車好きにとって「マイカー」は大切な存在。単なる移動手段ではなく、人生の相棒のように思っている人も少なくないでしょう。
一方で日々のガソリン代や駐車場代、車検代、保険代など維持費がかさむことから、家計を見直す際には真っ先に「カット」の対象になりがちです。
今回は「車は生きる希望」と公言し、自身もコツコツと節約をしながら存分にカーライフを満喫しているというファイナンシャルプランナー(FP)の矢澤理惠さんに、「マイカーを楽しむための節約術」を教えてもらいました。
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- <プロフィール>
矢澤理惠さん - 日本FP協会に所属するファイナンシャルプランナー。2007年開業、2008年CFP(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)登録。クルマ好きのためのファイナンシャルプランニングをサポートするほか、趣味が高じてカーパーツショップも運営。
https://www.fpyazawa.com/ http://cpgyazawa.jp/top/
現愛車は「180SX」。車好きFPのマイカーライフ
――矢澤さんは「愛車がなくなったら、生きる気力がなくなるくらいの車好きFP」を公言されています。真っ先にコストカットの対象になりがちな「マイカー」ですが、車好きFPとして諦めてほしくないともおしゃっていますよね。
矢澤理惠さん(以下、矢澤):そうですね。特に都市部在住の方の場合、家計の見直しでカットされやすい費目の一つが「車費用」です。
ただ、私自身もそうですが、たとえ公共交通が充実している場所に住んでいたとしても、絶対に自分の愛車を維持したい人はたくさんいるはず。
「車」そのもののカットは行わずに、ガソリン代や駐車場代、自動車保険料といった日々の維持費をコツコツと抑える......家計相談ではそんな方法をご案内しています。
――ぜひ教えてほしいです!......その前に、矢澤さんのマイカー遍歴も知りたいです。
矢澤:初めてのマイカーはマツダの「RX-7」でした。

2代目が三菱の「ランサー・エボリューションⅤ」。

3代目がスバルの「インプレッサ」。そして、現在の愛車が日産の「180SX」です。メインで乗ってきたのはこの4台ですね。

――いわゆる「走りにこだわった車」ばかりですね。
矢澤:はい。ちなみに、すべてマニュアル車です。
実は、3代目のインプレッサの後に、諸事情で少しの間だけオートマのファミリーカーに3か月ほど乗っていた時期があったんですが、マニュアル車を運転したい! とどんどんストレスが溜まってきてしまって(笑)。
中古のスポーツカーも含めてマニュアル車を必死に探して、最も楽しさを感じたのが180SXでした。13年落ちだった当時で138万円でしたが、それから15年が経過した現在はプレミアがついて300万円以上の価値になっているようです。
「ガソリン」「駐車場」「車検」節約のポイントは?
――矢澤さんのようにカーライフを楽しみながら、なるべくストレスなくコストを抑える方法を教えてください。
矢澤:前提として、車好きというのは単に運転ができればいいというわけではなく、「好きな車」を所有していたい人が多いはず。
そのため「カーシェア」や「自動車重量税を抑えるための新車への買い替え(※)」といった、一般的なFPのプランニングは納得できないと思います。
※自動車重量税は新規登録から13年を超えると増額される
そうなると、削れるのは「ガソリン代」「車検代」「駐車場代」「自動車保険料」などになってきます。
――では、まず「ガソリン代」「車検代」「駐車場代」の節約ポイントについて教えてください。
ガソリン代を節約するには?
矢澤:昨今高騰しているガソリン代は、会員価格や給油クーポンなどの割引サービスがあり、ポイントを貯められるスタンドで給油しましょう。
また、なくなったら近くのガソリンスタンドで給油するのではなく、割引のあるスタンドをいくつか調べておき、計画的に給油を行うのがいいと思います。
車検代を節約するには?
矢澤:車検代に関しては、どこに頼むかによって価格が結構変わります。整備の内容に差はないはずなのに割高なケースもありますので、複数の業者から見積りを取ることをおすすめします。
また、自分にとって明らかに必要のないオプションが付いているなど、不明な点があれば問い合わせましょう。
あと、これは裏技かもしれませんが、街の整備工場やチューニングショップの方と仲良くなっておくと、いわゆる「お友達価格」でやってもらえる場合もあると思います。
私の場合も長くお世話になっているチューニングショップがあって、車検から整備からすべてお願いしています。最初は普通の価格でしたが、仲良くなるにつれて少し割引してくれるようになりました。
駐車場代を節約するには?
矢澤:首都圏でも、探せば意外と安く借りられる駐車場はあります。
私が住む横浜市内だと駐車場代の相場は月2万円から3万円くらいですが、私が以前に使っていたパチンコ店併設の立体駐車場は一部を月極にしていて、駅近にもかかわらず月9,900円でした。
商業施設や大型スーパー、個人宅などでも、駐車場の一部を月極で貸し出しているケースがあるので、自宅周辺を散歩しながら探してみるのがいいと思います。
自分の乗り方に合わせて自動車保険をカスタマイズする
――最後の節約ポイントが自動車保険。自動車保険を見直す際には、どんなことを意識すればいいでしょうか?
矢澤:自動車保険は補償の内容と保険料のバランスが重要です。自分はどんな補償がほしいのか、優先順位をつけたうえで比較検討する必要があると思います。
例えば、車両保険(自身の車への補償)。保険料は高くなりますが、愛車を大事にされている方、ほかに代わりがない車を所有されている方などは入っておいたほうがいいと思います。
補償のほか、特約も無償で付帯するものと有償なものがありますし、そもそも別の保険でカバーできる補償や特約があれば、自動車保険の方で申し込むと重複してしまってもったいなかったり......など、個々の考え方や状況次第で必要なプランは変わってきます。
――いずれにせよ、保険料を安くしたいからといって、必要最低限の補償だけにしてしまうのはおすすめできないと。
矢澤:そうですね。「これは外していい」とは、なかなか言い切れない部分があります。私のように車に乗る人間の立場から見ると、どの補償や特約もないよりはあったほうが安心と感じますから。
繰り返しになりますが、何が自分に必要な補償かを優先順位を決めてセレクトするしかありません。
そういう意味では、自分でカスタマイズがしやすい自動車保険を選ぶというのは、節約の一つの手かもしれません。
自分の車に対する考え方や乗り方に合わせた自動車保険を組み立てることで、無駄をカットしつつも必要な補償も受けられるようになるのではないかと。

もちろん、そのぶん自分で考えなければいけないなどの手間はかかりますが、保険の相談に乗ってもらえるサポートサービスを活用すれば、選びやすくなると思います。

※画像は2025年6月1日現在のものです
できる範囲の節約&こだわりにお金をかけてカーライフを楽しむべし
――車好きとして逆に「ここにはお金をかけたほうがいい」という部分はありますか?
矢澤:人によるとは思うのですが、私の場合は少しでも"良い状態"で走りたいので、やはり「整備費用」ですね。
私の180SXは「リトラクタブル」という上下にパカパカ開く可動式のヘッドライトが壊れやすく、海外からパーツを取り寄せて修理したことも。
惜しみなく、とまでは言いませんが、こだわりたい部分にはできる範囲でお金はかけた方が、楽しいカーライフを送れると思います。
――車というのはそもそもコストがかかるものだからこそ、過剰なコストカットはせず、今回紹介したような方法で、可能な範囲で出費を抑えていくことが大事なのだと感じました。
矢澤:そう思います。私がこれまで乗ってきた車なんて、燃費性能が悪すぎてコストパフォーマンスを考えたら最悪ですから(笑)。
それでも、自分が好きな車に乗りたいという願望には勝てません。この記事を読んでいるみなさんもそうだと思います。
「車バカ」のどうしようもない性だと割り切っていきつつ、せめて給油くらいはせっせと割引を活用するなど、小さい努力が必要なのかなと思います。
\日々の節約とあわせて、自動車保険料も見直そうかな......と思ったら/
編集:はてな編集部
取材・文:榎並紀行(やじろべえ)