自動車保険のノンフリート契約における等級制度とは、保険金請求歴に応じて保険料の割増引率を適用する仕組みのことです。等級と保険料の関係を理解することは、事故などで保険を使用すべきかどうかの判断材料にもなります。
本記事では、自動車保険料に大きく関わる「等級制度」について紹介します。
- 目次
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1. 自動車保険の等級制度とは
自動車保険の等級制度とは、契約者の事故歴に応じて1等級から20等級(一部の共済では22等級)までにランク分けし、等級に応じて保険料の割増引率が変わる制度です。
自動車保険に初めて加入する場合は、原則として6等級からスタートします。等級が上がるほど割引率が高くなり、20等級で最大の割引率となります。
等級が変わるタイミングは、保険を使用した直後ではなく契約更新時です。無事故で保険を使わずに満期を迎えた場合は翌年の等級が1つ上がりますが、保険期間中に事故を起こして保険を使用した場合は、ノーカウント事故などを除き、一般的には等級が下がります。
また、下がる等級は事故件数ごとに加算される点にも注意しましょう。
下がった等級の情報は、事故内容や件数に応じて数年間保持されます。その間の保険料の割増率を「事故有係数」といい、事故有係数が適用される期間を「事故有係数適用期間」といいます。
事故有係数とは
等級別の割引率は「無事故」と「事故有」に区別されており、同じ等級であったとしても、前年以前に事故があり「事故有」の係数が適用されている場合と、「無事故」の場合とでは保険料の割引率が異なります。
例えば、同じ15等級でも無事故であれば保険料が53%割引となるのに対し、事故を起こして15等級に下がった場合は28%割引になります。20等級の場合は無事故63%割引に対し、事故有の場合では51%割引(※)です。
※損害保険料率算出機構のデータを参考に計算した数値です。実際の保険料率は各保険会社によって異なります。
この保険を使用した場合に適用される掛率を「事故有係数」といい、保険を使用しなかった場合に適用される掛率は「無事故係数」と呼ばれます。
事故有係数適用期間とは
「事故有係数適用期間」とは、事故有係数が適用される年数を指します。
初めて保険契約する場合は「0年」でスタートし、3等級ダウン事故1件につき「3年」、1等級ダウン事故1件につき「1年」を加え、1年経過するごとに「前年の事故有係数適用期間」から「1年」が差し引かれます。
事故有係数適用期間の上限は「6年」です。1〜6年が付加されている期間は「事故有係数」が適用されるため、保険料が通常よりも割高になります。無事故のまま一定期間が経過し、事故有係数適用期間が0年に戻るとようやく「無事故係数」で計算されます。
例)現在20等級でご契約されている方が3等級ダウン事故を起こして保険を使った場合
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2.自動車保険の等級ごとの割引率・割増率
等級ごとの割引率・割増率は保険会社によってそれぞれですが、基本的には損害保険料率算出機構が算出した数値をベースに設定されます。
損害保険料率算出機構が算出している等級ごとの割引率・割増率は以下のとおりです(※)。
等級 | 割引・割増 | 無事故 | 事故あり |
---|---|---|---|
20等級 | 割引率 | 63% | 51% |
19等級 | 57% | 50% | |
18等級 | 56% | 46% | |
17等級 | 55% | 44% | |
16等級 | 54% | 32% | |
15等級 | 53% | 28% | |
14等級 | 52% | 25% | |
13等級 | 51% | 24% | |
12等級 | 50% | 22% | |
11等級 | 48% | 20% | |
10等級 | 46% | 19% | |
9等級 | 44% | 18% | |
8等級 | 38% | 15% | |
7等級 | 27% | 14% | |
6等級 | 13% | ||
5等級 | 2% | ||
4等級 | 割増率 | 7% | |
3等級 | 38% | ||
2等級 | 63% | ||
1等級 | 108% |
等級が下がるほど割引率も減少し、4等級以下になると割引ではなく保険料が割増になる点を覚えておきましょう。
3. 自動車保険の等級が上がるケース
自動車保険の等級が上がるケースは以下のとおりです。
- 保険の開始日から満期日までの間に無事故だった場合
- 事故があっても自動車保険を使わなかった場合
例えば、9等級の契約者が1年間無事故だった場合、翌年の契約は10等級に上がります。また、9等級の契約者が事故を起こしても、保険を使わなかった場合も翌年に10等級になります。
なお、自動車保険のなかには、保険を使用しても等級に影響しない事故があります。「ノーカウント事故」と呼ばれる事故で保険を使用した場合、次の契約更新時に等級は1つ上がります。
4. 事故で自動車保険を使うと等級が下がる
原則として、保険を使えば翌年の等級は下がります。ただし等級に影響を与える事故には種類があり、事故内容が「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」「ノーカウント事故」の3パターンのうち、どの事故に該当するかで等級への影響が変わります。
以下では、SOMPOダイレクトの「おとなの自動車保険」における、それぞれの事故の具体例を交えて解説します。
※事故の種類や形態によって翌年の等級が決まります。
3等級ダウンする事故
3等級ダウン事故とは、他人を死傷させた場合に使われる「対人賠償」、他人の車や物を破損させた場合の「対物賠償」、ご契約の車が損傷した場合に使われる「車両保険」のいずれかの保険を使った場合の事故が該当します。
これらは1件の事故につき、次の契約更新時の等級が3つ下がります。
等級ダウンはあくまで保険を使用した回数がカウントされ、「1回の事故で対人賠償、対物賠償、車両保険のすべてを使った場合」と「対物賠償だけの場合」は、どちらも同じく1回の事故としてカウントされます。
なお、年間で2回保険を使った場合はそれぞれの等級ダウンが加算されます。
例えば、走行中の車と衝突した弾みで電柱を破損させる事故を1年間で1回起こした場合、対人賠償・対物賠償・車両保険のすべての保険金が支払われたとしても、翌年は3等級ダウンとなり事故有係数も3年です。
仮に、その事故で対人賠償が生じなかったり、対物賠償だけを使って車の修理に車両保険を使わなかったりした場合でも、翌年は同じく3等級ダウンになります。
また、3等級ダウン事故を1年間で2回起こすと翌年の等級は6つ下がり、6年の事故有係数適用期間が付加されます。
1等級ダウンする事故
1等級下がる事故は、災害・いたずら・自動車盗難などにあい、車両保険を使った場合です。台風・竜巻・洪水・高潮などの自然災害や、車両運行に関係しない火災・爆発などによる車両保険の使用が該当します。
また、車両保険は、落書きのいたずらや飛石によるフロントガラスの破損、台風での飛来物による車両破損などの比較的軽微な損害も対象となります。
ただし、1等級ダウンによる翌年の保険料と、修理にかかる費用を比べる必要があるため、車両保険を使用するか、実費で修理するかは非常に悩ましい問題です。
1等級ダウン事故でも、3等級ダウン事故と同じく保険使用回数に応じてカウントされるため、1年間で2回車両保険を使用した場合は、支払われた保険金の額にかかわらず次の契約更新時の等級は2つ下がり、2年間の事故有係数適用期間が付加されます。
ただし、「おとなの自動車保険」の車両保険には「車両無過失事故に関する特約」が自動でセットされています。
そのため、一方的な追突など一切過失のない被害事故の場合は、車両保険が支払われても、次年度も「おとなの自動車保険」を継続する場合に限り、翌年の等級は下がりません。
ノーカウント(等級が変わらない)事故
ノーカウント事故は、主に以下の特約を使用した場合に該当します。
自動車事故による記名被保険者および同乗者のケガを補償する「人身傷害保険」や原付での事故が補償される「ファミリーバイク特約」、故障時に車をレッカー搬送してくれる「ロードアシスタンス特約」などが対象です。
さらに、飼い犬が他人にケガをさせた場合などにも補償される「個人賠償責任保険(特約)」、自転車走行中のケガや歩行中に走行する自転車とぶつかった場合のケガを補償してくれる「自転車傷害特約」の使用もノーカウント事故にあたります。
ノーカウント事故に該当する事故で保険を使用しても、そのほかの事故などがなければ次の契約更新時に等級が1つ上がります。
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5. 【ケース別】翌年の自動車保険は何等級になる?
- ここからは、翌年の自動車保険が何等級になるのか、ケース別に紹介します。
- Q.現在20等級 事故有係数適用期間0年で、自宅の門に車をぶつけて、自動車の修理代に車両保険金が支払われた。
- A.3等級ダウン事故に該当するため、次契約は17等級 事故有係数適用期間3年になります。
- Q.現在10等級 事故有係数適用期間0年で、台風で看板が飛んできて、車が壊れ、修理代に車両保険金が支払われた。
- A.1等級ダウン事故に該当するため、次契約は9等級 事故有係数適用期間1年になります。
- Q.現在10等級 事故有係数適用期間0年で、台風で看板が飛んできて、車が壊れ、修理代に車両保険金が支払われた。
- A.1等級ダウン事故に該当するため、次契約は9等級 事故有係数適用期間1年になります。
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- Q.現在12等級 事故有係数適用期間0年で、自動車事故でケガをして、人身傷害保険金のみが支払われた。
- A.ノーカウント事故のため、次契約は13等級 事故有係数適用期間0年になります。
- Q.現在17等級 事故有係数適用期間0年で、1年間に自動車事故で他人にケガをさせて対人賠償保険金が支払われる事故と、車に落書きされ車両保険金を支払われる事故、合計2回保険を使用した。
- A.3等級ダウン事故と1等級ダウン事故なので、次契約は13等級 事故有係数適用期間4年になります。
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6. 自動車保険の等級を上げる・維持するためのポイント
自動車保険の保険料の負担を増やさないためには、現在の等級を上げる・維持することが大切です。以下では、等級を上げる・維持するために心がけたいポイントを紹介します。
安全運転を心がける
自動車保険の等級を上げる・維持するには、事故を起こさないのがもっとも確実な方法です。
車を運転するときは「車間距離にゆとりを持つ」「速度を守る」「交差点では必ず安全を確かめる」などのポイントを意識し、安全運転を心がけましょう。
自動車保険の乗り換えは満期日に合わせる
自動車保険の等級は、等級に影響する事故が1年間なければ、1つ上がります。
そのため、無事故の場合は、契約中の満期日にあわせて保険を乗り換えることで、等級が1つ上がった状態で新しい保険に乗り換えられます。自動車保険を乗り換える場合、変更時期は契約中の保険の満期日に合わせると良いでしょう。
7. 自動車保険の等級に関わる「セカンドカー割引」とは?
セカンドカー割引とは、2台目以降の車を購入し、新規で自動車保険に加入する場合などに7等級からスタートできる制度のことです。
先述のとおり、自動車保険に初めて加入する場合は原則として6等級からのスタートです。しかし、セカンドカー割引が適用される場合はより割引率の大きい7等級からスタートするため、2台目以降の自動車保険の保険料がお得になります。
なお、セカンドカー割引の詳しい内容については、以下の記事で紹介しています。適用条件なども解説しているので、あわせてご覧ください。
8. 自動車保険の等級引継ぎとは?
自動車保険の等級は、一定の条件を満たしている場合に引き継ぐことができます。等級の引き継ぎが発生する主なケースは以下のとおりです。
- 保険会社を乗り換える場合
- 車を買い替える場合
- 家族から等級を引き継ぐ場合
なお、一部共済からの等級引継ぎや別居の家族からの等級引継ぎはできません。等級の引き継ぎに関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
しばらく車を手放す場合は中断証明書を発行しよう
海外赴任や長期出張などを理由にしばらく車を手放す場合は、保険会社に中断証明書の発行を依頼しておくと良いでしょう。中断証明書とは、自動車保険の再契約時に等級を引き継ぐために必要な証明書です。
本来、保険の解約から次の保険契約開始までに8日以上が経過すると、自動車保険の等級を引き継ぐことができません。しかし、あらかじめ中断証明書を発行している場合は、自動車保険の解約時の等級を再契約時に引き継ぐことができます。
なお、中断証明書を発行した場合に等級を引き継げる期間は、自動車保険を解約した日の翌日から10年以内です。自動車保険の解約から10年を超えた場合は、中断証明書を発行済みでも等級を引き継ぐことができず、再契約時は6等級からのスタートです。
9. 自動車保険の等級に関するQ&A
ここからは、自動車保険の等級に関するよくある質問・回答を紹介します。
加入している自動車保険の等級を調べる方法は?
現在の等級は、「契約中の自動車保険の証券を確認する」「保険会社に問い合わせる」などの方法で調べられます。
なお、「おとなの自動車保険」のご契約者さまは、マイページ内にあるデジタル保険証券から等級を確認できます。
10. 等級の仕組みを理解して自動車保険を上手に活用しましょう
自動車保険の保険料は等級によって変動し、等級が上がるほど保険料により高い割引率が適用されます。
ただし、事故で保険を使った場合は等級が下がり、保険料の支払いが大幅に増えることもあります。等級を下げないためにも、事故を起こさないように安全運転を心がけましょう。
また、自動車保険の保険料は、保険の見直しや他の自動車保険への乗り換えを行うことで抑えられる場合があります。保険料をより抑えられる自動車保険を見つけた方は、見積りをとってもらうと良いでしょう。
なお、「おとなの自動車保険」では、インターネットによる見積りサービスで手間なく見積りをすることができます。
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- 最大13,600円割引とは、ネット割+早割50日を適用した額です。ネット割は新規は13,000円となります。将来の割引は変更になることがあります。
分割払の場合、ネット割は新規は年間12,960円となります。そのため、最大割引額(ネット割+早割50日適用)は、新規は年間13,560円となります。 - 山間部や島しょ部、高速道路などかけつけサービスを提供できない場所や、一部サービス内容が限定的となる場合があります。また、交通事情、気象条件等によりサービスの提供ができない場合があります。
