火災保険ガイド
落雷の被害にあったらどうなる?危険性や身を守る方法、損害への備えを解説
最終更新日:2023/7/26
ゲリラ豪雨など天気の急変が多い昨今、落雷による被害を心配される方も多いかもしれません。
しかし、落雷は怖いものという認識はあっても、どれほどの危険性があるのか、実際に雷が人間の体に直撃したときにどのような影響があるのか、落雷による家の損害が出たときに火災保険でカバーされるのかなど、落雷について気になる方もいるでしょう。
そこで本記事では、落雷の仕組みや危険性、遭遇したときの適切な対処法、火災保険で補償される可能性などをわかりやすく解説します。
落雷とは?どんな危険がある?
落雷とは、雷が落ちることを意味します。大きな轟きとともにまぶしい光を放ち、一瞬にして終わるように見える落雷ですが、実際にはいくつもの段階を経て起こる巨大な放電現象です。
雲が発達すると積乱雲になり、内部で氷の粒がこすれて静電気が起こります。この静電気によって雲のなかで電荷(物体が帯びる電気の量)の偏りが起こり、偏りを中和するために地表へ放電されたときに落雷が起こります。
人間の体は電気を通しやすい性質であるため、雷が直撃すると電流が体内や皮膚表面を流れて、さまざまな損傷を引き起こします。落雷で起こりうる人体への損傷には次のようなものがあります。
心肺停止:頭部から上半身にかけて雷が直撃した場合、死に至るケースも多い
やけど:体の皮膚表面だけに電流が流れた場合に起こりやすい
意識障害:頭部に電流が流れると一時的な意識障害に陥り、稀に後遺症になる場合がある
鼓膜穿孔(こまくせんこう):耳の鼓膜が破れることであり、落雷による爆風など間接的な損害として起こる
落雷は、積乱雲が発達すると山や海、平野など、どこでも起こる可能性があります。特に危険なのが、グラウンドや山頂、平地などの開けた場所です。発達した積乱雲から人体へ直接落雷する、いわゆる「直撃雷」を受けると約7~8割の方が死亡するとされています。
また、人体へ雷が落ちるときのパターンには、近くにあった樹木などから人体へ電流が飛び移る「側撃雷」もあります。
落雷の発生件数
気象庁の公表する統計データによると、2020年までの過去30年間の雷発生日数は、もっとも多い金沢で年平均45.1日、もっとも少ない札幌で年平均9.2日です。ほかには、東京で14.5日、大阪で17.3日、福岡で25.5日となっています。
こうしたデータからは、落雷の発生傾向を読み解けます。
1つ目は「季節」です。夏(6~8月)は全国の広い範囲で雷が観測されますが、冬(12~2月)は日本海沿岸で多くなります。夏は気温が高く、日中に暖められた地面の空気が上昇して積乱雲に発達しやすいためです。
2つ目は「地理」です。日本海側では大陸から吹く寒気が日本海で暖められるため、冬でも積乱雲が発生しやすくなります。そのため日本海側の地域では、太平洋側に比べると冬でも落雷件数が多い傾向にあります。
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出典:気象庁「雷の観測と統計」
落雷から身を守る方法
大きな積乱雲が迫っている、雷の音や光を確認できるなど、落雷のリスクに遭遇したときには、安全な空間に逃げるなど、すぐに身を守る行動を取ることが大切です。
屋外にいる場合と屋内にいる場合の2パターンに分けて、ご自身の身を守る方法を紹介します。
屋外にいるときの場合
屋外にいるときに雷が発生したときは、壁面に電流を通しやすい素材(金属など)が使われている鉄筋コンクリート造の建物や車などの乗り物、避雷設備のある建物などの安全な空間への避難が有効です。
ただし、屋内や乗り物内であっても、屋根と柱だけで壁のない設備や掘建て小屋、テント、オープンカーなど、外部と遮断されていない空間は安全とはいえないので注意が必要です。
近くに建物や乗り物がない場合には、落避雷針に近い役割を果たすため、配電線や送電線などの電線の下も安全性が高いといわれます。
また、電柱と電柱をつなぐ電線の中央あたりの真下で45度の角度で見上げる位置で、しゃがんだ体勢で電線から4m以上距離を取った状態を維持しましょう。この位置は保護範囲といわれており、野外で最も安全性が高いとされています。
建物や電線など安全な場所を確保できない状況では、落雷が人体に直撃するリスクが高まります。雷は高いところに落ちやすい特徴があり、開けた場所や山頂や屋上などの高い場所では、人間がいちばん「高い」存在となるため危険です。
雷鳴が鳴り響いている場合は、姿勢を低く保ち、膝をつかないように両足を閉じてしゃがみ、耳をふさぎます。地表からの突出物として、雷の標的とならないようにすることが大切です。
ただし、姿勢を低くしようと腹ばいや寝転がりの姿勢をとるのは危険です。地面に接触した部分から電流が流れ、しびれや痛み、やけどにつながる可能性があります。
木の近くは危険性が高い?
木は落雷の電流を通しにくい性質があります。そのため、人が木の近くにいると電気を通しやすい「人」への側撃雷が起こりやすくなります。
木を介した側撃雷も落雷の直撃と同じ程度の電流を人体に受けるため、死亡や重症になるリスクが高まります。
そのため、雷鳴が鳴り響いている場合は木の近くからすみやかに離れることが重要です。幹や枝、葉など、最低でも木全体から2m以上は離れましょう。
ここで注意したいのが、木造の家の軒下への避難です。木造建築物の軒下は木の近くにいる状態と落雷リスクがほとんど変わらず、側撃雷にあう可能性があります。
屋内であれば、鉄筋コンクリート造の建物よりも安全性は下がるものの基本的に安全です。軒下は避けて、屋内へ避難しましょう。
屋内にいるときの場合
建物や乗り物などの屋内にいると身の安全を守りやすいといえますが、さらにリスクを回避するために注意すべきことがあります。
電話線や電源、アンテナ線などは、建物外から屋内へ雷の電流が侵入するルートになる可能性があります。電気器具や壁などからは1m以上離れて、電化製品などからの感電に注意しましょう。
また、多くの建物に備わっている水道管や排水管などの金属管も、雷が侵入しやすいとされています。特に、水を使う場所では感電リスクが高まるため、落雷中は洗い物や入浴を避けるとより安心です。
自宅でも落雷対策!適切な備えと対処法
前述のとおり、家などの屋内にいる場合は、雷が落ちても人間の体の安全は守りやすいといえます。しかし、「雷サージ」と呼ばれる落雷によって生じた瞬間的な過電流や過電圧で、直撃を受けていないにもかかわらず電化製品が故障するなどのさまざまな弊害が生じる場合があります。
雷サージは、落雷した地点から最大半径2kmもの広範囲で発生し、通信線や電源線を通って大電流を流し込み、電化製品に影響を及ぼします。
避雷針のあるビルやマンションでも雷サージは避けられないため、落雷にあう心配はなくても以下のような対策が必要です。
雷サージに対応した電源タップなどを使う
雷サージを完全に防げるわけではありませんが、雷サージに対応した電源タップを使うと被害や損害のリスクを下げられます。雷サージ対応の電源タップは、一時的かつ過剰な電圧を吸収し、家電への影響を食い止めてくれます。ただし、1回でも過電圧を吸収すると保護機能が損なわれるので注意しましょう。
電源タップを使うときにはタコ足配線はしない、雷が鳴っている最中に電源プラグの抜き差しはしないなど、電源タップに負荷をかけない対応も大切です。また、ブレーカーの避雷器を取り付ければ、雷サージによる電流が屋内に侵入するのを防ぐ効果が期待されます。
雷が近づいたら電源に触らない
雷サージはいつ、どこから侵入するかわかりません。過電流や過電圧でご自身やご家族が傷つかないように、落雷発生時は電源類には触らないようにしましょう。
侵入ルートになりやすい、ケーブル類が集中する電話やネットワーク家電などの通信機器の電源は、特に被害を受けやすく注意が必要です。充電中のノートパソコンやスマホも例外ではありません。
どうしても通信機器の電源に触らなければならない場合は、ゴム手袋をつけるなど、電気を人体に通さない工夫が大切です。
停電した場合は電源プラグを抜く
落雷で自宅が停電した場合、電化製品の電源プラグを抜いておくと安心です。たとえ電源を入れていなくても、コンセントがつながっていれば雷サージからの影響を受ける可能性があります。
停電している間に電源プラグを抜いて、雷サージの侵入ルートを遮断しましょう。
停電中に電源プラグを抜いておくと、停電から回復したあとに電化製品がいっせいに再運転を始めて、ブレーカーやヒューズが飛ぶのを防ぐ役割も果たします。エアコンなど電力使用量の高い電化製品を優先すると効果的です。
日頃からデータのバックアップを取っておく
雷サージの影響で、パソコンやHDD、スマホなどが壊れ、保存していたデータが消える場合があります。そのため、万が一に備えて日頃からバックアップを取っておくことも、落雷への備えになります。
データのバックアップには、オンラインストレージサービスなどを活用すると良いでしょう。オンライン上でデータを保存できるので、落雷による消失の不安がありません。
落雷による損害は火災保険で補償される
雷は、予期しにくい自然災害です。家に対する落雷対策を講じて被害を抑えられても、雷サージは完全に食い止められませんが、落雷による家の損害は火災保険で補償されます。
ただし、火災保険の補償対象である「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」のうち、「建物のみ」を補償対象としている場合は、電化製品などの家財の損害は補償されないため注意しましょう。
建物の補償例
家財の補償例
落雷による家の損害を補償したい場合は、火災保険への加入がおすすめです。
落雷ではまず人命の保護を!家の損害は火災保険でカバーしましょう
落雷は、発達した積乱雲があるところではどこでも発生する可能性があります。雷の電流は人体を通りやすく、落雷が直撃すると命に関わります。いざというときは屋内へ避難する、姿勢を低くするなど、安全を確保できる適切な対応を取りましょう。
また、自宅で落雷の直撃を避けたとしても、雷サージと呼ばれる過電流や過電圧で電化製品が被害を受ける場合もあります。
火災保険は損害を予期しにくい落雷への備えになるため、火災保険の加入を検討してはいかがでしょうか。
監修者プロフィール
おりえ
総合危機管理アドバイザー
防犯・防災、護身術の講演会やセミナー、イベント、メディア対応など幅広く活動。日本一非常食を食べていると自負する非常食マイスターでもある。総合防犯設備士、危機管理士、防災士、世界硬式空手道連盟顧問。
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