これまで、車検を受ける際には自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)の納税証明書を提示しなければなりませんでした。しかし、普通自動車は2015年4月から、軽自動車は2023年1月から納税証明書の提示が原則不要になっています。当記事では、納税証明書の概要や再交付方法などについて紹介します。
- 目次
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1. 納税証明書とは
納税証明書とは、自動車税(種別割)もしくは軽自動車税(種別割)※を滞納することなく、きちんと納税していることを証明する書類です。
自動車税・軽自動車税は、毎年4月1日時点で車を所有している人に課せられる税金で、一般的に5月上旬頃、地方自治体から納付書が送られてきます。その納付書をもって、銀行や郵便局、コンビニエンスストア等の窓口で納税をすると、納付書に領収日付印が押されます。領収書印が押された納付書が、そのまま納税証明書となります。
ただし、クレジットカードやスマートフォン決済アプリなど、窓口以外で納付した場合には、納付書に領収日付印が押されません。そのため、納税証明書が必要な場合は、別途交付請求をする必要があります。
※以下、自動車税、軽自動車税
2. 車検時に納税証明書は必要?不要?
車検時の納税証明書は原則不要に
納税証明書の代表的な用途としては、車検です。車検は自動車税・軽自動車税を納税していなければ受けられないため、車検を受ける際には納税証明書の提示が求められていました。
しかし現在では、車検時の納税証明書の提示は原則不要になっています。なぜなら、自動車税・軽自動車税の納付情報をオンラインで確認できる「JNKS(ジェンクス)」「軽JNKS」の運用が開始されたからです。
これにより、条件を満たした場合に限り、普通自動車は2015年4月から、軽自動車は2023年1月から納税証明書を提示しなくても、車検を受けられるようになっています。
ただし、車検以外にも納税証明書が必要になる場面があるので、納税証明書は捨てず、大切に保管しておきましょう。
一部ケースでは今後も車検時に納税証明書が必要
上記では、原則として車検時の納税証明書の提示が不要になったと説明しました。しかし、今後も納税証明書が必要になるケースがあるので、それらについて紹介します。
納付してからすぐに車検を受ける時
オンラインで納税情報を確認できるようになったものの、納税情報がJNKS・軽JNKSのシステムに反映されるまでには、数週間〜数ヶ月とタイムラグが生じます。納税情報が反映されるまでの期間は、納付方法によって異なります。参考として、普通車の自動車税を納付した場合、その納付情報がJNKSに反映されるまでの日数を納付方法ごとに紹介します。
納付方法 | 反映にかかる日数 |
---|---|
自動車税事務所、県税事務所の窓口 | 納付から2営業日 |
市町村の窓口 | 約2ヶ月 |
金融機関・郵便局 | 約2週間 |
コンビニエンスストア | 約1週間 |
Pay-easy(ペイジー) | 約1週間 |
スマートフォン決済(コンビニバーコードの場合) | 約1週間 |
スマートフォン決済(eL-QR二次元コードの場合) | 約2週間〜約1ヶ月 |
クレジットカード(地方税お支払サイト) | 約2週間〜約1ヶ月 |
- ※引用
- 千葉県ホームページ
このように、納付情報がJNKS・軽JNKSのシステムに反映されるわけではありません。そのため、納付後すぐに車検を受ける場合には、紙の納税証明書の提示が必要になることがあります。
二輪小型自動車(総排気量250cc超)の車検を受ける時
現時点(2024年12月)、軽JNKSで納付情報が確認できるのは三輪以上です。二輪の小型自動車(総排気量が250ccを超えるもの)は対象外なので、今後も納税証明書の提示が必要になります。ただ、令和7年から二輪の小型自動車も軽JNKSの対象になる予定です。
他の市区町村へ引っ越した後に車検を受ける時
納付書は、毎年4月1日時点での車検証に記載の住所に郵送されます。もし、年度途中に他の市区町村に引っ越し、その後に車検を受ける場合は、引っ越し前の自治体が発行した納税証明書が必要になる可能性があります。
中古車の購入直後に車検を受ける時
中古車購入直後に車検を受ける場合、JNKS・軽JNKSで納付情報が確認できないことがあります。そのため、前の所有者から納税証明書を受け取っておきましょう。
対象車両に過去未納がある場合
過去、自動車税・軽自動車税の未納がある場合も、JNKS・軽JNKSによる納税情報のオンライン確認ができないため、紙の納税証明書が必要になります。
3. その他、納税証明書が必要となるシーン
車の売却時
義務ではありませんが、車を売却する時に、買取業者や次の所有者に納税証明書の提示を求められることがあります。上述の通り、自動車税・軽自動車税の未納があると車検が受けられなくなるなど、トラブルにつながる可能性があるからです。
所有権解除手続き時
車の所有権をローン会社やカーディーラーなどから自分名義に変更することを「所有権解除」といいます。所有権が他人名義の場合、車の売却や廃車手続きなどを自分で行うことができません。そのため、ローンを完済した後は、所有権解除手続きを行うのが一般的です。
この所有権解除の手続きを行う際にも、車検証や完済証明書などのほか、納税証明書を提出することが多いです。
4. 納税証明書の再交付の手続き方法
上述の通り、納税証明書はさまざまな場面で必要になります。もし納税証明書が必要になった場合には、以下の手順で再交付の手続きを行いましょう。
普通車の場合
普通車の納税証明書は、都道府県税事務所や自動車税管理事務所、駐在事務所などで再交付手続きを行います。窓口で「交付請求書」を受け取り、そこに、納税義務者の氏名・住所、ナンバープレートの番号、車台番号等を記入して提出します。なお、「交付請求書」は都道府県のホームページからダウンロードすることも可能です。
もし、ナンバー変更があった場合は車検証のコピーを、納付してから2週間経っていない場合は、納付時の領収書を持参しましょう。
手数料に関して、車検用納税証明書の発行は、無料の場合が多いです。車の売却や名義変更等に使用する一般用納税証明書の発行には、300円や400円など、手数料がかかることがあります。
軽自動車の場合
軽自動車の納税証明書の再交付手続きは、市長区村の税務課窓口で行います。窓口に置いてある「交付申請書」に、申請者や納税義務者の氏名・住所・生年月日、ナンバープレートの番号等を記入します。もしくは、事前に「交付申請書」を市長区村のホームページからダウンロードして印刷し、記入したものを持参しましょう。
手続きの際には、申請者の本人確認もあります。マイナンバーカードや運転免許証などを忘れずに持参し、窓口の担当者に提示しましょう。手数料に関しては、普通車と同じく、車検用納税証明書は無料、一般用納税証明書は数百円かかることが多いです。
代理人や郵送で再交付手続きも可能
納税証明書は、代理人や郵送による再交付手続きも可能です。代理人に依頼する場合には、別途委任状を用意しましょう。
郵送で手続きをする場合には、記入済みの「交付請求書」および「交付申請書」、送付先を記入し切手を貼った「返信用封筒」を管轄の窓口に郵送します。また、一般用納税証明書を交付する場合は、手数料分の「定額小為替」も同封するか、「現金書留」で送りましょう。このほか、本人確認書類の写しが必要な場合もあるので、お住まいの地域のホームページで必要書類を確認しておくことをおすすめします。
5. 監修コメント
毎年春は、進学や就職に伴う自動車の譲渡が多くなる時期です。子や孫に車を譲ろうと考えている方や、親から車を譲り受ける予定の方も多いことでしょう。その際に注意したいのが譲渡のタイミングです。
自動車税・軽自動車税(種別割)の納税義務者は4月1日時点で決まるので、4~5月の間に譲渡をすると、ややこしいことになりかねません。この時期に自動車を譲渡する場合は、自動車税・軽自動車税(種別割)をどうするのかもはっきりさせておくとよいでしょう。