車に付着してシミや傷の原因になる「黄砂」は多くのドライバーにとって悩みの種ですが、被害のリスクは日ごろの対策次第で軽減可能です。また、万が一傷がついた場合にも自動車保険を活用することで、出費を抑えられる可能性があります。
当記事ではそんな車に対する黄砂被害に関して、保険適用の可否や修理費用の相場、被害そのものを防ぐ効果的な対策などを解説します。
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1. なぜ黄砂で車に傷がつく?保険は使える?
毎年春になると発生する「黄砂」は、大陸の砂漠地帯の砂が偏西風に乗って運ばれてくる現象です。黄砂の粒子は鉱物を含んでいるため小さいながらも硬く、車に付着したまま放置すると雨などで固まってシミになってしまうほか、車のボディにこすれて傷をつくることもあります。
黄砂による車の傷が車両保険で補償されるかどうかは、損害の発生状況や保険会社の判断によって大きく異なります。車両保険は「偶然な事故」による損害を補償するものですが、黄砂が日常的に付着して生じるシミや微細な傷は、台風や飛び石などによる損害とは異なり、経年劣化に近いものとみなされ、補償対象外と判断されるケースも少なくありません。
一方、大規模な黄砂飛来によって、フロントガラスやボディに損害が発生し「飛来中または落下中の他物との衝突」に該当すると保険会社が認めた場合には車両保険から補償を受けられる可能性があります。実際に被害を受けた場合は、まず加入先の保険会社に相談し、補償の可否を確認しましょう。
2. 黄砂による傷の修理費用の目安
黄砂による車の傷の修理にかかる費用は、修理する方法や傷の程度によって異なります。中でも小さな傷に関しては、カー用品店などで購入できるタッチペンやコンパウンド(研磨剤)などを使用すれば自力で手軽に修理が可能であり、コストも数百円~数千円程度に抑えられます。
一方で、傷の範囲が広い場合には、業者に持ち込むという選択肢もあります。業者に依頼した場合の費用は、軽度な傷でも数万円程度かかるのが一般的です。
費用は依頼先によって大きく異なります。たとえば、ディーラーに修理を依頼した場合、安定した品質に期待できる反面、費用は高くなりやすいでしょう。一方、板金修理業者やカー用品店では比較的費用を抑えられるケースが多いものの、対応範囲や仕上がりに差が出ることもあります。
また、同じ傷であっても、修理する部位(ドア、バンパー、ボンネットなど)や車種、塗装の色によっても費用は変わります。
このように、黄砂による傷の修理には決して安くない費用がかかるケースもあるため、出費を抑えたい場合には傷がつくのをいかに防ぐかが重要です。
3. 黄砂による傷を予防する方法
黄砂による車への被害は、日ごろから以下のような対策を行うことである程度防ぐことが可能です。
車体のコーティング
車のボディやウインドウの表面に施すコーティングは、黄砂のこびりつきや、こすれによる傷から車体を守ってくれます。コーティング剤にはさまざまな種類がありますが、黄砂は水に溶けるとpH7~8程度の弱アルカリ性を示す傾向があります。そのため、耐アルカリ性のコーティングを施すと、黄砂による化学的ダメージの軽減が期待できるでしょう。
ただし、すでに黄砂がついた状態でコーティングを施すと、黄砂を車体にすり込むことになり、かえって傷がついてしまいます。コーティングは車を一度洗車して汚れを落としてから行うか、なるべく黄砂のシーズンの前に行うことを心がけましょう。
定期的な洗車
黄砂のシーズン中は車を使用すると否応なく黄砂が付着してしまうため、こまめに車体を水洗いして黄砂を落とすことが大切です。洗車を行うペースは、屋外に駐車している車の場合は週1回以上、屋内に駐車している車の場合は月1回以上が目安とされています。
黄砂は雨に触れてから乾燥すると取れにくくなるため、雨上がり後はなるべく早く洗車することが重要です。また、車体の隙間に入った黄砂も流せるよう、洗車は水をたっぷり使って高圧の水流で行うとよいでしょう。洗車後は残った水分の拭き取りも忘れてはいけません。
そのほか、車体への摩擦やこびりつきが気になる場合には、一度軽く洗車したうえでカーシャンプーを使うのもひとつの手です。カーシャンプーは直接車体に塗りつけるのではなく、バケツの中などでよく泡立ててから、泡をスポンジですくって使用するとより効果的です。
屋内での駐車
黄砂は風に乗って飛来することから、ガレージなどの屋内スペースに車を駐車すれば付着そのもののリスクを減らせます。車体を市販のカバーなどで覆っても同じ効果が得られるでしょう。
ただし、車に直接取りつけるタイプのカバーは、すでに車体に黄砂がついた状態で使用してしまうと逆にこすれて傷がつく恐れがあるため注意が必要です。
4. 黄砂が付着してしまった際のNG行動
ここからは、車に黄砂が付着した際にしてはいけないことを紹介します。黄砂が付着してしまった、またはその恐れがある場合には、以下の行動を避けつつ適切なタイミングで洗車を行いましょう。
乾いた布・ブラシでこする
黄砂の粒子は硬いため、乾燥した布などで直接拭き取ろうとしてはいけません。黄砂を車体にすり込み、余計に傷がつく原因になってしまいます。
黄砂を取り除く際は必ずはじめに水洗いを行い、残った水分を拭き取る時もマイクロファイバークロスといった柔らかい道具を使うようにしましょう。
いきなり洗車機を使用する
ガソリンスタンドなどで利用できるブラシ式の洗車機は通常の洗車には便利ですが、黄砂のついた車の洗車には適していません。黄砂とブラシの摩擦で車体に傷がついてしまうためです。
もし黄砂のシーズン中に洗車機を利用するのであれば、事前に一度車体の水洗いを行うか、ノンブラシタイプの洗車機を選択することをおすすめします。
風の強い日に洗車する
黄砂の付着後はなるべく早く洗車を行うことが大切ですが、風の強い日に屋外で洗車するのは避けた方がよいでしょう。飛来する黄砂を洗車の過程で新たに巻き込んでしまう恐れがあります。
そのため、洗車はできる限り黄砂の飛来が少なく、風の弱い日を選んで行うようにしましょう。風の強い日が続く場合には、屋内で洗車するのもひとつの手です。
5. 監修コメント
黄砂による車の傷は、修理費用が数万円程度で済むケースが多いため、車両保険を使うかどうかは慎重に判断する必要があります。
仮に黄砂の被害が「飛来中または落下中の他物との衝突」として認められた場合、等級への影響は基本的に1等級ダウンにとどまりますが、それでも翌保険期間の保険料は上がります。さらに、免責金額(自己負担額)が設定されている場合は、修理費用が免責金額を下回ると保険金は支払われません。したがって、保険を使うかどうかは「修理費用」と「翌年以降に増える保険料の合計額」を比べたうえで判断することが大切です。
迷った場合は、保険会社や代理店に相談すれば試算を出してもらえますので、一度問い合わせてみることをおすすめします。
