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アイドリングストップは本当に節約になる?メリット・デメリットや賢い使い方を解説

更新

2026/06/15

公開

2020/10/07

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こまめにエンジンを停止することで、燃料消費量と排気ガスを低減する「アイドリングストップ」。しかし、メリットばかりに思えるアイドリングストップにも実は意外な欠点があり、近年ではバッテリーの交換コスト抑制などを目的にあえて機能を搭載しない車も増えてきています。

実際のところ、アイドリングストップを活用しているドライバーの中にも「本当はどの程度効果があるのか」と疑問に感じている方は少なくないはずです。そこで本記事では、アイドリングストップの仕組みを踏まえて効果とコストを比較し、節約につなげるための有効な活用法を紹介します。

目次

    1. アイドリングストップとは

    アイドリングストップとは、信号待ちや一時停止といった停車時にそのつどエンジンの稼働(アイドリング)を止めること、およびそれを自動で行う車の機能を指します。

    車のエンジンは停車中でも絶えずガソリンを消費するため、極力エンジンを停止させておくことは余計な燃料の消費を抑えることにつながります。また、排気ガスの排出量削減にも効果があることから、地球環境にも配慮した機能としてアイドリングストップは多くの車に搭載されてきました。

    アイドリングストップの仕組み

    アイドリングストップの具体的な作動条件はメーカーや車種によって異なりますが、多くの車は停車してブレーキペダルを踏んでいることなどを条件にエンジンが停止します。その後、ブレーキペダルから足が離れるなどの操作を検知するとエンジンが再始動します。

    現在のアイドリングストップ機能は緻密な制御により、エンジン停止状態がドライバーのストレスにならないように配慮しつつ、なるべく長い間エンジンを停止することが可能となっています。また、発進と停止が頻繁に繰り返された際には、システムが渋滞中と判断して必要以上にアイドリングストップをしないよう自動で制御してくれる車もあります。

    2. アイドリングストップのメリット

    アイドリングストップ機能は街中を走る車の多くに搭載されており、それはメリットが多いことの証明でもあります。では、具体的にはどんなメリットがあるのでしょうか。

    ガソリンの節約

    アイドリングストップは停車中の無駄な燃料消費を減らすため、ガソリンの節約に効果を発揮します。特に信号待ちの多い市街地走行では、一定の燃費改善が見込めます。

    環境省の試算によると、1日に5分間のアイドリングストップを行うことは年間で約1,900円の節約につながるとされています。より長い時間行えば、その分節約効果はさらに増すことでしょう。

    出典
    環境省「地球温暖化対策のための税の導入」

    排気ガスの削減

    車の排出ガスには、窒素化合物(NOx)や粒子状物質(PM)などの大気汚染物質に加え、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)も含まれています。これらは現在大きな問題となっている大気汚染や地球温暖化の原因とされ、世界中で削減に向けた取り組みが進められています。

    そんな排気ガスおよび大気中の有害物質を減らす上でも、アイドリングストップは有効な方法とされています。たとえば先述の環境省の試算に基づくと、車がアイドリングを1日5分間、1年間継続して行った際の二酸化炭素排出量は年間で約39kgにのぼります。そのため、もし国内の四輪車およそ7,846万台(※1)すべてが毎日5分間のアイドリングストップを1年間継続すれば、「39kg×7,846万台=3,059,940,000kg」、つまり年間約306万トンもの二酸化炭素を削減できる計算になります。

    また、日本人ひとり当たりの二酸化炭素排出量は9~10トンとされています(※2)。つまり5分間のアイドリングストップには、日本人約30万人分もの二酸化炭素排出量を削減する効果があるのです。

    (※1)出典
    日本自動車工業会「四輪車(保有・普及率)」
    (※2)出典
    国立環境研究所「FAQ(FAQ5. 一人当たりの排出量)」

    騒音の低減

    ドライバー自身は自覚がなくても、道路近くで生活する方にとってアイドリングの騒音は悩ましい問題です。実際に、車のアイドリング時に生じる音は約63~75dB(デシベル)に達しており、洗濯機(約64~72dB)や掃除機(約60~76dB)と同等の大きな音を立てていることになります。

    アイドリングストップには、こうした停止中のエンジン音をなくし、近隣への騒音被害を防ぐという役割もあります。

    3. アイドリングストップのデメリット

    いいことずくめに思えるアイドリングストップにも欠点は存在します。ここからは、アイドリングストップのデメリットについて解説していきます。

    バッテリーの消耗劣化を早める

    エンジンの始動には非常に大きな電力を消費するため、停車のたびに頻繁にエンジン始動・停止を繰り返すアイドリングストップはバッテリーへの負荷を増やすため、結果的にバッテリーそのものを劣化させてしまう原因となります。

    こうした負荷に対応するため、アイドリングストップ搭載車には短時間で急速に充電できる特性(充電受入性)に優れた、専用の高性能バッテリーが搭載されています。とはいえ、それでもアイドリングストップ搭載車のバッテリー寿命は一般的なバッテリーの寿命の目安である2〜4年よりも短い傾向にあり、早期に交換が必要となります。

    さらに、アイドリングストップ搭載車のバッテリーは非常に高性能な分価格が高めであり、交換にかかるコストが大きいのもデメリットです。

    エアコンが停止する

    ガソリン車では、冷房にエンジンの力を利用し、暖房はエンジンの熱を活用している車が多いため、アイドリングストップでエンジンが停止すると冷暖房の効きが弱くなる場合があります。エンジン停止時にも使える電動式エアコンは消費電力が大きく、バッテリー容量に余裕があるハイブリッドカーでなければ搭載が難しいという実態があります。

    メーカーによってはエアコン経路の断熱性を高めるなどの対策で冷風を持続させるように工夫していますが、そうした車でも冷風の持続時間は60秒程度とそれほど長くはありません。特に、真夏における長時間のアイドリングストップには注意が必要です。

    部品の消耗が早くなる可能性がある

    エンジンが停止した状態から一瞬でエンジンを始動してエンジン回転数を上げることは、セルモーターを始めとする始動系部品のほか、エンジン各部にも一定の負荷をかけます。もちろんメーカーは各部に相応の耐久性をもたせていますが、アイドリングストップ搭載車は非搭載車の数倍~数十倍ものエンジン始動を繰り返すため、その分各部の劣化は早まってしまいます。

    特に、エンジンを支えるためのエンジンマウントはゴム製であり、ただでさえ劣化しやすい部品です。頻繁なエンジン始動による振動によってエンジンマウントが劣化してショックを吸収できなくなると、車体そのものの揺れにつながり、ドライバーにもストレスを与えます。場合によっては、早期にエンジンマウントの交換を迫られるケースもあるようです。

    エンジンストップや再始動のタイミングが若干遅れる

    メーカーによって条件は異なりますが、アイドリングストップ機能はドライバーのブレーキペダルやハンドルの操作を検知して自動で即座にエンジンの停止や再始動を行います。しかし、さまざまな条件が重なると、これらの仕組みが機能するタイミングは通常よりも遅れることがあります。 

    例えば、赤信号でアイドリングストップした瞬間にすぐに青信号に変わってしまったときなどには、エンジンの再始動がワンテンポ遅れてしまう場合があります。こうしたタイミングの遅れは状況によっては周囲の車の流れを止めてしまう原因になるため、常に余裕をもって運転操作を行うことが大切です。

    4. アイドリングストップの効果とコストはどちらが高い?

    アイドリングストップはガソリンの消費を抑える一方で高性能なバッテリーが必要であり、バッテリー自体の消耗も早めてしまうため、「コストの節約」という点に関してはその効果を疑問視する声もあります。では、実際には損得どちらが大きいのでしょうか。

    ガソリン代の節約効果

    一般的な自動車のエンジンが1分間で消費するガソリンの量は約13mlとされており、その量は1L=167円として価格に換算すると約2.1円になります。つまり、1分間アイドリングストップを行えば約2.1円の節約となり、10分間では約21円節約できるという計算です。

    この値をもとに1日10分のアイドリングストップを1年間毎日行ったと仮定すると、年間の節約額は約7665円となります。実際には毎日車に乗るというケースはまれかもしれませんが、この値からはこまめなアイドリングストップに一定の節約効果があることがわかります。

    バッテリーの交換コスト

    アイドリングストップ車専用の高性能バッテリーの相場は1万5000円~3万円程度となっており、その寿命はおよそ2~3年とされています。これらのデータを踏まえると、1年単位に換算したコストは5000円~1万5000円程度です。

    一方、標準的な車用バッテリーの相場は8000円~1万5000円程度、寿命は約2~4年のため、そのコストは1年単位に換算すると2000円~7500円程度となります。つまり、アイドリングストップ車はその差額である3000円~7500円分だけバッテリーのコストが高くかかるというわけです。

    とはいえ、先述したアイドリングストップによる年間の節約額の目安が約7665円であることを考えると、コストの増加分を節約分でまかなうことは十分に可能といえます。10分以上のアイドリングストップを1年にわたり継続して行えば、コスト以上の節約効果を得られる可能性もあるでしょう。

    アイドリングストップには燃費以外の節約効果も!

    上記の比較からもわかるように、アイドリングストップを行うことによる節約効果は車の使い方によるところが大きいため、必ず節約できるとは限らないのもまた事実です。

    ただし、アイドリングストップ機能はエコカー減税の基準となる「カタログ燃費」にも反映されているため、場合によっては搭載車を選ぶこと自体がコストの節約につながるケースもあります。

    5. アイドリングストップ機能の賢い使い方

    アイドリングストップは使い方を工夫することで、デメリットを抑制しつつメリットをさらに高めることが可能です。ここからは、アイドリングストップをより効果的に活用するヒントを紹介します。

    アイドリングストップ機能はオン・オフが可能

    アイドリングストップがどれだけの効果をもたらすかは、停車する時間や周囲の環境に大きく左右されます。そのため、アイドリングストップを使用する上ではその場の交通状況や気温、車の状態などに応じて機能を使い分けることが重要となります。

    アイドリングストップ車には一般的に機能をキャンセルできるスイッチが備わっており、任意でオン・オフが可能となっています。多くの場合スイッチは運転席から手が届く場所に配置してありますが、実際の位置は車種によって異なるため詳しくは車ごとの取扱説明書を確認しましょう。

    アイドリングストップをオンにすべきタイミング

    アイドリングストップが真価を発揮するのは、信号待ちの時間が多くなりがちな都市部です。停止している時間が長いほどアイドリングストップの効果は大きく、より燃料消費量や排気ガスの排出量を抑えることができます。

    一方で、アイドリングストップにはエンジンを止めることにより騒音を低減させる効果もあります。特に住宅街などで夜間に長時間停車する際は、エンジン音が近隣の迷惑になるのを避けるためにもできる限りアイドリングストップを行うことが推奨されます。

    アイドリングストップをオフにすべきタイミング

    車のエンジンは始動時に5秒間のアイドリングと同等の燃料を消費するため、5秒よりも短い停車時にアイドリングストップを行うと燃費がむしろ悪化してしまいます。渋滞中などは周囲の交通状況に合わせて細かくオン・オフを切り替えるとよいでしょう。

    また、ガソリン車の場合エンジンの停止中はクーラーが使用できないため、夏場の長時間のアイドリングストップは熱中症のリスクがあり危険です。暑さを感じる場合には無理にアイドリングストップはせず、あくまで健康を優先して車内の温度を適切に保つことが大切です。

    6.アイドリングストップに関するQ&A

    アイドリングストップは環境への配慮などから利用が推進されているものの、ここまで紹介したとおりいくつかのデメリットも存在するため、ドライバーとしては気になることも多いでしょう。そこでここからは、アイドリングストップについての気になる疑問にお答えしていきます。

    アイドリングストップは一切使わなくても問題ない?

    アイドリングストップはあくまでガソリン消費や排気ガスを減らす補助的な機能であり、法律などで使用が定められたものではありません。搭載車であっても、必要性を感じないようであればずっと機能をオフにしたまま乗り続けることは可能です。

    ただし、騒音の抑制はドライバー自身よりも他者にとって重要な効果であるため、エンジン音で周囲に迷惑がかかりそうな場面ではなるべくアイドリングストップをオンにした方がよいでしょう。

    アイドリングストップはどれだけ長く行っても大丈夫?

    長時間のアイドリングストップは、バッテリーの電圧低下やエアコン停止による車内環境の悪化につながることから、多くの車にはアイドリングストップ中に自動でエンジンの再始動を行なう機能が搭載されています。自動再始動機能は主にバッテリーの電圧低下や、車内温度の上昇などを検知すると作動します。

    一方で、誤発進などのリスクを抑止するため、一部の車には状況に応じてアイドリングストップからの再始動をオフにする安全装置も設けられています。安全装置が作動するとエンジンが完全に停止してしまうため、手動でエンジンをかけ直さなくてはならず発進にも時間がかかってしまいます。

    安全装置はアイドリングストップ状態のままシートベルトを外す、ドアを開けるなどの行為に応じて作動する場合が多いです。長時間にわたってアイドリングストップを行う際は注意しましょう。

    アイドリングストップ非搭載車が増えているって本当?

    かつては環境への配慮などの観点から重要な機能とされてきたアイドリングストップですが、近年ではアイドリングストップに頼らない低燃費エコカーの開発も進められています。

    実際に、2009年にスタートしたエコカー減税では当初「アイドリングストップ搭載車であること」が認定条件とされていましたが、現在は排出ガスと燃費性能に関する条件に置き換えられています。

    また、燃費の測定方法はより実走行に近い値が出る「WLTCモード」への移行が進められており、アイドリングストップの燃費改善効果が表記上では見えにくくなったことも指摘されています。

    その他、最近では燃費の問題や作動の遅れなどを理由にアイドリングストップを敬遠するドライバーも増えており、アイドリングストップ非搭載車の割合は以前に比べて増加傾向にあるようです。

    アイドリングストップ搭載車と非搭載車、どちらを選ぶべき?

    アイドリングストップには確かにデメリットもありますが、長時間の渋滞中など、そのメリットを最大限発揮できる状況もたくさんあります。昨今は燃費性能に優れたアイドリングストップ非搭載車も増えているものの、アイドリングストップを効果的に活用すればそれ以上の燃費向上が見込めます。

    また、現在アイドリングストップは身近な環境保護の機能として、とりわけ二酸化炭素の排出量削減に大きく寄与しています。アイドリングストップ搭載車でも不要な場面では機能をオフにできるため、車種ごとの燃費性能や使用環境を踏まえて選ぶことが大切です。

    一方で、近年は多くのメーカーが次世代エコカーの開発を進めており、自動運転や水素エンジンといった新しい技術の普及も期待されています。今後はアイドリングストップだけではなく、車ごとに異なるエコ性能に注目して車を選ぶ時代が来るかもしれません。

    7. 監修コメント

    私自身も2010年代製のアイドリングストップ搭載車に乗っていますが、以前、いつも作動していたアイドリングストップが機能しなくなったことがありました。原因はバッテリーの消耗で、交換時期が近づいていたからでした。
    アイドリングストップは燃料の消費や排気ガスの抑制だけでなく、車の状態を把握するヒントにもなります。いつも通り作動しているのかを意識しておくと、突然のバッテリー上がりなど、トラブルの予防につなげることもできるでしょう。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター®︎。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。20年以上にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。許認可申請、入管申請取次、遺言書作成サポートなど法務のほか、記事監修や執筆業も多数手掛ける。自動車業務に熟達した行政書士だけが登録を認められる、ナンバープレートの出張封印が可能な「丁種会員」でもある。

    HP https://inokuchi.pro/

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