使っていないタイヤを特に意識もせずにそのままガレージの奥にしまい込んでいませんか?
タイヤを長持ちさせるには「保管方法」がとても重要です。保管方法を間違えると、タイヤの劣化を早めてしまう場合もあります。
本記事では、タイヤの劣化の仕組み、またタイヤを劣化させない適切な保管方法について解説します。
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タイヤは使わなくても自然に劣化してしまう
タイヤは、車に履かせずガレージの中にただ保管して置くだけでも自然と劣化が進んでしまいます。
タイヤはゴムでできていますが、ゴムは非常にデリケートな素材です。どれだけ最適な環境で大切に保管していたとしても、少しずつですが劣化は進んでいきます。加えてタイヤの保管方法や保管場所に問題があると、劣化はより早まります。
タイヤの劣化が早まる主な要因
- 直射日光(紫外線)を浴び続ける環境での保管
- 炎天下の駐車場やストーブの近くなどの高温環境での保管
- 屋外で直接雨を浴び続ける環境や湿度の高いガレージなどでの保管
- 発電機やバッテリーの近くなどオゾン濃度の高い場所での保管
- 油の飛び散る場所での保管
- 保管前にタイヤワックスを付けすぎる
- 保管時のタイヤの積み方が悪い
このように、保管方法や保管場所に問題があると、タイヤの劣化をより早めてしまう原因となります。タイヤを長持ちさせるには、保管方法に気を配り、劣化を最小源に食い止めることが大切となってきます。
劣化したタイヤは事故を招くことも
劣化したタイヤをそのまま使い続けると、時に大事故に繋がる恐れがあります。ここでは、劣化したタイヤによって引き起こされる事故のケースを紹介していきます。
タイヤのバースト事故
最も恐ろしいのはタイヤの「バースト」です。バーストとは、タイヤの破裂を意味します。まるで風船が破裂するかのように、タイヤが破裂して、ホイールだけが残る状態となることです。
「パンク」であれば安全な場所に車を移動させることはできる可能性がありますが、バーストの場合は走行不能に陥る可能性が非常に高いです。さらには車が制御不能に陥る危険性もあります。
特に高速道路を走行中にバーストが起こると、タイヤを失った車は勢い良くスピンし、制御不能となり、周囲を巻き込んだ大事故につながる危険性もあります。
このバーストが起こる原因の一つに、タイヤの劣化があります。紫外線などの影響で起こるタイヤ表面の「ひび割れ」や「亀裂」は、特にバーストの原因となりやすい劣化の例です。タイヤの保管方法に注意を払い、定期的にタイヤのメンテナンスを行いましょう。
ゴムの硬化で、車が止まらなくなる
タイヤの劣化が進むと、ゴムが「硬化」してしまうことがあります。ゴムが硬化すると路面への食いつきが悪化し、ブレーキを踏んでもスピードが充分に落ちず、最悪の場合、停止できずに前方車両に追突事故を起こしてしまったり、停止線を越えて交差点内に侵入してしまい、交通事故につながる可能性もあります。
ゴムの硬化に関して知っておいていただきたいのは、たとえタイヤの溝が残っていたとしても食いつきは悪化する、ということです。溝が残っているからといって油断は禁物です。
ゴムの硬化で、車が曲がらなくなる?!
タイヤのゴムが硬化すると、車が「曲がる力」も低下します。ハンドルを切ってもタイヤが路面に食いつかず、思うように車が曲がらなくなる(コーナリングの力が落ちる)恐れがあります。
日常的な右折、左折であればさほど影響はありませんが、急カーブのコーナリング時、もしくはとっさの緊急回避時などに車が正しく曲がらず、大きな事故につながる恐れがあります。
タイヤに起因する事故を防ぐためには、「保管方法などを見直しタイヤの劣化を最小限に食い止めること」、「劣化してしまったタイヤは使用しないこと」、この2点を徹底することが必要です。
横積みと縦積みどちらで保管するのがおすすめ?
タイヤを横に倒して保管する「横積み」。車に履かせる時のようにタイヤを垂直に立てたまま保管する「縦積み」。このどちらの置き方で保管するかによっても、タイヤの劣化具合や寿命に影響が出ます。
ホイール付きタイヤは横積みがおすすめ
ホイール付きのタイヤを縦積みにすると、ホイールの重圧がタイヤの下側一点に掛かり続けるため、タイヤ下側がつぶれ、変形やひび割れが起きてしまいます。
したがって、ホイール付きタイヤの場合、縦積みではなく横積みがおすすめです。横積みであればホイールの重圧がある程度分散されますので、変形やひび割れが防げます。
なお、ホイール付きタイヤを横積みする場合、空気圧を適正値の半分程度に減らしておくことがポイントです。空気圧を減らすことで、ゴムやタイヤコード(補強材)への負荷を減らすことができます。
また、横積みで何本ものタイヤを積み上げる場合、下に置くタイヤに重圧が集中してしまいます。こういった場合は、上下のタイヤの位置を定期的に入れ替えると、下に置くタイヤの劣化を軽減できます。
ホイールなしタイヤは縦積みがおすすめ
ホイールなしタイヤの場合は、横積み・縦積みどちらでもほとんど問題ありませんが、縦積みにした方がタイヤ全体に掛かる負荷が若干減ります。ただし、縦積みにするとタイヤが転がりやすいというデメリットもありますので、保管場所の傾斜にも気を配りましょう。
タイヤを保管する際の注意点
あらためて、タイヤを長持ちさせるための保管上の注意点をお伝えします。
屋内で保管する際の注意点
屋内でタイヤを保管する場合、次のような点に注意しましょう。
- 窓際など、直射日光の当たる場所に置かない
- ストーブ前など、温度の高すぎる場所に置かない
- 湿度の高すぎる場所に置かない
- 油の飛び散る場所に置かない(タイヤは油を吸収し劣化が早まる)
- 発電機やバッテリーの近くなど、オゾン濃度の高い場所に置かない
- 直接床の上に置かない(タイヤ内部から薬品がにじみ出て、床を汚す恐れあり) など
屋内で保管する場合は、「ガレージ」や「物置」などがおすすめです。直射日光が当たらず、温度湿度も安定している場所で保管するのがベストです。
屋外で保管する際の注意点
屋外でタイヤを保管する場合は、次のような点に注意しましょう。
- 直射日光の当たる場所に置かない
- 雨水が掛かる場所に置かない(屋根のある場所に置く)
- タイヤカバーを使い露出を減らす など
屋外で保管する場合は、市販の「タイヤカバー」を使いタイヤ表面の露出を減らすことをおすすめします。屋外でタイヤカバーをせず直にタイヤを露出させておくと、劣化のスピードが著しく早まります。
そのほかの注意点
屋内・屋外問わず、タイヤを保管する場合には次のような点に注意します。
- 水洗いし、汚れを取った上で保管する
- チェーンを付けたり、保管する車庫や物置の出入口に鍵をかけるなど、盗難防止対策をしておく など
タイヤを保管する前には一度タイヤ全体を水洗いし、汚れを取り除いておくことをおすすめします。汚れが付着したままで保管すると、その汚れがゴムの腐食や腐敗につながる可能性があるためです。
自分で保管が難しい場合はタイヤ保管サービスを利用しよう
タイヤを保管するためのガレージや物置が自宅にない方は、タイヤ専門店やガソリンスタンドなどで取り扱っている「タイヤ保管サービス」を使用する方法もあります。
ご自宅での保管が難しい場合は、ご自宅の近くに預かってくれる場所があるかどうか確認してみましょう。タイヤの盗難防止の観点からもタイヤ保管サービスは有効です。
まとめ
ここまで見てきた通り、保管方法次第でタイヤの劣化は早くもなりますし、遅くもなります。タイヤにも目を向けて、大切なお車を長持ちさせて、安全運転できるように心掛けましょう。タイヤを保管する際には、ぜひ最適な方法で保管してあげてください。