貸し駐車場など、他人の所有地を車庫として使用する場合は、車庫証明申請時に「保管場所使用承諾証明書」を準備しなければなりません。そこまで複雑な形式の書類ではありませんが、正しく記入しなければ受理されない可能性もあります。当記事では、保管場所使用承諾証明書の入手方法や書き方を紹介します。
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1.保管場所使用承諾証明書とは
普通車を購入する時や、転居などによって保管場所(車庫)が変わる時には、車庫証明の申請や変更手続きが必要です。申請にはいくつかの書類を準備しますが、その中の一つが「保管場所使用承諾証明書」です。
<車庫証明の申請に必要な書類>
- 自動車保管場所証明申請書
- 保管場所標章交付申請書
- 保管場所の所在図・配置図
- (車庫が自己所有の場合)管場所使用権原疎明書面
- (車庫が他人所有の場合)保管場所使用承諾証明書
- 自動車の所有者の住所を確認できるもの
保管場所使用承諾証明書とは、賃貸マンションやアパートの駐車場、近隣の貸し駐車場など、他人の所有地を車庫にする場合、その場所を使用する権利があることを証明する書類です。
軽自動車の場合は、車庫証明ではなく自動車保管場所届出という手続きになりますが、一部の適用除外地域ではこの自動車保管場所届出が不要です。よって、保管場所使用承諾証明書も必要ないケースがあります。どの地域が該当するかは、管轄の警察のホームページなどで確認することができます。
車庫証明の詳細に関しては、以下の記事で紹介しています。
2.保管場所使用承諾証明書はどこでもらえるのか。入手方法について
保管場所使用承諾証明書のひな形は、以下の方法で入手できます。
- 警視庁や管轄の警察署のホームページからダウンロードする
警視庁や、保管場所を管轄する警察署のホームページで、保管場所使用承諾証明書のひな形をダウンロードすることができます。ExcelかPDFを開けるパソコンをお持ちの方は、この方法が最も素早く書類を入手できるでしょう。また、記入例が掲載されていることもあるので、書き方の参考にもなります。なお、記入する際は、手書きでもパソコンで入力してもどちらでも構いません。
- 管轄の警察署の窓口で入手する
管轄の警察署でも、保管場所使用承諾証明書のひな形を入手できます。手続きに関してわからないことがある場合、書類を受け取るのとあわせて、窓口の方に相談することも可能です。
- 車を購入したディーラーなどでもらえることもある
車を購入したディーラーや販売店などでは、保管場所使用承諾証明書のひな形を準備していることがあります。また、手数料を支払えば、車庫証明手続きを代行してもらえる場合もありますので、一度問い合わせてみるといいでしょう。
3.保管場所使用承諾証明書の書き方
誰が書くのか
原則として保管場所使用承諾証明書は、車庫の所有者、もしくは管理を委託されている会社が記入します。賃貸アパート・マンションの駐車場であれば、管理会社やオーナーなどです。ただし、所有者や管理会社に保管場所使用承諾証明の発行を依頼する際には、発行手数料がかかる場合があります。
書き方
- 保管場所の位置・使用者
保管場所の位置、駐車場の名称、駐車位置番号、保管場所の使用者欄には、車庫証明申請時に別途作成する「自動車保管場所証明申請書」と同じ内容を記入します。もし使用者と契約者が同じの場合、使用者と契約者の関係欄は空欄でOKです。しかし異なる場合は、両者の関係性に当てはまる番号に◯をします。「3 その他」の場合は、カッコ内に関係性も簡単に記載します。 - 契約者
使用者と契約者が同じの場合は、「上記に同じ」と記入します。使用者と契約者が異なる場合は、契約者の住所・氏名・電話番号を記入しましょう。なお、神奈川県や大阪府など一部地域では、契約者欄自体がないケースもあります。 - 使用期間
ここには基本的に、車庫の契約期間を記入します。ですが、使用期間が極端に短いと申請が通らない可能性もあるので、最低でも1ヶ月以上の期間を記入しましょう。また、使用期間の開始日は申請日より前の日付を記入し、申請日からも1ヶ月以上の期間が必要です。
もし親などに車庫を借りる場合は、明確な契約期間がありませんが、その場合は1年以上の期間を記入しておきます。 - 所有者または管理委託者
車庫のオーナーや管理を委託されている会社などが、承諾日、住所、氏名、電話番号を記入します。もし共有名義の場合は、全員分の住所・氏名を記載してください。スペースが足りない場合は、「別紙記載」と記入し、別紙に全員分の情報を記載します。
なお、令和3年1月より車庫証明書類への押印が不要になり、新たに発行されている保管場所使用承諾証明書には「印」のマークが削除されています。旧形式の書類には「印」のマークが記載されていますが、押印しても問題はありません。
また、書き間違えた時の訂正印も不要になっています。訂正する場合には、該当文字に二重線を引き、その近くに正しい内容を記載しましょう。
4.保管場所使用承諾証明書の注意点
有効期限が設けられていることもあるので早めに提出する
都道府県によっては、保管場所使用承諾証明書の提出期限が設けられていることもあるので注意しましょう。例えば、北海道では「承諾したことを証明する日から3ヶ月以内」、兵庫県では「作成日から3ヶ月以内」に提出してくださいとホームページに記載されています。一定期間が過ぎると、受理されない可能性がありますので、作成後は速やかに提出しましょう。
自分で記入すると罰則が科せられる可能性も
保管場所使用承諾証明書は発行手数料がかかることもあるため、「自分で作成して、費用を抑えたい」などと考える方もいるかもしれません。しかし、正当な権限がない人が作成すると、私文書偽造とみなされ、罰せられる可能性があります。必ず、車庫の所有者や委託管理者に作成してもらうようにしましょう。
賃貸借契約書等で代用できる場合もある
保管場所使用承諾証明書の代わりに、駐車場賃貸借契約書の写しや駐車場使用料金の領収書などでも、車庫の使用権利を証明できる場合があります。しかし、代用となる書類には、保管場所使用承諾証明書の内容に準じた記載が必要です。保管場所使用承諾証明書以外の書類で申請する場合には、代用できるかどうか、管轄の警察署に一度問い合わせてみることをおすすめします。
5.監修コメント
車庫証明の申請をする地域とは別の都道府県で車を買った場合などは、販売店がある都道府県の保管場所使用承諾証明書をもらえることがあります。その場合、申請する警察署で配布している保管場所使用承諾証明書と様式が異なることがあります。
保管場所使用承諾証明書は都道府県名と「車庫証明」などで検索すると、簡単にひな形をダウンロードできます。様式が異なるために受理されないことはあまり考えられませんが、心配な方は、申請する地域の保管場所使用承諾証明書を使用するとよいでしょう。