車の現在までの総走行距離や年間の走行距離は、車内に搭載されたオドメーターという計器を確認することで把握できます。当記事では、そんなオドメーターの活用方法や、保険会社に年間走行距離を申告する際の注意点について解説します。
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1. オドメーターとは
オドメーターとは、車がこれまでに走行した距離(総走行距離)を計測する計器です。車にオドメーターを搭載することは道路運送車両の保安基準第46条2項で定められた義務であり、基本的に車を購入した時点で運転席のメーターパネルにあらかじめ搭載されています。
オドメーターは値のリセットができないことから、総走行距離の証明や、車の価値・状態を判断する材料としても活用されます。また、1年ごとに総走行距離を記録して比較することで、年間の走行距離を算出することもできます。
トリップメーターとの違い
オドメーターとともにメーターパネルに搭載されているトリップメーターも、車の走行距離を記録する計器の一種です。
ただし、トリップメーターはいつでも値をリセットできるため、特定期間の走行距離(区間走行距離)を計測したい場合に用いられます。たとえば、トリップメーターをリセットしてから目的地に向かうことで、出発地点から目的地までの距離を測ることが可能です。
ちなみに、オドメーターとトリップメーターは同時に表示されるもののほか、スイッチで表示を切り替える仕様のものもあります。多くの場合、オドメーターは「ODO」、トリップメーターは「TRIP」というように文字表示で見分けることができます。見間違えやすいため注意して確認しましょう。
2. オドメーターの活用方法
オドメーターに記録される総走行距離の値は、以下のような用途に活用できます。
車のメンテナンス時期の判断
エンジンオイルやタイヤといった車の部品は走行することで消耗していき、いずれは交換が必要となります。そのため、新車の場合は最初に交換が必要になった際の総走行距離を覚えておけば、次に交換が必要になるまでのおおよその走行距離が分かり、適切な時期にメンテナンスが行えます。
中古車の評価
車は総走行距離が長くなるほど故障の可能性が高まるため、一般に総走行距離10万kmを超えた車は買い替えが推奨され、中古車としての市場価格も下がる傾向にあります。このように、オドメーターの値は中古車の価値や状態を評価する際の判断材料としても活用されます。
ただし、オドメーターはリセットこそできないものの、メーターパネルそのものを交換した場合にはメーターの値と実際の総走行距離が一致しません。購入したい中古車のメーターの値に違和感がある場合には、メーターパネルが交換された履歴がないか整備記録簿などを確認するとよいでしょう。
燃費の算出
満タンに給油した際の総走行距離とその後再給油した際の総走行距離(㎞)、再給油時のレシートに記載されている給油量(lm)の値が分かれば、その車の燃費(㎞/lm)を算出できます。計算式は以下の通りです。
(再給油時の総走行距離-給油時の総走行距離)÷再給油量=燃費
ちなみに、燃費にはトリップメーターを活用して算出する方法もあります。満タン給油時にトリップメーターをリセットし、再給油時に確認した区間走行距離を再給油量で割った値が燃費となります。
自動車保険の申込み
多くのネット型自動車保険では、加入や更新の際に年間走行距離の申告が求められます。申告した走行距離は保険料に反映され、一般的に年間走行距離が短いほど保険料は安くなります。
保険料の算出方法は保険会社によって異なりますが、中でも多いのは年間走行距離ごとに「走行距離区分」が設定されているタイプです。走行距離区分は「3,000km以下」「3,000km超~5,000km以下」といった形で分かれており、どの区分に該当するかによって保険料が決定されます。
また、年間走行距離の申告方法は、過去1年の実際の走行距離を申告する方法と、現在の生活状況などから今後1年の走行距離を予測して申告する方法の大きく2種類に分けられます。実際の手続きの流れは保険ごとに異なるため、詳しくは保険会社のホームページなどを確認しましょう。
3.自動車保険加入時の年間走行距離の申告方法
過去1年間の走行距離を申告する自動車保険の場合
前年の走行距離を申告する方法をとっている自動車保険では、オドメーターに表示される年間走行距離を1年単位で比較して年間走行距離を算出する必要があります。
はじめて自動車保険に加入する際は「新規契約区分」といった区分が自動で適用され、申告が不要なケースが多いです。また、更新の際には現在の総走行距離を申告することで、前回の申告内容をもとに走行距離が自動で算出される自動車保険もあります。
そのほか、自動車保険によってはマイページなどから昨年申告した年間走行距離を確認できる場合もあるため、前年の年間走行距離が不明な場合は過去の記録を閲覧する方法がないか調べてみましょう。
ちなみに、前年の年間走行距離を申告する保険では、前年走行距離区分を保険期間中に超えてしまっても基本的に区分変更手続きや追加保険料は必要なく、保険金の支払いにも影響はありません。
とはいえ、虚偽の申告をすることは告知義務違反にあたり、事故の際に補償を受けられなくなる可能性があります。車の購入時に加入した保険であれば一度は申告を行っているはずですので、過去の申告内容と現時点の総走行距離をもとに計算した正しい値を申告しましょう。
今後1年の走行距離を予測して申告する自動車保険の場合
将来的な走行距離を予測して申告する保険は、いくつかの走行距離区分から選択する方式や、「普段どんな目的で車を使うか」といった質問に答えることで申告距離が決まる方式が一般的です。
申告する走行距離は予測値ではありますが、実際の年間走行距離が申告内容を超過した場合には、変更申請や追加保険料の支払いが必要になることもあるため注意が必要です。
また、実際の走行距離が申告内容を下回った場合でも、多くの保険では走行距離にもとづく保険料の返還措置は行っていません。走行距離を過大に申告することも結果としては損につながるため、実態を踏まえてなるべく正確な値を申告することが大切です。
4.監修コメント
中古車の価値は、オドメーターに表示される総走行距離が長くなるほど低くなるのが一般的です。ただ、中古車を選ぶ際には、経過年数と照らし合わせて総走行距離が極端に短い場合は注意が必要です。車は定期的に動かしていないと、劣化が早まることもあるからです。
普通自動車の平均年間走行距離は1万km前後といわれています。そして、総走行距離が10万kmを超えると、トラブルが起きやすくなるといわれています。これら2つの数値を、中古車を購入する際の目安にするのもよいでしょう。