軽自動車を売買したり、譲り受けたりした時などには、車の名義を変更する必要があります。名義変更は新所有者自身で行うこともできますが、代理人による手続きも可能です。しかしその際には、必要書類が異なるなど、いくつか注意しなければいけない点もあります。当記事では、軽自動車の名義変更に必要な書類や流れ、費用、やり方などについて紹介します。
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1.軽自動車の名義変更とは
譲渡や売買などで車の所有者が変わった時には、車検証に記載されている所有者の名義変更をしなければいけません。この手続きを、軽自動車の場合は「名義変更」、普通車の場合は「移転登録」と言います。
名義変更を行うのは、車の新しい持ち主です。なお、名義変更は「変更があった日から15日以内に行わなければならない」と道路運送車両法第十三条で定められており、もし名義変更の手続きを怠った場合には、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。また、車検や廃車の手続きができなかったり、軽自動車税の案内が旧所有者のもとに届いたりすることもありますので、速やかに手続きを行いましょう。
親子間の譲渡の場合も名義変更が必要
新たな車の購入や引っ越しなどを機に、親の車を子どもが譲り受けることもあるでしょう。このような親子間の車の譲渡であっても、別居・同居かかわらず名義変更が必要です。
相続の場合も名義変更が必要
死亡により故人名義の車を譲り受ける場合も、相続人の名義に変更します。名義変更をしないと、第三者への譲渡や売却、破棄などの手続きもできません。また、故人名義の車に乗っていて事故を起こした場合、自賠責保険を超える金額は補償されない上、自動車保険(任意保険)も使用できないので注意しましょう。
2. 軽自動車の名義変更手続きの方法・流れ
軽自動車の名義変更の手続きの流れは、以下の通りです。
<名義変更手続きの流れ>
- 必要書類を準備する
- 管轄の軽自動車検査協会の窓口へ書類を提出する
- 新しい車検証の交付を受ける
- ナンバー変更をする場合は、隣接する窓口で手続きをする
基本的には、車の新しい持ち主が軽自動車検査協会に出向き、必要書類を窓口に提出します。しかし、代理人による手続きも可能です。軽自動車検査協会は、土曜・日曜・祝日は休みのため、平日に行けない方などは代行業者や行政書士、車の販売店などに依頼をするとよいでしょう。
名義変更の手続きを行う場所に関しては、どの支部でもよいわけではありません。新使用者がその車を管理・使用する場所を管轄する軽自動車検査協会の事務所、支所、分室でのみ受け付けています。手続き場所は、以下のWebページから検索できますので、あらかじめ確認しておくとよいです。
手続き事務所検索(軽自動車検査協会ホームページ)3.軽自動車の名義変更に必要な書類
軽自動車の名義変更を新所有者本人が行う場合、必要な書類は以下の通りです。しかし、ケースによっては追加書類が必要ですので、あわせてチェックしてください。なお、普通車と違い、新所有者・新使用者になる方が未成年であっても、保護者の同意書は不要です。
新所有者本人が名義変更する場合
必ず必要なもの
必要書類 | 備考 | |
---|---|---|
旧所有者が準備するもの | 自動車検査証(車検証)原本 | 車検切れでも可 |
申請依頼書 | 軽自動車検査協会のホームページで入手可能(押印は不要) | |
ナンバープレート(車両番号標) | 管轄地域が変わる場合のみ | |
新所有者が準備するもの | 自動車検査証変更記録申請書(軽第1号様式) | 当日現地、もしくは軽自動車検査協会のホームページでも入手可能 |
住所を証明する書類 | 個人の場合:マイナンバー未記載の住民票の写し、印鑑登録証明書のいずれか 法人の場合:商業登記簿謄(抄)本、登記事項証明書、印鑑(登録)証明書のいずれか ※発行後3ヵ月以内のもの |
|
軽自動車税(種別割)申告書 | 当日現地で入手可能 | |
軽自動車税(環境性能割)申告書 | 当日現地で入手可能 |
場合によって、追加で必要になるもの
- 新所有者と新使用者が異なる場合:新使用者の申請依頼書
新使用者と新使用者が異なる場合、いわゆる委任状である「申請依頼書」を新使用者に用意してもらいます。申請依頼書は、1枚の紙に連名で記入してもよいですし、それぞれ別に用意しても構いません。 - 法人から個人、個人から法人への譲渡譲受の場合:事業用自動車等連絡書
黒ナンバーの事業用自動車の名義変更手続きをする際には、「事業用自動車等連絡書」が必要です。「事業用自動車等連絡書」は、運輸支局で運送業の許認可を受けた後、窓口にて受け取るか、国土交通省のホームーページからダウンロードすることもできます。わからないことがあれば、使用本拠置を管轄する運輸支局の輸送担当窓口に問い合わせてみてください。
- ナンバーを希望する場合:希望番号の予約済証
「希望番号の予約済証」は、軽自動車検査協会に隣接している希望番号予約センター窓口か、希望番号申込サービスのホームページから事前に申し込み、交付手数料の入金を済ませた後に受け取ることができます。希望番号の予約済証に記載されている交付可能日から1ヶ月以内に、ナンバープレートの交付とあわせて名義変更を行う必要があります。
- 字光式ナンバーを希望する場合:字光式車両番号指示願
字光式ナンバーとは、電光ナンバーや光るナンバーとも言われ、数字や文字部分が光るナンバープレートです。「字光式車両番号指示願」は当日現地でも入手できますし、軽自動車検査協会のホームページからダウンロードすることもできます。
- 相続の場合:戸籍謄本等、もしくは法定相続情報一覧図
所有者が死亡したという事実と、新所有者が旧所有者の相続人(親族等)であることが確認できる書類として、戸籍謄本(コピー可)や、全ページ分の法定相続情報一覧図(複写機によるコピー可。カメラ撮影のものは不可)などを提出します。
- 氏名も変更する場合:戸籍謄(抄)本等、もしくは旧姓の記載がある住民票の写し
車検証上の氏名を変更する場合は、新たな氏名を証明するものとして、全ページ分の戸籍謄(抄)本等(複写機によるコピー可。カメラ撮影のものは不可)か、旧姓の記載がある住民票の写しが必要です。
※複写機によるコピーは、文字が鮮明で記載内容が判読できるものに限る。
代理人が名義変更する場合
上記の必要書類に加え、「新所有者の申請依頼書」が必要ですので、忘れずに用意しておきましょう。
4.軽自動車の名義変更にかかる費用
名義変更の事務手数料は無料です。ナンバープレートを変更する場合はナンバープレート代が必要です。ナンバープレート代は地域によって金額が異なり、おおよそ1,500円前後かかります。字光式ナンバーや図柄ナンバー、希望番号にする場合は通常より高額になります。
希望番号なし | 希望番号あり | |
---|---|---|
通常のナンバー | 1,500円前後 | 4,000円程度 |
字光式ナンバー | 5,000円前後 | 7,000円程度 |
図柄ナンバー | 7,000円前後 | 10,000円程度 |
また、車を取得した時に課される税金・環境性能割(軽自動車税)も、車の取得価格に応じて収める必要があります。しかし、車の残存価額が50万円以下の場合は課税されません。このほか、名義変更の手続きを代行業者に依頼する場合は、別途代行費用も必要になります。
5.軽自動車の名義変更をする場合の注意点
保険の名義も忘れずに変更する
車検証の名義変更だけではなく、保険の名義も忘れずに変更しましょう。車の保険には、「自賠責保険」と「自動車保険(任意保険)」の2種類がありますが、それぞれの名義変更について紹介します。
自賠責保険
自賠責保険は、すべての車に加入が義務付けられている強制保険です。「人」ではなく、「車」にかけられる保険のため、車を譲渡する際には、自賠責保険もそのまま引き継ぐ必要があります。
自賠責保険の名義変更手続きは、権利譲渡という形で基本的に旧所有者が手続きを行います。手続きの際には、以下の書類が必要です。なお、自賠責保険の名義変更手続きの手数料は無料です。
- 自賠責保険(共済)証明書
- 自賠責保険(共済)承認請求書(保険会社で用意。譲渡人と譲受人両方の押印があること)
- 譲渡意思の確認ができる書類
- 保険契約者(譲渡人)の実印と印鑑証明書
- 本人確認書類(免許証・保険証など)
自動車保険(任意保険)
自動車保険は、車両や搭乗者、モノ(対物)にかけられる任意保険です。すでに自分の自動車保険の契約がある場合は、車両入替手続きを行います。手続きに必要なのは、新しい車検証に記載された「登録番号(ナンバープレート番号)」「初度検査年月」「型式」「車台番号」「車両所有者」などの情報です。
自分の自動車保険の契約がなく、配偶者または同居の家族からの譲渡の場合であれば等級の引き継ぎができる可能性があります。等級を引き継いだ方が保険料が安く済むケースもありますから、親から子どもに車を譲渡する際は等級の引き継ぎを検討してみてください。
自分の自動車保険の契約がなく、配偶者または同居の家族以外からの譲渡の場合は、新規で契約をする必要があります。
自動車保管場所届出書の提出が必要な地域もある
一部地域では、名義変更手続きの後に、管轄の警察署への「自動車保管場所届出書」の提出が必要です。普通車の場合は「車庫証明書」と呼ばれ、車の保管場所を証明するものです。書類の提出が必要な地域の基本的な条件は、「各都道府県の県庁所在地」「人口が10万人以上の市町村」「東京・大阪などの都心部から30km圏内の市区町村」です。詳細は、全国軽自動車協会連合会のホームページでも調べられますので、参考にしてください。
6.監修コメント
間違えやすい公的書類に「住民票の写し」があります。ここでいう「写し」とは原本の写しという意味であって、市区町村役場などで発行されるもの自体が「住民票の写し」になります。
一方、軽自動車の相続による名義変更では、戸籍謄本等はコピーでも可とされています。こちらは、コピー機で複写したものでも構わないという意味です。戸籍謄本は相続手続きで提出が求められることの多い書類なので、コピーでも可となっています。
行政手続きでは「住民票の写し」のコピーを持って行く人も多いので、混同しないように注意しましょう。