軽自動車は普通車と比べると、車検にかかる費用が安くなるケースが多いです。しかし軽自動車の車検を受けたことがない場合、いくらくらい費用がかかるのか検討がつかないという方も多いでしょう。当記事では、軽自動車の車検費用の相場や内訳を紹介します。また、車検費用を安く抑えるコツも解説しますので参考にしてください。
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1.車検とは
車検とは、車が保安基準を満たしているかどうかを確認する検査のこと。軽自動車の車検の有効期間は、新規検査から初回の車検までは3年で、2回目以降は2年ごとです。
車検切れの車で公道を走るのは、「無車検運行」という違反行為です。刑事処分として6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。また、行政処分として違反点数6点が加算され、前歴にかかわらず30日間の免許停止処分となります。重い罰則が科されますので、車検は忘れずに受けるようにしましょう。
2.軽自動車の車検費用の相場や内訳
軽自動車の車検費用には、大きく分けると「法定費用」と「車検基本料金」の2種類があります。
法定費用は、国や保険会社に支払う費用で、「自動車重量税」「自賠責保険料」「検査手数料(印紙代)」が含まれます。費用は車種や年数などによって国に定められています。
車検基本料金は、車検を依頼する業者に支払う費用です。「24ヶ月定期点検料」や「代行手数料」などが含まれており、費用は依頼する車検業者によって変わります。
軽自動車の車検費用の相場は5万〜10万円程度です。ただし整備内容が多い場合には、10万円以上かかることもあります。
法定費用について
上記で説明した通り、法定費用の内訳は「自動車重量税」「自賠責保険料」「検査手数料(印紙代)」の3つです。これらを合計すると、軽自動車の法定費用は2万〜3万円程度になります。ここでは、継続検査の場合の法定費用について詳しく解説していきます。
自動車重量税
自動車重量税とは、車の重量に対してかかる税金です。軽自動車の場合、新規検査からの年数や燃費性能、排出ガス性能によって税額が異なります。例えば、免税対象のエコカーの場合は0円で、減税対象のエコカーの場合は5,000円です。エコカー減税対象外で、新規検査から13年未満の場合は6,600円。13年以上経過している場合は8,200円、18年以上経過している場合は8,800円です。
自動車重量税に関しては、以下の記事で詳しく紹介していますので参考にしてください。
自賠責保険料
自賠責保険とは、交通事故が起きた時、被害者を救済するための保険で、すべての車に加入が義務付けられています。保険料は、自賠責保険の損害調査などを行う「損害保険料率算出機構」が毎年算出・審査をしたうえで定めています。なお、毎年、自賠責保険の保険料が改訂されるわけではありません。
自賠責保険は車検と同時に更新をすることが多く、車検の有効期間とあわせて24ヶ月分の「17,540円※」を納めることが一般的です。
※2024年4月時点。離島地域を除く、北海道・本州・四国・九州の場合。
自賠責保険に関しては、以下の記事でも詳しく紹介していますので、あわせて確認してみてください。
検査手数料(印紙代)
検査手数料とは、車検の際に印紙や証紙を購入して支払う手数料です。指定工場で車検を受けるか、ユーザー自身が自動車検査場に持ち込むかで検査手数料は異なります。
- 指定整備(指定工場)の場合...1,800円(OSS申請の場合は1,600円)
- 持込検査(認定工場)の場合...2,200円(限定自動車検査証がある場合は1,800円)
※技術情報管理手数料400円を含む。
※OSS(ワンストップサービス)申請...車検の手続きをオンラインで行うこと。
車検基本料金について
車検基本料金は、車検を依頼する業者に支払う費用で、「24ヶ月定期点検料」や「整備技術料」「検査代行手数料」など様々な料金が含まれています。業者によって費用が異なりますが、例えばディーラーの場合で、4万〜9万円程度が相場です。ただし、車の劣化具合などによっては、10万円を超えることもあります。
3.車検業者の選び方のポイント
車検を依頼できる業者には、ディーラーやカー用品店、車検専門店などがあります。それぞれの業者にメリット・デメリットがありますが、何を優先すべきかを明確にしておくと選びやすくなるでしょう。ここでは、車検業者の選び方のポイントを紹介します。
費用で選ぶ
車検業者には、大きく分けると「必要最低限の点検・整備を行う業者」と「予防整備までしっかり行う業者」の2パターンあります。
車検費用を抑えたいのであれば、必要最低限の点検・整備を行う業者が候補になるでしょう。例えば、エンジンオイルは車検の検査項目に含まれていないので、交換しなくても車検に通る可能性があります。しかし車検に通ったとしても、エンジンオイルの交換を怠ると、エンジンが焼き付くといったトラブルにもつながりかねず、結果的に修理費用がかさんでしまうことも考えられます。
「定期的にメンテナンスを行っている」「車検後に別途整備を行う予定がある」「新車で走行距離が少ない」といった場合であれば、必要最低限の点検・整備でもよいかもしれませんが、特に古い車などは、次の車検までの2年間を安全に走行するために、あらかじめトラブルにつながりそうな部品やオイルなどの消耗品を交換しておくことで、総合的な費用を抑えられる可能性が高いでしょう。
また業者の中には、洗車や車内清掃、早期予約割引、次回の車検までの無料点検などのサービスや特典を受けられることもあります。こうしたサービス・特典も利用すると、お得に車検を受けられます。
「指定工場」なのか「認証工場」なのかで選ぶ
各車検業者は、指定工場か認証工場か、どちらかの工場を持っています。指定工場は、国に代わって検査を行うことが認められているため、整備から検査まで一箇所で行えます。しかし認証工場の場合は、整備を済ませた後、軽自動車検査協会に車を持ち込み、検査を受けなければなりません。そのため、指定工場よりも車検に時間がかかってしまいます。スピーディーさで選ぶなら指定工場の方がよいでしょう。
各車検業者の特徴
各車検業者は、メリット・デメリットがあります。業者ごとの特徴をおさえておくと、さらに選びやすくなるでしょう。
ディーラー
ディーラーは、取り扱っているメーカーの知識や整備経験が豊富で、自社メーカーを熟知した整備スタッフが、入念な点検・整備と適切なアドバイスをしてくれるのが特徴です。また、質の高い純正部品を使用していたり、予防整備や保証などのアフターケアも充実していたりと、安心感があります。しかし整備のクオリティが高いぶん、他の業者に比べると費用は高い傾向にあります。
車検専門店
車検専門店は、車検の点検・整備に特化した業者です。当日中に車検を終えられる1日車検が一般的ですが、中には数時間で車検を終えられるお店もあり、スピーディーさが魅力です。車検専門店のため、技術力は問題ないにもかかわらず、価格も割安な傾向です。ただし、店舗によって整備技術やサービスにばらつきがあります。
ガソリンスタンド
ガソリンスタンドのメリットは、利用のしやすさです。身近なところにお店があるだけでなく、24時間営業のお店も多いため、給油などのついでに気軽に車検を依頼できます。また、給油や洗車サービスなどの特典を受けられることもあります。しかし、店舗で整備や検査を行うのではなく、外注するケースがほとんどのため、時間がかかる点と、代車の都合がつきづらい点がデメリットです。
カー用品店
カー用品店は部品を豊富に取り扱っているため、交換部品の選択肢が多いです。お店の担当者と相談して割安な部品を使用してもらえば、費用を抑えられるでしょう。また、ポイントカードを使えたり、来店時の作業工賃無料などの特典を受けられたりと、カー用品店を普段から利用している人ほど恩恵を受けられます。しかし、指定工場を持っていない店舗が多く、車検に時間がかかること、店舗により整備技術にばらつきがあることがデメリットです。
整備工場
整備工場は、様々な車の点検や修理、整備を行っているため、技術力の高さが魅力です。部品交換に加え、中古部品を用いて修理で対応してくれることもあるので、整備費用が安く済む可能性も。しかし、土日は営業していないことが多いため、平日働いている方などは利用しづらいかもしれません。
4.軽自動車の車検費用が高くなるケース
新車登録から13年、18年経過している
軽自動車の自動車重量税は、新規検査から13年未満は6,600円ですが、13年経過すると8,200円、18年経過すると8,800円に上がります(エコカー減税対象外の場合)。13年・18年というタイミングで重課対象になると、それだけ車検費用も高くなります。
部品の劣化や摩耗が進み、整備内容が多い
使用年数が長かったり、走行距離が多い軽自動車は、部品の劣化や摩耗が進んでいるため、部品交換費用や修理費用がかさみます。特に使用年数10年・走行距離10万kmを超えると、エンジンやトランスミッションなどの耐久性が低下します。これら駆動系部品の交換には、高額な費用がかかるため、自ずと車検費用も高くなってしまいます。
5.車検費用を安く抑える方法は?
車検基本料金の安い業者を選ぶ
法定料金は国によって定められているため、工夫次第で安くできるものではありません。そのため、車検基本料金の安い業者を選ぶことが、車検費用を抑える一つの方法です。
業者によって予防整備の範囲や車検代行費用などが異なるので、まずは複数の業者に見積もりをとり、費用を比較するとよいでしょう。なお見積りには、洗車や車内清掃なども含まれていることもあるので、こうした不要なオプションを省いてもらえば、さらに費用を抑えられます。
定期的にメンテナンスを行っておく
すでに解説した通り、整備内容が多いとそれだけ車検費用が高くなります。そのため、定期的にエンジンオイルの交換やタイヤの点検といったメンテナンスをしておけば、車検時にかかる整備費用を抑えられます。また、「突然、部品が故障した」などのトラブルを防ぐことにもつながるでしょう。
ユーザー車検を利用する
車検業者に依頼をせず、ユーザー自身で車検を行う方法もあります。この場合、かかるのは法定費用のみになるので、車検費用を安く済ませられます。しかし自分で点検・整備を行うため、プロレベルの専門的な知識や技術力が必要です。整備が不十分だとトラブルにもつながりかねませんから、基本的には車検業者に依頼することをおすすめします。
6.監修コメント
「車検」でウェブ検索をすると、民間の業者や運輸支局に関する情報が上位に表示されます。しかし、運輸支局で車検を受けられるのは普通自動車などです。軽自動車の車検は軽自動車検査協会で受け付けています。
ユーザー車検の検査も、軽自動車は軽自動車検査協会の検査場で行われます。予約は「軽自動車検査予約システム」で行えます。
民間の業者に依頼する場合は気にする必要はありませんが、ユーザー車検を考えているのなら覚えておくとよいでしょう。