「急な用事ができて車を止めたいけど近くに駐車場がない。この辺りに止めても大丈夫?」こんな風に悩むことってありますよね。しかし、法律で定められた通りに路上駐車をしないと取り締まりの対象になってしまいます。そこで、路駐のルールについて徹底解説!駐車と停車の違いや駐車違反になる場所・駐車が可能な場所から、違反してしまった時の罰則までわかりやすく説明します。
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1.駐車と停車はどう違うの?
車を止める、ということを指す言葉に「駐車」と「停車」の2つがあります。「同じ意味でしょ?」と思った方も多いかもしれません。実はこの2つ、法律できちんと定義されているのです。まずは駐車と停車の定義の違いを見てみましょう。
駐車の定義とは?
道路交通法では、駐車は以下のように定義されています。
客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由で継続的に停止すること
ただし、貨物の積卸しのための停止で5分以内の場合や、人の乗り降りのための停止は駐車にはなりません。
車が停止し、その車の運転者が離れていてすぐに運転できない状態
たとえば、家族を迎えに行って車を止めて待っている時は5分以内でも駐車になります。また、ほんのわずかな時間でも運転者が車から離れれば駐車とみなされます。「5分以内なら大丈夫」というのはあくまでも荷物の積み下ろしをする場合。しかも、荷物を運ぶために運転者がその場を離れれば駐車となりますので注意が必要です。
停車の定義とは?
一方、停車は「車両等が停止することで駐車以外のものをいう」と定義されています。
たとえば、人が乗り降りするために車を止めた場合は停車になります。また、カーナビ操作をするために一時的に車を止めた時も、基本的には停車とみなされます。
2.駐車違反になるのはどんな場所?
それでは、どんな場所に車を止めると駐車違反になるのでしょうか?路上駐車の現状とあわせて解説します。
路駐の80%以上が駐車違反
警察庁の調べによると、東京23区における瞬間路上駐車台数は約45,930台(令和2年)となっています。平成15年と比較すると減少傾向にありますが、依然として高い割合で、交通渋滞や衝突事故の原因になっていると考えられています。
また、瞬間路上駐車のうち37,619台が違反車両。路駐の80%以上が駐車違反であることがわかります。
駐車違反になる場所と停車違反になる場所がある
車を止めることが禁止されている場所には、大きく分けて「駐車禁止場所」と「駐停車禁止場所」があります。駐停車禁止場所は駐車も停車も禁止されている場所です。それぞれどんな場所か確認しておきましょう。
主な駐車禁止場所は以下の通りです。
- 駐車禁止の表示や標識がある場所
- 火災報知機から1m以内
- 駐車場や車庫などの自動車用の出入口から3m以内
- 消防用機械器具の置場や消防用防火水槽から5m以内
- 消火栓、指定消防水利の標識や消防用防火水槽の吸水口などから5m以内
- 道路工事が行われている工事区域の端から5m以内
主な駐停車禁止場所は以下の通りです。
- 駐停車禁止の表示や標識がある場所
- 交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷(路面電車の線路上など)内
- 交差点の端または道路のまがり角から5m以内
- 横断歩道または自転車横断帯から5m以内
- バス停や路面電車の停留場から半径10m以内
- 踏切の端から10m以内
- 坂道の頂上付近、勾配の急な坂道
- トンネルの中
- 安全地帯の左側およびその前後から10m以内
こんな時も駐車違反になる!
駐車禁止区域でなくても、駐車違反になるケースがあります。うっかり違反することがないように注意しましょう。
無余地場所
基本的に、車の右側の道路に3.5m以上の余地を取れない場所には駐車することができません。また、道路によっては標識が設置され「駐車余地6m」など指定されていることがあります。指定された余地を確保できない場合は駐車違反となります。
長時間の駐車
法律で「道路上を自動車の保管場所にして使用してはならない」と定められています。具体的には、道路の同じ場所に12時間以上、夜間(日没から翌朝の日出まで)は8時間以上駐車すると駐車違反になります。
車が故障している
故障などですぐに車を動かせない場合は、停車ではなく駐車とみなされることがあります。停車できる場所でも駐車違反になりますので注意しましょう。故障などで車を動かせない時は、追突事故などの原因にならないように、停止表示器材を置くなどして駐車していることがわかるようにします。なお、運転手が車から離れると放置駐車違反扱いとなるため、スマートフォンでレッカー業者を呼ぶなどして、運転者は必ず車から離れずに対応しましょう。
ただし、車内で待機することはとても危険です。警察庁も高速道路上で故障が発生した場合は、車内に残らないように注意喚起しています。故障車両より後方のガードレール外側など、安全な場所で待機しましょう。
3.駐車が可能なのはどんな場所?
それでは、どんな場所なら路上駐車をしても違反にならないのでしょうか?短時間駐車したいというニーズに応えるため、「時間制限駐車区間」というものがあります。利用方法や利用の注意点を解説します。
「時間制限駐車区間」の標識がある場所は路駐できる
時間制限駐車区間は、時間を限って駐車できる道路区間のことで、路面に駐車枠が白線で指定されています。時間制限駐車区間の標識がある場所なら、パーキング・メーターやパーキング・チケットを使用することで路上駐車が可能です。
【時間制限駐車区間の標識の例】
時間制限駐車区間の標識には駐車できる時間帯や制限時間が記載されています。1回に利用できる時間が決まっていて、60分、40分、20分などです。たとえば、上の標識の場合なら、9時〜19時までパーキング・メーターなどを利用することで最大60分間駐車が可能になる、という意味です。補助標識がついていて、「日曜・休日を除く」などの制限が書かれていることもあります。その場合は日曜・休日はパーキング・メーターなどを利用できない、ということになります。さらに時間制限駐車区間の標識と駐車禁止標識が連結している場合は、パーキング・メーターなどが利用できない時間帯は駐車禁止の規制がかかっている、という意味になります。
パーキング・メーターは延長できない
駐車する際に使うパーキング・メーターは、車両を感知して自動的に駐車時間を測る機械です。駐車枠に車を止めると、駐車時間のカウントが始まります。指定した金額(手数料)を投入すると、「未納」のランプが消えます。駐車終了時刻が印字されたパーキング・チケットを発給して、車に貼り付けておくタイプの機械もあります。
「指定した通りに駐車していない」「パーキング・メーターやパーキング・チケットを作動させていない」「制限時間を超えて駐車している」などの場合は、違法駐車として取り締まりの対象になります。また、手数料を追加で投入して駐車時間を延長する、ということはできませんので注意しましょう。
4.駐車違反の罰則は?
駐車違反をしてしまった場合、どんな罰則があるのでしょうか?違反した場所や状況、車の種類によって減点される点数や反則金(放置違反金)は異なります。それぞれ見てみましょう。
放置駐車違反は減点も反則金額も大きい
駐車違反には「放置駐車違反」と「駐停車違反」があります。2つの違いは違反した時に運転者がその場にいるかどうか、ということです。運転者が車から離れていてすぐに車を移動できない場合は放置駐車違反になります。
【駐車違反の減点と反則金】
違反場所 | 減点点数 | 反則金額 | |||
---|---|---|---|---|---|
大型車 | 普通車 | 2輪車または原付車 | |||
放置駐車違反 | 駐車禁止場所 | 2点 | 21,000円 | 15,000円 | 9,000円 |
駐停車禁止場所 | 3点 | 25,000円 | 18,000円 | 10,000円 | |
駐停車違反 | 駐車禁止場所 | 1点 | 12,000円 | 10,000円 | 6,000円 |
駐停車禁止場所 | 2点 | 15,000円 | 12,000円 | 7,000円 |
駐車違反をした場所によっても罰則は変わってきます。駐車禁止場所よりも駐停車禁止場所で違反した時のほうが罰則は重くなります。また、高齢運転者などの専用駐車区間である「高齢運転者等専用駐車区間」で違法駐車した場合は、他の場所よりも2,000円高い反則金が課せられることになっています。下記の標識があるところで適法に駐車をするためには、車両の前方の見やすい箇所に、警察署で交付される専用の標章を掲示する必要があります。
【高齢運転者等専用駐車区間の標識の例】
駐車違反は交通事故やトラブルの引き金になる
警察庁によると令和2年の駐車車両への衝突による人身事故は640件発生しており、そのうち23件が死亡事故です。違法駐車は交通事故だけでなく、次のように様々なトラブルを引き起こす原因にもなります。
- 交通渋滞の原因になる
- 死角が増え、路上の見通しが悪くなり、歩行者の発見を遅らせる
- 身長の低い子どもの見通しを悪くさせ、飛び出しを招く原因になる
- 救急車や消防車などの緊急車両の通行を妨げる
度重なる違法駐車など悪質な駐車違反者は現行犯逮捕されることもあります。安全のためにも違法駐車はしてはいけません。
5.駐車場アプリなどを活用して駐車場対策を万全に
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6.監修コメント
駐車違反の話となると、罰則の適用を免れる方法などばかりがクローズアップされがちです。ネット上には、その方法を指南する記事が多数存在します。ただ、放置駐車違反に関しては、反則金の支払いを拒否し、その後に受ける放置違反金の納付命令も無視し続けていると、車検を受けられなくなります。
放置違反金の納付命令を受ける際は、弁明の機会が付与されます。取り締まりに納得がいかない場合は、その機会を利用して正当性を主張することができます。 もちろん違反をしないことが一番ですが、取り締まりの対象になってしまった時は放置車両確認標章や弁明通知書をよく読み、手続きを進めましょう。