高速道路を走行中、突然フロントガラスにヒビが入ってしまった。
多くの場合、これは「飛び石」が原因です。突然の出来事に頭が真っ白になって混乱するかもしれません。そんなときに備えて、ここでは飛び石などによってフロントガラスに傷やヒビが入ったときの対処法や修理の仕方、そして車両保険を使用するかどうかを判断する方法について紹介します。
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1.飛び石が起こる理由
道路を走行している際に、車体に石がぶつかる「飛び石」の被害。道路上に散らばっている小石を車のタイヤが巻き上げて跳ね上げたり、大きいタイヤを装着している車両のタイヤの溝に挟まっていた石が外れたりして、後続車などに当たってしまうことがあります。
特に、大きなタイヤを装着しているトラックなどは、タイヤの溝にやや大きめの石を挟みやすく、重量がある分、勢い良く後ろに飛ばしてしまう可能性があります。
飛び石はどこでも発生する現象ですが、走行している場所や状況によって被害の程度が異なります。例えば、高速道路で走行している状況では、石が高く跳ね上げられ、相対的な速度も大きくなるため、後続車などに当たった際のダメージが大きくなる傾向があります。
ガラス以外の部分に飛び石が当たった場合は、小さなへこみや塗装の剥がれが生じる程度の被害にとどまることがほとんどです。しかし、フロントガラスに飛び石が当たった場合、クモの巣のような形状の亀裂・ヒビが生じ、前方が見えにくくなるケースがあります。
飛び石の被害を受けやすい車の特徴、季節
車高が低い車は、飛び石の軌道に入ってしまう可能性が高いので注意しましょう。また、フロントガラスの角度が垂直に近い車も、直撃しやすい傾向があります。
冬タイヤの装着時も、飛び石が発生しやすくなります。これは、夏タイヤに比べて冬タイヤの方がやわらかく、小石を挟みやすいことが原因です。また、路面に雪がなく乾燥していることも、飛び石が発生しやすくなる要因といえます。
2.走行中、飛び石でフロントガラスに傷やヒビが入った時の対応
以下、走行中に飛び石でフロントガラスに傷が入った際にとるべき対応を3つ紹介します。
安全な場所に車を停める
運転中にフロントガラスに傷やヒビが入ったら、まずは安全な場所に停車することが重要です。高速道路を走行中の場合は、自走が可能であれば最寄りのサービスエリアもしくはパーキングエリアへ入るようにしてください。
「小さい傷で運転に支障がないから大丈夫」といってそのまま走行するのではなく、どんなに小さな傷やヒビでも一旦停まってチェックしましょう。
傷の状況の確認
車を安全な場所に停めたら、傷やヒビの場所・サイズを確認します。
傷やヒビの場所がフロントガラスの端に近い場合や、傷やヒビのサイズが2cm以上で損傷が大きい場合は、修理が必要になります。そのまま走行を続けると、傷が大きくなる恐れがあるので、速やかにロードサービスに連絡しましょう。
自走できないときはロードサービスへ連絡
フロントガラスに入った傷やヒビが大きくて前方が見えづらいなど、安全に自走ができない場合は、ただちに安全な場所に停車して、保険会社やロードサービス会社へ連絡してください。レッカーを手配してもらえます。
レッカーが来るまでは、安全な場所で待機しましょう。
3.飛び石によるフロントガラスの傷に車両保険は適用される?
フロントガラスを修理するために車両保険を使用する場合、まず契約している自動車保険の補償内容を確認するようにしてください。
飛び石によってフロントガラスに傷やヒビが入った場合は、「おとなの自動車保険」では車両保険の補償のうち「飛来中や落下中の他物との衝突」にあたります。
そのためすべてが補償される「一般車両保険」や「一般条件」という補償タイプだけでなく、補償の範囲が限定される「車対車事故および限定危険補償特約」がセットされている場合も、支払いの対象となります。
※「火災・落書き・台風」をセットしていない場合(「車対車衝突危険限定特約」のみをセットしている場合)、ご契約のお車が飛び石で受けた損害は補償されません。
4.車両保険を使用するときの注意すべきポイント
飛び石でフロントガラスに傷やヒビが入って、修理するために保険を使う場合、注意する点はあるのでしょうか。
フロントガラスの修理(リペア)・交換にかかる費用と車両保険の自己負担額(免責金額)について
車両保険には自己負担額(免責金額)が設定できます。自己負担額とは、車に生じた損害のうちお客さまが自己負担する金額で、契約時にご自身で設定することができます。例えば、自己負担額を10万円とした場合、修理代が30万円なら、10万円はお客さまの自己負担額で、20万円が保険金として支払われます。
以下、フロントガラスの修理(リペア)や交換を行う際の費用の目安を紹介するので参考にしてください。
フロントガラスのヒビが小さく、運転に支障のない位置であれば、「樹脂製の充填剤」をヒビにしみこませる修理で済む可能性があります。自動車ガラス専門店で修理する場合の相場は10,000円~15,000円程度、ディーラーに依頼する場合の相場は20,000円~40,000円程度です。
ちなみに、自動車用品店やホームセンター、インターネット通販サイトなどでは、補修材(リペアキット)が数千円台で販売されていますが、キズの形状や大きさによっては専門業者に依頼しなければならないケースがあるため注意しましょう。
なお、最初は小さなヒビであっても、次第に亀裂が広がってくる場合があるため、修理工場などでは「フロントガラスの交換」をすすめられるケースがあります。交換に要する料金は車種によって異なりますが、ガラス代と工賃の合計で5万円~10万円程度が目安になります。
車両保険を使用すると等級が下がる
車両保険を使うことで修理代が補償されますが、「飛来中、落下中の他物との衝突」が事故原因と判断された場合は、翌年度からの等級が1等級ダウンし、「事故有係数適用期間」が1年加算されることになります。
つまり、等級ダウンにより翌年度の保険料が高くなります。そのため、トータルで考えると保険を使わずに修理代をご自身で払った方が安くなる場合もあるということです。
車両保険を使う場合は、その点を慎重に考える必要があります。
「おとなの自動車保険」では、修理およびフロントガラス交換にかかる費用が分かった段階で専任の担当者にご連絡をいただくと、翌年度からの等級や「事故有係数適用期間」の変動と共に、保険料についてご案内しています。その際に保険を使って修理した方が良いのか使わない方が良いのかなどに関しても具体的にアドバイスをしています。
5.飛び石事故で賠償請求はできる?
飛び石事故で損害賠償を請求するためには、石を飛ばした車両・運転者を特定し、その車両・運転者によって被害が生じたことを立証する必要があります。また、相手に「過失」がなければ賠償が認められないため、簡単なことではありません。
石を跳ね飛ばした相手を特定し、損害賠償を請求することは困難であることを認識し、万が一に備えて車両保険のセットをご検討ください。
6.フロントガラスに傷やヒビがあっても車検は通る?
フロントガラスの傷やヒビが1cmを超えると車検は通りません。その場合、修理した上で車検を通す必要があります。
フロントガラスは運転者の視野を確保しなければならない
「道路運送車両の保安基準の第29条(窓ガラス)」には、フロントガラスは、損傷した場合においても「運転者の視野を確保できるもの」であり、透明で視野を妨げず、ひずみや可視光線の透過率が基準に適合しているものでなければならないと記されています。
フロントガラスは運転手が運転する際に必要な情報を妨げてはならず、傷やヒビが入っていると視野の妨げになる可能性があるので車検に通らないということです。
容易に貫通されないこと
正面から飛んできたものがフロントガラスを貫通、車内に入ってきてしまったら...怪我や事故につながるなどさまざまな危険性があります。フロントガラスにはそうならないために容易に貫通されない強度が求められます。
7.飛び石被害を回避する方法
飛び石の被害にあうかどうかは、運の要素が大きく、100%回避する方法は存在しません。しかし、被害にあう確率を低減することは可能です。以下、飛び石被害にあう確率を低減する方法を2つ紹介するので参考にしてください。
車間距離を十分に保つ
飛び石被害にあう確率を下げるためには、前方の車との距離を充分に保つことが大切です。
特に、舗装されていない砂利道を走行する際は、車間距離を長めに確保し、慎重に走行しましょう。
トラックの後ろを走らない
上述したように、大きめのタイヤを装着しているトラックなどの車両は、タイヤの溝にやや大きめの石を挟み込んで、勢い良く後続車両に飛ばす可能性があります。トラックの後ろを避けて走行することも、飛び石による甚大な被害を避けるうえで重要です。
また、対向車にトラックなどが多い場合も注意が必要です。正面から石が飛んでくる可能性もあるので、特に高速道路の追い越し車線は長く走行しないなど心がけましょう。
8.まとめ
いかがでしたでしょうか?フロントガラスに傷やヒビが入ってしまったら、それがどんなに小さなものでも油断せず、安全第一で適切な行動を心がけましょう。