クルマ

ディーゼル車とは?メリット・デメリットやガソリン車との違い、税金を徹底解説

更新

2025/08/18

公開

2025/08/18

  • Twitterで共有する
  • Facebookでシェアする
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

かつては、カラカラといった騒音がしたり、環境への負荷が大きいというイメージのあったディーゼル車。しかし近年では技術開発が進み、環境性能や快適性も大きく改善された車種が登場しています。とはいえ、「ガソリン車と比べて何が良いのか」等、わからないことも多いでしょう。そこで当記事では、ディーゼル車の仕組みからメリット・デメリット、代表車種まで紹介します。

目次

    1. ディーゼル車とは?

    ディーゼル車とは、軽油を燃料として走る、ディーゼルエンジンを搭載した車のことです。ディーゼルエンジンは、低速でも強いパワーを発揮するため、トラックやバン、SUVなどにも多く採用されています。また、ガソリン車よりも燃費が良く、燃料費も抑えられるのがディーゼル車の魅力です。
    しかし、ディーゼルエンジンは燃料を燃やす際に窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)といった有害物質を排出することが問題視されてきました。そのため、都市部を中心とした一部地域では環境基準を満たさないディーゼル車に対する運行・通行規制が導入されています。
    こうした社会的な課題を背景に、近年では有害物質の排出量を抑えた「クリーンディーゼル車」が開発され、実際に使用されるようになっています。

    2. ディーゼル車とガソリン車の違いは?

    大きな違いは、使用している燃料です。ディーゼル車には軽油が、ガソリン車にはガソリンが燃料として使用されています。エンジンに関して言えば、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンは基本的な構造に大きな違いはありません。しかし、ガソリンと軽油では性質が異なるため、燃焼の仕組みには違いがあります。

    まず、ガソリンエンジンの構造について説明します。ガソリンは非常に引火しやすく、点火するとすぐに燃え上がります。この性質を利用して、ガソリンエンジンには「点火系」と呼ばれる仕組みが備えられています。具体的には、ガソリンと空気を混合した混合気に、点火プラグで火花を飛ばして着火させることで燃焼させます。

    一方、軽油は火をかざしても引火しにくいですが、熱を加えると自然発火しやすいという性質を持ちます。そのため、ディーゼルエンジンでは、燃焼室内の空気を圧縮して高温にし、そこに軽油を噴射して自然発火させる方式が採られています。

    3. ディーゼル車のメリット

    燃料代が安い

    ディーゼル車のメリットの一つは、燃料価格がガソリン車に比べて安い点です。たとえば、ガソリン(レギュラー)の全国平均価格が1リットルあたり164.7円であるのに対し、軽油は1リットルあたり144.0円となっています(※)。このため、長距離を頻繁に走行する人や、長期間車を使用する人にとっては、燃料コストの削減につながります。
    ちなみに、ガソリンより軽油が安い理由は、税金です。ガソリンには複数の税金がかけられており、それらに対してさらに消費税が課税されるため、結果的に税金が高くなっています。

    燃料価格は、2025年7月13日時点

    燃費が良い

    ガソリン車よりもディーゼル車の方が燃費は良いことが多いです。下記は、「MAZDA CX-5」のガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車の燃費の比較ですが、やはりディーゼルエンジン車の方は、燃費が良いということがわかります。

    MAZDA CX-5
    20S i Selection・2WD(ガソリンエンジン) XD i Selection・2WD(ディーゼルエンジン)
    WLTCモード燃費 14.6km/L 17.4km/L
    WLTCモード燃費
    市街地モード(WLTC-L)
    11.2km/L 13.9km/L
    WLTCモード燃費
    郊外モード(WLTC-M)
    15.3km/L 17.4km/L
    WLTCモード燃費
    高速道路モード(WLTC-H)
    16.2km/L 19.5km/L
    JCOBモード燃費 15.6km/L 19.0km/L

    なお、ディーゼル車の燃費が良い理由は、ディーゼルエンジンの方がエンジンを動かすための燃料が少なく燃焼効率が良いからです。

    加速性能に優れている

    ディーゼル車の特徴の一つに、「トルクが大きいこと」がよく挙げられます。トルクとは、エンジンを動かすための回転力のこと。トルクが大きいと、低回転でもしっかりと力を発揮できるため、加速がスムーズで力強い走りが可能になります。

    上記で紹介した、「MAZDA CX-5」で比較してみましょう。

    20S i Selection・2WD(ガソリンエンジン) XD i Selection・2WD(ディーゼルエンジン)
    最大トルク/エンジンの回転数 199N・m/4,000rpm 450N・m/2,000rpm

    N・m...最大トルクの単位

    「20S i Selection・2WD(ガソリンエンジン)」では、エンジンの回転数が4,000の時に最大トルク199N・mを発揮し、「XD i Selection・2WD(ディーゼルエンジン)」では、エンジンの回転数が2,000の時に最大トルク450N・mを発揮します。つまり、ディーゼルエンジン車の方が、少ない回転数で、大きなトルクを発揮するのです。

    4. ディーゼル車のデメリット

    車両価格やメンテナンス費用が高い

    ディーゼル車のデメリットとしては、車両価格が高い傾向にあること。ディーゼルエンジンには、高い圧縮比に耐えるために頑丈な設計や、排出ガス規制に対応するための浄化システムが必要で、製造コストがかかるからです。
    また、ディーゼル車はガソリン車よりも、より頻繁にオイル交換を行わなければいけません。ディーゼル車はエンジンへの負荷が大きく、エンジンオイルが汚れやすいからです。オイル交換だけではなく、エンジン周りの部品の点検や交換も、定期的に行う必要があるでしょう。

    エンジン音や振動が大きい

    ディーゼルエンジンは、圧縮比が高く急速に燃焼するため、ディーゼルエンジン特有の「カラカラ」「ガラガラ」といったノック音が発生したり、振動が大きくなることがあります。しかし、近年では技術開発の進歩により、振動やノック音が気にならない車種も登場しています。

    寒冷地では軽油の凍結に注意

    ディーゼル車に使用される軽油は、外気温が低すぎると凍ってしまうことがあります。軽油が凍って燃料配管で詰まった場合、故障してしまうこともあるので注意が必要です。
    スキー場などの寒冷地では、凍結しにくい軽油が販売されていることも多いです。寒冷地に行く際には、燃料の半分は普通の軽油を入れて現地に向かい、到着後に凍結しにくい軽油を給油するといった対策が必要です。

    ディーゼル車の市場は縮小傾向

    気候変動問題は世界的に重要な課題となっており、日本でも「2035年までに、乗用車の新車販売を電動車100%にする」「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」といった目標が掲げられています。この方針により、2035年にはディーゼル車およびガソリン車の新車販売が終了し、2050年には使用できなくなる可能性も考えられます。
    世界的にもディーゼル車のシェアは減少傾向にあり、代わって電気自動車やハイブリッド車への移行が今後さらに加速することが予想されます。

    5. ディーゼル車が向いている人は?

    ディーゼル車は、燃費が良く、さらには燃料代も安いため、長距離ドライブが多い方には適しています。また、ディーゼル車はたくさんの荷物や大人数を乗せることが多い人にも向いています。低回転時でも大きなトルクを発揮するため、重量が増しても加速がしやすいです。

    6. ディーゼル車の税金はいくら?

    自動車税は11年経過で税金が高くなる

    毎年課税される自動車税(種別割)は、排気量1,000cc超~1,500cc以下の場合は30,500円、1,500cc超~2,000cc以下の場合は36,000円、2,000cc超~2,500cc以下の場合は43,500円(※)と、排気量等によって税額が決められています。
    なお自動車税は、初回新規登録から一定年数が経過すると、環境に与える負荷が大きくなるという観点から増税になります。ガソリン車・LPガス車は初回新規登録から13年経過というタイミングですが、ディーゼル車はより短い11年経過で、おおむね15%税額が上がります。

    2019年10月1日以降に初回新規登録した場合の税額

    クリーンディーゼル車は重量税に特例措置がある

    環境に優しい車には、税額が免税・減税となる「エコカー減税」という特例措置があります。クリーンディーゼル車に関しても、このエコカー減税の基準を満たせば、新車登録時期や燃費基準の達成率に応じて「25%軽減」「50%軽減」「免税」といった特例措置が受けられます。エコカー減税は、2023年4月で終了する予定でしたが、現在は2026年4月30日まで延長されています。

    税金に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてください。

    関連記事
    「車にかかる税金一覧を解説。安く抑える方法やシミュレーション結果も」

    7. ディーゼル車にガソリンを入れるとどうなる?

    セルフ式ガソリンスタンドなどで、ディーゼル車に間違えてガソリンを入れてしまうといった事例も発生しています。この場合、エンジンをかけなければ大きなトラブルにはつながりません。しかし、エンジンをかけて車の走行を続けてしまうと、燃料噴射ポンプの破損につながり、最終的にはエンジンが停止してしまう可能性があります。

    もしエンジンをかける前に気がついた場合、ガソリンスタンドのスタッフに相談し、ガソリンを抜いてタンクを洗浄してもらいましょう。

    エンジンをかけた後に気がついた場合は、すみやかに安全な場所に車を停止させエンジンを切ります。その後、ロードサービスなどに連絡をし、レッカー移動を依頼しましょう。

    8. ディーゼル車の代表車種

    マツダ CX‑5

    マツダのCX-5は、日本だけではなく世界的にも販売台数を伸ばしている人気のSUVです。ガソリン車と、ディーゼル車の両タイプが用意されており、特にディーゼル車には一定の支持を得ています。クリーンディーゼルエンジンを搭載しており、環境に優しく燃費性能が良い点も魅力です。

    トヨタ ランドクルーザー250

    「ランクル」の愛称で親しまれるトヨタ・ランドクルーザーは、大型ボディと高い走破性能を持つSUVです。ランドクルーザーには「70」「250」「300」の3シリーズがありますが、「250」は中核モデルで、オフロード走行はもちろん、日常使いにも適した扱いやすさが特徴です。ランドクルーザー250は3つのグレードがあり、いずれのグレードにもディーゼル車が設定されています。

    トヨタ ハイエース

    トヨタのハイエースは、大きな荷室スペースを備えたワンボックス型の車で、4ナンバー貨物車の代表車種ともいえます。ハイエースは、「バン」「ワゴン」「コミューター」の3つのタイプがありますが、ディーゼルエンジン搭載モデルがあるのは、バンとコミューターです。

    三菱 デリカD:5

    三菱のデリカD:5はミニバンながらも悪路走行に強い点が特徴です。かつてはガソリン車もありましたが、現在はディーゼル車のみのラインナップとなっています。クリーンディーゼルエンジンを搭載しており、三菱自動車として初めて排出ガスを浄化する「尿素SCRシステム」を採用したモデルでもあります。

    9. 監修コメント

    旧年式のランクルなどの古いクロカンは独特の雰囲気があり、ファンの間で根強い人気を集めています。その中には、規制対象のディーゼル車も多くあります。
    規制地域でディーゼルエンジンの古いクロカンに乗るためには、排気ガスの成分を基準値内に抑える処置などが必要になります。その上で試験を受けて合格すると、自動車排出試験結果証明書が発行され、車検を取得できるようになります。
    それなりの費用を要しますが、規制地域にお住まいの方がディーゼルエンジンの古いランクルやランクルプラドなどを譲り受けるようなことがある場合は、検討してみてはいかがでしょうか。

    おとなの自動車保険はこちら

    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター®︎。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。20年以上にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。許認可申請、入管申請取次、遺言書作成サポートなど法務のほか、記事監修や執筆業も多数手掛ける。自動車業務に熟達した行政書士だけが登録を認められる、ナンバープレートの出張封印が可能な「丁種会員」でもある。

    HP https://inokuchi.pro/

    • Twitterで共有する
    • Facebookでシェアする
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • LINEで送る