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自動車整備工場とは?選び方やディーラーとの違いや費用、種類を解説

更新

2025/09/29

公開

2025/09/29

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車の調子が悪いときや点検を受けたいとき、整備をどこに頼めばよいか迷う方も多いのではないでしょうか。ディーラーやカー用品店など選択肢はいくつかありますが、自動車整備工場も信頼できる依頼先のひとつです。この記事では、自動車整備工場の特徴やディーラーとの違い、依頼時のポイントなどをわかりやすく解説します。

目次

    1. 自動車整備工場とは?

    概要

    自動車整備工場とは、地方運輸局長の認証を受けて、車の整備や修理、修理、車検などを行う工場のことです。
    大きな特徴は、エンジンやブレーキなどを分解して行う整備や、自動運行装置(Lv3以上)の整備といった「特定整備」を行える点にあります。
    軽微な傷やへこみといった修理であれば、ガソリンスタンドやカー用品店でも対応してもらえますが、車の安全性に大きく関わる部分の分解・整備・修理が行えるのが大きな違いです。
    そのため、自動車整備工場を開業するには、一定の作業場面積、必要な設備、整備士資格を持った工員の数などの条件を満たす必要があります。

    自動車整備工場で行う整備内容

    自動車整備工場では、エンジンやブレーキの点検・修理をはじめ、オイル交換やタイヤ交換など、車の安全性と性能を維持するための各種整備を行っています。また、車検や法定点検、最近では自動ブレーキなど電子制御装置の整備にも対応している工場もあります。自動車整備工場の主なサービス内容は以下のとおりです。

    日常点検・整備・メンテナンス

    • エアコンの修理
    • エンジンオイルや冷却水等の消耗品の交換
    • ボディのキズやへこみの修理
    • タイヤのパンク修理・交換
    • バッテリーの点検・交換

    分解整備

    • エンジン、ミッション、ブレーキ等の分解整備

    電子制御装置整備

    • 自動運行装置の整備 ※自動運転レベル3以上
    • 自動ブレーキ用カメラやセンサー等の整備

    車検・法定点検

    • 車検
    • 法定点検(12ヶ月・24ヶ月点検)

    2. 自動車整備工場とディーラーとの違い

    自動車整備工場とディーラーの違いは、ディーラー(ディーラー系工場)が特定メーカーの車を整備・修理するのに対し、自動車整備工場はその多くがメーカーを問わずさまざまな車の整備・修理を行う点です。

    ディーラー系工場は、自動車メーカーの直営や系列であることが多く、特定のメーカーに関する知識と経験が豊富なため、安心感があるのが特徴です。また、メーカー保証の対象となっている場合は、保証期間内であれば無償で修理を受けられるほか、リコールが発生した際にも無償で回収・修理をしてくれるのもメリットです。しかし、純正パーツを使用して修理を行うため、部品代が高くなりやすいというデメリットもあります。

    自動車整備工場はメーカーを特定せず、さまざまなメーカーの整備や修理を行っていることが多いです。国からの認証を受けた工場であるため、作業環境や整備体制が整っている点、国家資格を持つ整備士が在籍している点は、安全かつ確実な整備・修理が期待できます。修理を行う際は、純正品だけでなく社外品や中古品も使用するため、ディーラー系工場と比べて部品代を抑えられる場合があります。ただし、特殊な部品の取り寄せに時間がかかったり、メーカーや車種によっては依頼を断られたりすることもあります。

    3. 自動車整備工場の種類

    自動車整備工場には、「認証工場」と「指定工場」の2種類があります。ここでは、その違いについてわかりやすく説明します。

    認証工場とは

    認証工場とは、地方運輸局長から「自動車特定整備事業」の認証を受けた工場のことです。なお、2020年3月以前は「自動車分解整備事業」として認証されていました。

    指定工場とは

    指定工場は、認証工場の中でもさらに厳しい基準をクリアし、「指定自動車整備事業」の指定を受けた工場をさします。設備や技術、管理体制において細かな要件を満たす必要があり、これに合格した工場だけが指定工場となります。
    指定工場の大きな特徴は、車検を自社で行えることです。このため、「民間車検場」や「民間車検工場」と呼ばれることもあります。

    認証工場と指定工場の違い

    認証工場と指定工場の最も大きな違いは、「車検の完成検査が工場内で行えるかどうか」です。

    認証工場では、車の整備や点検は行えますが、車検の最終工程である「完成検査」を実施するための設備(いわゆる「車検ライン」)は持っていません。そのため、整備が終わった車を陸運局(運輸支局)などの検査場に持ち込んで、車検の検査を受ける必要があります。

    一方、指定工場は、整備・点検から完成検査までを工場内で一貫して行うことができます。そのため、陸運局に車を持ち込む手間が不要で、車検をスムーズに済ませられるのが大きなメリットです。

    4. 自動車整備工場の選び方のポイント

    修理目的で選ぶ

    自動車整備工場を選ぶ際は、「修理目的」に合った工場かどうかを見極めることが大切です。地域の整備工場には、それぞれ得意分野や専門性が異なります。たとえば、エンジン系の修理に強い工場もあれば、電装系や板金修理を得意とする工場もあります。自分の車の不具合や希望する整備内容に対応できるかを事前に確認しましょう。

    予算で選ぶ

    自動車整備工場を選ぶ際には、予算も重要なポイントです。同じ修理内容でも、工場によって料金に差が出ることがあります。そのため、一社だけではなく複数社から見積もりをとり、比較をするといいでしょう。費用だけでなく、使用する部品の詳細、工賃なども確認することで、納得のいく選択がしやすくなります。

    安心感で選ぶ

    見積もりの料金が不明瞭だったり、説明が不十分だったりすると、安心して整備を任せることはできません。料金や作業内容を明確に提示し、丁寧に説明してくれる工場は、信頼性が高いといえるでしょう。
    また、実際にその工場を利用した人の口コミや評判を参考にするのも有効です。スタッフの対応や整備の仕上がりに満足しているかどうかなど、利用者の声から見えてくるポイントは多くあります。

    5. 急な故障・事故なら、保険会社提携工場がおすすめ

    急な故障や事故が起きた場合は、保険会社と提携している自動車整備工場の利用がおすすめです。多くの保険会社は、高い技術力や高性能な設備を備えた信頼性の高い工場と提携しているため、安心して修理を任せることができます。
    さらに、保険会社との連携により、事故後の対応や手続きがスムーズに進むのも大きなメリットです。万が一に備えて、自動車保険に加入しておくことが、安心・安全なカーライフの第一歩になります。

    6. 監修コメント

    以前までフロントグリルの交換などは、ある程度の知識と工具があれば、素人でも行うことができました。しかし、最近の車にはセンサー類が取り付けられていることが多くあります。
    そのため、2024年4月以降、電子制御装置整備認証を取得していなければ、センサー類が取り付けられたフロントグリルやバンパー、フロントガラスなどの交換はできなくなりました。
    違反すると、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。安全性に支障を来たす危険性もあるので、外装部品を交換する場合は、自動車整備工場に依頼されることをおすすめします。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター®︎。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。20年以上にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。許認可申請、入管申請取次、遺言書作成サポートなど法務のほか、記事監修や執筆業も多数手掛ける。自動車業務に熟達した行政書士だけが登録を認められる、ナンバープレートの出張封印が可能な「丁種会員」でもある。

    HP https://inokuchi.pro/

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