代表的な車のトラブルの一つが、タイヤのパンク。もしタイヤのパンクが疑われる場合、そのまま走行を続けるとタイヤに大きなダメージを与えてしまったり、バースト(破裂)したりする危険性も高まるので注意が必要です。今回は、タイヤがパンクしてしまう原因やパンクの見分け方、注意点、対処法などについて紹介します。
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1. タイヤがパンクしてしまう主な原因
異物がタイヤに突き刺さっている
タイヤがパンクする原因の一つは、釘やガラス片、ネジなどの異物が突き刺さることです。異物がタイヤに突き刺さっても、一気に空気が抜けることはあまりありませんが、そのまま走行を続けると穴から徐々に空気が抜けていき、パンクします。
タイヤ側面に傷がある
タイヤの側面は、トレッド面(地面との接地面)に比べると、薄く柔らかいため、傷つきやすいです。そのため、タイヤの側面を縁石にぶつけてしまったり、こすってしまったりすると、傷ができてしまうことがあります。小さく浅い傷であればすぐにパンクする可能性は低いでしょう。しかし傷が深い場合、そのまま走行を続けると、傷が広がり、パンクしてしまうことがあります。
ホイールが変形している
縁石に乗り上げたり、段差を乗り越えたりした時の衝撃などが原因で、ホイールが歪むことがあります。タイヤを新品に交換しても、ホイールとタイヤの間に隙間があると、タイヤの空気が抜けやすくなり、空気圧の低下やパンクにつながってしまうケースも。また、タイヤが部分的に摩耗する「偏摩耗」も起こりやすくなります。
空気圧が十分でない
それぞれの車には、適正な空気圧が決められています。空気圧が足りない状態で走行をすると、タイヤへの負荷が大きくなります。すると内部に損傷を与えてしまったり、トレッド面に亀裂が生じたりすることがあります。車の走行をしていなくても、タイヤの空気圧は自然と抜けていくため、定期的なチェックが大切です。
タイヤのゴムが劣化している
タイヤはゴムでできているため、走行しなくても時間の経過とともに劣化していきます。また、走行距離が増えるほど、ゴムの摩耗が進みます。そのほかにも、紫外線や雨風などもゴムの劣化を早める原因になります。タイヤのゴムが劣化した状態で走行をすると、バースト(破裂)してしまう危険性も高まります。
2. タイヤのパンクが疑われる異変
現在は、タイヤがパンクしても一気に空気が抜けにくい「チューブレスタイヤ」が主流なので、パンクかどうかの判断が難しい傾向にあります。しかし以下のような異変が見られたら、パンクしている可能性があるので、一度業者などプロに見てもらうとよいでしょう。
外見の異変
- タイヤに異物が突き刺さっている
- タイヤの側面に傷やコブがある
- 平坦な場所で確認したとき、潰れているタイヤがある など
走行時の異変
- ハンドルがとられて、まっすぐ走らない
- ハンドルがいつもより重く感じる
- 走行中、異音や振動がする
- ブレーキがききづらい
- 加速がしづらい
- いつもよりコーナリングが不安定 など
3. タイヤがパンクしたときの注意点
パンクした状態で走り続けない
タイヤがパンクしていることに気づいたら、それ以上走行を続けるのは避けてください。パンクしたまま走ってしまうと、ハンドルをとられてまっすぐ走行できなくなるなど、事故のリスクが高まります。またタイヤ内部に損傷を与えてしまい、最悪の場合バーストする可能性もあります。
異物を引き抜かない
釘やネジなどの異物がタイヤに突き刺さっているのを発見した場合、焦って引き抜いてしまいたくなるかもしれません。ですが、異物は引き抜かないのが正解です。もし異物を引き抜いてしまうと、タイヤの空気が一気に抜け、身動きがとれなくなってしまいます。また、タイヤがしぼんで傷の場所が確認しづらくなることも。異物が突き刺さっているのを発見しても、修理に出すまではそのままにしておきましょう。
路上でタイヤ交換や応急処置を行わない
次項で詳しく解説しますが、パンクしたタイヤの応急処置を自身で行うこともあるでしょう。その際、作業を路上で行うことは危険です。必ず安全な場所を確保してから行うようにしてください。
一般道路でパンクした場合
一般道路でパンクに気づいたら、ハザードランプを点灯させ、安全な場所へ移動しましょう。車を停止させたら、三角表示板を置いてから、作業を始めるようにしてください。
高速道路でパンクした場合
高速道路では、一般道路よりもさらに危険なため、応急処置を行うのは避けましょう。もし高速道路上でパンクに気づいたら、ハザードランプを点灯させ、徐々にスピードを落としながら路肩に停車します。その際は、ハンドルを左いっぱいに切った状態で停止することも大切です。万が一、後続車両に追突された場合に、車両が走行車線に飛び出すことを防ぐためです。
そして、発煙灯や三角表示板を設置し、後続車両に車が停止していることを知らせます。その後は通行車両に十分注意しながら、ガードレールの外側など安全な場所にすみやかに避難してください。過去には、後続車両に追突されて亡くなったという事故も実際に発生していますから、絶対に車内に残らないようにしましょう。
安全な場所に避難できたら、「110番」「非常電話」「道路緊急ダイヤル(#9910)」のいずれかに、通報します。
4. タイヤがパンクしたときの対処法
スペアタイヤと交換
スペアタイヤを搭載しているのであれば、パンクしたタイヤをスペアタイヤに交換するのも対処法の一つです。ただし、スペアタイヤはあくまで緊急用。スペアタイヤに交換後は、すみやかに新しいタイヤに交換するようにしましょう。また、スペアタイヤを自身で交換する場合は、上記で紹介した注意点に加え、地面が硬く平らな場所を選ぶようにしてください。
パンク修理キットの使用
近年では、スペアタイヤの代わりにパンク修理キットを搭載している車も増えました。もし修理キットを搭載しているのであれば、修理キットを用いて一時的に傷を塞ぐことも可能です。ただ、傷の程度によっては修理キットで対応できないこともあります。
スペアタイヤへ交換するときと同じく、「必ず安全な場所で作業をすること」「あくまで応急処置なので、修理後は新しいタイヤに交換する」といった注意点は抑えておきましょう。
近くのガソリンスタンド等に修理依頼
近くのガソリンスタンドやカー用品店などに駆け込み、そこで修理依頼をするのも手です。ただし、傷の状態や店舗によっては修理に対応していないこともあるので、事前に問い合わせておくとよいでしょう。
ロードサービスに連絡
自力で応急処置を行うのに少しでも不安を感じる場合は、無理せずロードサービスを呼びましょう。JAFだけでなく、自動車保険にもロードサービスが付いていることもあります。万一に備え、加入している保険会社に補償範囲を確認しておくことをおすすめします。
5. スリップサインが出たらタイヤ交換のサイン
スリップサインとは
スリップサインとは、タイヤの溝の盛り上がった部分のことで、タイヤの摩耗状態を示します。スリップサインがあるのは、タイヤの側面に4〜9箇所刻まれている「▲」マークの延長線上です。
タイヤの摩耗が進み、溝の深さが1.6mmになると、スリップサインが現れます。スリップサインが出た車で走行すると、整備不良とみなされ、道路交通法違反になり、「違反点数2点」「反則金9,000円(普通車の場合)」という罰則が科せられます。車検時には溝の減り具合をチェックしているので、道路交通法違反とならないためにも、車検は必ず行うようにしましょう。
パンクしたタイヤを1本だけ交換してもよい?
コスト面からも、タイヤの交換は1本だけに留めたいと思う方も多いでしょう。ただし、タイヤ1本だけを交換するのは望ましくありません。1本だけ新しいタイヤに交換すると、その他のタイヤとグリップ力や回転数に差が生まれ、まっすぐ走れなくなる、スリップしやすくなるといったリスクが生じるからです。
基本的には、4本すべて交換するか、左右セットで交換するようにしましょう。ただ、その他3本も新品同様の状態であれば、1本だけ交換するのもよいです。なお、4WD車に関しては、1本だけ交換をすると駆動系に大きな負担をかけてしまい、故障の原因になるため、タイヤは4本まとめて交換する必要があります。
6. 自動車保険のロードサービスは急なパンク時も安心
タイヤがパンクしたとき、自力で応急処置を行うのは危険を伴うこともあります。こうした時には、無理せずロードサービスを呼ぶのが安心です。自動車保険にはロードサービスが付帯していることもあります。また、ロードサービスだけではなく、「スペアタイヤ交換」「バッテリー上がり時のジャンピング」「カギの開錠」「脱輪引き上げ」といった応急処理を施してくれるケースも。ただし保険会社によって補償内容が異なりますので、加入している保険会社に確認しておくとよいでしょう。
7. 監修コメント
最近の車は、タイヤの空気圧低下を知らせる警報システムを搭載していることが多くあります。その警報システムによってパンクに気づき、修理をした場合は注意が必要です。
タイヤ空気圧警報システムをリセットせずに走行すると、修理やタイヤ交換をしても警告表示が出てしまいます。パンクの修理をした際は、警報システムをリセットしましょう。
この警報システムは、空気圧が低下するとパンクをしていなくても作動します。単なる空気圧の低下をパンクと勘違いしないためにも、定期的にタイヤの状態を確認することを習慣づけておきましょう。