車の維持費としてかかるお金は、さまざまな費用を少額ずつその都度支払うため、長い期間では把握しづらい傾向にあります。
そこで今回は、車にかかる年間維持費と節約のポイントを解説します。これから車を購入される方は車の選び方の参考に、現在車を所有している方はいまの車とのつきあいを見直すために、車の維持費を再確認してみましょう。
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1.車の維持にかかる費用一覧
まずは、車を維持するうえで必要な費用を一覧で解説していきます。
購入費用
自動車メーカーのサイトなどで車の価格として表示されているのは、あくまで本体価格です。実質的な購入費用には、車両本体価格のほかに、追加装備の代金や消費税が加わります。また、分割払いで購入する場合はさらにローン金利が加わります。
税金
税金の種類には、普通車の排気量に応じてかかる自動車税、軽自動車にかかる軽自動車税、車の重量に応じてかかる自動車重量税があります。重量税は車検と同時に支払うため、ここでは自動車税・軽自動車税について解説します。
自動車税・軽自動車税
自動車税と軽自動車税は、年一回、車の所有者に郵送で納付書が届き、金融機関やコンビニなどで支払いが可能です。軽自動車の排気量は一律660ccであるため、軽自動車税も一律10,800円です。
自家用乗用車の場合は排気量に応じて税率が異なります。また、2019年9月30日以前に購入した場合と2019年10月以降に購入した場合で、金額が異なります。
排気量に応じた自動車税は以下の通りです。
車検費用
車検とは、車が安全を満たす状態にあるかを確認するための制度です。新車購入後は3年、以降は2年ごとに整備工場などで車検整備を受ける必要があり、その際には税金や整備費用などを支払わなくてはいけません。また、車検の切れた中古車を購入した場合は、改めて車検登録した日から起算して2年ごとに車検を受ける必要があります。
自動車重量税
自動車重量税はその名の通り、車の重量に応じてかかる税金です。
燃費基準を達成していれば、減税を受けることができます。
自家用乗用車の新車新規登録時および継続検査等時における自動車重量税は以下の通りです。
自賠責保険
正式には「自動車損害賠償責任保険」といい、車の所有と同時に義務付けられている保険です。車は便利な乗り物であると同時に、扱い方を間違えれば人の命をも奪いかねません。自賠責保険は、車の運転によって人的な損害を与えてしまった場合に、その賠償額を負担するための保険です。
24ヶ月(2年)契約の自賠責保険料は、以下の通りです。
※離島以外の地域(沖縄県を除く)に適用される保険料
検査手数料
車検の検査手数料とは、車検手続き時に必要な印紙代と証紙代のことです。
※OSSとは、自動車を保有するための手続きと、税・手数料の納付をインターネット上で、一括して行うことを可能にした、「自動車保有関係手続のワンストップサービス」のことです。
点検費用(法定点検含む)
点検費用は、車が安全を満たす状態にあるかを確認するための検査費用です。車種や工場によって料金が異なります。
事務手数料
事務手数料とは、車検を代行しておこなうための人件費などの費用です。工場によっては、代行手数料として請求される場合や、点検費用とまとめて請求される場合もあります。
部品交換費用
車検を通す上で修理しなければならない箇所や、異常箇所がある場合は、修理にかかる部品代と整備費用が車検代に上乗せとなります。部品代や整備費用は車種や状態、工場によって異なるため、厳密に算出することはできません。
任意の自動車保険
車を維持するうえでかかる保険料は、自賠責保険のほかに任意自動車保険があります。任意保険はその名の通り任意に加入する保険であり、自賠責保険では補償しきれない部分を補う保険です。
任意自動車保険の保険料は、車に応じて設定された基本保険料をもとに、年齢や事故歴をあらわす等級、車の使用条件などが加味されて決定されます。車の使用頻度や距離に応じて保険料が変わるほか、保険料を確認しながら補償内容を選ぶことができます。
その他
車の使い方や環境によって変動する、その他の維持費を解説します。
燃料代
車を動かすためには燃料となるエネルギーが必要であり、走行距離に比例して維持費がかさみます。ガソリンエンジンの場合はガソリン代、ディーゼルエンジンの場合は軽油代が燃料代に該当します。電気自動車の場合は充電に必要な電気料金が燃料代に相当します。
それぞれの単価は時期や時間によって変動するため、車の維持費を把握するには、おおよその燃料単価と、車が燃料1Lあたりどれくらい走行できるかを知っておくことが大切です。
ガソリン・軽油で走る内燃機関を搭載した車の燃料代は、走行距離÷燃料1Lあたりの走行距離×燃料単価で求められます。
例えば、ガソリン1Lあたりの価格を130円とし、ガソリン1Lあたり20kmを走行できる車が、年間1万km走行した場合の燃料代は、1万km/年間÷20km/L×130円/L=6万5,000円/年間になります。
駐車場代
住まいの敷地内に車を保管できない場合は駐車場を借りることになるため、駐車場の使用料金も維持費に加算されます。多くの駐車場は一ヶ月あたりの使用料金が請求され、その額面は駐車場がある土地価格によって上下します。
高速料金
高速道路は自動車やバイクのための高速移動専用道路です。走行した距離に応じた高速道路の利用料金を支払う必要があります。
東名高速道路・名神高速道路などの高速国道における利用料金は、(基本料金150円+距離×1kmあたりの料金)×1.1(消費税)で求められます。1kmあたりの料金は普通車の場合24.6円と定められていますが、走行区間によって変動する場合があります。軽自動車は、普通車の20%引きの料金です。また、走行距離100〜200km時は25%割引。200km超は30%割引になります。
メンテナンス費用
メンテナンス費用には、エンジンオイルをはじめとする各部のオイル交換費用や、タイヤの交換費用、故障修理費などの保守整備費があります。車の使用環境や車種によって大きく価格が変動しますが、原則として排気量が大きく高価な車ほど部品代も高価なため、メンテナンス費用が多くかかる傾向にあります。
2.車の維持費を節約する方法
車の維持費には、固定費と変動費があります。固定費とは、税金などの額面が決まった費用です。一方、変動費とは、ガソリン代や任意保険料など車の選び方や使い方によって調整できる費用です。
では、変動費を抑えて車の維持費を抑えるためには、どのような方法があるのでしょうか。
燃費のよい車を選ぶ
燃料代を抑えるには、燃費のよい車を選ぶことが重要です。長い間使用している車や排気量の大きな車、重い車などは、1Lあたりの燃料消費量が増える傾向にあるため燃料代は高くなります。コンパクトカーやハイブリッドカー、電気自動車などの燃費のよい車を購入することで、大幅に燃料代を抑えることができます。
任意の自動車保険を見直す
任意の自動車保険の保険料は、多くの条件のもとで決定されるため、保険の契約条件を見直すことで保険料を抑えることができます。例えば、所有している車を自分しか運転しないのであれば運転者を本人限定にする、運転者に年齢条件をつけるなど、内容を変更することで保険料を安くできる場合があります。
また、補償内容を変更することでも保険料を抑えることができます。事故の際に車の修理代を補償してくれる車両保険に加入している場合は、免責金額(自己負担額)を上げるなどの方法があります。
また、保険代理店で保険契約を結んでいるのであれば、ネット型の自動車保険に変更すると、現在の保険内容を変えずに保険料を安く抑えられる場合があります。
エコカー減税を利用する
車を所有する上でかかる税金は固定額ですが、環境負荷の少ないエコカーと呼ばれる車を選ぶことで減税措置を受けることができます。
電気自動車やプラグインハイブリッド車、クリーンディーゼル車など「次世代自動車」と呼ばれる車は、新車購入時の自動車重量税が免除されるほか、初回の継続車検時の自動車税も免除。また、新車購入翌年の自動車税が75%減税されます。
またガソリン車でも、燃費性能に優れた車は減税措置を受けることができます。車ごとに設定された基準に応じて、新車購入時の自動車税が25〜100%まで減税。また、新車購入翌年の自動車税も50〜75%の割合で減税されます。
3.まとめ
以上で解説した維持費をまとめると、年間あたりの維持費が算出できます。
車の維持には出費がつきものですが、燃費のよい車を選んだり、保険を見直したりすることで、維持費はずいぶん変わってきます。まずは現在の年間維持費を再確認することから始め、出費を抑えられるかをぜひ探ってみてください。
4.監修者(FP事務所アイプランニング)コメント
マイカーを所有する時、車の価格だけに目が行きがちですが、ぜひ維持費にも目を向けてみてください。車を持っている人は、自動車保険を見直してコストダウンを図るのも有効です。これから買う人は、エコカーは減税の対象となり、燃費がよいためガソリン代の節約にもなります。維持費を工夫し、快適なカーライフを送りましょう。
監修:FP事務所アイプランニング