自損事故とは、運転者以外の当事者がいない単独事故のことです。車庫入れの際に壁にこすってしまった、電柱にぶつかってしまったといったケースが代表例として挙げられます。「この場合、警察には連絡すべきか」「保険は使ったほうがいいのか」のような、ご自身では判断に迷うケースもあるでしょう。
本記事では、自損事故の定義や具体例から、使える自動車保険の種類、事故直後の対処手順、保険を使うべきかどうかの判断基準まで解説します。
- 目次
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1. 「自損事故(単独事故)」とは?
自損事故とは、運転者以外の当事者がいない事故のことです。「単独事故」とも呼ばれ、運転者の過失割合が100%で他者を巻き込んでいないことが特徴です。自損事故の具体例としては、以下のようなケースが挙げられます。
- アクセルとブレーキを踏み間違え、電柱やガードレールにぶつけてしまった
- 走行中にカーブを曲がり切れず、崖から転落してしまった
- 自宅の駐車場に停めようとしたところ、誤って家屋に突っ込んでしまった
- 車庫入れの際に壁や柱にこすってしまった
- 山道走行中、急に飛び出してきた野生動物(シカやイノシシなど)と衝突してしまった
上記以外でも、他人を巻き込んでいない事故であれば自損事故に分類されます。
2. 自損事故で自動車保険は使える?補償の種類と対象外のケース
自損事故を起こした場合、自動車保険を使って補償を受けることは可能です。補償は、主に「人の死傷に対する補償」「自分の車の損害に対する補償」「他人の物を壊した場合の補償」の3種類に大きく分けられます。ここでは補償の種類と、補償対象外になるケースについて解説します。
・人の死傷に対する補償
自損事故でドライバー本人がケガをしても自賠責保険は適用されません。自賠責保険は「被害者救済」を目的とした保険で、補償対象が他人(同乗者など)の死傷に限定されているためです。
一方、同乗者(家族を含む)がケガをした場合は、その同乗者が自賠法上の「他人」として扱われるため、自賠責保険の補償対象となります。ただし、同乗者が車の所有者の場合などは、補償対象外となるため注意が必要です。
ドライバー本人のケガなど自賠責保険でカバーできない部分は、任意保険の以下の補償で備えられます。
| 補償の種類 | 内容 |
|---|---|
| 人身傷害保険 | 自損事故を含む自動車事故でドライバーや同乗者がケガ・死亡した場合に、ご自身の過失割合に関わらず、約款に定められた基準に基づく損害額が、ご契約の保険金額を上限として支払われる
※飲酒運転、故意の事故、地震などの自然災害は対象外 |
| 搭乗者傷害保険 | ご契約のお車に搭乗中の方がケガ・死亡した場合に、その症状や治療日数などに応じて、あらかじめ定められた定額の保険金(一時金など)が支払われる |
自損事故では相手方がいないため示談交渉が発生せず、入院・手術費用などの損害が発生した場合に人身傷害保険で速やかに補償を受けられます。
自分の車の損害に対する補償(車両保険のタイプ)
自損事故でお車が損傷した場合は、車両保険で補償を受けられます。ただし、車両保険の「一般型」と「エコノミー型(車対車特約)」では補償範囲が異なるため、ご自身の契約内容を確認しておくことが重要です。
一般的な自動車保険における車両保険の補償範囲の違いは以下のとおりです。
| 車両保険のタイプ | 一般型 | エコノミー型(車対車特約) |
|---|---|---|
| 自損事故 (単独事故・当て逃げ) |
◯ | ✕ |
| 火災・台風 | ◯ | ◯ |
| 盗難 | ◯ | ◯ |
エコノミー型(車対車特約)は保険料を抑えられる反面、自損事故(単独事故・当て逃げなど)が補償対象外となります。車庫入れでの壁こすりや電柱への接触など、日常的に起こりやすい自損事故に備えたい場合は、一般型への加入を選択肢に入れるとよいでしょう。
「おとなの自動車保険」では、きめ細かに補償を選択できるため、盗難や自損事故といった補償についても必要なものだけを組み合わせ、保険料を調整することが可能です。
車両保険の補償内容や選び方については、以下の記事もあわせてご覧ください。
他人の物を壊した場合の補償(対物賠償保険)
自損事故で電柱やガードレール、信号機、他人の建物・フェンスなどを壊してしまった場合は、対物賠償保険で補償を受けられます。
ただし、対物賠償保険はあくまで「他人の所有物」に対する補償であり、ご自身の所有物の損害は対象外です。たとえば、車庫入れの際に自宅の壁やシャッターを壊してしまった場合、対物賠償保険では補償されません。
・補償が受けられないケース
車両保険・人身傷害保険などの補償は、事故の状況によっては受けられない場合があります。主な例は以下のとおりです。
- 飲酒運転・麻薬などの影響で、正常な運転ができない状態での事故
- 運転者の故意による損害
- 無免許運転や、盗んだ車を運転していたなど、違法な状態での事故
飲酒運転や無免許運転は「重大な過失」にあたるため、自損事故であっても補償の対象外となります。あらかじめ保険が使えないケースを各保険会社の約款で確認しておくことが大切です。
3. 自損事故を起こしてしまった際の対処方法

自損事故を起こした場合は、以下の順で対応することが重要です。主な内容は以下のとおりです。
- 安全確保・負傷者の救護
- 警察への連絡と交通事故証明書の取得
- 自動車保険会社への連絡
それぞれ詳しく解説します。
自動車事故にあったときの、より具体的な対処方法については、以下の記事もご覧ください。
1. 安全確保・負傷者の救護
事故直後はまず、ご自身と同乗者の安全を確保してください。車をそのまま放置すると後続車との二次事故につながるおそれがあるため、可能であれば安全な場所に移動させ、ハザードランプを点灯させましょう。
ケガ人がいる場合は速やかに救護を行い、119番に連絡してください。ケガがない場合でも事故現場の状況を写真やメモで記録しておくと、保険請求の際に役立ちます。
2. 警察に連絡し、交通事故証明書を取得する
道路交通法第72条第1項により、自損事故であっても警察への報告義務があります。安全確保が済んだら、速やかに警察(110番)に連絡してください。
警察への連絡を怠った場合、場合によって「当て逃げ」とみなされるおそれがあります。また、自動車保険の保険金を請求する際には、警察が発行する「交通事故証明書」の提出が必要です。損害の程度に関わらず、必ず警察に連絡してください。
交通事故証明書については、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:交通事故証明書とは?必要になるシーンや取得方法を解説!
3. 自動車保険会社に連絡する
警察への連絡が済んだら、加入している保険会社に連絡しましょう。特約によってはタイヤ交換、レッカー搬送などのロードサービスを受けられることがあります。
なお、保険会社への連絡は事故後できるだけ早く行うことが大切です。事故状況の記憶が鮮明なうちに連絡することで、スムーズに保険金請求手続きを進められます。
4. 自損事故で保険を使うべきか判断する手順
車両保険を使って自損事故の損害補填をすると、次回更新時の保険料が上がる可能性があります。修理費用と次回以降の保険料の増額分を比較して判断することが重要です。保険を使うかどうかの基準は、以下の2つです。
- 等級ダウンによる保険料への影響
- 修理費用と保険料増額を比較して判断する
それぞれ詳しく解説します。
・等級ダウンによる保険料への影響
自損事故で車両保険を使用すると、翌年の等級が3等級ダウンするだけでなく、等級がもとに戻るまでの最長3年間は「事故有係数」が適用されます。たとえば、現在20等級の方が1回自損事故で車両保険を使用すると、翌年は17等級になり、事故有係数が3年間継続します。

等級が下がることで翌年以降の保険料が数万円単位で増加するケースもあるため、軽微な損傷の場合は保険を使わずに自費修理することも検討しましょう。なお、事故によっては3等級ダウンするものと、1等級ダウンするものがあります。詳細については、以下の記事もあわせてご覧ください。
・修理費用と保険料増額を比較して判断する
保険を使うかどうかは、「修理費用」と「保険料増額分の合計」を比較して判断します。修理費用が保険料の増額分を下回る場合は、保険を使わずに自費修理した方が経済的です。
判断の目安として、以下を参考にしてください。
| 状況 | 判断の目安 |
| 修理費用が数万円程度の軽微な損傷 | 自費修理を検討する (3年間の保険料増額分の方が高くなる可能性がある) |
| 修理費用が高額(全損・大破など) | 保険を使う (修理費用が保険料増額分を大きく上回る可能性が高い) |
| 免責金額(自己負担額)を設定している場合 | 修理費用から免責金額(自己負担額)を差し引いた金額で判断する |
具体的な保険料の増額見込みは、加入している保険会社に問い合わせることで確認できます。保険を使うかどうか迷った場合は、まず保険会社に相談してみましょう。
5. 自損事故についてのQ&A
自損事故についてのよくある質問、および、それに対する回答を紹介します。
Q.自損事故を起こした場合、違反点数に影響はある?
警察に連絡したこと自体に対して、違反点数の加点や罰金などのペナルティは適用されません。ただし、建造物の損壊や他の交通法規違反が事故と同時に発覚した場合は、別途ペナルティが発生することがあります。そもそも、自損事故であっても道路交通法第72条第1項により、警察への報告義務が定められています。
さらに、保険金請求には警察が発行する「交通事故証明書」が必要です。法律上の義務を果たすために、そしてスムーズに保険を使うためにも、自損事故を起こしたら必ず警察へ連絡しましょう。
Q.自損事故の場合、自賠責保険は適用されないのですか?
自賠責保険は「他人(被害者)の救済」を目的として設けられた保険です。そのため、事故を起こした運転手本人は補償対象外となります。しかし、同乗している友人や家族などは法律上の「他人」として扱われるため、自損事故であっても同乗者の損害に対しては自賠責保険が適用されます。
ドライバー自身のケガを補償するには、任意保険の「人身傷害保険」や「搭乗者傷害保険」を利用することになります。ご自身の万が一の事態に備えるためにも、任意保険への加入や見直しを検討しましょう。
6. 自損事故も補償対象となっているか?契約内容を確認しておきましょう
自損事故を起こした場合は、まず安全確保と負傷者の救護を行い、警察への通報と保険会社への連絡を速やかに済ませることが大切です。警察への報告は法律上の義務であるだけでなく、保険金請求に必要な交通事故証明書を取得するためにも欠かせません。車両保険を使うかどうかは、修理費用と3年間の保険料増額分を比較して判断されることが重要です。
また、車両保険の「一般型」と「エコノミー型」では自損事故への対応が異なります。万が一の際に適切な補償を受けられるよう、契約内容を今一度確認しておきましょう。
7. 監修コメント
保険会社によっては人身傷害保険をセットしない場合に「自損事故傷害保険」をセットできる場合があります。
自損事故傷害保険とは、自賠責保険では補償されない運転者自身の死傷について、相手のいない単独事故の場合に一定額(死亡時に1名あたり1,500万円など)の保険金が支払われるものです。人身傷害保険に比べて保険料を抑えやすい傾向があるものの、保険金の上限額は低めで、補償される損害の範囲も限定的です。
一方、人身傷害保険であれば、自損事故に限らず幅広い事故が対象となり、過失割合に関係なく約款の基準に基づいた損害額が支払われます。これから自動車保険の加入や見直しを検討される方は、実際に事故が起きたときに十分な補償が受けられるかを確認したうえで、補償内容を選びましょう。
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