自動車税には月割りでの支払いや還付の制度があります。詳細を知っておくことで、税金の支払いが少しお得になります。
ここでは、車を購入した場合、売却した場合、廃車にした場合に月割りがどのように影響するのかについて解説します。また、月割りによる自動車税早見表も掲載します。
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1.自動車税とは
自動車税とは車の排気量に応じてかかる税金であり、毎年4月1日時点で車を所有している人物にその年1年分の支払い義務が生じます。ただし普通車に限り、年度の途中で車を乗り換えた場合や車を売却・廃車した場合に、余分に支払った自動車税が残りの月数に応じて還付される仕組みがあります。
自動車税・軽自動車税については以下の記事でも解説しています。あわせてご覧下さい。
軽自動車税には月割りが存在しない
軽自動車には月割りの制度がないため、年度途中に車の購入や永久抹消登録、一時抹消登録をしたとしても、月割りでの軽自動車税の支払いや還付はありません。4月1日時点での所有者に1年分の軽自動車税が課税されます。
自動車税を支払うタイミング
自動車税の納税額を記載した納税通知書は、車を所有する方の4月1日時点の住所宛におおむね5月上旬に発送され、届いた時点から納付期間が始まります。ただし、一部自治体では6月上旬が発送のタイミングになるなど、管轄する都道府県税事務所により対応が異なります。
納付期限は、納税通知書の発送が5月上旬の場合は5月末日、6月上旬の場合は6月末日です。月末が土・日曜のときは翌日の月曜日が納付期限となります。
自動車税の支払方法
自動車税の納付方法には、現金や口座振替、インターネットバンキング、クレジットカード、電子マネーと、さまざまな選択肢があります。
コンビニや都道府県税事務所、金融機関の窓口で現金払い、金融機関で口座振替の手続きをするときは、納税通知書を持参します。
インターネットバンキングやクレジットカード、電子マネーは、パソコンやスマートフォンなどを使って、気軽に納税できる方法です。クレジットカードや電子マネーはオンラインで利用できるため、自宅で気軽に納税できるほか、サービス内容によってはポイントがつくなどのメリットもあります。ただし、クレジットカードで納付する場合は、納税額に応じた決済手数料を合わせて納付する必要がある点に注意が必要です。
また、電子マネーなど一部支払い方法については非対応の自治体もあるので、事前に確認しておきましょう。
現金払いは納付後にその場で領収書を受け取れますが、口座振替の場合は後日発送です。また、クレジットカードなどオンラインでの納付の場合、「納税証明書」の発行までにおよそ2~3週間かかります。さらに最近は、領収書の発行に申請が必要な自治体も増えています。すぐに領収書が必要なら、現金払いでの納付で支払うのがおすすめです。
2.月割りで自動車税を支払うケース
年度の途中で車を乗り換えた場合や車を売却・廃車した場合に自動車税の月割りがどのようなかたちで反映されるかを解説します。
年度の途中で車を購入する場合
4月1日以降に車を購入した場合の自動車税は、車の購入時に月割りで支払います。税額は車の排気量に応じた年間税額を、登録した翌月から数えて翌年3月までの月割りで計算した金額です。購入したのが新車・中古車にかかわらず、あくまで排気量に応じた額が課税されます。
ただし、課税対象となるのは新規登録をした車であり、ナンバー付きの中古車を名義変更して購入した場合は、その年の自動車税はすでの前所有者が支払っているため、購入者に納税義務はありません。
年度の途中で車を売却する場合
年度の途中で車を売却する場合でも、課税対象となるのは4月1日時点での車の所有者であるため、5月頃に届く納税通知書で1年分の自動車税を支払う必要があります。売却した場合は月割りでの還付はなく過払い状態になります。
中古車買取業者に売却を依頼した場合は、残り月数に応じた額が査定額に上乗せされて還元されるケースが多いものの、法律で定められているわけではないため、確実に戻ってくるものではありません。査定時に自動車税の過払いの内訳を確認しておくとよいでしょう。
年度の途中で車を廃車にする場合
年度内に運輸支局で永久抹消登録もしくは一時抹消登録をした場合には、過払い分の自動車税が残りの月数に応じて還付金として支払われます。
永久抹消をすると運輸支局のデータベースから車両データが消えるため、二度とその車に乗ることはできません。一時抹消はその名のとおり、一時的に車を使用しないための手続きであり、再度使用する際には車検を受け、車の購入時と同じように月割で自動車税を納める必要があります。
3.自動車税を月割りするときの計算方法
月割の金額を算出するには、排気量ごとの年間あたりの自動車税を12ヵ月で割り、残り月数をかけることで求められます。100円未満は切り捨てとなります。
年間自動車税額30,500円(排気量1.0〜1.5L)の車を8月に新規登録したとすると、9月〜3月までの7ヵ月間分の自動車税が課税されるため、17,700円を車検登録時に納める必要があります。還付される際の計算方法も同様です。
計算例:年税額30,500円÷12ヵ月×残月数7ヵ月=17,791円→17,700円
4.自動車税の月割税額早見表(自家用乗用車の場合)
消費税が10%になった2019年10月1日から自動車税も税率が改正され、名称が「自動車税」から「自動車税(種別割)」に改められました。そのため、初度登録年月が2019年10月以降の車とそれ以前の車では自動車税額が異なります。
2019年10月1日以降、自動車税額は「自動車の取得価格×燃費基準値達成度等に応じた税率」で計算されます。ただし、中古車を取得した場合の取得価格は「自動車の購入価格×残価率(新車からの経年を考慮するための指数)」を使います。税率は自家用軽乗用車で最大2.0%、自家用乗用車で最大3.0%です。
初度登録年月が2019年10月以降の自家用乗用車
排気量 | 年税額 | 登録月 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | ||
1.0L以下 | 25,000 | 22,900 | 20,800 | 18,700 | 16,600 | 14,500 | 12,500 | 10,400 | 8,300 | 6,200 | 4,100 | 2,000 |
1.5L以下 | 30,500 | 27,900 | 25,400 | 22,800 | 20,300 | 17,700 | 15,200 | 12,700 | 10,100 | 7,600 | 5,000 | 2,500 |
2.0L以下 | 36,000 | 33,000 | 30,000 | 27,000 | 24,000 | 21,000 | 18,000 | 15,000 | 12,000 | 9,000 | 6,000 | 3,000 |
2.5L以下 | 43,500 | 39,800 | 36,200 | 32,600 | 29,000 | 25,300 | 21,700 | 18,100 | 14,500 | 10,800 | 7,200 | 3,600 |
3.0L以下 | 50,000 | 45,800 | 41,600 | 37,500 | 33,300 | 29,100 | 25,000 | 20,800 | 16,600 | 12,500 | 8,300 | 4,100 |
3.5L以下 | 57,000 | 52,200 | 47,500 | 42,700 | 38,000 | 33,200 | 28,500 | 23,700 | 19,000 | 14,200 | 9,500 | 4,700 |
4.0L以下 | 65,500 | 60,000 | 54,500 | 49,100 | 43,600 | 38,200 | 32,700 | 27,200 | 21,800 | 16,300 | 10,900 | 5,400 |
4.5L以下 | 75,500 | 69,200 | 62,900 | 56,600 | 50,300 | 44,000 | 37,700 | 31,400 | 25,100 | 18,800 | 12,500 | 6,200 |
6.0L以下 | 87,000 | 79,700 | 72,500 | 65,200 | 58,000 | 50,700 | 43,500 | 36,200 | 29,000 | 21,700 | 14,500 | 7,200 |
6.0L以下 | 110,000 | 100,800 | 91,600 | 82,500 | 73,300 | 64,100 | 55,000 | 45,800 | 36,600 | 27,500 | 18,300 | 9,100 |
電気自動車 | 25,000 | 22,900 | 20,800 | 18,700 | 16,600 | 14,500 | 12,500 | 10,400 | 8,300 | 6,200 | 4,100 | 2,000 |
初度登録年月が2019年9月以前の自家用乗用車
排気量 | 年税額 | 登録月 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | ||
1.0L以下 | 29,500 | 27,000 | 24,500 | 22,100 | 19,600 | 17,200 | 14,700 | 12,200 | 9,800 | 7,300 | 4,900 | 2,400 |
1.5L以下 | 34,500 | 31,600 | 28,700 | 25,800 | 23,000 | 20,100 | 17,200 | 14,300 | 11,500 | 8,600 | 5,700 | 2,800 |
2.0L以下 | 39,500 | 36,200 | 32,900 | 29,600 | 26,300 | 23,000 | 19,700 | 16,400 | 13,100 | 9,800 | 6,500 | 3,200 |
2.5L以下 | 45,000 | 41,200 | 37,500 | 33,700 | 30,000 | 26,200 | 22,500 | 18,700 | 15,000 | 11,200 | 7,500 | 3,700 |
3.0L以下 | 51,000 | 46,700 | 42,500 | 38,200 | 34,000 | 29,700 | 25,500 | 21,200 | 17,000 | 12,700 | 8,500 | 4,200 |
3.5L以下 | 58,000 | 53,100 | 48,300 | 43,500 | 38,600 | 33,800 | 29,000 | 24,100 | 19,300 | 14,500 | 9,600 | 4,800 |
4.0L以下 | 66,500 | 60,900 | 55,400 | 49,800 | 44,300 | 38,700 | 33,200 | 27,700 | 22,100 | 16,600 | 11,000 | 5,500 |
4.5L以下 | 76,500 | 70,100 | 63,700 | 57,300 | 51,000 | 44,600 | 38,200 | 31,800 | 25,500 | 19,100 | 12,700 | 6,300 |
6.0L以下 | 88,000 | 80,600 | 73,300 | 66,000 | 58,600 | 51,300 | 44,000 | 36,600 | 29,300 | 22,000 | 14,600 | 7,300 |
6.0L以下 | 110,000 | 101,700 | 92,500 | 83,200 | 74,000 | 64,700 | 55,500 | 46,200 | 37,000 | 27,700 | 18,500 | 9,200 |
電気自動車 | 29,500 | 27,000 | 24,500 | 22,100 | 19,600 | 17,200 | 14,700 | 12,200 | 9,800 | 7,300 | 4,900 | 2,400 |
5.自動車税の月割税額早見表(営業用乗用車の場合)
排気量 | 年税額 | 登録月 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | ||
1.0L以下 | 7,500 | 6,800 | 6,200 | 5,600 | 5,000 | 4,300 | 3,700 | 3,100 | 2,500 | 1,800 | 1,200 | 600 |
1.5L以下 | 8,500 | 7,700 | 7,000 | 6,300 | 5,600 | 4,900 | 4,200 | 3,500 | 2,800 | 2,100 | 1,400 | 700 |
2.0L以下 | 9,500 | 8,700 | 7,900 | 7,100 | 6,300 | 5,500 | 4,700 | 3,900 | 3,100 | 2,300 | 1,500 | 700 |
2.5L以下 | 13,800 | 12,600 | 11,500 | 10,300 | 9,200 | 8,000 | 6,900 | 5,700 | 4,600 | 3,400 | 2,300 | 1,100 |
3.0L以下 | 15,700 | 14,300 | 13,000 | 11,700 | 10,400 | 9,100 | 7,800 | 6,500 | 5,200 | 3,900 | 2,600 | 1,300 |
3.5L以下 | 17,900 | 16,400 | 14,900 | 13,400 | 11,900 | 10,400 | 8,900 | 7,400 | 5,900 | 4,400 | 2,900 | 1,400 |
4.0L以下 | 20,500 | 18,700 | 17,000 | 15,300 | 13,600 | 11,900 | 10,200 | 8,500 | 6,800 | 5,100 | 3,400 | 1,700 |
4.5L以下 | 23,600 | 21,600 | 19,600 | 17,700 | 15,700 | 13,700 | 11,800 | 9,800 | 7,800 | 5,900 | 3,900 | 1,900 |
6.0L以下 | 27,200 | 24,900 | 22,600 | 20,400 | 18,100 | 15,800 | 13,600 | 11,300 | 9,000 | 6,800 | 4,500 | 2,200 |
6.0L以下 | 40,700 | 37,300 | 33,900 | 30,500 | 27,100 | 23,700 | 20,300 | 16,900 | 13,500 | 10,100 | 6,700 | 3,300 |
電気自動車 | 7,500 | 6,800 | 6,200 | 5,600 | 5,000 | 4,300 | 3,700 | 3,100 | 2,500 | 1,800 | 1,200 | 600 |
6.自動車税に関連する注意点
自動車税の月割りによる還付を受ける際にはいくつか注意点があります。
軽自動車税には月割りが存在しない
軽自動車には月割りの制度がないため、年度途中に車の購入や永久抹消登録、一時抹消登録をしたとしても、月割りでの軽自動車税の支払いや還付はありません。4月1日時点での所有者に1年分の軽自動車税が課税されます。
車を廃車にするときは抹消・一時抹消登録を行う
車を使用しなくなった場合や長期で使用しない場合は、早めに永久抹消登録か一時抹消登録の廃車手続きを済ませましょう。手続きをする月が早ければ早いほど多く自動車税の還付金が戻ってきます。
ただし、年度末の廃車手続きには注意しましょう。3月に抹消手続きをしても還付金がないうえに、運輸支局が混雑するため3月中に抹消手続きが終えられない可能性があります。4月1日までに手続きが完了していなければ使用していない車であっても翌年度の自動車税および軽自動車税の課税対象になってしまうため、廃車にすることを決めているなら早めに手続きを行いましょう。
一時抹消登録の必要書類
一時抹消登録は、長期出張やケガの治療、盗難、他人への譲渡予定など、一時的に車に乗らなくなったときに行う手続きです。一時抹消登録をしている期間は、車を所有していても自動車税をはじめとする税金が非課税になります。再登録後にまた車を利用できます。
一時抹消登録には次の書類が必要です。
- 車検証
- ナンバープレート前後2枚
- 所有者の印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内)
- 手数料納付書
- 一時抹消登録申請書
※地域によっては自動車税、自動車取得税申告書が必要
上記書類のほか、実印も必要です。当人に代わって代理人が申請するときは、上記のほかに印鑑証明書の実印を押印した委任状を用意しましょう。
一時抹消登録後に車を再使用する場合は中古新規登録、解体する場合は解体届、所有者が変わる場合は所有者変更記録申請など、用途に応じた手続きが必要です。
永久抹消登録の必要書類
永久抹消登録は、不要になった乗用車の処分など、今後車に乗る予定がないときに行う手続きです。解体返納とも呼ばれ、手続きを終えた車は廃車処分となります。
永久抹消登録の必要書類には次のようなものがあります。
- 車検証
- ナンバープレート前後2枚
- 申請書(永久抹消登録申請書、自動車税・自動車取得税申告書)
- 所有者の印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内)
- 手数料納付書
- 一時抹消登録申請書
- 解体にかかる移動報告番号および解体報告日(リサイクル券に記載されたもの)
一時抹消登録と同じく、実印も用意します。また、車検証と印鑑証明書の情報に違いがある場合には、住民票(発行日から2ヶ月以内)も用意しなければなりません。
車を譲ったときは名義変更を忘れずに
個人間で車を譲った、あるいは譲り受けた場合は名義変更を確実に行いましょう。名義変更手続きが遅れて4月1日をまたいだ場合、その年の自動車税は旧所有者が納税義務者になってしまいます。
また、車の譲渡の際には、旧所有者が支払った自動車税を月割りで分担するか事前に話し合っておくことでスムーズな譲渡が行えます。譲り渡す際は直近の自動車税納税証明書も忘れずに添付しましょう。
7.年度途中の車の手続きでは自動車税が月割りされることを把握しましょう
自動車税は、毎年4月1日を基準に、車の所有者に課税されます。年度途中に車を購入するなどした場合には月割りで計算され、税金の納付を行ったり払いすぎた税金が還付されたりします。
車の所有者は自動車税を必ず納めなくてはならないため、月割りについても正しい知識を身に付けておくと役立ちます。