優先道路は、事故や渋滞のない円滑な道路の流れを維持する上で大きな役割を果たすものです。もし優先順位が定まっていなければ、どちらの車が先に行けばよいかわからなくなり、交通に混乱が生じてしまいます。
ここでは、優先道路を正しく見分けるための5つのポイントを解説します。
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1.優先道路とは
優先道路とは、信号が設けられていない交差点において走行優先順位が高い道路のことを言います。非優先道路を通行する際は交差点進入に一時停止や徐行をし、優先道路を通行する車の進行を妨げないようにする必要があります。これは道路交通法において明確に定められています。
その一方、道路交通法第26条4項では、優先道路を通行する側の立場であっても、交差点を通行する際には交差道路を通行する車両や道路を横断する歩行者に注意し、安全な速度で走行しなければならないと定められています。
優先道路を通行していても常に車や歩行者の存在に気を配り、思いやりのある運転を心掛けなければいけません。
2.優先道路を見分けるポイント
優先道路は、標識の他、道路標示や道幅によっても定められています。優先順位を見分けるための4つのポイントを解説します。
「優先道路」の標識
優先道路には、青地に白で描かれた「優先道路標識」が掲示されています。縦に太く描かれた道路が走行中の優先道路を表し、横に交差する細い道路が非優先道路を表しています。
「前方優先道路」の補助標識
交差点に進入する直前に設置されている一時停止や徐行の標識に「前方優先道路」と記載された補助標識がある場合は、交差する道路が優先道路であることを表します。道路に描かれた逆三角形マークも前方優先道路を指します。
交差点内のセンターライン
優先道路には、交差点内にもセンターラインが設置されています。一方、非優先道路はセンターラインがあったとしても交差点内で途切れています。
交差している道路の道幅
一方が片側1車線でもう一方がセンターラインのない道路である場合など、交差道路の道幅が明らかに異なる場合は、広い方に優先性があります。狭い道路は広い道路に対し劣後となる道路なので、優先する広い道路の通行を妨害してはいけません。
3.見分けがつかないときは「左方優先」
道路標識やセンターライン、道幅などで優先する道路を確認できないような交差点では、左方の車が優先になります。つまり、自分の左側から来た車の通行が優先されるため、妨害しないように一時停止などをして優先車両を先に行かせましょう。このことは、道路交通法第36条に「交差点における他の車両等との関係」として明記されています。
4.優先道路の進行を妨害した場合の罰則
優先道路を通行する車を妨害した場合は、「優先道路通行妨害等」の罰則が適用されます。
反則点数は2点。反則金は普通車で7,000円です。
5.優先道路で起きた事故の基本過失割合
優先道路で交通事故が起きた場合の過失割合は、優先道路が10%:非優先道路が90%です。優先道路を通行していても、道路上に進入する車両や歩行者に注意し、安全な速度で走行しなければならないため、わずかではありますが過失が発生します。
優先する道路の見分けがつかない交差点の場合は左方優先の原則に従い、優先左方車両40%:非優先右方車両60%の過失割合になります。
ただし、優先車両や優先性がある道路であっても、脇見運転やスピード違反などの行為が認められた場合には過失割合に変化が生じます。
6.監修者(株式会社 日本交通事故鑑識研究所)コメント
優先道路には徐行や一時停止の義務はありませんが、だからと言って漫然と運転するのは事故のもとです。また、優先道路を通行しているのに不用意な徐行や停止をすると、後方からの追突や周囲の車両を巻き込む事故に発展しかねません。
また、交差点に進入すべきか迷っている非優先車両に優先車両が道を譲ることは思いやりを感じる行為ではありますが、それがきっかけで事故が起きることもあります。そうした事故は「サンキュー事故」と呼ばれます。
これらの事故を起こさないためにも、現在走行中の道路が優先道路と非優先道路のどちらの道路なのかを正しく判断する術を身につけておきましょう。
監修:株式会社 日本交通事故鑑識研究所