ナンバープレートに記載されている「自動車登録番号」は、車の識別などに用いられるため、車の身分証明証ともいえるほど重要な役割を持ちます。そのため、見やすい位置に取り付けることが義務付けられており、これに違反した場合には罰金が科せられる恐れがあります。一方では犯罪利用を目的としたナンバープレートの盗難事件も近年相次いでおり、所有者はその管理に注意しておかなければいけません。
ここでは、知っているようで知らないことの多いナンバープレートの見方や重要性を再確認していきます。
- 目次
-
1. 自動車登録番号とは
自動車登録番号とは、ナンバープレートに表示された番号のこと
自動車登録番号はナンバープレートに記載されている番号のことで、車検証の「自動車登録番号又は車両番号」欄にも記載されています。自動車登録番号には、車の管轄地域や用途、識別のための情報が含まれています。自動車登録番号およびナンバープレートは運輸支局の管轄地域ごとに発行され、同じ自動車登録番号の車が同時に存在することはありません。
軽自動車の場合も役割は同様ですが、運輸支局ではなく軽自動車検査協会で登録される軽自動車や軽二輪車は「登録番号」が正式名称です。
なお、車庫証明などの書類に自動車登録番号を記載する場合には、「品川 500 ね 12-34」など、数字だけではなく地名やひらがなもすべて記入するようにしましょう。
車台番号と車両番号の違い
車には、自動車登録番号の他にもう一つ「車台番号」という固有番号が割り振られています。「車台番号」は自動車メーカーが車体などに刻印する番号であり、「車体番号」と呼ばれる場合もあります。一方、「車両番号」は「自動車登録番号」と同義です。
車台番号がマイナンバーのようなものだとすれば、車両番号(自動車登録番号)が記載されたナンバープレートは車にとっての社員番号に相当します。車両番号は所有者や住所が変わることで異なる番号が発行されますが、車台番号は車1台1台のボディに刻まれているため、変更されることはありません。車台番号には車種やグレード、製造場所などの情報が含まれており、リコール情報や部品供給などのメーカー側の製品管理のほか、車検時や自動車保険の契約時にも用いられます。
2. ナンバープレートの意味
ナンバープレートには4桁の番号の他に、地域名や1〜3桁の番号なども記載されています。これらの表示にはすべて意味があり、いずれも車両を管理しやすくするためのものです。ナンバープレートの見方を解説していきます。
地域名
地域名は、車の使用の本拠地を表し、各都道府県名、自治体名、地域名が一つ記載されます。ただし、地域名には使用車の本拠地を管轄する運輸支局および自動車検査登録事務所の所在地が記載されるので、必ずしも自分が住んでいる地名が表示されるわけではありません。例えば、東京都立川市に住所があっても、立川市は多摩自動車検査登録事務所が管轄しているので、ナンバープレートの地域名には「多摩」と表示されます。
分類番号
分類番号の1桁目は、軽貨物自動車や小型乗用車など、車の用途車種を表します。
1桁目の数字 | 用途種別 |
---|---|
1 | 貨物自動車 |
2 | 乗合自動車 |
3 | 乗用自動車 |
4・6 | 小型貨物自動車・軽貨物自動車 |
5・7 | 小型乗用車・軽乗用車 |
8 | 特殊用途自動車 |
9 | 大型特殊自動車 |
0 | 大型特殊自動車(建設機械) |
下2桁は、ナンバープレートが希望ナンバーかどうかを表しています。希望ナンバーとは、後述する「一連指定番号」を自分の希望する番号にできる制度のことです。下2桁は基本的に数字だけで構成されますが、「30A」など、3桁目にアルファベットが記載されているケースもあります。このようなアルファベットの使用は、希望ナンバー制度により、人気が集中したナンバーの当選枠を増やすことを目的として導入されたものです。
ひらがな
ひらがなの表示は判別文字といい、割り振られるひらがな1文字によって、自家用・事業用・レンタカーなどが判別できます。
普通自動車 | 軽自動車 | |
---|---|---|
自家用車 | さすせそ/たちつてと/ なにぬねの/はひふほ/まみむめも/やゆ/らりるろ |
あいうえ/かきくけこ/さすせそ/たちつてと/なにぬねの/はひふほ/まみむめも/やゆよ/らるろ/を |
事業用車 | あいうえ/かきくけこ/を | りれ |
レンタカー | れ/わ | わ |
駐在軍人用車両 | よ/EHKMTY | AB |
一連指定番号
もっとも大きく記載された4桁の番号は一連指定番号といい、「・・-・1」から「99-99」まで通し番号が用いられます。一連指定番号と地域名・分類番号・判別文字とを組み合わせることで、膨大な数にのぼる車の1台1台に固有の番号が割り当てられます。
一連指定番号は、希望ナンバー制度を利用して任意の番号にすることもできますが、人気が高いゾロ目や語呂合わせ番号などは抽選によって決められます。また、文字が発光することで視認性を高めた字光式ナンバープレートや、地域振興の一環として図柄が記載されたご当地ナンバープレートなどへの変更も可能です。
任意の番号への変更については「車のナンバープレートを変更する方法とは?」を参照してください。
3. ナンバープレートの封印とは
封印とは、リアナンバープレートの左上ボルトに付いているアルミカバーのこと。封印は、その車が運輸支局で登録・検査を受け、正式にナンバープレートを取得したことの証となります。また、封印はナンバープレートの勝手な取り外しや、車の盗難を防ぐ役割もあります。
ナンバープレートの封印は、国土交通大臣または運輸支局職員の封印取付受託者のみが行えるものであり、封印が外された状態やナンバープレートが付いていない状態で走行をした場合は番号標表示義務違反が適用され、反則点2点と6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。もし、事故や盗難などにより、封印を紛失したり破損したりした場合には、運輸支局で再封印をしてもらう必要があります。
ただし、運輸支局ではなく軽自動車検査協会で登録手続きをする軽自動車にはナンバープレートの封印はありません。
4. ナンバープレートの種類
ナンバープレートには、「白地に緑文字」「緑地に白文字」など、いくつかの塗色×文字色のパターンがあります。そのパターンで、車の用途などが判別できるようになっています。ナンバープレートの色が表す車種・用途は、以下の通りです。
白地×緑文字・自家用普通車
緑地×白文字・営業用普通車
黄地×黒文字・自家用軽自動車
黒地×黄文字・営業用軽自動車
青地×白文字・外交官車両
白地×赤い斜線・臨時運行許可車両(仮ナンバー)
5. ナンバープレートの役割
ナンバープレートは、車の用途を表す以外にも様々な役割を持っています。例えば道路運送車両法上では、運用されている車のデータベースともいえる「自動車登録ファイル」への登録と保安基準への適合を証明する役割を担っています。
行政上では、車庫証明や自賠責保険、税金の納付状況など、車に関わるあらゆるデータと紐付けることでスムーズな手続きを促します。司法上の役割としては、車両の特定ができることによる持ち主の特定やスムーズな事故検分、犯罪抑止などがあります。
6. ナンバープレートに関連する法律
ナンバープレートおよび封印を外した状態での走行は法律で硬く禁じられている他、保安基準と国土交通省令によって取付位置や取付け方法などが明確に定められています。
2016年4月1日からは、ナンバープレートに関するルールが厳格化され、ナンバープレートをカバーで覆うこと、ナンバープレートにシールを貼ること、ナンバープレートを折り曲げたり回転させたりして取り付けることなどが禁止になりました。さらに2021年4月1日以降に登録する車には、新たに取付角度やナンバープレートの固定枠寸法などにも数値化された詳細な規定が設けられています。
項目 | 前面のナンバープレート | 後面のナンバープレート | ||
---|---|---|---|---|
上端が1.2m以下 | 上端が1.2m超 | バイクの場合 | ||
位置 | 番号の識別に支障が生じないように見やすい位置 | |||
角度 | 上向き10°~下向き10° | 上向き45°~下向き5° | 上向き25°~下向き15° | 上向き40°~下向き15° |
左向き10°~左右向き10° | 左向き5°~左右向き0° | 左右向き0° | ||
回転 | 水平 |
ナンバープレートを移設する際には、一定の角度を保ったまま見やすい位置に設置する等法に則って行う必要があります。上記に違反した場合は50万円以下の罰金が科せられます。
詳しくは国土交通省ホームページをご覧ください。
7. 監修コメント
ナンバープレートに記載された自動車登録番号は、車の識別や管理、手続きの円滑化などに寄与します。そのため、ナンバープレートはどんなときでも正確に判別できる位置に取り付けられていなければなりません。本記事を参考にして、ご自身の車の自動車登録番号の意味合いを知るとともに、正しく取り付けられているのかを改めてチェックしましょう。
また、近年は、犯罪目的のナンバープレート盗難が多発しています。ナンバープレートが盗難被害に遭うと、一時的に車が使えなくなります。警察による事情聴取やナンバープレートの再発行にも手間がかかるので、取り付け状態の確認と合わせて、盗難対策も講じておきましょう。
そして、万一の事態に備えて任意保険に加入することも重要です。ご自身に合った保険を選んで、安心・安全なカーライフを楽しみましょう。