ブレーキとしても使うことができます。下り坂などで、フットブレーキが効かなくなった時、エンジンブレーキとパーキングブレーキを併用することで、徐々に車を減速させることができます。時間はかかるものの、車を静止させることができるので、緊急時の使用方法として覚えておきましょう。

    4.AT車の駐車時にはPレンジに入れるだけで大丈夫?

    駐車する時は、必ずPレンジ+パーキングブレーキの両方をかける

    AT車の場合、駐車時に使用するPレンジがあるため「パーキングブレーキは不要ではないか」と思う方もいるかもしれません。しかし、車を駐車する時には、必ずPレンジとパーキングブレーキの両方を使用するようにしましょう。

    シフトをPレンジに入れると、トランスミッション内にある歯車に歯止め用の爪が引っかかり、これによりギアがロックされます。この歯止め用の爪は金属でできているため、簡単に壊れるものではありません。しかし、歯車はそこまで大きくないため、衝突などの強い衝撃が加わった場合、爪が歯車から外れてしまうほか、折れてしまう可能性も考えられます。

    そのため、車を駐車する時には、ギアをロックさせるPレンジと、後輪にブレーキをかけるパーキングブレーキを併用するようにしましょう。そうすることで、安全に車を停めることができます。

    5.パーキングブレーキのメンテナンス方法とは?

    メンテナンスが必要か確認する方法

    先述の通り、パーキングブレーキはワイヤーを引っ張ることで後輪にブレーキをかけているため、経年劣化でワイヤーが伸びてくることがあります。そうした場合には、ワイヤーの引き直しなどの整備が必要になります。また、レバーの引きしろやペダルの踏みしろが緩むと、ブレーキが効かなくなったり、引きずりを起こしたりしてしまうこともあります。

    もしサイドブレーキの効きが悪いと感じたら、以下の2つを確認しましょう。

    1. ノッチ音が規定回数を満たしているか。
      レバー式サイドブレーキ、もしくは足踏み式パーキングブレーキの場合は、ノッチ音が適正回数かを確認します。ノッチ音とは、パーキングブレーキを引いた時に鳴る「カチカチ」という音のことです。ノッチ音の適正回数は、車の取扱説明書などに記載されていますので、規定回数を満たしているか確認しましょう。また、レバーを引いたり、ペダルを踏んだりした時に、違和感やおかしな音がないかもチェックしておきます。
    2. 上り坂でパーキングブレーキを入れた時、後退しないか。
      上り坂でフットブレーキを踏み込み、AT車ならNレンジに、MT車ならニュートラルにします。そしてパーキングブレーキを入れたら、フットブレーキから足を離しましょう。この時、車が静止すれば異常はありません。後退した場合には、何らかの異常が発生している可能性があります。

    異常がある場合は、メーカーやディーラーに依頼を

    上記の2つの方法を試して「ノッチ音が規定回数を満たしていない場合」「ノッチ音が規定回数よりも多い場合」「上り坂でパーキングブレーキを入れたにもかかわらず車が後退した場合」は、ワイヤーの巻き直しやスプリングの交換が必要な可能性があります。すみやかにディーラーや整備工場にメンテナンスの依頼をするようにしましょう。

    6.パーキングブレーキを使用する際の注意点とは?

    解除し忘れに注意。そのまま走行すると火災につながることも

    パーキングブレーキは、ワイヤーでブレーキをかけているだけなので、制動力は強くありません。そのため、パーキングブレーキを引いた状態でも、走行することができてしまいます。

    しかしパーキングブレーキを解除し忘れたまま走行すると、ブレーキがかかったままタイヤが動くことになるため、摩擦熱が発生します。発熱量が大きくなると、部品が溶けたり焦げたりして破損につながるばかりか、火災につながる可能性もあります。こうした事態を防ぐためにも、車を発進する際には、必ずブレーキ警告灯が消えているかを確認して走行するようにしましょう。

    寒冷地では凍結の可能性があるため、パーキングブレーキは使用しない

    寒冷地では、ワイヤーが凍結してしまうことがあります。また、ブレーキ自体が凍結してしまうと、パーキングブレーキを解除できなくなる可能性も考えられます。そのため、寒冷地ではパーキングブレーキは使用しないようにしましょう。

    寒冷地で駐車する時にはまず、できるだけ平坦な場所を選ぶようにします。そして、車体の対角線上のタイヤに輪止めを設置しましょう。その後、AT車はPレンジに、MT車はリバースギヤ(上り坂の場合は1速)に入れるようにしてください。

    7.監修コメント

    もしパーキングブレーキを解除せずに走り続けてしまった場合は注意が必要です。
    まず、フェード現象やベーパーロック現象を起こしていないかを必ず確認しましょう。これらの現象を起こすと、フットブレーキのききが悪くなるばかりか、制動力が失われてしまう恐れもあります。フットブレーキを踏んで、しっかりとした制動力があるのかを確認してから走行するようにしましょう。
    フェード現象はほとんどが30分ほどで回復しますが、ベーパーロック現象まで起こしてしまうと、ブレーキフルードの交換などが必要になります。制動力が回復したと思えても安心せず、できるだけ早くディーラーや整備工場で点検してもらいましょう。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。約20年にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。自動車関連手続き、許認可申請、入管申請取次、補助金申請代行、遺言作成のサポート、相続手続きなど法務のほか、執筆業も手掛ける。

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