行楽や出張などで高速道路を利用する際には、ETCを使って料金を支払うとお得な割引を受けられます。ただし、割引率や内容は平日、休日、時間帯などによって変わるため、よりお得な料金で高速道路を利用したい際には事前に割引率と割引が適用される条件を把握しておくとよいでしょう。
本記事では、ETC割引およびETC2.0とは何か、ETC2.0と従来のETCとの違いもあわせて解説します。
- 目次
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1.2022年4月1日から首都高速道路が新料金に
2022年4月より、首都高速道路がETC車の新料金体系を導入しています。新旧料金の上限金額を比較してみましょう。
旧料金(上限額)※ | 新料金(上限額) | |
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普通車 | 1,320円 | 1,950円 |
中型車 | 1,410円 | 2,310円 |
大型車 | 2,080円 | 3,110円 |
特大車 | 2,650円 | 5,080円 |
※東名―北西線連続利用以外
このように、料金の上限額は数百円から数千円程度値上がりしています。一定の条件を満たす場合には各種割引を受けられるため、割引を活用することで値上がりの負担を軽減しながら高速道路を利用できます。なお、現金支払いをする場合は車種別の基本料金が設定されており、普通車の場合は基本料金1,950円(一部の区間をのぞく)となっています。
高速道路料金の各種割引と条件について、詳しくは次項より解説します。
2.高速道路料金の各種割引について
高速道路料金に関する割引は複数あります。各種割引の詳細を把握して、高速道路料金の負担軽減を図りましょう。
平日朝夕割引
平日朝夕割引では、ETC装着車が平日の限られた時間にのみ割引を受けられます。通勤に高速道路を利用する方も、平日朝夕割引が適用される時間帯の利用で料金負担を軽減できます。
平日朝夕割引の概要
対象車種 | 全車種 |
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対象日時 | 平日朝の6時~9時、夕方の17時~20時 |
割引内容 | 1ヶ月間に5~9回の利用で約30%、10回以上で約50%割引 |
対象道路 |
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利用方法 | ETCマイレージサービスに登録 |
ETCマイレージサービスとは、登録・年会費無料でETCによる高速道路料金の支払額に応じてポイントが貯まるサービスです。貯まったポイントは還元額に交換することで高速道路料金の支払いに利用できます。
この割引は全車種対応で、1ヶ月の利用回数によって還元率が変わります。1ヶ月間に5~9回の利用で約30%、10回以上で約50%が利用月の翌月20日に還元され、以降の高速道路利用料金として使用できます。
休日割引
休日割引は、ETCを装着した普通車・軽自動車が土曜・日曜・祝日に高速道路を利用した場合に受けられる割引です。
休日割引の概要
対象車種 | 普通車、軽自動車 |
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対象日時 | 土曜・日曜・祝日(ゴールデンウィーク、お盆、年末年始を除く) |
割引内容 | 30%割引(割引適用の走行距離・回数制限なし) |
対象道路 |
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休日割引の割引率は30%です。ただし、この割引は東京・大阪近郊一部区間では適用されません。走行距離や割引適用回数の制限はないため、何度でも割引を受けられます。
また、ゴールデンウィークやお盆、年末年始といった長期休暇期間の利用は割引の対象外となります。
2022年の例でいえば、東日本高速道路株式会社などはお盆期間の8月11日(木)、13日(土)、14日(日)を休日割引の対象外としていました。長期休暇に行楽で高速道路を利用したい場合には、事前に休日割引適用外の日程を調べておくと安心です。
深夜割引
深夜割引はETCを装着した自動車が、毎日0時~4時の間に高速道路を利用した場合に受けられる割引です。
深夜割引の概要
対象車種 | 全車種 |
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対象日時 | 毎日0時~4時 |
割引内容 | 30%割引(割引適用の走行距離・回数制限無し) |
対象道路 |
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深夜割引は、すべての車種に適用される割引です。割引率は30%で、走行距離や割引適用回数の制限はありません。
ETC2.0割引
ETC2.0割引は、ETC2.0装着車が特定の区間でのみ受けられる割引です。
ETC2.0割引の概要
対象車種 | ETC2.0をセットアップした車載器を搭載した車両 |
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対象日時 | 毎日 |
割引内容 | 高速自動車国道の不通区間の料金水準に割引 |
対象道路 | 圏央道(茅ヶ崎JCT~海老名JCT、海老名~木更津JCT)、新湘南バイパス(藤沢~茅ヶ崎JCT) |
ETC2.0割引では、普通車の場合は1kmあたり24.6円など、高速自動車国道の不通区間の料金水準の料金に割引されます。こちらも走行距離や割引適用回数の制限はないため、何度でも割引を受けられます。
3.ETC2.0とは?
ETC2.0割引におけるETC2.0とはどのようなものなのでしょうか。ETC2.0は従来のETCをバージョンアップさせたETCのことです。ここからは、従来のETCと比較しながらETC2.0について詳しく解説します。
ETC車載器とETC2.0対応車載器の違い
ETC2.0とは、従来のETCがバージョンアップしたもので、交通情報と連動して渋滞の迂回ルートを教えてくれるなど多くの機能を有しているのが特徴です。
たとえば、ETCでは料金の自動支払いに特化していたのに対し、ETC2.0では交通情報や災害情報などを受け取れます。
ETCと比較して大量の情報の送受信が可能なため、インターチェンジの出入り情報だけでなく、経路の把握もできるという特徴があります。高速道路の利用者に加え、道路管理や道路政策にもメリットのあるシステムです。
ETC2.0の車載器普及台数は2022年3月末時点で約763万台です。ETC2.0装着車の累計台数は少しずつ伸びており、今後さらに普及拡大していくと予想されます。
また、2022年9月現在、全国23ヶ所にて、ETC2.0装着車に限り高速道路から道の駅へ一時退出をしても追加料金を請求しないという社会実験が行われています。
4.その他のETC割引について
ETC割引には、障がい者割引や迂回利用での割引なども用意されています。
障がい者割引
障がい者割引は、身体障害者の方が自ら運転する場合や、障がい者の方以外が運転し、重度の身体障害者の方または重度の知的障害者の方が同乗している場合に受けられる割引です。
障がい者割引の概要
対象車種 | 事前に登録した自家用乗用車、自家用貨物自動車、自家用特殊用途自動車、125cc以上の自家用二輪自動車で所有者が個人名義のもの |
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対象日時 | 毎日 |
割引内容 | 50%割引 |
対象道路 | 有料道路 |
利用方法 |
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障がい者割引の割引率は50%です。適用条件にあるように、事前に登録した自動車、ETCカード、ETC車載器でなければ割引を受けられない点に注意しましょう。事前登録は、市区町村の福祉担当窓口にて行います。
ETC外環道迂回利用割引
ETC外環道迂回利用割引は、東京外環道を迂回利用した場合に直行した場合と同じ通行料金になるよう料金を割引くものです。
ETC外環道迂回利用割引の概要
対象車種 | ETCを装着した全車種 |
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対象日時 | 毎日 |
割引内容 | 50%割引 |
対象道路 | 東北道、関越道、常磐道、東関東道、京葉道路、首都高速埼玉大宮線 |
利用方法 | 首都高速道路の都心環状線の出入り口を発着し、東京外環道を1JCT間のみ迂回利用して放射高速道路を利用 |
- 首都高速道路の都心環状線の出入り口を発着
- 東京外環道を1JCT間のみ迂回利用して放射高速道路を利用
- 料金所をETC無線通信により通行
- 対象道路は東北道、関越道、常磐道、東関東道、京葉道路、首都高速埼玉大宮線
ETC外環道迂回利用割引が適用された最終的な利用料金は、「ETC利用照会サービス」から確認できます。
5.ETC車載器の付け替えや自動車の入れ替えなどがあったときには手続きが必要
高速道路料金におけるETC割引を受ける際に、注意したい点があります。
ETC車載器には車両を識別するための情報がインプットされているため、ETC車載器を付け替えた場合やナンバーの変更、車の入れ替えがあったときには再セットアップが必要になります。
車載器の再セットアップは必ず専門店で行わなければなりません。これは、ETC車載器が高いセキュリティ性を有しているためです。再セットアップは、ETC車載器の販売店などで行えます。また、再セットアップにはETC車載器と車検証、運転免許証などの本人確認書類、初めてセットアップしたときに受け取る「セットアップ証明書」に記載された車載器管理番号が必要です。
ただし、車検証に記載されている所有者や使用者、住所などの個人情報はETC車載器に登録されていないため、これらの変更時に際セットアップは必要ありません。
本来とは異なる通行料金が請求されることもあるため、車の入れ替えやナンバーの変更があった場合には必ず再セットアップを行いましょう。
6.割引適用で家計への負担を軽減しながら高速道路を快適に利用しよう
高速道路を利用される方は、ETCまたはETC2.0の装着により各種割引を受けられます。ETCの利用により、料金所での支払いに手間取り時間をロスしてしまうことがなくなるのも利点です。
これから高速道路を利用する予定の方で、なるべく料金負担を減らしたい方は、各種割引の割引率と適用条件を確認しておくとよいでしょう。
7.監修コメント
ETCシステムの装着を義務付ける法令は現時点では存在しません。しかし、ETCは料金所に起因する高速道路の渋滞を緩和する効果が期待できますので、積極的に導入を検討すべきシステムと思われますし、実際に普及も進んでいると思われます。なおETCの普及に伴い、ETCレーンに衝突したりという事故も増えてきているという話もあります。仮にETCレーンに衝突した場合には、レーンの損傷を弁償しなければならないですし、場合によっては他の車輌も巻き込んだ事故にも発展しかねません。ETCレーンを走行する場合は無理な運転は控えましょう。