高速道路や有料道路で通行料金を現金払いすることなく通過できるETCは、料金所での渋滞緩和を実現するものとして2001年から本格運用が始まり、現在では非常に多くの車が利用しています。また、2016年からは、ETCのバージョンアップ版「ETC2.0」の運用が開始され、さらに充実したサービスが提供されています。
しかし、ETCは便利である反面、正しく利用しなければ料金所での事故を引き起こす恐れがあります。ここでは、ETC利用時の注意点や仕組み、メリットに加え、次世代の「ETC2.0」についても解説します。
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1.自動料金支払いシステム「ETC」の仕組み
ETCとは「Electronic Toll Collection System(エレクトロニック・トール・コレクション・システム)」の略称であり、直訳すると電子通行料金回収システムとなります。車に搭載した車載器と料金所のETC専用ゲートを無線通信でつなぎ、高速道路や有料道路の通行料金を、車を停止させることなく支払える仕組みです。
支払いはクレジット会社から発行されるETCカードなどを用いて行います。車載器にETCカードを挿入して料金所通過時に通行料金の電子決済を行い、利用した分の料金を後日支払うかたちで運用されます。
ETCとETC2.0の違い
2016年から導入されているETC2.0は、現在広く普及しているETC(ETC1.0)に代わる新しい仕組みです。ETC1.0が通行料金の支払いのみに使用されるのに対して、専用車載器を用いて高速・大容量の双方向通信を採用している特徴があります。これにより、渋滞回避ルートや自然災害情報を提供できるようになり、ドライバーのより安全かつ快適な運転をサポートしてくれます。
2.ETCを使用するのに必要なもの
ETCを利用するためには、決済を行うための「ETCカード」と、ETCカードを挿入して通信を行うための「車載器」が必要です。また、ETCカードには大きく分けて、クレジットカード付帯のETCカードと、クレジットカード不要のETCパーソナルカードがあります。それぞれの詳細を解説します。
クレジットカード付帯の「ETCカード」
ETCは、決済を行うためのETCカードを車載器に挿入していなければ使うことができません。ETCカードはETC決済専用のクレジットカードであり、クレジットカード会社に発行を申請することで入手できます。
ETCカードはクレジットカードとして買い物などに使うことはできませんが、料金所の一般ゲートではクレジットカードのように料金を支払うことができます。ただし、その際にはETC各種割引が適用されません。
また、ETCカードは車載器を問わず使えるため、車載器をETC2.0へと切り替えたときやレンタカーなどでも自分名義のETCカードを支払いに使用できます。
ETCカードについて、以下の記事でも詳しく紹介しています。
クレジットカード不要の「ETCパーソナルカード」
ETCカードには、クレジットカードを契約しなくてもETCを利用できる「ETCパーソナルカード」があります。ETCパーソナルカードは、高速道路6社が共同で発行するETCカードで、事前にデポジット(保証金)を預けることで、発行できます。
デポジットの額は、毎月の平均利用額の4倍が目安です。たとえば、毎月1万円を平均して利用する場合、デポジットは原則4万円になります。
デポジットは、あくまで保証金であるため、通行料金がデポジットから支払われるわけではありません。通行料金は登録した金融機関口座から引き落とされる仕組みです。また、これとは別に、年会費1,257円(税込)の支払いも必要です。
車載器
ETC車載器は、通信を行うためのアンテナと本体で構成されたETC専用端末であり、カーディーラーやカー用品店で購入することができます。
ETC車載器には、アンテナと本体が一体になった2ピースタイプと、アンテナと本体が分離した3ピースタイプがあります。2ピースタイプは車載器本体とETCカードの2つ、3ピースタイプはアンテナ・車載器本体・ETCカードの3つで構成されることから、それぞれこのように呼ばれています。3ピースタイプは、カードの取り出しがしやすい場所に車載器本体を設置できるのが特徴です。そのほかにも、車両の内装に車載器本体を組み込んだビルトインタイプもあります。
価格はタイプによって異なりますが、ETC1.0なら価格帯は4,000円~1万円、ETC2.0は1万円~3万円ほどです。取り付けにはおよそ5,000円前後の工賃がかかり、またセットアップ料金として3,000円程度の費用がかかります。セットアップとは、車載器ごとに使用する車のナンバープレート情報などを登録してもらう作業であり、車検証と免許証の提示などが必要です。このセットアップ作業をしなければETCは使用することができませんので、ETCを購入する店舗に取り付けおよびセットアップ作業をまとめて依頼するのが得策です。車載器本体の価格や取り付け工賃、セットアップ料金は、機種や車種、時期、販売店によって異なりますので、購入前に総額を確認しましょう。
バイク(二輪車)でETCを使用する場合に必要なもの
バイクも、四輪車と同様に、ETCカードと車載器があれば、ETCを利用することができます。ただし、注意したいのは、車載器は二輪車専用のものを使うという点です。四輪車専用の車載器は、二輪車への搭載に必要な防水性や耐振動性を備えていません。セットアップされる車両情報も四輪車と二輪車では異なるので、二輪車でETCを利用する場合には、二輪車用の車載器を準備する必要があります。
3.ETCの利用率

ETCは料金所での渋滞緩和策として2001年から本格運用が開始されました。導入から4年目の2004年に1日あたりのETC利用率20%前後であったものが、2020年にはおおよそ93%、さらに2026年には約96%まで広がっています。現在では高速道路や有料道路を利用するほとんどの車がETCを利用していることになります。
また、ETC2.0の利用率については、本格的に運用が開始された2016年4月当初は1.5%でしたが、2026年には約40%にまで拡大しており、従来のETCからETC2.0に移行する人が増えているということがわかります。
4.ETCを利用するメリット
ETCを利用するにはある程度の初期投資が必要です。では、ETCにはそれに見合うだけのメリットがあるのでしょうか。
有料道路での支払いがキャッシュレスでスムーズに
ETCは料金所で車を停止させる必要がなく、財布や小銭を用意する必要もないため、スムーズに料金所を通過することができます。料金所での渋滞削減はもちろん、停止や発進およびアイドリングを削減することで無駄な燃料消費や排出ガスを抑えることができ、地球環境保全にも貢献します。
ポイントで特典が受けられる
ETCカードの利用によってクレジットカードのポイントが貯まるのもメリットです。ポイント還元率はクレジット会社によって異なりますが、ETCカードの利用時にポイント還元率が割増されるクレジットカード会社もあります。
また、ETCマイレージサービスにETCカードを登録し、対象の道路で利用すると、支払額に応じてマイレージポイントが貯まります。マイレージポイントは、還元額に交換して通行料に利用することができます。
- 参考
- ETCマイレージサービス
割引制度で通行料金を節約できる
ETCの利用者には、さまざまな割引サービスが用意されています。たとえば、普通車・軽自動車等限定で、土日・祝日に地方部の高速道路を利用すると通行料金が30%割引になる「休日割引」、深夜0時〜4時の通行料金が30%割引になる「深夜割引」などがあります。詳しくは以下の記事で紹介していますので、こちらを参考にしてください。
5. ETC2.0は必要?導入のメリット

前項では、ETC全般のメリットを解説しましたが、現在ETC1.0をお持ちの方は、新たにETC2.0を導入する必要があるのかどうか気になるかもしれません。ETC2.0は、渋滞回避や安全運転を支援してくれるなど、ETC1.0に比べてサービス内容が充実しています。ここでは、ETC2.0の導入メリットについて紹介します。
渋滞回避ルートの提供
ETC2.0は、カーナビ、ETC2.0対応車載器、高速道路に設置された通信アンテナ(ITSスポット)が連携することで、高速・大容量の双方向通信を可能にしています。ETC1.0に比べて、より広範囲の道路交通情報を取得でき、最適な迂回ルートを案内してくれます。
一部区間での割引
ETC2.0を搭載した車で、ETC用のインターチェンジを無線通信により走行した場合、圏央道や東海環状自動車道などの区間で割引を受けることができます。以下が、割引対象区間です。
- 圏央道割引...圏央道(茅ヶ崎JCT~海老名南JCT、海老名IC~木更津JCT)、新湘南バイパス(藤沢IC~茅ヶ崎JCT)
- 東海環状自動車道割引...東海環状自動車道
道の駅に追加料金なしで一時退出できる
ETC2.0搭載車は、高速道路をいったん降りて道の駅を利用した場合でも、2時間以内に同じインターチェンジから同方向に再び高速道路へ戻れば、高速道路を降りずに利用した場合と同じ扱いとなり、追加料金がかかりません。
対象となる道の駅は、高速道路の休憩施設の間隔が25km以上あり、かつインターチェンジから2km以内に位置する全国29カ所です(2026年8月時点)。
安全運転・災害時の運転支援
ETC2.0は、高速道路上での交通事故や落下物、急な車線合流、急カーブなど、事故のリスクとなる情報をいち早くドライバーに知らせます。また、前方の雪や霧などの天候情報、トンネル内の渋滞状況などを画像とともに提供し、ドライバーの安全運転をサポートします。
さらに、地震などの災害が発生した場合は、災害情報や、それに伴う規制情報、避難場所など、さまざまな情報を提供します。
6. 料金所の通り方とETCゲートの見方
では、実際にETCを利用する場合、どのように料金所を通行すればいいのか、通行方法や注意点などを紹介します。
ゲート表示板の種類と判別方法
ETCによる無線走行が利用できるのは、「ETC専用」「ETC/一般」「ETC/サポート」と表示されているゲートです。「一般」「サポート」と表示されているゲートでは、ETCによる無線走行は利用できません。また、工事などにより「閉鎖中」もしくは真っ黒に表示されている場合は、すべての車両が進入不可です。
安全にゲートを通過するための走行ルール
ETCレーンに進入するときは、周囲の車と十分な車間距離を保ちながら、時速20km以下に減速します。そのまま徐行し、開閉バーが開いたことを確認してからゲートを通過しましょう。これは、何らかの誤作動などにより、開閉バーが開かない場合や、前方車両が急に停車した場合、安全に停止できるようにするためです。
ゲートを通過した後も、隣を走る車との合流に注意しながら走行しましょう。
7. ETC利用時の注意点
走行前、ETCカードが正常に挿入されているか確認する
ETCを利用するときにもっとも注意したいのが、ETCゲート通過時のトラブルです。ETCが正常に通信できない状態になると、料金所のゲートが開かずに追突事故が起こる恐れがあります。ETCゲートが開かない原因のほとんどは人為的ミスであり、ETCカードの未挿入や挿入方向間違い、有効期限切れなどが挙げられます。
料金所で未挿入に気付いてETCカードを挿入しても、カードが認識されるまでに数秒の時間を要します。また、走行中のETCカードの抜き差しは危険であるうえ、挿入不良が起こりやすく、データ消失によりカードが使用できなくなる恐れもあります。
ETCを安全に使うためには、走行する前にETCカードの挿入状態をしっかりと確認しておくことが大切です。
走行後はETCカードを抜く
ETCカードは、クレジットカードや金融機関口座と連携しているので、盗難された場合、悪用される可能性があります。サービスエリアやパーキングエリアでの停車であっても、車を離れるときにはETCカードを抜いておくことで盗難を防げます。
8. 2030年には今のETCが使えなくなる?セキュリティ規格の変更「2030年問題」とは
セキュリティ規格の2030年問題とは?
ETCは、無線通信で決済情報や車の情報を送受信しているため、不正利用のリスクが懸念されています。そこで、国土交通省と高速道路会社は、「将来にわたり安全性を確保するため、セキュリティ機能を向上させる必要がある」として、ETCのセキュリティ規格を変更する予定です。
具体的な時期はまだ決定していませんが、現時点では「最長で2030年頃までに変更」とされています。これが、いわゆる「2030年問題」です。
現在使用しているETC車載器が旧規格の場合、2030年より前にETCを利用できなくなる可能性があります。自分のETC車載器が新しいセキュリティ規格に対応しているか、早めに確認しておきましょう。
セキュリティ規格の確認方法
① 車載器管理番号で確認する
車載器管理番号の19桁の左端の数字が、「1」の場合は新セキュリティに対応しています。「0」の場合は、旧セキュリティです。車載器管理番号は、車載器本体や取扱説明書・保証書、車載器セットアップ申込書・証明書などで確認できます。
② 車載器識別マーク
ETC車載器本体に、「●●●」というマークがある場合は、新セキュリティ規格です。
ETC2.0車載器本体に、「ETC2.0」のロゴがあり、「■」マークがなければ新セキュリティ規格です。
③ 品番で確認する
②では、識別マークによる確認方法を紹介しましたが、車載器によってはこれらに該当しない場合もあります。そのため、車載器の品番を調べ、メーカーのホームページなどで新旧のどちらなのかを確認する方が確実です。
9. 監修者コメント
ETCはセキュリティ規格の変更が予定されており、旧規格の車載器は最長で2030年頃までに使えなくなる見込みです。新たにETC車載器を購入する場合は、新規格に対応したETC2.0車載器を選択することをおすすめします。
近年は首都高速などで、ETC専用ゲートしかない入口料金所が増えています。当然そこでは現金が使えませんし、ETCカードの有効期限が切れていると料金を支払えません。私自身、期限切れに気付かずにETC専用ゲートしかない入口料金所に入ってしまい、係員の案内に従って、後日振り込みを手配した経験があります。入口料金所で立ち往生しないためにも、出発時にはカードの挿入状態はもちろん有効期限も必ず確認をしましょう。
