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車にシートヒーターは必要?人気の理由やメリット・デメリットを解説

更新

2025/10/27

公開

2025/10/27

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車のシートを素早く暖める「シートヒーター」は冬場や長時間の乗車時に役立つ一方、車の使い方によっては必要がない場合もあるため導入の際は注意が必要です。当記事では、そんなシートヒーターのメリット・デメリットや、導入に適している人の特徴、導入方法などを紹介します。

目次

    1. 自動車のシートヒーターとは?

    シートヒーターとは、車の座席シートに内蔵・設置するタイプの暖房器具です。しくみとしては、電源を入れると座面や背もたれに組み込まれた電熱線が発熱し、1~2分程度でシートが暖まります。

    シートヒーターは基本的に車内のあらゆる座席に設置が可能であり、それぞれの座席を必要に応じて個別に暖めることができます。ちなみに、かつては別途費用を払って導入するケースが一般的でしたが、近年では標準装備している車種も増えており、グレードの高い車種だけでなく軽自動車などにも搭載されていることがあります。

    シートヒーターの人気の理由

    多くの場合、車にはエンジンの熱を利用した暖房が最初から搭載されていますが、備え付けの暖房は車内全体が暖まるまで時間がかかり、特に後部座席まで暖かい風が届きにくい傾向にあります。そうした欠点を補う設備として、シートヒーターは従来の暖房に不便さや性能不足を感じるオーナーから人気を集めています。

    また、シートヒーターには新車購入の際にオプションとして選択できる純正品のほかに、後から取り付けが可能な市販品も存在します。純正品は安いものでも数万円程度と比較的高価な傾向にありますが、市販品であれば5000円~1万円程度と手頃な価格であるためこちらも人気です。

    とはいえ、シートヒーターは誰もが導入すべき必須の設備というわけではないため、導入にあたっては利点や注意点をしっかりと把握した上で検討することが重要です。

    2. シートヒーターのメリット

    シートヒーターの導入には、主に以下のような利点があります。

    素早く効率的に暖められる

    エンジンの熱で暖めた空気を送る一般的な車の暖房とは異なり、シートヒーターはバッテリーの電力で熱を発生させ、シートを介して乗員の身体を直接温めます。そのため、エンジンがかかるのを待つ必要がなく、通常の暖房よりもすぐに暖かさを実感できます。

    ちなみに、シートヒーターには使用者の安全を考慮し、一定の時間・温度になった際に自動でスイッチが切れるものもあります。温度の上がりすぎや低温やけどが心配な場合には、温度調節機能のある製品を選ぶとよいでしょう。

    状況に応じて体感温度を調節できる

    座席ごとにオン・オフが可能であり、乗員の感じ方や体調に応じて使い分けられることもシートヒーターの強みです。たとえば「ドライバーは冷房が効き過ぎて少し寒いが後部座席の乗員は暑い」といった場合には、フロントのシートヒーターだけをオンにすれば全員が快適に過ごせます。

    このような利点から、シートヒーターにはあえて夏場に使用し、乗員ごとの体感温度を調整するという使い方も存在します。カーエアコンと併用すれば、「涼しさは感じたいけれど身体の内側は冷やしたくない」といったニーズにも応えることが可能です。

    疲労軽減・体調管理に役立つ

    シートヒーターはただ乗員の身体を暖めるだけでなく、温熱効果によって体内の血行を促す働きが期待でき、冷えや疲労の軽減につながる場合もあります。継続して使用すれば、疲労感や冷え性などを和らげる効果も期待できます。

    特に、座ったままの体勢で長時間車に乗り続けることは腰に大きな負担を与えます。そうした腰痛の軽減策としてもシートヒーターは有効です。

    3. シートヒーターの注意すべき点

    上記のようなメリットがある一方で、シートヒーターにはデメリットも存在します。導入を検討する際には、これらの注意点もきちんと把握しておくことが大切です。

    設置・維持にかかるコストが大きい

    安価な市販品も増えているとはいえ、シートヒーターは車載設備としては高額であり、取り付けに大がかりな作業が必要となる場合もあります。また、修理やメンテナンスにも多くの費用がかかるため、使う機会の少ないオーナーにとってはコストパフォーマンスの悪い設備といえます。

    車の消耗や性能低下につながる

    シートヒーターが一度に消費する電力は小さいですが、長時間にわたって連続して使用したり、複数の座席で同時に使用したりすると車載バッテリーへの負担が増える場合があります。

    加えて、バッテリーの電力を使う関係上、使用時には車の燃費にも軽微ながら影響が出てしまいます。ガソリンの消費を抑えるためにも、使い終えたら早めにスイッチを切ることをおすすめします。

    不快感や健康被害、眠気をもよおす恐れがある

    暖める力が強いシートヒーターは、人によっては「熱すぎる」と不快に感じることもあるほか、長時間使用すると低温やけどにつながる危険性があります。

    一方で、心地よい暖かさが続くことは眠気の要因にもなります。居眠り運転をしてしまわないよう、適度に休憩を取るなどの対策が必要です。

    4. シートヒーターはどんな人におすすめ?

    ここまで紹介したメリット・デメリットから、シートヒーターは以下のような人に適しています。

    寒冷地で車を使う人

    冷えた身体を素早く暖められるシートヒーターは、気温の低い地域で生活している人や、ウィンターレジャーに出かける機会が多い人におすすめの設備です。

    逆に、気温が10度以上の日が多い地域では備え付けの暖房だけで事足りるため、シートヒーターを導入する必要性は低いでしょう。

    朝晩の時間帯に車を使う人

    早朝や深夜は昼間との寒暖差が大きく、寒さによるストレスを感じやすい時間帯です。仕事や送り迎えなどで、そうした時間に車を使用する人にとってもシートヒーターは心強い味方となります。

    長時間にわたり車を使う人

    疲労の軽減や腰痛改善といった効果が期待できることから、シートヒーターは頻繁に車で長距離移動をする人にも適しています。ただし、運転の際には暖かさが生む眠気に注意が必要です。

    5. シートヒーターの取り付け方

    シートヒーターは純正品であれば納車時にディーラー等で設置してもらえるほか、市販品の場合は販売しているカー用品店などで取り付けサービスを行っている場合もあります。製品によっては取り付けに一定のノウハウが必要なものもあるため、安全性などを考慮すればプロに依頼するのが確実です。

    また、市販品のシートヒーターは車の相性によっては取り付けられないこともあります。不安な場合には、製品選びの段階から販売店などで相談に乗ってもらうとよいでしょう。

    6. 監修コメント

    車の種類によっては、暖房よりもシートヒーターを使うほうが省エネになる場合があります。
    電気自動車や一部のハイブリッド車は、暖房を使用する時にバッテリーの電力を多く消費します。暖房を使って車内全体を暖めるよりも、シートヒーターで乗員の体を直接温めるほうが効率的といえます。
    しかも短時間で乗員の体を温めてくれるので、快適でもあります。暖房使用による航続距離の低下を抑えることができるので、電気自動車や一部のハイブリッド車にとっては、シートヒーターは省エネと快適性を両立できる装備といえるでしょう。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター®︎。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。20年以上にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。許認可申請、入管申請取次、遺言書作成サポートなど法務のほか、記事監修や執筆業も多数手掛ける。自動車業務に熟達した行政書士だけが登録を認められる、ナンバープレートの出張封印が可能な「丁種会員」でもある。

    HP https://inokuchi.pro/

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