最終更新日:2024/7/17

火災保険の免責金額とは?仕組みや決め方をわかりやすく解説

火災保険の見積りや契約をするときには、「免責金額」の設定を求められるケースがあります。あまり聞き慣れない言葉のため、どのような意味で、どのように設定すれば良いのか、戸惑う方もいるかもしれません。

保険における免責金額とは契約者の自己負担額のことを指します。この免責金額について理解することで、効率良く保険料を抑えられるなどのメリットがあります。

本記事では、火災保険の免責金額の概要とその必要性、金額の設定方法、金額を決めるときの考え方をわかりやすく解説します。

火災保険の免責金額とは加入者の自己負担額のこと

火災保険の「免責金額」とは、保険金の支払い対象となる損害が生じたときに、加入者が自己負担する金額を意味します。免責金額は火災保険を契約するときに契約者自身で設定します。

火災保険の「免責」には免責金額のほかにも、全く別の意味を指す「免責事由」があります。免責事由は保険会社が損害に対して保険金の支払責任を負わないケースのことを指し、約款であらかじめ決められています。

例えば、地震や噴火、津波による損害は、火災保険の免責事由の1つです(これらの損害に備えるには、「地震保険」に加入する必要があります)。

「免責金額」と「免責事由」は全く異なる意味合いの言葉なので、混同しないようにしましょう。

免責金額の種類

火災保険の免責金額には、「免責方式(エクセス方式)」と「フランチャイズ方式」の2種類があります。

免責方式(エクセス方式)は、損害額が免責金額を超えた場合に超過分のみ補償されるものです。一方のフランチャイズ方式は、損害額が免責金額以上になれば、保険金額を上限に損害額の全額が支払われます。

免責金額20万円の場合の2つの方式の違いを、表で確認しましょう。

免責金額20万円の場合

損害額 支払われる保険金
免責(エクセス)方式 フランチャイズ方式
10万円 0円
(10万円-20万円)
0円
(10万円<20万円)
20万円 0円
(20万円-20万円)
20万円
(20万円=20万円)
左右にスワイプすることで、表が見られます

免責(エクセス方式)方式は、損害額が免責金額を上回るときにその差額(超過分)を受け取れます。一方のフランチャイズ方式は、設定された免責金額に達するまで保険金は0円です。

このように、免責(エクセス方式)方式では損害額にかかわらず自己負担が生じます。

フランチャイズ方式は、損害額が免責金額以上となれば、その損害額に応じた保険金を自己負担なしで受け取れます。一方で、免責金額は20万円など、免責(エクセス)方式と比較して設定可能な免責金額が高額なことが多く、比較的大きな損害でないと保険金を受け取ることができません。

現在の火災保険の免責金額は、免責(エクセス方式)方式が主流です。しかし、2つの方式を補償内容ごとに使い分ける商品など、保険会社や商品によっても違いがあります。受け取れる金額が変わる可能性があるので、加入する火災保険がどのような方式なのかは確認しておきましょう。

なぜ免責金額を設定するのか?

火災保険の免責金額を設定すると、保険料負担を軽減できるメリットがあります。

免責金額の設定額を高くするほど保険料を抑えられるため、小さな損害への備えはご自身で行い、大きな損害には保険料を抑えながら備えられます。

実際にSOMPOダイレクトの「じぶんでえらべる火災保険」で風災、雹(ひょう)災、雪災の補償の免責金額を変えて保険料を試算すると、次のようになります。

免責金額(自己負担額) 年間保険料(一括払)
免責金額0円 8,800円
免責金額5万円 8,680円
免責金額10万円 8,430円

【シミュレーションの条件】建物保険金額:2,500万円、家財保険金額:1,110万円、保険始期年月:2024年10月、保険期間:1年、建物区分:一戸建て、建物構造:T構造、所在地:東京都、建築年月:2024(令和6)年10月 ※地震保険、水災補償、特約を除く

火災保険の免責金額の設定方法

火災保険の免責金額の設定方法

火災保険の免責金額を設定するときには、損害が生じたときにいくらまでならご自身で負担できるか、家計に負担とならないかを考えることが大切です。

保険料を抑えるために免責金額を高く設定しすぎると、いざというときに自己負担が大きくなり、生活に支障が出る恐れがあります。

保険料を抑えられる点は契約者にとって魅力ですが、免責金額を設定するときには、火災保険の本来の目的である「補償」を優先して考えましょう。

免責金額の設定では住宅の災害リスクも重要な要素です。災害リスクは、住まいの地域や住宅の種類によって大きく変わります。

例えば、豪雪地帯に住まいがあれば雪災への備えが重要になるため、補償は手厚いほうが良いでしょう。また、近年の自然災害の発生状況、居住地のハザードマップなどを確認して、考え得るリスクに対しては免責金額を下げて補償を手厚くしておきましょう。

ハザードマップは、国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」で確認できます。

火災保険の免責金額の決め方

火災保険の免責金額は、保険会社や商品によって、対象となる補償や設定方法などが異なります。

先述のとおり、火災保険の多くは免責方式を採用しています。一部の補償に対して、「免責なし(0万円)」「5万円」「10万円」のように、いくつかの選択肢から免責金額を選べる商品が一般的です。

ただし、免責金額のルールは保険会社や商品ごとに多種多様です。免責方式でも、すべての補償で一律に免責金額が設定される保険もあれば、補償内容ごとに免責金額を設定できる保険もあります。

設定できる免責金額にも幅があり、20万円のように大きな金額を設定できる保険会社もあります。

免責金額が一律の火災保険はわかりやすいのですが、補償内容ごとに免責金額を設定できる火災保険のほうが、リスクに応じて効率良く備えられます。

しかし、免責金額をいくらに設定したか把握していなければ、いざというときに思っていたより受け取れる保険金が少ないという事態にもなりかねません。

免責金額の設定方法を理解したうえで、いざというときに負担できる範囲で保険料とのバランスを考えて免責金額を設定しましょう。

火災保険の免責金額は、いざというときを想定して無理のない設定を

火災保険の免責金額は、高く設定するほど保険料を抑えられるメリットがあります。しかし、優先すべきは保険本来の目的である「補償」です。いざというときの経済的な負担が大きくならないよう、家計に無理のない範囲で免責金額を設定しましょう。

また、免責金額の設定では、住まいの地域や住宅のリスクも考慮するのがポイントです。

免責金額のルールは保険会社や商品ごとに異なり、補償ごとに細かく設定できる商品や、一律で設定する商品などがあります。

保険金を受け取るときに自己負担がいくらになるのか、加入する火災保険の免責金額はしっかり把握しておきましょう。

監修者プロフィール


竹国 弘城

竹国 弘城

証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自分のお金の問題について自ら考え、行動できるようになってもらうためのサポートを行う。【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®

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