軽自動車とコンパクトカーはともに小型で、小回りのきく車ですが、サイズや税金、乗用可能な人数などいくつかの違いがあります。当記事では、軽自動車とコンパクトカーの違いについて解説しながら、選び方のポイントについて紹介します。
- 目次
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1. 軽自動車とコンパクトカーとは?排気量やサイズ等の基本知識
軽自動車とは
軽自動車は、サイズが小さく排気量の少ない車です。軽自動車には明確に規定があり、「長さ3.4m以下、幅1.48m以下、高さ2.0m以下、排気量660cc以下」という制限が設けられています。普通車に比べるとサイズが小さく、小回りがきくため、狭い道や駐車場でも運転しやすいのが特徴です。また、詳しくは後述しますが、普通車より税金が安いのもメリットです。
コンパクトカーとは
コンパクトカーは、普通車の中でも小型の車のことをさします。コンパクトカーには明確な規定はありませんが、一般的に「長さ3.4m〜4.2m未満、幅1.48m〜1.7m未満、高さ2.0m以下、排気量1,000cc〜1,500cc」のサイズの車が多いです。コンパクトな車体で運転がしやすく、また軽自動車に比べると排気量があるのでパワーのある走りができます。
2. 軽自動車とコンパクトカーの違い
軽自動車とコンパクトカーの違いを表にまとめると、以下の通りです。それぞれの違いについて、解説します。
軽自動車 | コンパクトカー | ||
---|---|---|---|
サイズ | 長さ3.4m以下 幅1.48m以下 高さ2.0m以下 |
長さ3.4m〜4.2m未満 幅1.48m〜1.7m未満 高さ2.0m以下 |
|
排気量 | 660cc以下 | 1,000cc〜1,500cc | |
乗用可能人数 | 4人 | 5人 | |
ナンバープレートの色 | 黄色 | 白 | |
税金 | 軽自動車税(種別割)・自動車税(種別割)(年間) | 一律10,800円 | 25,000円〜30,500円 |
自動車重量税(年間) | 一律3,300円 | 8,200円〜12,300円 ※ |
※車両重量1〜1.5t、2年自家用の場合
エコカー以外・新車登録から13年未満の車の場合
サイズ
軽自動車、コンパクトカーともに、小さめのサイズの車です。しかし、軽自動車は「長さ3.4m以下、幅1.48m以下、高さ2.0m以下」であるのに対し、コンパクトカーは「長さ4.2m未満、幅1.7m未満、高さ2.0m以下」のものが多いです。そのため、軽自動車の方がより小さなサイズの車です。
エンジンの排気量
軽自動車とコンパクトカーは、排気量が大きく違います。軽自動車の排気量は660cc以下に制限されていますが、コンパクトカーは1,000cc〜1,500ccのエンジンを搭載した車が多いです。軽自動車に比べると、コンパクトカーの方がエンジンのパワーがあるため、高速道路や坂道でも安定した走行ができます。
乗用できる人数
軽自動車とコンパクトカーの大きな違いのひとつは、乗用できる人数です。軽自動車の定員は原則「4人」までですが、コンパクトカーは普通車のカテゴリに入るので、定員は「5人」までです。
軽自動車の乗用人数については、以下の記事で詳細を解説していますので、こちらも確認してみてください。
ナンバープレートの色
自家用軽自動車の場合、ナンバープレートの色は「黄色」です。自家用普通車のナンバープレートは「白」なので、コンパクトカーのナンバープレートの色も「白」になります。
税金
軽自動車とコンパクトカーの違いは、税金にもあります。例えば、軽自動車の自動車税(種別割)は一律10,800円です。一方、コンパクトカーは、排気量によって税額が異なり、排気量1,000cc以下は25,000円、1,000cc超〜1,500cc以下は30,500円です。
また、自動車重量税(※)に関しても、軽自動車は年間で一律3,300円です。しかし、コンパクトカーは車両重量0.5トンごとに税額が上がります。例えば、~1tは8,200円、~1.5tは12,300円です。
※2年自家用・エコカー以外の場合
3. 軽自動車とコンパクトカーの維持費比較
実際に、軽自動車とコンパクトカーでは維持費にどれくらい差が出るのか比較しました。表をみると、保険料や車検費用にはそこまで差は出ませんが、税金で差が出ることがわかります。ただし、以下にはメンテナンス費用などは含まれておりませんので、一例として参考にしてください。
軽自動車 | コンパクトカー (車両重量1.0t・総排気量1,000cc以下) |
|
---|---|---|
自動車税(種別割) | 10,800円 | 25,000円 |
自動車重量税 | 3,300円 | 8,200円 |
自賠責保険料 | 8,770円 | 8,825円 |
自動車保険料 | 50,000円 | 55,000円 |
車検費用(車検基本料金+印紙代) | 21,000円 | 22,500円 |
燃料代 | 84,650円 | 84,650円 |
駐車場代 | 120,000円 | 120,000円 |
年間 | 298,520円 | 324,175円 |
月額 | 約24,876円 | 約27,014円 |
※自動車税(種別割)・自動車重量税...エコカー以外・新車登録から13年未満の車の場合。
※自賠責保険料...軽自動車17,540円(24ヶ月分)、普通車17,650円(24ヶ月分)を2で割ったもの。2025年度適用のもの。また、離島以外の地域(沖縄県を除く)の場合。
※車検費用...軽自動車約42,000円、コンパクトカー約45,000円を2で割ったもの。
※燃料代...軽自動車・コンパクトカーともに20km/Lの車を想定し、レギュラーガソリン1L=169.3円(2025年6月時点での全国平均)、年間走行距離1万kmとして計算。
※駐車場代...月額10,000円として算出。
4. 軽自動車が向いている人・コンパクトカーが向いている人
軽自動車が向いている人
通勤・通学、日常の買い物など、近距離の移動がメインであれば、より車体の小さな軽自動車が向いています。小回りがきくので、狭い道路や駐車場でもスムーズな走行ができます。また、軽自動車の方が税金が安めなので、維持費をできるだけ抑えたいという方も、軽自動車の方が良いでしょう。
コンパクトカーが向いている人
軽自動車とコンパクトカーの大きな違いの一つは、乗用できる人数です。軽自動車は原則「4人」までしか乗れませんが、コンパクトカーは「5人」まで乗れます。そのため、5人以上で乗ることが多い場合は、コンパクトカーの方が良いです。また、軽自動車に比べるとコンパクトカーの方がエンジンの排気量が多く、パワーがあるので、高速道路をよく使うという方も、コンパクトカーの方が向いています。
軽自動車とコンパクトカーの代表例
代表的な軽自動車
ホンダ N-BOX
ホンダのN-BOXは、軽自動車の中でも人気の車種の一つです。車高が高い「スーパーハイトワゴンタイプ」で、車内高が1.4mと広々とした室内空間が魅力です。また、スライドドアなので、子どもも高齢の方でも乗り降りしやすいのもうれしいポイントです。
価格:1,739,100円〜2,475,000円
ダイハツ タント
ダイハツのタントも、ホンダのN-BOXと同じく「スーパーハイトワゴンタイプ」です。大きな特徴は、助手席側のボディ中央の柱がない「センターピラーレス構造」です。助手席のドアと後席のドアを開けた時の開口部が広く、乗降性に優れています。
価格:1,485,000円〜2,106,500円
スズキ スペーシア
スズキのスペーシアも、「スーパーハイトワゴンタイプ」で、広々とした室内空間と利便性の良いスライドドアを備えています。スズキのスペーシアは、最高燃費が25.1km/L(WLTCモード)と、軽自動車のスーパーハイトワゴンの中でも、燃費の良い点が魅力です。
価格:1,530,100円〜2,193,400円
代表的なコンパクトカー
トヨタ ヤリス
ヤリスは、2020年2月に国内販売が開始されたトヨタのコンパクトカーです。コンパクトなサイズで低重心の設計のため、小回りがしやすく、安定した走行ができる点が魅力です。現行モデルにはガソリン車とハイブリッド車がありますが、ハイブリッド車は29km/L〜36.0m/L(WLTCモード)と、優れた燃費性能を持ちます。
価格:1,657,700円〜2,887,500円
ホンダ フィット
2001年に初代モデルが発売されたホンダのコンパクトカーです。現行モデルには、シンプルなデザインで価格の安い「BASIC」、快適な室内空間の「HOME」、スポーティーな「RS」、SUVのような「CROSSTAR」、高級感のある「LUXE」の5つのグレードがあります。車体はコンパクトながら、室内空間が広いため、ゆったりと乗ることができます。
価格:1,720,400円〜2,846,800円
日産 ノート
日産の第4のコンパクトカーとして、2005年に初代モデルの発売が開始されました。スタイリッシュなデザインと、小回りがきく点が魅力です。現行モデルは発電専用エンジンで発電してモーターだけで走る、外部充電が不要な「e-POWER」を搭載しています。
価格:2,299,000円〜3,063,500円
※価格はすべて2025年6月時点の情報です。
5. 監修コメント
軽自動車とコンパクトカーのどちらにしようか迷っている場合は、どのように使うのかに重点を置いて選ぶとよいでしょう。乗車可能人数が4名でも十分で、あまり高速道路を使わないという方は、軽自動車のほうが得られるメリットが大きいといえます。
軽自動車とコンパクトカーのどちらにするのかが決まったら、駆動方式を選択しましょう。
ハイブリッド車などはガソリン車よりも燃費性能に優れていますが、車体価格が高くなります。車体価格が高い分を安く抑えられる燃料費で補うためには、相応の走行距離が必要になります。その一方で、燃費性能に優れているモデルはエコカー減税などが受けられます。優遇措置を含めて検討するとよいでしょう。