海外旅行や海外出張、駐在でレンタカーを利用したいと考えている方にとって、国際免許は欠かせない存在です。しかし、どうやって取得するのか、どこで申請できるのかなど、わからないことも多いのではないでしょうか。この記事では、国際免許の取り方や必要書類、手続きの流れ、注意点までをわかりやすく解説します。
- 目次
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1. 国際免許とは?
国際免許の定義
国際免許とは、外国(ジュネーブ条約締約国)で運転するための運転免許証です。一般的に国際免許といわれることが多いですが、正式には「国外運転免許証」といいます。
法律上は日本で発行された海外で通用する運転免許証が「国外運転免許証」と定められていますが、本記事では分かりやすさを重視し「国際免許」を使用します。
国際免許が使用可能な国・地域
国際免許が適用されるのは、ジュネーブ条約加盟国のみです。以下が国際免許を使用できる国の一覧です。
ただし、一部地域や国では例外もあります。例えば、ハワイでは「入国後1年以内」、グアムでは「入国後30日以内」かつ「21歳以上」、台湾では、「日本の運転免許証の中国語の翻訳文を添付」すれば、日本の運転免許証で運転ができます。このように例外もあるので、渡航前にはその国の大使館のウェブサイトなどを確認しておきましょう。
| ジュネーブ条約締約国一覧 ※2025年10月時点 | |
|---|---|
| ア行 | アイスランド、アイルランド、アメリカ合衆国、アラブ首長国連邦、アルジェリア、アルゼンチン、アルバニア、イスラエル、イタリア、インド、ウガンダ、英国、エクアドル、エジプト、エストニア共和国、オーストラリア、オーストリア、オランダ |
| カ行 | ガーナ、カナダ、カンボジア、キプロス、キューバ、ギリシャ、キルギス、グアテマラ、クロアチア、コートジボワール、コンゴ、コンゴ民主共和国 |
| サ行 | サンマリノ、シエラレオネ、ジャマイカ、ジョージア、シリア、シンガポール、ジンバブエ、スウェーデン、スペイン、スリランカ、スロバキア、スロベニア、セネガル、セルビア |
| タ行 | タイ、大韓民国、チェコ共和国、中央アフリカ共和国、チュニジア、チリ、デンマーク、トーゴ、ドミニカ共和国、トリニダードトバゴ、トルコ |
| ナ行 | ナイジェリア、ナミビア、ニジェール、日本、ニュージーランド、ノルウェー |
| ハ行 | ハイチ、バチカン、パプアニューギニア、パラグアイ、バルバドス、バーレーン、ハンガリー、バングラデシュ、フィジー、フィリピン、フィンランド、フランス、ブルガリア、ブルキナファソ、ブルネイ、ベナン、ベネズエラ、ペルー、ベルギー、ボツワナ、ポーランド、ポルトガル |
| マ行 | マダガスカル、マラウイ、マリ、マルタ、マレーシア、南アフリカ共和国、モナコ、モロッコ、モンテネグロ |
| ヤ行 | ヨルダン |
| ラ行 | ラオス人民共和国、リトアニア、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、ルーマニア、ルワンダ、レソト、レバノン、ロシア連邦 |
| その他 | 香港、マカオ、フランスの海外領土(フランス領ポリネシア等)、アルバ、キュラソー島、シント・マールテン、ケイマン諸島、マン島、ガーンジー、ジャージー、ジブラルタル、アメリカ合衆国の海外領土(グアム、プエルトリコ等) |
※加盟状況は随時変わるため、最新の情報は警察庁または外務省のWebサイトでご確認ください。
有効期間
国際免許の有効期間は、発行日から1年間です。都道府県によっては、期限が切れた場合の返納をお願いしている場合があります。
なお、日本の運転免許証の有効期間が切れると、国際免許の効力も失います。外国に滞在中、日本の運転免許証の期限が切れる場合は、「更新期間前の更新手続き」という特例の手続きを利用することをおすすめします。
2. 国際免許の取り方
取得条件
日本の運転免許証を持っている方であれば、申請が可能です。しかし、大型特殊免許、小型特殊免許、原付免許、仮免許のみの方は申請ができません。
申請場所
お住まいの地域の運転免許センターや運転免許試験場、指定の警察署で手続きができます。受付は平日のみの場合が多いですが、東京の運転免許試験場(府中・鮫洲・江東)や神奈川の運転免許センター、千葉の運転免許センター(千葉・流山)では日曜も受け付けています。事前に、手続きをする場所のウェブサイトなどで受付時間を確認しておきましょう。
必要書類一覧
| 必要書類 | 備考 |
|---|---|
| 国外運転免許証交付申請書 | 窓口に設置。 |
| 運転免許証 | マイナ免許証を持っている方は、マイナ免許証も持参。 |
| 写真1枚 | 縦4.5cm×横3.5cm、無帽、正面、顔中心、無背景、6ヶ月以内に撮影したもの。 |
| パスポート(原本) | パスポートがない場合は、渡航を証明する書類(海外赴任証明書、留学証明書、eチケット等)が必要。 |
| 国際免許 | 古い国際免許を持っている場合。 |
取得にかかる所要時間
運転免許センターや運転免許試験場では、国際免許が即日交付されることが多いです。しかし、警察署の場合は交付に2〜3週間かかる場合もあります。書類に不備があった場合には、さらに時間がかかることもあるので、渡航日も考慮し、余裕を持った手続きを行いましょう。
費用
国際免許の発行手数料は、2,250円です。お住まいの都道府県によっては、キャッシュレス決済を原則しているところもあります。その場合は、現金ではなく、クレジットカードや電子マネー、交通系電子マネー、コード決済などの決済手段を用意しておきましょう。
3. 国際免許使用時の注意点
海外での運転ルールを確認しておく
海外では、一部の運転ルールが日本と異なるケースがあります。例えば、日本では左車線走行・右ハンドルですが、台湾やアメリカでは右車線走行・左ハンドルです。また、一般道路や高速道路での制限速度は、国によって異なることが多いです。安全のために、現地の運転ルールは必ず確認しておくようにしましょう。
日本の運転免許証とパスポートも携帯
国際免許を取得したとしても、それだけでは運転ができません。運転する際には、国際免許と日本の運転免許証、パスポートも必要になります。
なお、マイナ免許証の場合、渡航先によっては、マイナ免許証が運転免許証とみなされない場合があります。そのため、マイナ免許証だけではなく、従来の運転免許証も持参するようにしましょう。
日本の自動車保険は、海外での自動車事故は対象外
日本で加入している自動車保険は、基本的に日本国内での自動車事故が対象で、外国での自動車事故は適用されないことが多いです。現地では、レンタカーなどを借りる際、任意保険に加入できます。しかし、現地の言葉で契約内容を把握しなければいけない難しさはあります。
なお、基本的に海外での怪我や病気といったトラブルは、海外旅行保険で補償されます。
4. 国際免許に関するQ&A
国際免許は更新できる?
基本的に、国際免許は更新できません。期限が切れた場合、新たに取り直す必要があります。なお、新たに取得する際には、古い国際免許の返納を求められる場合があります。
国際免許は代理で取得できる?
条件付きですが、代理申請は可能です。代理申請が可能となる条件は以下です。
- 申請者がすでに海外に渡航していること。
- 申請者が持つ日本の運転免許証の有効期間が、3ヶ月以上あること。
- 代理人(親族のほか、知人、友人、会社関係者など)が、申請者との関係を明らかにできること。
必要書類は、「国外運転免許証交付申請書」「申請者の運転免許証(原本)」「申請用写真」「パスポートの全ページの写し(渡航後かつ出国スタンプが押されているもの)」「委任状」「代理人の身分証明書」です。
国際免許を紛失してしまった。再交付はできる?
再交付はできません。新しい国際免許を取得する必要があります。
5. 監修コメント
日本の運転免許証は期限が切れると失効し、不要になった場合は破棄することもできます。そのため国際免許においても同様に考えがちですが、期限が切れた国際免許証は取り扱いに注意が必要です。古い国際免許証をすでに返納しているか、または新たに国際免許を取得する際に返納しない場合、都道府県によっては新しい免許証の交付を受けられない場合があるからです。
法令で義務付けられてはいませんが、期限切れの国際免許証は適切に管理・返納するようにしましょう。
