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車の譲渡証明書の書き方は?入手方法や記入例、作成時の注意点も解説

更新

2024/10/07

公開

2024/10/07

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車の持ち主を変える際に必要な書類の中でも、「譲渡証明書」の作成には多くの厳格なルールがあります。十分な知識がないままに作成してしまうと、手続きの遅延やトラブルにつながることも。そこで当記事では、譲渡証明書の意義や入手方法、正しい書き方について詳しく解説します。

目次

    1.譲渡証明書とは

    譲渡証明書とは、車がある持ち主から別の持ち主のもとに渡ったことを証明する書類です。車の所有者を変える名義変更(移転登録)という手続きの際に必要となり、原則として旧所有者が作成して運輸支局または自動車検査登録事務所へと提出します。

    なお、譲渡証明書の様式は国土交通省によって厳密に定められており、要件を満たさないものは受理されません。そのため、提出にあたっては正しい知識にもとづいて作成することが大切です。

    譲渡証明書が必要な理由

    譲渡証明書を提出する重要な目的のひとつが、義務の所在を明らかにすることにあります。車の所有者には「自動車税の納税」「自賠責保険への加入」といった義務が課せられるため、譲渡証明書を提出することで車だけでなく義務も新しい所有者へと移す必要があるのです。

    ただし、車の所有者は変わらず、使用者のみが変わる場合(変更登録)には譲渡証明書は必要ありません。譲渡する車が軽自動車の場合も譲渡証明書は不要です。

    2.譲渡証明書の作成が必要な場面

    譲渡証明書は、主に以下のようなケースで作成・提出が必要となります。

    車を譲渡する時

    車を譲渡する場合には、たとえ家族間での譲渡であっても譲渡証明書を作成しなければなりません。また、車を廃車にするために業者へ譲渡する際も譲渡証明書の提出を求められる場合があります。

    中古車を売買する時

    現在持っている車を売却する際や、すでに持ち主のいる車を購入する際にも譲渡証明書は必要です。個人間で車を売買する際は、当事者自らが譲渡証明書を用意します。一方で、販売店などの業者が間に入る場合には、業者側が用紙を提供することが多いです。

    3.譲渡証明書を入手する方法

    譲渡証明書の用紙や様式は、以下のような形で入手することが可能です。

    運輸支局の窓口で入手

    譲渡証明書の用紙は、各地域の運輸支局で手に入れることができます。とはいえ、運輸支局の窓口は基本的に平日の日中しか対応しておらず、受付時間は地域によっても異なるため注意が必要です。

    国土交通省のHPからダウンロード

    譲渡証明書の様式は、国土交通省のホームページから無料でダウンロードできます。こちらのデータを印刷して作成することも可能です。

    国土交通省 譲渡証明書

    ただし、感熱紙は熱や光を受けると文字が変色してしまうため、用紙に使うことができません。必ず普通紙を使用しましょう。

    4.譲渡証明書の書き方

    譲渡証明書を作成する際には、まず以下のものを用意しておく必要があります。

    • 黒のボールペン
    • 譲渡する車の詳細な情報がわかるもの(車検証など)
    • 新旧の所有者の情報(氏名・住所)
    • 実印(旧所有者のみ)

    必要なものが準備できたら、譲渡証明書の各項目に内容を記入していきます。

    (図)※イメージ

    transfer-certificate-01.jpg

    transfer-certificate-02.jpg①    車両情報

    今回譲渡する車の情報を記入します。記入する内容は以下の4点です。

    記入欄 記入する内容
    車名 車のメーカーを記載します。詳細な車種の名称は不要です。

    例:トヨタ、三菱、BMWなど

    型式 アルファベットと数字の組み合わせからなる、メーカーや車種、モデルを識別する番号です。

    例:ABC-000000

    車台番号 すべての車両に個別につけられた識別番号です。同じ車種・モデルであっても一台ずつ異なります。

    例:ABCDEF0000‐0000000

    原動機の型式 エンジンの種類を識別する番号です。

    例:AB-00

    ②    譲渡年月日

    譲渡年月日欄の最上段は旧所有者が最初に車を購入した日を表すため、斜線が引かれています。今回の譲渡年月日はその下の段に記入します。

    ③    譲渡人及び譲受人の氏名又は名称及び住所

    新旧所有者の氏名・住所を記入する際は、必ず一段目に譲渡人(旧所有者)を、二段目に譲受人(新所有者)を記入します。

    ④    譲渡人印

    押印が必要なのは一段目の譲渡人(旧所有者)のみです。押す場所を間違えないように注意しましょう。

    5.譲渡証明書を作成する際の注意点

    譲渡証明書に使えない文房具

    譲渡証明書は運輸支局などで取り扱われる公的な書類であり、記入にはボールペンのみが使用できます。シャープペンや消せるボールペンでの記入はできません。

    また、もし内容を間違えて記入した場合には、訂正したい箇所を二重線で消し、旧所有者の訂正印を押して対応します。修正テープや修正液などを使用した場合も受理されない可能性が高いです。

    譲渡証明書の作成は代行も可能

    譲渡証明書の作成を含む移転登録の手続きは、当事者自ら行なうことが難しい場合にはもう一方の当事者または第三者に委任することも可能です。

    ただし、手続きを委任する際には委任状という書類を作成し、委任した事実とその相手を明らかにしなくてはなりません。委任状には委任する側の押印が必要であり、様式は譲渡証明書と同様に国土交通省のホームページからダウンロードできます。

    国土交通省 譲渡証明書譲渡証明書の提出には期限がある

    移転登録の手続きには期限があり、車の譲渡から15日以内に完了させなくてはなりません。特に、譲渡証明書の作成にあたっては用意するものも多いため、計画的に準備を進めることが大切です。

    6.監修コメント

    行政手続きの書類には、対象物の黎明期に役所で練り上げられた言葉が当時のまま載っていることがあります。「ホームページを利用する」という意味の一文を「電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供する」と表現している書類もあります。
    車の譲渡証明書も例に漏れず、今でいうところの「エンジン」が「原動機」と記されています。
    意味がよく分からない行政手続きの書類を目にした際は、現在一般的に使われている言葉に置き換えて考えてみると理解しやすくなります。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。約20年にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。自動車関連手続き、許認可申請、入管申請取次、補助金申請代行、遺言作成のサポート、相続手続きなど法務のほか、執筆業も手掛ける。

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