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一時停止とは?定義や違反したときの罰則(違反点数・反則金)について解説

更新

2024/11/18

公開

2021/03/10

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皆さんは「止まれ」の標識が意味する「一時停止」について、正しく理解できていますか?一時停止すべき場所や位置、停止時間などの理解が曖昧なまま運転してしまうと、一時不停止で罰せられる可能性があります。また、自転車の一時不停止は、即座に罰則が科されます。

慣れた道ほど、つい一時停止をおろそかにしがちです。車・自転車のどちらも正しく運転できるよう、一時停止の基準や違反した際の罰則・違反点数についてしっかり理解しておきましょう。

目次

    1.一時停止とは

    一時停止とは、車両が道路の指定された場所で一時的に止まる行為、およびその義務のことです。道路交通法では、一時停止は以下のように定義されています。

    車両等は、交通整理が行われていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあっては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。

    出典
    道路交通法 第四十三条/指定場所における一時停止

    「交通整理の行われていない交差点」とは、車両用の信号がなく、警察官による手信号なども行われていない交差点を指します。こうした交差点や狭い路地などでは事故が起こりやすいことから、多くの場合、安全のために一時停止が定められています。

    一時停止が指定されている場所を通行する際は、車両は必ず一時停止をしなくてはなりません。そのため、ここからは正しく一時停止を行うために知っておくべき知識を解説します。

    一時停止の標識・道路標示

    一時停止をすべき道路には、赤地に「止まれ」および「STOP」と白文字で書かれた逆三角形の標識、または道路上に「とまれ」や「止まれ」といった白文字の道路標示があります。

    また、一時停止が指定されている道路には、停止位置の基準となる「停止線」が引かれている場合があります。停止線は基本的に白色の実線ですが、高架下や大きい交差点などにある停止線は点線で描かれている場合もあるため注意が必要です。

    停止する位置

    一時停止の位置は停止線の有無によって異なり、停止線があれば停止線の直前で、停止線がなければ交差点の直前で一時停止します。停止線は道路によっては消えていたり薄くなっていたりする場合もあるため、一時停止をすべきかどうかは停止線の有無だけで判断せず、近くに標識や道路標示がないかをしっかりと確認しましょう。

    ちなみに、停止線は交通事故防止に有効であるといった理由で設置された、法令では定められてはいない表示のため、停止線があっても一時停止の指示がないという場所では一時停止の義務は発生しません。とはいえ、停止線が描かれている以上は一時停止が推奨される場所である可能性が高いため、事故を防止するためにも可能な限り一時停止を行うことをおすすめします。

    一時停止する時間

    道路交通法第43条では、一時停止を行う時間については特に決められていません。しかし、一時停止はあくまで安全確保のために義務付けられている行動ですので、数秒間しっかりとタイヤの動きを止め、左右を確認してから再び発進することが大切です。

    また、まれに一時停止の指示がある道路で徐行する車両が見られますが、徐行は一時停止の代わりにはなりません。たとえ徐行しながら十分に安全確認を行ったとしても、一時停止が指定されている道路を停止せずに通行することは一時不停止とみなされますので、必ず一時停止の指示に従いましょう。

    2. 一時不停止の罰則(違反点数・反則金)

    一時停止をすべき場所で一時停止を怠ったり、適切でない位置で停止したりすることは、「一時不停止」という違反行為とみなされ罰則の対象になります。

    正確には、交通整理の行われていない交差点などでの一時不停止は「指定場所一時不停止等違反」、踏切での一時不停止は「踏切不停止等違反」という違反にあたります。ただし、信号機に従って通行する踏切では、一時停止をせずとも踏切不停止等違反ではありません。

    これらの罰則は車だけでなく、自転車などの軽車両にも適用されます。詳しい罰則の内容は以下の通りです。

    「指定場所一時停止等違反」「踏切不停止等違反」をすると、反則金の支払いと違反点数の加算が科されます。違反点数はいずれも2点です。

    ただし、過去2年以上無事故・無違反だったドライバーに限り、3点以下の軽微な違反の点数は3ヶ月間で失効しますが、違反歴は1回として残ります。

    反則金は、車の種類と反則の種類により以下の通り定められています。

    反則名 大型車 普通車 二輪車 原動機付自転車
    指定場所一時停止等違反 9,000円 7,000円 6,000円 5,000円
    踏切不停止等違反 12,000円 9,000円 7,000円 6,000円

    上記の反則金を納めなかった場合は、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金、さらに過失の場合は10万円以下の罰金が科されることになります。

    ゴールド免許の場合

    ゴールド免許保有者が一時不停止のような軽微な違反を犯した場合、違反点数は3ヶ月で失効したとしてもゴールド免許は剥奪されます。ただし、違反をした時点で免許証の色が変わるわけではありません。ブルー免許になるのは、次回の運転免許更新のタイミングです。

    また、軽微な違反が1回のまま次回運転免許更新を迎えた場合は、免許証の色はブルーになり有効期限5年が維持されます。しかし、重大な違反もしくは2回以上の軽微な違反の場合、免許の有効期限は3年になるので注意が必要です。

    ちなみに、自動車任意保険のゴールド免許割引は保険の開始日(始期日)時点での免許の色が適用されるため、ブルー免許になった場合も契約期間内はゴールド免許割引が継続されます。

    3. 一時不停止の取締り件数と事故件数

    一時不停止は、スピード違反と1、2を争うほど取締り件数が多い違反です。2023年(令和5年)の一時不停止による取締り件数は1,267,094件にのぼります。そのうち一時不停止が原因による死亡事故は49件でした。近年は取締り件数や事故件数が減少傾向にありますが、依然として交通事故の中では高い割合を占めています。

    また、昨今は自転車における一時停止義務の認知度の低さも問題となっています。一時不停止が原因の自転車死亡事故も減少傾向にはあるものの、2023年(令和5年)には18件発生しています。

    一時不停止による事故の中でも特に多いのは、出会い頭の衝突事故です。一時不停止によって減速されていない状態で交差点に進入すると、適切な安全確認が行えず、相手車両や歩行者などの発見タイミングが遅れて事故につながります。警察官が交差点に張り付いて一時不停止を取り締まるのは、それだけ重大な事故が想定されるためでもあります。

    出典
    令和5年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について

    4. 自転車も一時不停止になるため注意が必要

    自転車は道路交通法上では軽車両にあたるため、車と同様に一時停止の指示に従わなくてはなりません。自転車の「指定場所一時不停止」にも、車の違反で反則金の納付を拒否した場合と同じく3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。

    また、一時不停止や信号無視などの危険行為を3年間に2回以上を起こした場合は、「自転車運転講習」の受講命令が届きます。命令に従わなかった場合には5万円以下の罰金が科せられるため、必ず講習を受けるようにしましょう。自転車運転講習の時間は3時間、受講手数料は6,000円です。

    さらに、2024年5月に可決・成立した改正道路交通法では、増加傾向にある自転車の交通事故に対してより実効性のある取り締まりを行うべく、16歳以上の運転者による自転車での交通違反に反則金を科す「青切符」が新たに導入されました。

    今後2年以内の施行が見込まれている同法では、113の違反行為が対象になる予定であり、対象には一時不停止も含まれています。青切符では5,000円~1万2,000円程度の反則金が科される他、特に悪質な違反の場合には従来の交通切符(赤切符)も引き続き交付されるため注意が必要です。

    自身と他の通行者の命を守るため、安全確認を行うことなくそのままのスピードで交差点に入るなどの行為は避けましょう。

    なお、歩行者の場合は道路交通法上の軽車両に該当しないため、現状では一時停止の義務や罰則はありません。しかし、歩行者の場合も、安全確認を行わずに交差点に入る、道路を渡るといった行為が危険であることに変わりはありません。

    2023年(令和5年)に事故で亡くなった歩行者のうち、横断中に亡くなった方は65歳未満で41.1%、65歳以上では73.4%にものぼります。「車が停止してくれるだろう」などの思い込みで安全確認を怠ることはせず、車が少ない道でも、必ず左右の確認などを行った上で通行しましょう。

    出典
    令和5年における交通事故の発生状況について
    令和5年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について

    5. 監修コメント

    交差点では優先順位があります。一時停止の標識や標示がある道路は、優先順位が低いことを意味しています。交差点に入る前に必ず一時停止をして、安全確認をしてから進みましょう。
    交通量があまりない交差点では、どちらも一時停止の標識や標示がないことがあります。そのような交差点でどちらの道路も同じくらいの道幅だった場合は、左方が優先します。一方が明らかに太かったり、センターラインが途切れずに続いていたりした場合は、その道路が優先します。優先順位が低い道路から交差点に入る際は、一時停止の標識や標示がなくても特に気をつけて進みましょう。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。約20年にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。自動車関連手続き、許認可申請、入管申請取次、補助金申請代行、遺言作成のサポート、相続手続きなど法務のほか、執筆業も手掛ける。

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