子どもを車に乗せるため、ジュニアシートの取り付けを検討している方もいるでしょう。
ジュニアシートにはどのような種類があり、対象年齢は何歳から何歳までなのでしょうか。また、ジュニアシートは子どもの安全を守る大事なものなので、選ぶ際にはどのような点に注意して選ぶべきなのかも、気になるところです。
本記事では、対象年齢やジュニアシートを使わない場合のリスク、ジュニアシートの選び方のポイント、ジュニアシート利用時の注意点などについて説明します。
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1.ジュニアシートとは?
ジュニアシートとは学童用のチャイルドシートのことで、大人の体格に合わせて作られているシートベルトはまだ身体の小さな子供には合わないため、座席に補助的に取り付けて使用します。対象は、体重15~36kg(身長135cm以下、4歳~10歳くらい)の子どもです。
道路交通法では、6歳未満の幼児を乗せて運転する場合はチャイルドシートを使用しなければならないと定められています。6歳を超えたらチャイルドシート自体の着用義務はなくなります。しかし、体格に合わないままシートベルトを使用するのは危険なため、安全のためには子どもに合ったジュニアシートを適切に使用しましょう。
なお、自動車大国であるドイツは12歳になるか、身長が150cmになるまではチャイルドシート(もしくは保護装置)を使わなければならないと法律で定められています。
2.ジュニアシートを使わない場合のリスク
車のシートベルトは鎖骨や胸郭、骨盤など衝撃に耐える骨格で体を拘束するもので、身長がおおよそ140cm以上の人が使うことで、安全性能が発揮できるように設計されています。
身長が140cmに満たないうちは、ジュニアシートを使用しないと首や腹部など体の柔らかい部分にシートベルトがかかってしまい、人体に大きな損傷を与える可能性があります。そのため、6歳を超えていても子どもが車に乗る際は、安全のために必ず体格にあったジュニアシートを使用するようにしましょう。
3.ジュニアシートの選び方のポイント
ジュニアシートを選ぶにあたっては、以下のような点を意識して選ぶと良いでしょう。
- ISOFIX式シートを選ぶ
- 国交省公認の安全基準に適合したマークが添付されているものを選ぶ
- 対象年齢、体重、身長があっているサイズを選ぶ
それぞれの選び方について解説します。
ISOFIX式シートを選ぶ
ISOFIX式のジュニアシートは、ISOFIX規格専用のアンカー(金具)を利用して取り付けるタイプです。子どもの安全のために、2012年7月1日から法令により以後生産される車の座席にISOFIX対応チャイルドシート用の取付金具の設置が義務付けられています。
従来のシートベルト式のチャイルドシートよりも固定力が高いのが特徴で、本体のコネクターを車側の金具に差し込むだけで簡単に固定でき、取り外しもワンタッチで行えます。取り外しは簡単に行えますが、座っている子ども自身が外すことができないのもメリットの1つです。
ISOFIX規格に対応した車種を利用しており、子どもの体をしっかりと支えてあげたいと考えている方にはおすすめです。
国交省公認の安全基準に適合したマークが添付されているものを選ぶ
国交省による安全性試験に合格した製品には「Eマーク」と呼ばれるマークが付いています。
また、平成24年6月30日以前に製作されたチャイルドシートには、改正前の基準に適合していることを示す「自マーク」が添付されている場合があります。
Eマークが付与されていない未認証ジュニアシートは検証が十分ではない、あるいは国の安全基準に適合していないなど、安全性が確かではありません。未認証の商品ではなく、必ずEマークの付いたジュニアシートを選びましょう。
対象年齢、体重、身長があっているサイズを選ぶ
ジュニアシートは製品によって対象年齢、体重、身長が異なります。各ジュニアシートの対象年齢、体重、身長に当てはまっていないと安全に利用できない可能性があるので、購入前に確認しましょう。
ただし、子どもの成長スピードはさまざまなので、対象年齢の範囲内でも子どもが座れない可能性も考えられます。対象年齢は目安のひとつとし、子どもの身長や体格を踏まえたうえで、見合ったサイズのジュニアシートを選ぶことが大切です。
4.ジュニアシートの種類・特徴
ジュニアシートの形式や機能は非常に豊富なので、子どもに適したものを選ぶことが重要です。ジュニアシートの種類や特徴について以下で説明します。
シートの種類
ジュニアシートには、背もたれ・ヘッドレストがあるタイプとないタイプがあります。それぞれの特徴やどういった方におすすめかについて、以下で説明します。
背もたれ・ヘッドレストがあるシートタイプ
背もたれがあるのは、ハイバックジュニアシートというタイプです。立体的な形状のシートで、前方や後方、側面の衝撃から子どもを守ることができます。子どもの体を固定しやすく、安定した姿勢で座れるのが特徴です。
そのほかにも、背もたれだけでなくヘッドレストも備えている「フルサイズジュニアシート」というタイプもあり、チャイルドシート兼用タイプであれば3歳から12歳頃まで長く使えるものもあります。ヘッドレストを備えていると頭が固定されるため、子どもが寝てしまった場合も姿勢が安定しやすいので、長距離移動をする機会が多い場合などには特におすすめです。
背もたれ・ヘッドレストがないタイプ(ブースターシート)
背もたれ・ヘッドレストがない座面だけのジュニアシートは、「ブースターシート」と呼ばれます。コンパクトなタイプで、座面を高くすることができます。子どもの身長を補うことで、シートベルトが子どものお腹や顔、首にかからないように調整できます。
サイズが小さいため持ち運びやすく、取り外しも簡単なものが多いので、カーシェアリングやレンタカーなどを利用する方に便利です。
そのほかの機能
ジュニアシートに備わっているそのほかの機能としては、インパクトシールドやリクライニング機能が挙げられます。それぞれの機能について、以下で説明します。
インパクトシールド
インパクトシールドとは、ジュニアシートに座った子どもの脚の上に置く、衝撃吸収材のことです。インパクトシールドにシートベルトを通して、子どもの腹部全体を支える設計になっています。肩ベルトを嫌がってベルトから抜け出そうとする子どもでも快適に利用できます。
持ち運びが容易なのでカーシェアリングやレンタカーなどを利用する機会が多い方や、肩ベルトの圧迫感を嫌がる子どもにおすすめです。
リクライニング機能
リクライニング機能を搭載したジュニアシートは、背もたれを倒すことで座席とジュニアシートの間にできる隙間を埋め、安定性を高めることができます。
子どもが寝たときに、起こさずに楽な姿勢に調節してあげられることもメリットです。ただし、傾きが大き過ぎると子どもがずり落ちる可能性があるため注意しましょう。
車種によって車とジュニアシートの間にどのくらい隙間ができるかは異なるので、それぞれの車種に応じてシートの傾斜を調整できるのは便利な点と言えます。
5.ジュニアシート利用時の注意点
ジュニアシートの利用時の基本的な注意点としては、「ジュニアシートは助手席には設置しない」「ジュニアシートを付けたまま背もたれを倒すときは角度に注意する」などが主に挙げられます。それぞれの注意点について、以下で説明します。
ジュニアシートは助手席には設置しない
ジュニアシートを助手席に装着すること自体は法令違反ではありませんが、なるべく後部座席に設置しましょう。
衝突などで大きな衝撃が加わった際に、エアバッグが作動します。しかし、エアバッグは成人の体型を基準に設計されているため、膨張したエアバッグは子どもの体を守るどころか、かえって子どもに被害をもたらす可能性があります。
最近は助手席にISOFIX規格のチャイルドシートアンカーがついた車種も登場しました。それでも、助手席に子供を乗せる際にはシートを後ろに下げておきましょう。これは衝突時の子供の安全を守るためでもありますが、走行中に運転装置にいたずらをする可能性を減らすためでもあります。
ジュニアシートを付けたまま背もたれを倒すときは角度に注意する
リクライニング機能が搭載されたジュニアシートは、正しく使用しないと子どもが危険な状態に陥る可能性があります。本来ジュニアシートは、鎖骨や骨盤にしっかりとベルトがかかるように高さや位置を調整するために設置するものです。
しかし、背もたれを倒しすぎることで、ジュニアシートに座っている子どもがかえって苦しい体勢になることがあります。背もたれを倒す場合はジュニアシートの説明書をしっかりと読み、必ず子どもの様子を確認しながら倒すことを心がけましょう。
6.ジュニアシートを利用して安全なドライブを
子どもが6歳になるまでは、子どもを車に乗せるときにチャイルドシートを利用する義務があります。しかし実際には子どもの体格は個人差があり、一概に年齢だけで決めることはできません。子どもの安全を守るためには、身長と体重を目安に体系に合ったチャイルドシートやジュニアシートを選びましょう。
また、ジュニアシートを使う際には安全性能が発揮できるよう正しい使用法を守り、子どもの安全に十分配慮しながら利用しましょう。