車にいたずら傷を付けられた場合、警察への連絡や被害届の提出などすぐにやるべきことがいくつかあります。車両保険に入っていて保険金を請求する場合は保険会社への請求手続きが必要ですし、傷が深くて錆が発生して損害が拡大する可能性があれば早めに修理が必要です。
本記事では車にいたずら傷を付けられたときの対処法や、被害を未然に防ぐための対策を解説します。
- 目次
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1.車に付けられるいたずら傷にはどんな種類がある?
大切な愛車に傷が付かないように注意していても、残念ながらいたずら傷を付けられてしまう場合があります。例えば次のようなケースです。
- 10円玉などを使っていたずら傷を付けられる
- 石などを使って凹みを付けられる
- スプレーにより落書きされる
愉快犯による場合もあれば子どもが悪気なくいたずら傷を付ける場合もあるなど、ケースはさまざまです。家の駐車場だけでなく、買い物など出先で停めていた車に傷を付けられる場合もあります。
いたずら傷は犯人が分からないケースが少なくありません。しかし犯人が分からないからといって何もしないのではなく、警察へ連絡するなどやるべきことがいくつかあります。
2.いたずら傷に気付いたらすぐに警察に連絡する
車にいたずら傷を付ける行為は犯罪であり、刑法上の器物損壊罪にあたります。家の駐車場に停めていた車や買い物中に店先に停めていた車にいたずらされた場合は、すぐに警察に連絡しましょう。
犯人は防犯カメラで特定できる場合があります。ただし、防犯カメラの映像は一定期間しか保存されない場合があるので、気づいたらすぐに被害届を出すことが重要です。
また、駐車監視機能や動体検知機能を備えたドライブレコーダーであれば、駐車中でも録画ができて犯人を特定できる場合があります。
3.車のいたずら傷と車両保険の関係
「車両保険は車同士の事故などが対象でいたずら傷は対象外なのでは?」と思っている人もいるかもしれませんが、実はそうではありません。
以下で、車のいたずら傷と車両保険の関係について確認しましょう。
いたずら傷は補償の対象になる
車に付けられたいたずら傷は、自作自演のモラル事故ではなくいたずら傷として認定されれば、基本的に車両保険の補償対象になります。補償範囲が広い一般車両でも、補償範囲が限定された車対車+Aでも、補償の対象です。ただし、「おとなの自動車保険」の車対車のように、いたずら傷が補償対象外の場合もあります。
請求する可能性がある場合、いたずら傷を見つけたらすぐに保険会社に連絡しましょう。
修理後に連絡した場合は、どのようないたずら傷を付けられたのか、車両保険の補償対象になる損傷が本当にあったのかどうかなどといった確認ができなくなり、補償を受けられなくなるので注意が必要です。
タイヤの損傷は一般的に補償対象にならない
車に付けられるいたずら傷の中でも、タイヤの傷は一般的に車両保険の補償対象になりません。タイヤは走行中に傷が付くことがあり、仮に傷が付いた場合でも、いたずらによるものなのか摩耗などが原因なのか判別が難しく、一般的に約款で免責されているからです。
ただし、タイヤ以外の箇所に明らかないたずら傷があり、タイヤにも傷がある場合は、保険会社によってはタイヤも含めて車両保険の補償対象となる場合があります。
車両保険の補償範囲は保険会社によって異なるので、タイヤの損傷が補償対象になるかどうかは加入している保険会社への確認が必要です。
車両保険を使うと翌年の等級が1つ下がる
事故などで自動車保険を使用すると「等級が3つ下がる場合」「等級が1つ下がる場合」「等級が変わらない場合」の3つのケースがあります。いたずら傷で車両保険を使用するケースは、等級が1つ下がる1等級ダウン事故の扱いです。
例えば14等級・事故有係数適用期間0年(割引率52%)の人が、いたずら傷の修理費用に充てるために車両保険を使うと、翌年は1等級下がって13等級・事故有係数適用期間1年になり割引率が24%まで下がります。
その後に自動車保険を使用しなければ、割引率は2年後に14等級・事故有係数適用期間0年で52%に戻りますが、等級が下がっている間は保険料が高くなる点に注意が必要です。
※保険始期日が2023年1月1日以降の割引率になります。
4.傷が付いた車の修理方法
車両保険を使えばいたずら傷の修理代に充てられます。しかし、受け取る保険金以上に翌年の保険料が上がる場合があり、また等級が1度下がることで等級進行が遅くなる場合があります。
車両保険を使わずに、自身で修理用品を購入し修理することで結果的に負担が軽く済むこともあるので、修理代が安い場合などは自身で修理しても良いでしょう。
小さないたずら傷であれば自身で修理して隠せる場合もあります。以下でいたずら傷が付いたときの修理方法をいくつか紹介します。
コンパウンドを使って磨く
コンパウンドとは、車のボディの傷を目立たなくするために使われる研磨剤です。ホームセンターやカー用品店などで購入でき、水で濡らして見えなくなるような浅いいたずら傷であればコンパウンドで対応できる場合があります。
傷で凹凸になった箇所を磨けば、なだらかになって傷が目立たなくなる仕組みです。ただしコンパウンドが車の他のパーツに付着すると変色の原因になる場合があるので注意が必要です。
タッチアップペイントで塗る
タッチアップペイントとは、ボディと同じ色の塗料を塗って補修する方法です。車のカラーナンバーを調べて合致するカラーをカー用品店などで購入して塗ればいたずら傷を目立たなくできます。
塗装面にムラができないように注意しながら塗る必要がありますが、費用はそれほどかかりません。いたずら傷の箇所に雨水や水分が付着してサビが発生するのを防ぐ効果も期待できます。
ディーラーや修理業者に依頼する
大きないたずら傷は自身で修理するのが難しいので専門の業者に依頼することになります。コンパウンドなどを使って自身でうまく修理する自信がない場合や、きれいに修理したい場合は、最初からディーラーや修理業者に相談して修理を任せたほうが良いでしょう。
いたずら傷の程度によっては時間経過とともにサビが拡大する可能性があるので、修理業者への相談は早めに行うことをおすすめします。また、修理に時間がかかる場合は、必要に応じて代車の手配などもあわせて行っておきましょう。
5.車のいたずら傷を防ぐ方法
いたずら傷を付けられないためには対策を講じておくことが大切です。
ここではいたずら傷を防ぐ方法をいくつか紹介するので、実際に使えそうな方法がないか確認してみてください。
ボディカバーを使う
いたずら傷を付ける愉快犯は、ボディカバーを外す手間や時間をかけるよりも、カバーがなくていたずら傷をすぐに付けられる車を狙う可能性が高いと考えられます。ボディカバーはいたずらされる可能性を下げるための有効な手段の1つです。
また、カバーをしておけば車内の様子が見えないので盗難防止効果を期待でき、雨風や直射日光から車を守れるなどの効果も期待できます。
ただし、毎回カバーを付けたり外したりする手間がかかり、カバーと車体が擦れて細かな傷が付く可能性がある点はデメリットです。また、ミニバンなど高さがある車は、カバーの取り外しの際に脚立が必要となる場合があります。
ドライブレコーダーや防犯カメラを設置する
ドライブレコーダーや防犯カメラを使えば犯罪行為に対する抑止力として役立ち、仮に車にいたずら傷を付けられても、証拠の映像があれば犯人の逮捕につながりやすくなります。犯人を捕まえることができれば、賠償を受けられる可能性があります。
ドライブレコーダーを使う場合は、できれば360度撮影可能で、エンジンを切っている時でも作動するタイプを使うようにしましょう。
常時録画するタイプは録画されない事態を回避できますが、録画データの量が多くなり容量をとるため、センサーで人の気配などを感知した場合などに録画を開始するタイプを使っても良いでしょう。
鍵付きガレージなどの駐車場に車を停める
ガレージを建てるための土地を確保する必要があるため、誰でも容易に使える方法ではありませんが、鍵の付いたガレージで車を保管すれば、屋外の駐車場で保管している場合に比べていたずら傷を付けられる可能性を下げられます。
雨風や直射日光などから車を守れる点でもメリットがあるので、いたずら傷を防ぎたい場合はガレージでの保管を検討してみましょう。
6.まとめ
車にいたずら傷を付けられた場合は必ず警察に連絡し、車両保険の保険金を請求する可能性がある場合は保険会社に連絡しましょう。
車両保険への加入を検討中の方や、車の購入にあわせて自動車保険に入る予定の方は、SOMPOダイレクトの「おとなの自動車保険」をご検討ください。きめ細かに補償を選べるので希望にあったプランを見つけることができます。