クルマ

車の暖房とエアコン(A/C)は燃費に影響する?適切な使い分け方も解説!

更新

2025/09/29

公開

2025/09/29

  • Twitterで共有する
  • Facebookでシェアする
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

車のエアコンや暖房は「使うと燃費が悪くなる」というイメージを持たれがちですが、実際には燃費への影響は設備や動力源によって異なるため、違いを把握したうえで適切に使用することが大切です。当記事ではそんな車のエアコンと暖房のしくみや機能、目的に応じた使い分け方を紹介します。

目次

    1. 暖房は燃費に影響なし!ただしエアコンは注意

    一般的に、車にはエアコン(A/C)や暖房といった車内を快適な温度に保つための設備が搭載されています。とはいえ、なかにはこうした設備に対して「使うと燃費が悪くなってしまうのでは」と不安を感じ、使用するのを避けている方もいるのではないでしょうか。

    しかし結論から言えば、実際にガソリン車の燃費に影響を与えるのは「エアコンのみ」であり、A/CスイッチをOFFにしていれば暖房のせいで燃費が変わることはまずありません。このように設備ごとに燃費への影響が異なる理由は、ガソリン車におけるエアコンと暖房のしくみの違いにあります。

    というのも、カーエアコンでは車内を冷やす際、新たにコンプレッサーという部品を作動させて冷たい空気を生み出しています。一方で、ガソリン車の暖房はエンジンから出た「不要な熱」を再利用して車内を暖めるため、使用するうえで改めてガソリンを消費することがないのです。

    2. 目的に応じた暖房とエアコンの使い分け方

    では、ここからは機能や燃費への影響の違いを踏まえ、暖房とエアコンの適切な使い分け方を目的ごとに解説していきます。

    車内を冷やしたい場合

    車内の温度を下げたい場合には、A/Cスイッチをオンにしてエアコンの冷房機能を使用します。家庭用のエアコンは設定温度を上げることで省エネ効果が期待できますが、カーエアコンでは設定温度が燃費に与える影響は小さいです。燃費のために設定温度をこまめに調節する必要はありません。

    ただし、炎天下などで車内が非常に高温になった状態でいきなり設定温度を下げると、エアコンに多大な負荷がかかって燃費が著しく低下してしまう恐れがあります。車内が高温の場合には、まずは窓を開けたまま走るなどして室温をある程度下げてから設定温度を低くするとよいでしょう。

    車内を暖めたい場合

    前述のとおり、ガソリン車の暖房とエアコンは別の設備であるため、車内の温度を上げることだけが目的であれば使用するのは暖房のみでも構いません。燃費への影響を抑えたいのなら、暖房の使用中は基本的にA/Cスイッチはオフにしておくとよいでしょう。

    また、車によっては自動で車内を快適な温度に調整してくれる「AUTO」というスイッチが搭載されている場合もあります。しかし、AUTOをオンにしていると自動でA/Cスイッチもオンになってしまうことがあるため、燃費への影響を抑えながら車内を暖めたい場合は注意が必要です。

    窓の霜を取りたい・車内の空気を入れ替えたい場合

    暖房を使用していると車内外の温度差が大きくなり、窓が曇って運転に支障をきたすことがあります。こうした結露が気になる場合に、一時的に暖房とエアコンを併用するのもひとつの手です。

    カーエアコンには冷房だけでなく除湿の機能もあるため、燃費への影響こそあるものの、暖房を使用中にA/Cスイッチをオンにすれば車内を暖めながら湿度を下げることができます。

    そのほか、カーエアコンには「外気導入」と「内気循環」の二つのモードを切り替えられる場合も多く、外気導入にすれば窓を開けずに車内の換気が可能です。特に、空気が乾燥する冬は外気を導入することで窓の曇りもより取れやすくなるため、季節に応じて使い分けましょう。

    暖房・エアコンが効かない時は?

    もし暖房やエアコンを使用しても車内の温度が思うように変わらない場合は、「送風機の故障」が原因として疑われます。暖房とカーエアコンは異なる設備ではあるものの、風を送り込む際は同じ送風機を使用するため、送風機に異常があると暖房とエアコンの両方の機能に影響が出てしまいます。

    また、暖房が効かない場合は冷却水が減少している可能性も考えられます。このような設備トラブルは思わぬ事故につながる危険性もあり、基本的に自力での修理は困難です。故障が疑われる場合には、早めに整備工場などで点検を受けることが大切です。

    3. 電気自動車(EV)の場合は?

    ここまで紹介した内容は主にガソリン車の場合であり、電気自動車(EV)は電気でモーターを動かして走行するため、エンジンの排熱で車内を暖めることはできません。このことから、エアコンだけでなく暖房のみを使用した場合も燃費に少なからず影響が出る点に注意が必要です。

    ちなみに、電気自動車の暖房には電気で熱して暖かい空気を生む「PTCヒーター」や、装置で空気中の熱を集める「ヒートポンプ」などさまざまな方法が存在します。こうした方法や車種によっても暖房の消費電力や暖める力は異なるため、購入時にスペックをよく確認することをおすすめします。

    4. 監修コメント

    冷房機能の根幹を支えるコンプレッサーは、実は寒い時期も大活躍しています。以前、愛車のコンプレッサーが故障したまま冬を迎えたことがあるのですが、A/Cスイッチをオンにしても窓を開けなければ耐えられないくらいに車内が暑くなり、窓ガラスは曇って大変な思いをしました。
    今年の夏は猛暑続きだったので、エアコンに不具合が生じた方も少なくないことでしょう。そのまま冬を迎えると思わぬ不便を強いられることもあるので、エアコンを使わなくてもしのげる快適な時期のうちに修理しておくとよいでしょう。

    おとなの自動車保険はこちら

    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター®︎。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。20年以上にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。許認可申請、入管申請取次、遺言書作成サポートなど法務のほか、記事監修や執筆業も多数手掛ける。自動車業務に熟達した行政書士だけが登録を認められる、ナンバープレートの出張封印が可能な「丁種会員」でもある。

    HP https://inokuchi.pro/

    • Twitterで共有する
    • Facebookでシェアする
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • LINEで送る