エンジンを始動させるのに欠かせない、車のバッテリー。このほかにも、ヘッドライドなどの電装品に電気を供給しているため、バッテリーは車にとって非常に重要な部品です。
バッテリーの充電が減ると、エンジンがかかりにくくなるばかりか、最悪の場合はバッテリー上がりを起こし、車を動かすことができなくなってしまいます。今回は、充電が必要なシチュエーションや充電方法について詳しく解説します。
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1. バッテリーの役割や仕組みとは?
バッテリーの役割
バッテリーの役割は、蓄電器として車に電気を供給すること。エンジンを始動させるときや、ヘッドライトやルームランプなどのランプ類、カーナビ、カーオーディオ、ワイパーなどの電装品を動かすときに電気の供給を行っています。
バッテリーの電力によってエンジンが動き出すと、その後は発電機であるオルタネーターによって電気が作り出されます。オルタネーターが作り出した電気は直接電装品に供給され、余った電気はバッテリーに充電される仕組みになっています。
基本的にエンジンの稼働中は、オルタネーターが作り出した電気が使われますが、その電気だけでは足りない場合に、バッテリーから電気を供給することもあります。
バッテリーでエンジンが動く仕組み
バッテリーの電気がエンジンを始動させます。バッテリーによってどのようにエンジンが動くのか、その仕組みを紹介します。
- スタートボタンを押す/キーを回すと、バッテリーからセルモーターに電力が供給される。
- セルモーターによって、エンジンの回転がスタートする。エンジンの駆動力によってオルタネーターも動き出す。
- オルタネーターの作る電気やバッテリーの電気によって、ガソリンが燃焼し、エンジンが動く。
2. バッテリー充電が必要なシチュエーションとは?
上述の通り、オルタネーターの作り出した電気がバッテリーに蓄えられているため、基本的には別途バッテリーを充電する必要はありません。しかし、特定の状況下では充電をしなければならないこともあります。
バッテリーの電圧が低下した場合
バッテリーの電圧が低下する=電気を送り出す力が弱くなると、以下のようなサインが見られます。
- エンジンをかけたとき、セルモーターの音が弱い
- パワーウィンドウの開閉が遅くなる
- ヘッドライドが暗くなったと感じる
電圧が低下すると、このようにさまざまな支障をきたすので、充電を行うようにしましょう。また、電圧を具体的に調べるために、電圧計を用いる方法もあります。電圧計はカー用品店などで販売されていますので、ご自身で計測することが可能です。
バッテリーの電圧の目安は、エンジン停止時が12.6Vでエンジン始動直後が14Vといわれています。これらの数値を下回るようであれば、バッテリーの充電をするといいでしょう。ただし、充電が必要になる場合は、そもそもバッテリーが寿命を迎えていることも。また、車の乗り方や環境等にもよりますが、2〜5年がバッテリーの寿命だといわれています。バッテリーが寿命の場合は、いくら充電をしても本来の性能は戻りませんので、バッテリー本体の交換をするようにしてください。
バッテリーが上がった場合
エンジン停止中に、ヘッドライトやエアコンなどをつけっぱなしにしていると、バッテリー内の電気がなくなっていきます。また、エンジンをかけていなくてもバッテリーは自然放電しています。これらの原因により、バッテリーが上がると、エンジンがかからなくなってしまいますので、充電をする必要があります。
バッテリーが上がってしまった時の対処法は?
突然バッテリーが上がってしまった場合、コンセントと充電器があればすぐにご自身で充電をすることができるでしょう。ですが、もし出先で充電器がないときにバッテリーが上がってしまった場合は、応急処置をとるしかありません。そのときの手段は、「ロードサービスを呼ぶ」「ジャンプスターターを使う」「ジャンピングスタート」の3つ。方法は、以下の記事内で詳しく解説していますので、参考にしてください。
3. バッテリーの充電方法は?
車を走行させて充電する
バッテリーは走行中、オルタネーターの電力によって充電されています。つまり、車を走らせることで、バッテリーの充電ができます。ただし、効率良く充電をするには、ある程度のエンジン回転数が必要です。目安としては、週に1回程度、時速50〜60kmで20〜30分間走行するといいでしょう。
なお、アイドリングでもエンジンが動いていることにはなるため、充電することは可能です。しかし、通常の走行に比べると、アイドリングはエンジンの回転数が少なく、発電量も少なくなります。そのため、アイドリングでの充電は1時間程度を目安にすると良いです。ただし、騒音トラブルや大気汚染につながる可能性があることから、アイドリングが禁止されている地域もあるので、あらかじめアイドリング可能かを確認するようにしてください。
プロに依頼して充電してもらう
カー用品店やディーラー、ガソリンスタンド、整備工場など、業者に依頼してバッテリーを充電することも可能です。慣れないバッテリーの充電をプロにお願いできるので安心ですし、同時にバッテリーの劣化具合をチェックしてくれることもあります。ただし、バッテリーの充電には5〜12時間かかりますので、車を預ける時間がない方にはおすすめできません。
自分で充電器を使って充電する
車用バッテリー充電器を使えば、自分で充電することもできます。充電方法は、次項から詳しく解説します。
4. バッテリー充電作業の前に準備すること
自分で車の充電をする場合、充電器の選び方や充電する前に確認しておくべきことなどを紹介します。
自分の車に合った充電器を選ぶ
車用バッテリー充電器を購入する時には、対応電圧を確認しましょう。一般的に、普通車や軽自動車のバッテリーの電圧は12V、バイクは6Vです。トラックなど大型車の場合は、24Vが採用されていることもあります。
また、車のバッテリーには「開放型」と「密閉型」の2種類があります。充電の際に発生する水素ガスを外に逃すのが開放型で、内に留めておくのが密閉型です。こちらも、ご自身の車に対応した充電器を選ぶか、もしくは両方に対応している充電器を選ぶのもいいでしょう。
自動充電停止機能付きか確認する
バッテリーが完全に充電されたにもかかわらず、そのまま充電を続けると「過充電」になり、バッテリーの寿命を短くしたり、事故の原因になってしまったりすることがあります。タイマーを使って充電時間を計測することも可能ですが、充電完了時間に気をとられず、充電器をつないだままにしておきたいという方には、自動充電停止機能が付いている製品を選ぶのがおすすめです。
火気がなく、風通しの良い場所を探す
バッテリーを充電しているときには、水素ガスが発生します。水素ガスに火気を近づけると引火爆発する可能性があるので、必ず火気がなく、風通しの良い場所で行うようにしましょう。
バッテリーは車から取り外し、液口栓は外しておく
バッテリーの充電を行うときには、車からバッテリーを取り外しておきます。もし過放電した場合、バッテリーを取り外さないまま充電をすると、液漏れや引火爆発などのリスクがあるからです。また、バッテリーの上部には、液口栓が付いていることがあります。水素ガスが拡散されやすいように、充電前には液口栓を外しておきましょう。ただし、液口栓がない/外せないバッテリーもあるので、その場合は専門業者に相談する方が安心です。
急速充電は行わず普通充電で充電する
バッテリーには、普通充電と急速充電の2通りの充電方法があります。普通充電とは、時間をかけて充電する方法。一方、急速充電とはエンジンが始動するくらいまで充電する方法で、バッテリー上がりなどの緊急時に応急処置としてとられるものです。ただし、アマチュアが急速充電を行うのは大変危険です。バッテリー本体に負担をかけてしまい、寿命を縮めてしまう可能性もあるので、基本的には急速充電は行わず、普通充電で充電するようにしましょう。
5. 自分で充電器を使って充電をする方法
実際に、自分で充電器を使って充電をする手順について解説します。ただし、今回紹介する充電方法はあくまで一例です。必ず、充電器の取扱説明書に沿って行うようにしてください。
手順
- 車のボンネットを開け、バッテリーを取り外す。
- 充電器とバッテリーをブースターケーブルでつなぐ。
- 充電器をコンセントに挿し、電源を入れる。
- 充電器を操作し、充電のアンペア数を設定する。
- 現在のバッテリー電圧と、充電量を確認し、充電をスタートする。
- 充電量が90%を超えたら充電完了。
- 充電器の電源を切り、コンセントを抜く。
- ケーブルを全て外す。
- 30分以上置いてから、バッテリーを車に戻す。
6. 監修コメント
電気屋さんにも思える店名だったり、電気メーカーの看板を掲げていたりするのに、自動車整備工場のような外観のお店を見かけたことはないでしょうか。それはきっと「電装店」です。
自動車関連のお店にはいくつか種類があり、電装店は電気系統の整備や点検、修理、難しい電子部品の取り付けなどに対応する自動車電装のスペシャリストです。以前まではディーラーや整備工場からの仕事しか請けないという電装店も多くありましたが、最近は一般ユーザーを受け入れているところも増えています。
直接行けば話が早かったり、バッテリーに関するウンチクが聞けたりもするので、電気系統で困ったことがあったら、電装店に相談してみるのもおすすめです。