軽自動車にかかる税金のひとつ「自動車重量税」。車検の際に支払う税金ですが、普通自動車の自動車重量税とは税金のかかり方や金額などが異なります。また、環境性能が高い車なら、「エコカー減税」によって免税などの優遇措置を受けられることもあります。
本記事では、軽自動車の重量税の金額から税金が戻ってくる還付制度や手続き方法までわかりやすく解説します!
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1.軽自動車の自動車重量税とは?
自動車重量税とは、車にかかる税金のうちのひとつで、車の用途区分や重量、経過年数に応じて課税されます。普通自動車の場合、車両重量が0.5t増えるごとに税額が高くなっていきますが、軽自動車の場合は車両重量に関係なく自動車重量税の金額は一律です。
自動車重量税は新規検査(普通自動車の場合は新規登録)と継続検査の際に支払います。車検費用には点検整備費用と法定費用があり、自動車重量税は法定費用の1つです。このため、車検を受けていない車には自動車重量税はかかりません。もちろん、車検切れの車は走行することもできません。
2.軽自動車の重量税を払うタイミング
自動車重量税は1年ごとにかかりますが、支払うのは新車を購入した新規検査の時と継続検査を受けた時です。その際、次回の車検までの有効期間分の税金をまとめて支払います。たとえば、新車購入の場合は次の車検が3年後ですので、3年分を納付します。中古車の新規検査や継続車検の場合は次回の車検は2年後になりますので、2年分を納付することになります。
3.軽自動車の重量税はいくら?
軽自動車の重量税は、新規検査から13年未満かつエコカー減税が適用されない場合、自家用は年間3,300円、事業用は年間2,600円です。自家用軽自動車で3年分を納付する場合は、3,300円×3年分=9,900円、2年分なら3,300円×2年分=6,600円をまとめて支払います。
先ほども触れましたが、軽自動車は普通自動車と違って、車両重量による税額の変動はありません。ただし、新規検査からの経過年数によって税額が変わってきます。自家用なら、新規検査から13年経った場合は年間4,100円、18年経過で年間4,400円に上がります。事業用は13年経過で年間2,700円、18年経過で年間2,800円となっています。車検の際に納める重量税の2年分の金額は次の表のとおりです。
【2年分の自動車重量税額】
新規検査から13年未満 | 13年経過 | 18年経過 | |
自家用 | 6,600円 | 8,200円 | 8,800円 |
事業用 | 5,200円 | 5,400円 | 5,600円 |
環境性能に優れた車は「エコカー減税」で税金が安くなる
エコカー減税とは、排出ガス性能や燃費性能といった国土交通省が定める環境基準を満たした車を購入した場合に、新規検査時や次回継続検査時の自動車重量税が減税される優遇措置のことです。基準の達成度合いや新規検査をした時期に応じて、軽自動車の自動車重量税が本則税率(エコカー減税対象車に適用される税額)から25%、50%、75%、100%(免税)の減税となります。
エコカー減税については、次の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
軽自動車の自動車重量税 早見表
新車購入の場合に納める3年分の自動車重量税と、継続検査時に納める2年分の自動車重量税の金額は下記の通りです。エコカー減税が適用されるかどうかによって金額が大幅に変わります。なお、エコカー減税の優遇措置を受けられるのは、新規検査時と1回目の継続検査のみです。また、継続検査で優遇措置を受けられるのは環境性能がとくに高い車のみとなっています。
【3年自家用軽自動車の新規検査時の税額】
エコカー減税適用なし | エコカー減税適用 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
本則税率から軽減 | 本則税率 | |||||
免税 | 75%減 | 50%減 | 25%減 | |||
軽自動車 | 9,900円 | 0円 | 1,800円 | 3,700円 | 5,600円 | 7,500円 |
【2年自家用軽自動車の継続検査時の税額】
エコカー減税適用なし | エコカー減税適用 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
本則税率から軽減 | 本則税率 | |||||||
新規検査から13年未満 | 13年経過 | 18年経過 | 免税 | 75%減 | 50%減 | 25%減 | ||
軽自動車 | 6,600円 | 8,200円 | 8,800円 | 0円 | 1,200円 | 2,500円 | 3,700円 | 5,000円 |
4.税額を調べるなら「次回自動車重量税額照会サービス」
次の車検の際にいくら自動車重量税を払えば良いか知りたい時は、国土交通省のWebサイトで確認することができます。「次回自動車重量税額照会サービス」というもので、車体番号と検査予定日を入力すると次回の重量税の金額が表示されます。
次回自動車重量税額照会サービス(軽自動車用)5.軽自動車の重量税の納付方法は?
次に、自動車重量税の納付方法を見てみましょう。ディーラーなどに依頼する場合と、自分でユーザー車検を行う場合を解説します。
ディーラーや整備工場に車検を依頼する場合
ディーラーや自動車整備工場、カー用品店などに車検を依頼する場合は、基本的に自動車重量税の納付手続きも一緒に行ってくれるため、自分でしなければならない手続きは特にありません。自動車重量税は車検費用の中の法定費用のひとつですので、車検の明細書を受け取った際に自動車重量税が含まれているかどうか確認しておきましょう。
ユーザー車検の場合
自分で検査場に車を持ち込んで車検を受ける「ユーザー車検」を行う場合は、自動車重量税も自分で納めます。まず、検査当日に管轄の軽自動車検査協会の窓口で「自動車重量税納付書」を受け取ります。必要事項を記入して、支払う自動車重量税の金額に相当する印紙を貼り付け、窓口で申請します。自動車重量税納付書は軽自動車検査協会のWebサイトからダウンロードすることもできます。
- 出典
- 軽自動車検査協会
6.軽自動車の自動車重量税還付制度とは?
自動車重量税還付制度とは、条件を満たせば車検の残存期間に応じて納付済の自動車重量税の還付を受けられる制度です。還付の対象になるのは、自動車リサイクル法に基づいて使用済の車が適正に解体され、その解体を事由とする「解体返納(普通自動車は永久抹消登録)」または「解体届出」を行った場合です。
解体返納は、使用済の軽自動車を解体した場合の手続きです。解体届出は、一時的に軽自動車の使用を中止した後に車を解体した場合の手続きです。いずれの場合も還付を受けるには、管轄の軽自動車検査協会の事務所で解体返納または解体届出の手続きをし、還付申請も同時に行う必要があります。
還付される金額は次の計算式で算出できます。
「納付済の重量税額 × 車検残存期間 ÷ 車検有効期間 = 還付金額」
たとえば、納付済の自動車重量税が6,600円、車検残存期間が6ヶ月、車検有効期間が2年の場合、「6,600円 × 6ヶ月 ÷ 24ヵ月 = 1,650円」となり、還付金は1.650円です。
ただし、車検残存期間が1ヶ月未満の場合は還付金を受け取ることはできません。
一時的な返納では還付を受けられない
軽自動車の廃車に関する手続きには「解体返納」「解体届出」の他に、「自動車検査証返納届」というものがあります。これは、普通自動車の「一時抹消登録」に該当するもので、登録した車の情報を一時的に停止して、車の使用を止める手続きです。再登録すれば再び公道を走ることができます。
重量税の還付の条件は、「解体を事由とする解体届出」となっています。このため、自動車検査証返納届の場合、還付を受けることはできません。単身赴任などで一時的に軽自動車の使用を停止しても自動車重量税は還付されないので注意しましょう。
自動車重量税についてもっと知りたい方は、次の記事で解説していますのであわせてご覧ください。
7.監修コメント
軽自動車にかかる税金には、消費税などのほか、「軽自動車税種別割」と本稿にある「自動車重量税」があります。
自動車重量税は車検時に収めるのに対し、軽自動車税種別割(普通自動車の場合は「自動車税種別割」)は、毎年春に通知が届いてから納付することになります。この点は普通自動車と変わりませんが、軽自動車税種別割には廃車にした際の還付制度が存在しません。
それぞれに似て非なる部分があるので、混同しないように注意しましょう。