交差点の右折レーンの手前や斜車線減少箇所など、道路上に白い斜線が引かれているゾーンを見たことがあるかと思います。この範囲で車線変更を行うことは正しい運転と言えるのかご存じでしょうか。
ゼブラゾーンは、ドライバーによって走行上の認識が異なるグレーゾーンでもあります。ここでは、ゼブラゾーンの意味や走行・駐車の可否、ゼブラゾーンで起こりうる事故や注意点などを解説します。
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1.ゼブラゾーン(導流帯)とは?役割を解説
道路の交差点手前や車道中央部などに多く見られる白色縞模様の部分は「導流帯」といい、円滑な走行を誘導するために設けられています。その見た目から「ゼブラゾーン」とも呼ばれます。
セブラゾーンは、多車線道路の交差点や広すぎる道路、複雑な形状をした道路での走路ガイドとしての役割や、車線数が減少する手前など交通事故が起きやすい場所において事故を防ぐ役割、円滑な走行を誘導する役割を果たしています。
2.ゼブラゾーン(導流帯)の交通ルール
では、ゼブラゾーン上を走行したり駐停車したりすることは可能なのでしょうか。正しい交通ルールを見ていきましょう。
ゼブラゾーンは走行可能
ゼブラゾーンは走行禁止ではないため、通行しても罰則はありません。しかしここを走行することはおすすめできません。あくまで走行を「誘導」するためのものであり、車の走行を想定してはいないため、事故の危険性が高いからです。後ほど、実際に起こりうる事故について紹介します。
ゼブラゾーンでの駐車や停車は違反?
駐車や停車をしてもゼブラゾーン上だからという理由で罰則はありません。しかし、ゼブラゾーンは交差点手前や交通量の多い道路など安全な交通を妨げる可能性がある場所に設置されているため、その道路として駐車禁止になっているケースが多いです。他の交通の妨害となる場合は違反になる可能性もあるため、やむを得ない場合を除き駐車や停車は避けましょう。
3.過失割合も変化!ゼブラゾーン(導流帯)で起こる事故に注意
以下では、2つの事例からゼブラゾーンで起こる事故を紹介します。
道路外から道路に進入するため右折する車とゼブラゾーン走行車の事故
1つ目は、ゼブラゾーンを走行する車と、道路外から道路へ進入するために右折する車の事例です。
上のイラストの事例は、右折車Aのドライバーが走行車線の注視はしていたものの、ゼブラゾーンBの注視まではしていなかった場合などに起こりうる事故です。
この場合、過去の判例ではゼブラゾーンを走行している車の過失割合が10〜20%ほど引き上げられる傾向にあります。一般的に、道路外から道路に進入するため右折した車と車線を走行していた車の基本過失割合は、右折車が80%、走行車が20%です。
ただし、ゼブラゾーン走行の過失修正が加わると、走行車の過失割合が20%から30~40%へ引き上げられる可能性があります。そのため、ゼブラゾーンを走行する際は道路に進入してくる車を含め、入念な前方確認が必要です。
ゼブラゾーンで車がスリップ・パンクする事故
ゼブラゾーンは道路上に白線で描かれていますが、白線はアスファルト舗装より滑りやすい特性があります。そのため、雨や雪、凍結時などにおける走行ではスリップ事故を招く恐れがあります。
さらに、ゼブラゾーンはほとんど走行されることがない場所であり、道路上のごみなどが堆積しやすくなっています。砂などによって滑りやすい場合があるうえ、釘や金属片のようなタイヤを傷つける鋭利なものがゴミとして落下している可能性もあり、パンクのリスクが増加します。
4.ゼブラゾーン(導流帯)に似ている路面標示
道路上にはゼブラゾーンに似た標示がいくつかありますが、それぞれ異なる意味を持ち、交通ルールも異なります。
立ち入り禁止部分
ゼブラゾーンと同じく白の斜線でも、周囲が黄色の実線で囲まれている場所は「立ち入り禁止部分」といい、導流帯とは別のものです。通行・進入・駐停車が禁止されている場所です。見通しの悪いカーブや、事故が起こりやすい場所に設置されています。
安全地帯
黄色と白色の実線で囲まれた部分は「安全地帯」であり、車の侵入が認められていません。また、安全地帯に歩行者がいる場合は徐行することが義務づけられています。安全地帯は、路面電車の停留所や幅の広い横断歩道の中間地点などに設置されています。
停止禁止部分
警察署や消防署、バスターミナルの前などにある白色の短い斜線を実線で囲んだ区画は「停止禁止部分」であり、緊急車両の通行を確保するための区画です。停止禁止部分への通行は許可されていますが、区画内での停車は禁じられています。停止できないので、当然駐車もできません。
5.ゼブラゾーン(導流帯)には要注意!安全確認を怠らず運転しましょう
ゼブラゾーンは走行しても罰則はありません。ただし、ゼブラゾーンはあくまでもスムーズな走行を誘導するためのものであるため、やむを得ない場合を除いて走行しないようにしましょう。
例えば、ゼブラゾーンを走行中に事故にあった場合、ゼブラゾーン走行による過失修正が上乗せされるケースがあります。また、ゼブラゾーンを含む道路上の白線はすべりやすくなっていてゴミもあるので、スリップやパンクのリスクが増します。
そのため、ゼブラゾーンの走行はできるだけ避けるようにしましょう。運転上、やむを得ずゼブラゾーンを走行する場合は、十分な安全確認が大切です。