車を持つと、一定期間ごとに「車検」を受ける義務が課せられます。
ここでは、車検の内訳やどのような費用がかかるのかなどについて解説します。
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車検とは?
車検とは、定められた期間ごとに自動車が安全基準を満たしているかの検査を受ける制度のことです。正式名称は「自動車検査登録制度」といい、自家乗用自動車・軽乗用自動車の場合、新車は3年後、その後は2年ごとに受けることと定められています。
車検証およびフロントガラスの上に貼られているステッカーには、「有効期間の満了する日」が記載されています。その日の1ヶ月前から車検を受けることが可能です。
車検を受ける方法は、主に以下の2つです。
- 自動車整備工場などに依頼をする
- 自分で整備・点検をしてユーザー車検を通す
2は専門的な知識や設備が必要となりますので、多くの方は1の方法で車検を通しています。
車検の必要性
なぜ、車検は法律で義務付けられているのでしょうか?それは、定期的に車を点検することによって故障や整備不良による事故を未然に防ぐためです。
車の整備や点検を怠ってしまうと故障するリスクが高まり、思わぬ事故を起こす可能性があります。もし事故が発生すれば、運転手や同乗者はもちろん、通行人や他の運転手にも危険が及ぶことになります。そうしたことを防ぐため、法律によって車の定期的な点検を義務付けてリスクを下げているのです。
なお、車検が切れた状態で公道を運転すると、最大で以下のような罰則が課されます。
- 刑事処分として「1年6ヶ月以下の懲役または80万円以下の罰金」
- 行政処分として「違反点数12点」
車検費用の内訳
車検費用は主に「法定費用」と「車検基本費用」の2つがあり、さらに細かな項目に分類されます。以下でくわしく解説します。
法定費用
法定費用とは、法的に定められている費用のことです。車検を通すために必ず支払わなければなりません。車種・車両重量・有効期限の長さなどによって金額が変動します。
自動車重量税
自動車重量税は、車の種類・重さによって定められた金額を支払う国税です。車両重量が重くなればなるほど、さらに新規登録から13年・18年を過ぎると、税額が上がります。
自賠責保険
正式名称は「自動車損害賠償責任保険」で、別名「強制保険」とも呼ばれます。自動車事故の被害者を救済するため、また加害者の経済的な負担を補てんするため、すべての自動車が加入を義務付けられている保険です。
自賠責保険は、被害者の「身体に関する損害」のみを補償するものであり、被害者のものを含む他者の財産(車や物)や、加害者自身の被害に対しての補償はありません。保険料は、車種、地域、保険期間などによって異なります。
検査手数料
検査手数料とは、車検を受けるときにかかる手数料のことです。印紙や証紙を購入して支払うために、「印紙代・証紙代」とも呼ばれます。車検を依頼する業者が「指定工場」か「認証工場」かによって、手数料の金額が変わります。
指定工場とは、車検ライン設備がある工場のことです。運輸支局にてラインを通さずとも、自社工場で通すことができます。OSS申請※で手続きを行う場合は1,000円、窓口申請で手続きを行う場合は1,200円です。
※OSSとは、自動車を保有するための手続と税・手数料の納付をインターネット上で、一括して行うことを可能にした、「自動車保有関係手続のワンストップサービス」のことです。
認証工場とは、自社の工場で整備・点検をして、運輸支局にて検査ラインを通す工場のことです。この場合、自動車の種別(小型乗用車かどうか)によって証紙代が違います。
- 5ナンバー 印紙代400円・証紙代1,300円の合計1,700円
- 3ナンバー 印紙代400円・証紙代1,400円の合計1,800円
車検基本費用
車検基本費用とは、車検を業者に依頼すると発生する手数料のことです。主に「点検費用」と「事務手数料」があります。
点検費用
車検の保安基準を満たすために必要となる点検や整備を行うための費用です。新規登録以降の車検でかかる費用のことで、「継続検査」とも呼ばれます。継続検査では、「車道を安全に走行できるかどうか」を検査します。
この「継続検査」とは別に、「法定24ヶ月点検」と呼ばれる検査があります。この検査には、「車が故障することを未然に防ぐ」目的があります。
法定24ヶ月点検を受ける時期は2年ごとで、ちょうど車検の時期と重なります。そのため、車検の「継続検査」と同時に「法定24ヶ月点検」を依頼するのが一般的です。
車の安全性を確保するためにも、2つの検査をしっかりと行ってください。
事務手数料
車を車検場に運んで車検を通すための手数料です。代行手数料と呼ばれることもあります。
事務手数料は、依頼する業者や店舗によって異なります。
部品交換費用
部品の交換が必要だと判断されると発生する費用です。「エンジンオイル」「ブレーキパッド」「ブレーキフルード」などがあります。
走行距離が多い、または年数が経っている車だと消耗しているパーツが多くなるため、費用が高くなる傾向があります。
車検でチェックされる項目
ここでは、運輸支局の検査レーンで実際にチェックされる主な項目について解説していきます。
同一性の確認
まずは、車検証と車の車台番号・ナンバーなどが一致するかどうかを確認します。
点火類
ランプ類がきちんと点くかどうかチェックします。
例)
- ヘッドライト
- ウィンカー
- ブレーキランプ など
足回りや内回りなど検査
足回りや内装に不具合がないか目視します。
例)
- ひどいオイル漏れはないか
- タイヤがすり減っていないか など
操作系
車の操作に異常がないか、検査ラインを通してチェックします。
例)
- ハンドルが正常に動くか
- ブレーキがしっかりと踏めるか
- スピードメーターが正しく動くか など
その他
安全性や環境保護に関わる数値や動作を確認します。
例)
- 排気ガスの基準を超えていないか
- パネル類はきちんと点灯するか
- ホーンは鳴るか など
車検を受けることができる場所の一例
車検は、以下の施設や店舗にて依頼することが可能です。
- ディーラー
- カー用品店
- ガソリンスタンド
- 民間整備工場
まとめ
車検は、車の安全性を保ち、故障や整備不良による事故を減らすためにも重要です。数万円の費用はかかりますが、安心・安全のために必ず受けなければならないものです。きちんと車検を受けて、安全に運転できるようにしましょう。