最終更新日:2026/7/22

火災保険の「個人賠償責任保険(特約)」とは?補償される事故の例や注意点などを解説

多くの火災保険には、オプションとして「個人賠償責任保険(特約)」が用意されています。普段の生活では意識する機会が少ないものの、自転車事故や水漏れなどをきっかけに高額な損害賠償責任を負う可能性はゼロではありません。

本記事では、火災保険にセットできる個人賠償責任保険(特約)の補償内容や具体的な事故事例、特約が必要な方の特徴、他の保険との重複確認方法について解説します。

火災保険にセットできる「個人賠償責任保険(特約)」とは?

個人賠償責任保険(特約)の概要と、この特約が必要な理由について解説します。

個人賠償責任保険の概要と補償対象となる人(家族の範囲)

個人賠償責任保険(特約)とは、住宅の所有・使用・管理に起因する事故や、日常生活において本人または家族が誤って他人にケガをさせたり、他人の財物を壊したりした結果、「法律上の損害賠償責任」を負った場合に補償を受けられる保険(特約)です。

一般的に、以下の方が補償対象となります。

  • 被保険者本人

  • 被保険者本人の配偶者

  • 被保険者本人または配偶者と同居の親族(同居の子を含む)

  • 被保険者本人または配偶者の別居の未婚の子

被保険者本人に限らず、同居の親族や別居の未婚の子まで幅広くカバーされる点が大きな特徴です。

なぜ必要?日常生活に潜む高額賠償リスクと法的責任

民法では、故意や過失によって他人に損害を与えた場合、賠償責任を負う必要があると定められています。故意でなくても適用され、建物の所有・管理や、飼っているペットが原因の事故でも所有者や飼い主が賠償義務を負うことになります(民法709条、717条、718条など)。
日常生活で起こりうるこれらの賠償事故では賠償額が高額になるケースが多く、万が一に備えておくことが重要です。たとえば、2013年には小学生の子どもが自転車で女性を負傷させた事故で、保護者に約9,500万円の損害賠償が命じられた事例が神戸地方裁判所でありました。
特に、相手に後遺障害が残るような重大な事故の場合、数千万円から1億円規模の賠償リスクが生じます。個人賠償責任保険(特約)は、このような高額な賠償リスクに備えるための補償です。

なお、自転車保険との補償内容の違いについては、以下の記事もあわせてご覧ください。

個人賠償責任保険で補償される事故・されない事故

個人賠償責任保険で補償される事故・されない事故

補償される事故とされない事故を、それぞれ具体的に確認しましょう。

補償される事故の具体例

主な補償対象となる事故の例は以下のとおりです。

事故の種類 内容
マンションの水漏れ 洗濯機の水漏れや蛇口の閉め忘れで階下の住人に損害を与えた場合、「住宅の所有・使用・管理に起因する事故」として補償対象となる
自転車事故 走行中に歩行者にケガをさせた場合や電動アシスト自転車での事故も対象となる。ただし、モーターのみで走行できるフル電動自転車は原動機付自転車などに分類されるため対象外
子どもによる事故 ボールを使うスポーツをしていて他人の家の窓ガラスを割るなど、子どもが他人の財物を壊した場合
ペットによる事故 散歩中に飼い犬が他人に噛みつきケガをさせた場合
日用品の破損 買い物中に商品を壊してしまった場合、日常生活上の過失による他人の財物への損害として補償対象となるケースがある
左右にスワイプすることで、表が見られます

個人賠償責任保険(特約)は、自転車事故で相手にケガをさせた場合など、他者への賠償に備えるための保険です。しかし、ご自身のケガは補償対象外となるため、備えが必要な場合は、別途傷害保険などの加入を検討しましょう。

補償されない事故

以下のようなケースは補償対象外となります。

補償対象外のケース 理由
故意による損害 「過失」による損害のみが補償対象のため
台風・降雪などの自然現象に起因する損害 個人に法律上の損害賠償責任が生じないため(ただし自宅の管理状態に著しい不備がある場合は責任が生じるケースもある)
自動車の所有・使用・管理に起因する賠償責任 自動車保険の対象のため
スポーツ中の通常のプレー内で想定される行動による損害 法律上の損害賠償責任が発生しないため
(例:ボクシングの試合など、スポーツのルールに則ったプレー)
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なお、個人賠償責任保険(特約)は第三者への補償をするものです。同居の家族への補償は対象外となります。

「示談交渉サービス」の有無

個人賠償責任保険(特約)を選ぶ際は、示談交渉サービスの有無もあわせて確認することが大切です。

示談交渉サービスとは?

示談交渉サービスとは、事故発生後に保険会社が被保険者に代わって相手方との示談交渉を行うサービスです。このサービスが付帯されていない場合は被保険者自身が相手と直接交渉するか、事故に精通した弁護士を探す必要があります。保険会社の商品ごとで、示談交渉サービスが付帯しているものとそうでないものがあるため、補償範囲をチェックしておくことが重要です。

SOMPOダイレクトの「じぶんでえらべる火災保険」には示談交渉サービスは付帯されていません。

トラブル解決をプロに任せることで精神的・時間的負担を軽減できる

損害賠償の示談交渉は専門的な知識が必要で、一般の方が相手方と直接交渉するのは精神的にも時間的にも大きな負担となります。示談交渉サービスが付帯されていれば、保険会社のプロが交渉を担うため、その負担を大きく軽減できます。

こんな人は加入すべき!個人賠償責任保険が必要なケース

個人賠償責任保険(特約)のセットを特に検討したい方は以下のとおりです。

対象者 リスクの内容
マンションに住んでいる方
  • 水漏れ事故が階下に損害を与えるリスクがある

  • 外出中や旅行中の漏水にも注意が必要

自転車に乗る方
  • 高額賠償を命じられる事故が増加

  • 通勤・通学先の自治体で義務化されているケースも

子どもがいる方
  • スポーツや遊びで他人にケガをさせたり財物を壊したりするリスクがある

  • 別居の未婚の子も対象

ペットを飼っている方
  • しつけをしていても突然噛みつく可能性はゼロではない

  • 飼い主の賠償責任は民法で規定されている

左右にスワイプすることで、表が見られます

上記のいずれかに当てはまる方は、日常生活の中で賠償リスクが生じやすい状況にあるといえます。

他の保険と「重複」していないか?確認方法と注意点

個人賠償責任保険(特約)は複数の保険にセットされているケースがあります。重複すると保険料を余分に支払うことにつながるため、事前に加入状況を確認しましょう。

自動車保険やクレジットカードの付帯保険と重複するケースが多い

個人賠償責任保険(特約)は、火災保険のほか、自動車保険や傷害保険の特約、クレジットカードの付帯保険としてすでにセットされているケースが多く見られます。
重複して加入していても、実際の損害額を超えて二重に保険金を受け取ることはできません。たとえば、1,000万円の補償限度額がある保険に2つ加入している状態で、800万円の損害賠償責任が発生した場合、支払われる保険金は実際の損害額である800万円が限度となります。この場合、一方の保険料が無駄になってしまうため注意が必要です。
ただし、損害賠償額が1つの保険の補償限度額を超えるような高額なケースにおいては、複数の保険から損害額が按分して支払われ、それぞれの限度額の合算額まで補償される仕組みとなっています。そのため、現在の加入状況とともに、設定されている補償限度額を確認することが大切です。

重複していると保険料の無駄払いに!現在の加入状況を確認する手順

加入状況の確認方法は、以下のとおりです。

1.

火災保険の証券・補償内容を確認する

2.

保有するクレジットカード、自動車保険・傷害保険など加入中の損害保険を確認する

3.

家族が加入している保険も確認する(家族も補償対象となっているため)

重複が確認できた場合は、補償額・補償範囲・示談交渉サービスの有無を比較して、条件のよいものに絞ることを検討しましょう。ご自身で補償内容を把握することが難しい場合は、加入している保険会社や専門家に相談することが大切です。

万が一の高額賠償リスクに備え、賢く補償を準備しましょう

火災保険に個人賠償責任保険(特約)をセットしておけば、日常生活の思いがけない事故で法律上の損害賠償責任を負った際に、手厚い補償を受けられます。被保険者本人だけでなく、同居の親族や別居の未婚の子までカバーされる点が大きなメリットです。
すでに他の保険で同特約をセットしている場合は、重複の有無や補償限度額を確認した上で加入を検討する必要があります。それぞれのライフスタイルや家族構成にあった最適な補償を選び、万が一の高額賠償リスクに備えることが重要です。

監修コメント

個人賠償責任保険(特約)は、自分自身だけでなく、家族の日常生活における賠償リスクに備えるためにも大切な保険です。特に子どもやペットがいる家庭では、どれだけ注意していても予期せぬ事故は発生する可能性があります。
近年では自転車事故などにより高額な損害賠償責任が認められるケースもあります。万が一の事故が家計に大きな影響を与えないよう、個人賠償責任保険(特約)に加入しているかを確認するとともに、補償内容や補償限度額が十分かどうかも確認しておきましょう。

監修者プロフィール


辻本 剛士

辻本 剛士(つじもと つよし)

神戸で活動中の独立系ファイナンシャルプランナー。大学を卒業後、医薬品及び医療機器の販売会社に就職し、営業として16年間勤務。在職中に独学で1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者に合格し、2023年1月から独立型FPとして開業。個人向けFP相談と金融に関するWEBライター業務をメインに活動中。また、地域でサッカー指導者としての活動にも携わるほか、中学生向けの金融教育にも取り組んでいる。主な所有資格はCFP認定者、FP1級技能士、宅地建物取引士。

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